無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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王都のQT

王都の散策

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あたしとダリとアンナさんは王都を歩く。

早くDの屋敷へと急ぎたがるアンナさんにDは昼間出掛けていて夜にならないと戻らないからと王都の散策を提案したのだ。

女が3人集まればすることは1つ、そうパーラーでのお喋りだ。
パーラーは軽食は出すが食事をするのではなく、飲み物やデザートを堪能する場所である。

飲み物を注文してお喋りを始めると特にダリアことダリとアンナさんは主従関係だったらしいから離れていた間の事をお互いに聞きたがる。

なぜ二人が主従関係を解消しなければならなかったかの話はあたしには詳しく教えて貰えなかった。どうにも言い難い事だからだけでなく秘密にしなければならない事があるらしい。
3年以上前の話、アンナさんが15歳で学園に通っていた頃の話らしい事は教えて貰えた。あの頃、ヨークゼンの街も浮浪者が増えてたな。
あたしも浮浪者仲間と徒党を組んだり、揉めたりしていた事を思い出す。あの娘はどうしてるかな?死んじゃってるかな?

眼の前でダリが傭兵として北の貴族に雇われて戦っていたことを話していた。
「・・だから、ライザップ領での戦闘は凄く激しくて、あたしもかなり追い込まれたりしたんです。」

ダリはアンナさんに仕えていた為に敬語で話す癖が抜けない。

「団長の指示でたった3騎で撹乱に走った時は死ぬかと思いましたよ。共走りしたジュリアンもドガンさんも大怪我したし」
ジュリアンは同い年の男の人で、ドアンさんは2つ年上の男の人で同じ様に槍を使うとダリが説明する。
槍にも種類があってダリが使うのは軽槍と呼ばれるもので、あたしもこれをダリから習った。ジュリアンは柔槍という持ち手の部分より先端が撓りやすく、刺突より細かな扱いが必要な技が使えるそうだ。ドアンさんは戦槍と呼ばれる太くて重く、先端の刃の部分に返りが付いているものらしい。

ダリが身振り手振りで大げさに説明するのでアンナさんもニコニコと始終笑顔で話を聞いている。
ダリが言う北の貴族というのはスリム•ライザップ辺境伯の事で、更に北にあるアロシア帝国との係争に雇われた事を言っている。
数年に渡ってアロシア帝国とは係争が続いていてライザップ領では傭兵団がかなり雇われている。
だからこの国では傭兵団が幾つもある。
傭兵団が重宝される背景には国軍を動かすとアロシア帝国との全面戦争に至る可能性があるからだとダリが教えてくれる。少しはヴォルンタリ団長から教えて貰っているのだと自慢そうに話す。
また聞きと言えどあたしには知らない事を知っているダリは凄いと素直に思う。むしろアンナさんの方はそれなりに知っているようだ。

「アロシア帝国はあちこちで係争を抱えていますからね」
西部ではウクイラナ王国を征服しようとしていて、東部では東方にある弓月国とも領土問題で揉めているらしいとアンナさんが補足してくれる。

「アロシア帝国は何をしようとしているの?」
あたしが疑問に思ってアンナさんに聞く。

「あたしが知っている所だとアロシア帝国は昔はもっと大きかったらしいわ。西部のウクイラナ王国ももっと西の諸国も含めたソビエント連邦帝国と言ったらしいのよ。その連邦の議長が連邦を解散してそれぞれの国が独立したらしいわ。今のアロシア帝国の皇帝がソビエント連邦帝国の強大さを取り戻そうとして居るって聞いたわ。」
想像も付かない話だがあたしは周りの国々にとっては迷惑な話だなと思った。

「あ、あたしも聞いたことあるわ!ソビエント連邦帝国って世界を二分するほどの国だったのよね。」
二分?もう一方は何と言ったのだろう?

「へ~、二分したもうひとつの国は何という国ですか?」
ダリに聞くとニッコリと笑う。
「当然、この国よ。あたし達の国、マジェント共和王国!!」

「あっ、そうか」
思わず声に出た。

「国と国の戦争になるとアロシア帝国はあたし達の国に勝てないからスリム•ライザップ辺境伯との小競合いに終始てんのよ。」
ダリが解説してくれる。

「まっ、スリム•ライザップ辺境伯が頑張ってくれてるから国との戦争にまで発展してないとも言えるのよね。」
アンナさんも続ける。

「変な所で国の話になっちゃったわね。殺伐とするから話を変えましょ」
「そうですね、アンナ様の言うとおりです。」
各自の飲み物もそろそろ無いので何か他のデザートでも頼もうとなって皆で色々な種類のパンケーキを追加注文した。みんなちょっとだけお腹が空いたのだ。

パンケーキはこのパーラーのお勧めだそうだ。
食べ物の好みから服装の趣味まで色んな事を話している内に昼になったのでパーラーを出て、街中を散策することになった。
王都の店構えが随分と変わったのでアンナさんは良く分らないと言ったから道案内はダリだ。

服飾関係の店は中央にある王宮を囲むように点在しているためそれなりに歩き回る事になった。季節的には秋冬ものが多く、まだ薄着でもいられる気温なので買い物をするというよりも冷やかしで見て回る感じだ。
3人で並んで歩くと身長の高いアンナさんを中心にダリとあたしが付いて廻るように見えるだろう。

仲の良い姉妹に見えたら良いなとちょっぴりあたしは思った。


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