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肥料とは?
しおりを挟む◆一晩経って畑を見ると芋だらけ
次の日、いつも通り朝早くから水汲みをして畑に水を撒いていた俺は驚いた。畑が荒らされて芋が繁殖していたのだ。
赤紫の蔓に青く瑞々しい大きな葉が生い茂って絡みついていた。
昨日の今日だぞ。しかも殆ど水も無くて放りだして居たのになんで俺の畑まで侵食してんだ?
「あんの糞女神!なんてものを寄越しやがった!」
俺は頭に来て蔓の一本を引き剥がそうと引っ張った。抜けなかった。
腹が立って全力を出して抜く。ボロボロと土塊と共に赤紫の皮をしたまるまると太った芋が何個も出てきたのだ。
蔓を引き千切ろうと両手で掴んで引っ張れど千切れない。なんて強度だよ。こうなったらと俺は腰から解体用の短剣を取り出して切った。スパっとな。
簡単に切れて呆気に取られたぜ。蔓を放りだして俺は蔓に付いている芋を幾つか切り取った。
◆荒野の魔物の死骸
蔓の間に何かが見えたので蔓を切りながら見るとそこには魔物の死骸が転がっていた。荒野を生息場所としている筈の蚯蚓の魔物ホットロープとか蛇の魔物ヒートバイパーだった。
他にはゴブリンやコボルトもいることに気づいた。芋の奴、魔物を餌にしてやがる。
◆芋に釣られて魔物がやって来て芋と魔物のバトルが始まる
これなら水をやる必要もねえな。
俺が幾つか切り取った芋を抱えて畑を後にしょうと離れたら荒野から蜥蜴の魔物グランドリザードが一匹凄い勢いでやって来た。
グランドリザードは土を掘り返して芋を喰おうとしているらしかったがまるで生き物のように蔓が蠢き、絡みつきグランドリザードを拘束しようとした。蔓をグランドリザードが片手の鋏で切りながら片手の鋏で土を掘り返す。攻防は暫く続いたがグランドリザードが動かなくなったようだから芋が勝ったらしい。
ギェーー!グランドリザードの鳴き声が響いた。
蔓の締め付けがグランドリザードの息の根を止めたらしい。ズブズブとグランドリザードの死骸が土の中に取り込まれて行った。
◆魔物を倒して肥料にして居る芋
成る程ああやって魔物を肥料にしてるんだな。魔物も何故か芋を喰いに来るから誘う必要も無いんだ。流石だね、糞女神のくれた芋だわ。
余計なもんくれやがって。放って置けば魔物を間引けるのは楽かも知れないけどな。
◆B級冒険者を育成者と認めて襲わない
さっき俺は芋に襲われなかったよな。俺は魔物じゃないから襲われないのか?それとも俺だから襲われないのか分からんな。
どっちにしろ後で村長に警告しないといけないな。
◆芋を持って家で焼いて食う
取り敢えず家に帰って持って帰った芋を焼いてみた。
灰の中に押し込み上から炭を乗せて焼く。暫くすると芋の焼けたいい匂いがしてきた。灰の中から取り出して見ると所々焦げてはいたが焼けたようだった。
家の中で使えそうな桶に焼けた芋を放り込んで、今度は村長コステロの所へ出掛けた。
◆村長に芋を持って行く
「コステロ居るかぁー!村長ー!」
俺は屋敷に入るなり大声を上げて村長を呼んだ。
すると奥の方から返事が返って来た。暫く待つとコステロがやって来た。桶を持っている俺を見て村長コステロは言った。
「一体何だ、これでも忙しいんだぞ」
俺は桶をその場に置いて芋を取り出してコステロに言った。
「まぁこれを食べてみろ」
コステロは俺が芋を取り出す前から何故か芋に目が行っていたみたいで即座に近づいて来た。
「凄くいい匂いがするな。アゼスト、お前芋なんか育てていたか?」
「いや、ちょっとあってな。取り敢えず喰ってみろ」
コステロは少し匂いを嗅いでから皮を剥いて食べ始めた。
「おお、美味い、美味いぞぉー!」
コステロの声を聞いたのか同じく奥から娘のミリアが出てきた。
◆村長の娘に言い寄られる
「あっ、アゼストさん!あたしに会いに来てくれたの?」
娘のミリアが近づいて来て抱きついた。
娘が男に親しくしていたら怒る所なのに村長のコステロはニヤニヤしている。
俺はミリアを剥がして言った。
「嫌、違う。あれを持ってきたんだ」
◆芋を食べる娘と村長、大歓喜の踊り
顎を使って村長のコステロが食べている物を示す。匂いで分かっていたらしくミリアはコステロの所へ行って驚いた。
「お芋!」
桶に入った芋を無造作に取り出すと灰を叩き落としながらミリアも皮を剥いて食べ始めた。
「美味しーい!なにこれぇ?ホクホクしているのに密が蕩けるように甘いわ。こんなお芋食べたの始めてよぉー!」
喜んでいるなら良いさ。
娘が喜んでいるのを見てコステロが踊りだした。ミリアは芋が美味すぎたのか踊りだしていた。
夢中になってふたりは芋を食べきってしまった。
「もう、無いの?」
「何処からこんな芋を手に入れたんだ!」
ミリアとコステロは俺に聞いてきた。
◆畑を見て芋に襲われる村長
「話すより見て貰った方が早いから俺の畑に来てくれ」
俺はそう言ってコステロとミリアを連れて畑に戻った。
畑は俺が芋を掘るために荒らした筈なのに蔓も葉も元通りになっていた。短時間でここまで繁殖しているのか?俺が疑問を抱いて見ていたらコステロがズカズカ畑の中に入り始めて居た。
「これがあの芋か!凄いぞ!」
取り敢えずコステロは芋の出所を気にしないことにしたらしい。葉っぱと蔓を掻き分けて芋を掘り起こそうと蔓に手を掛けた。
すると蔓が村長のコステロに絡みつき始めた。
「んん?わぁー助けてくれー!」
◆村長を、助けるB級冒険者
俺は慌てて腰の剣を抜いて芋に斬り掛かった。
バッサバッサと蔓を斬り村長のコステロの手を引いて娘のミリアの方へ投げ飛ばす。芋は大人しく俺には襲いかかって来なかった。
「大丈夫か、コステロ」
俺が剣を収め、芋畑から出て来てコステロに言った。
地面に尻もちを付いて娘のミリアに介抱されていたコステロが泣きそうな顔で頷く。
「な、なんだあの芋は?」
俺は芋を泉から現れた女神から貰った経緯を話すとミリアが俺に飛びついて来た。
◆娘、大歓喜して言い寄る
「まぁまぁ、凄いですわ!流石にあたしの見込んだアゼスト様よ!」
ミリアにはどうも女神から貰ったと言うことろが気に入ったみたいだ。
抱きつくだけでは収まらず俺にキスをしてこようとする。
そうはさせまいと俺はミリアの肩を押し下げて、密着しょうとする躰を引き剥がした。
「結婚して!結婚して下さい、アゼスト様!」
勘弁してくれ!俺にその気は無いんだ!
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