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瀑売れ!金貨芋
しおりを挟む◆B級冒険者受け入れてくれた村長に恩返しで芋を渡す。
「どうだ、村長。これ売れないか」
俺の提案に感涙しながら芋を貪り喰った村長のコステロが少し放心した後に言った。
「むう、少し勿体ない気もするが確かに売れるぞ!しかも普通の芋なんぞよりも高くな!」
「でも、良いの。アゼスト様?」
村長の娘のミリアが芋を口にしながら聞いてきた。
「良いさ、こんな俺を受け入れてくれた村長の為になるならな」
芋を口に咥えて、両手を胸の前に組んだ村長の娘のミリアが感涙してみせた。
「モゴモゴ」
「何言ってるか分からん」
「っぷふぁ~、さすがあたしの愛した男!」
芋でベタベタした手のままで俺にミリアは抱きつこうとするので逃げた。
逃げながら俺は言ったんだ。
「とにかく、収穫出来た芋は後で持って来るから売ってくれ」
俺はそのまま村長の家を出て自分の畑に戻った。
俺を追ってミリアも来ようとしたけど村長のコステロに掴まって説教をされていたから助かった。
その日から俺は夕方になると畑で採れた芋を持って村長の家に毎日行った。何しろ何もしなくても芋は勝手に魔物を呼び寄せ、餌にして芋畑を荒野側に広げて行って、その数を増やして行ったんだ。
だから村長の家にある荷車を借りて沢山乗せて行くのが日課になった。
その間、ミリアの姿を見ないと思ったら芋の販路を村長が取引している商人の相手をさせて居たらしい。
◆村長、渡された芋を売って大儲け
10日もしない内に村長のコステロから芋の販売代金として金貨の入った袋を渡された。どうも俺の予想以上に芋は売れたらしい。
「アゼスト、金貨芋をもっと売ろう!」
村長にそんな事を言われた。
「金貨芋?なんだその名は?」
「ぐわっはははは、金貨を生む芋だから俺が名付けた!」
そんな大層なものじゃないのにと俺は心のなかで思った。名付けるなら『糞女神芋』だろう。
「芋畑に村人も冒険者も近付けないようにしてくれよ。俺以外が近づくと餌だと芋が襲うからな!」
一度村長のコステロは襲われて居るから分かっていると思うが念を押しておく。
次第に村長の家に運ぶ金貨芋の数は増えていく。
でも、直ぐに売れてしまうらしく村長の家に溜まることは無かった。調子に乗ってガンガン持っていった。
◆芋の噂を聞いた商人と冒険者が大挙して押し寄せる
1ヶ月程したある日、村の門番のエイヘイが慌てて俺を呼びに来た。
「アゼスト、大変だ!人が押し寄せて来ている!」
何のことか分からないが腕利きの冒険者と言うことで俺は村の防衛の指南もしているので異常事態があるとエイヘイ達に呼ばれてしまうのだ。
エイヘイと一緒に村の入口に走ると荷馬車を率いた商人が沢山集まって騒いでいた。その前には村長が木箱の上に乗って大声で叫んでいた。
「みんな!そんなに騒がんでくれ!」
「コステロ!俺に金貨芋を売ってくれ!」
「いや、俺に売れ!バランスの奴の倍出すぞ!」
「止めとけ!俺に売れ!俺が貴族に売ってやる!」
「ゼニーの奴は暴利だから止めとけ!」
「何だと!この法螺吹きめ!」
商人同士の言い合いから手が出て、護衛同士が喧嘩をしそうな程ヒートアップしていたんだ。
「騒ぐな!騒ぐ奴には売らんぞ!」
コステロが大声で叫ぶと商人達は黙ってしまった。さすが村長だ、商人のアキレス腱を知ってる。
◆村中大騒ぎ
村の閉じられた門の外の騒ぎを聞きつけた村人が集まって来た。
ほとんどは単なる好奇心だったが村長のコステロと商人のやり取りから金儲けの気配を感じたのかひとりが村長を詰(なじ)った。
「村長が金を独り占めかよ!俺達にもくれよ!」
ソロリの野郎だった。
俺は頭に来たから後ろに回って頭を小突いてやったら気絶しやがった。
でもソロリの言葉に他の村人も事情を知らないのに図に乗って騒ぎ出した。エイヘイが村人の間に入って鎮めようとするが小突き回されている。だめだなぁ~。
◆芋を奪おうとする護衛の冒険者
村の内外で騒ぎが大きくなるとさすがにコステロも商人を村の中に入れないと騒ぎが収まりそうも無かった。
コステロが主に取引をしている商人のバランス、ゼニー、グレーとそれぞれの護衛1名だけをまず中に入れてコステロと話をすることになった。
他にも来ていた商人達から文句があがりコステロが仕方ないと門を開けた途端、商人達がなだれ込んで来やがった。
話を聞かない奴らだ。商人達が連れてきた冒険者達に芋を探せと指示を飛ばす。
◆芋を守ろうとするB級冒険者
俺は自分の畑に疾走った。芋を守る為か芋に狩られる冒険者を守る為か分からなかったけど、芋をどうにかできるのは俺だけだった。
斥候タイプの冒険者が居たらしく俺よりも早く走り抜けて行く。彼奴等が芋を見つけたら拙(まず)い。
釣られて冒険者達を追う村人もいた。とても追い付かないけどな。
◆冒険者を襲うとする芋
俺が自分の畑に着いた時には既に芋畑に侵入していた冒険者がふたり居た。
「うぉ、なんだこの蔓は?!」
「なんだ、芋じゃなくて魔物かよ?」
芋に襲われて居た。このままじゃ芋の餌になっちまう。それこそ大騒ぎだ。
俺は芋畑に飛び込んで蔓を斬り落として、ふたりの冒険者を畑の外に逃がす。
俺以外が畑に居なくなって芋畑の蔓は大人しくなって冒険者が暴れた畑が綺麗に芋蔓に整えられて行く。
畑の外で呆然と座り込んで居た冒険者が言った。
「あんた、確かアゼストだよな?」
「アゼストってあの偏屈冒険者の事か?」
なんてこった、俺を知っている奴らもいやがった。
俺は答える気にならなくて、必要なことだけを伝えた。
「この芋畑に入るな!命の保証はない。次は助けないから他の冒険者に言っとけ!」
◆商売は村長に一任
俺は村長コステロが心配になって村長の屋敷に行った。屋敷の前には商人と護衛がたむろしていたが村長のコステロは俺の姿を見つけると俺を呼んだ。
「アゼスト、芋を出来るだけ持ってきてくれ」
俺は頷いて村長のコステロの言う通りに芋掘りをして荷車に大量に金貨芋を乗せて来た。
村長のコステロが触る奴には売らんぞと脅したから何とか村長の前に置くことがで来た。
「これからセリをする!」
村長のコステロの言葉に商人達が歓声を上げた。
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