無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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冒険者Dと近隣国

ギルーラ

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「糞糞糞糞っーーー!なんで俺様がこんな目に遭う!」

ギルーラエッテンベルクは叫びながらデザートエクリプスを駆った。よろけながらも強い走りでギルーラの指示に従う。

思い起こせば・・・・・あの変な芋虫みたいな魔導具が城門を破壊して直ぐに逃げ出した。援軍要請はスリムライザップ辺境伯軍が集結し始めた時点でドアンと相談して発していたが、あんな物があるなんて反則だ。
空から攻撃出来る魔導具があること自体問題では無いか!幾つかの伏兵を潰された事から城攻めに使うだろう事は予測出来たので魔導師部隊の編成も入念に行って、何とか援軍が来るまで籠城する予定だったのに!

あっさりと覆された。
空を飛ぶ魔導具の凄まじさも予定外だった。
こちらの一流の魔導師の攻撃が届かない位置からの魔法攻撃、近づいてさえ当てられない速さ、当たっても消滅する魔法、どれもこれも常識外れだ!
ドアンを囮に逃げ出した俺は悪くない。
嫌、逃げ出したのでは無く、援軍を迎えに行ったのだ。幸いにして余り時間も掛からずに合流出来た。

アロシア帝国秘蔵の魔獣騎士団。たった10騎だったがそれを率いていた魔獣が凄い。空の獣王とも言われるグリフォンだ。もちろん、第一なのは龍であり、竜と続きその眷属が空を支配している。だが、龍族に続き強いのはグリフォンだ。自在に飛び、鋭い爪で切り裂く力は他の羽を持つ魔物を寄せ付けない。凄く個体数が少なく生態も詳しく知られて居ない。
たとえ竜属の仲間と見做されるデザートエクリプスでも蜥蜴の仲間でしかなく、グリフォンにとっては厄介な餌に過ぎない。だから、グリフォンをティムした者には従い、騎士を乗せ、整然と地を駆ける事が出来る。

「くっはははーーー!」
勝てる!これで馬ごときに乗って調子付いているスリム•ライザップ辺境伯など擦り潰せる。飛行する魔導具に圧倒されていたギルーラだったが確信した。グリフォンに同乗して城へ戻る途中で再編されたスリム•ライザップ辺境伯軍が陣を建てていたが最初に父が殺された攻め入った時の6割程度であり、しかも忌々しいあの空を飛ぶ魔導具の姿も見えなかった。

「くっはははーーー!」
勝てる!これなら絶対に勝てる。きっとあの空を飛ぶ魔導具はどんな仕組みか分からないがそんなに飛んで居られないのだろう。空を見上げても何処にも見えないし恐ろしい音もしない。ギルーラはグリフォンのティマーにそのまま突っ込むように指示をする。スリムライザップ辺境伯軍がこちらを囲むような動きを見せたがそんなもの俺の魔法で潰してやる!
魔力はたんまりとあった。意気も高い!グリフォンが巡る場所から魔力を放てば面白いように敵軍の騎士達に当り、落馬していく。

「くっはははーーー!」
勝てる!そう思っていると遠くから何かが飛来して来た。グリフォンが怯えて動きが鈍くなる。ティマーの命じて高度を取らせ、それを見ると遠くに何故が2匹の龍が滞空していた。片方は赤黒く光っているので赤龍かも知れない。近くにもっと赤い竜がいるようだった。対しているのは金色に輝く龍だ。ギルーラも初めて見る龍なので種類は分からない。こちらに攻めて来られたら敵わないぞ?!
だが杞憂していたような事態は起きなかった。赤龍らしき龍は飛来して来た場所に戻って行き、もう一方は良く分からんが消えた。

ほっとしたギルーラがスリムライザップ辺境伯軍を攻撃出来るようにティマーにグリフォンの高度を下げさせて地上を見ていると物凄い勢いで何かが頭上に飛び上がって来た。影がギルーラとティマーの乗るグリフォンに落ちた。それがどうやって飛び上がったのか分からないが二人組の冒険者と分かった時にはグリフォンの翼を斬られて居た。

激しい衝撃にギルーラは落下したことに気付いた。頭から生暖かい体液が流れ出て来ているのを感じるが、何とか身体は動くようだ。周りを見回すとグリフォンがおかしな方向に首を曲げて地面に倒れていた。グリフォンのティマーの姿が見えなかったがそれどころじゃない。周りにはスリム•ライザップ辺境伯軍の騎士達がアロシア帝国秘蔵の魔獣騎士団と戦っている。デザートエクリプスに乗った騎士と数名のスリム•ライザップ辺境伯軍の騎士と冒険者や傭兵達の姿がある。
慌てて四つん這いになりながら何か大きな遮蔽物の影に隠れた。俺がギルーラ•エッテンベルクだと知れたら不味い。良くて捕縛、悪けりゃ死体に変身だ。

周りの喧騒に隠れるように息を潜めて遮蔽物にもぐり込もうとするとその遮蔽物は怪我をして横たわっているデザートエクリプスだと分かった。あちらこちらを斬られて体液が流れ出て、虫の息のようだった。
ギルーラはこのデザートエクリプスが使えるかも知れないと懐を探った。するとポーションがあった。幸いにして落下の衝撃に耐えたようで割れていなかった。蓋を開けて数滴口にするとあちこちの打撲の痛みが引いてきた。残りを目の前のデザートエクリプスに与える。弱々しく目を瞑っていたデザートエクリプスの目が開いてギルーラを見た。ギルーラはティマーでは無いが何とかこちらの意志を伝えようと優しく目の下を撫でる。ここがデザートエクリプスの撫でポイントと知っていた。

「立ち上がって、俺を乗せて逃げてくれ」
小声でデザートエクリプスに言い、その首の上の鞍に跨るとギルーラの言うことが分かったのか飛び起きるように立ち上がり、駆け出した。ギルーラは落ちないように懸命に手綱を握って目を瞑った。後は運だけだ。

風切り音が激しく聞こえ、心臓が痛いほど鳴る。音がしない事に気づき目を開けて周りを見るとギルーラを乗せたデザートエクリプスは戦場からかなり離れていた。
ギルーラは命拾いをしたことに気付いた。すると徐々に怒りが湧いてきた。
取り敢えず逃げるしか無い。


「糞糞糞糞っーーー!なんで俺様がこんな目に遭う!」

ギルーラエッテンベルクは叫びながらデザートエクリプスを駆った。よろけながらも強い走りでギルーラの指示に従う。


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