星に願いを

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第三夜

幼少期に比べれば稀ではあるが、青年期以降もイマジナリーフレンドが存在し続けたり、新たに生まれる場合もあると言われている。

***

7月3日(日)晴れ

「え!お化け!?」
 思わず大きな声で聞き返せば、兄は神妙な顔で頷いた。
「だって、お前にそんな知り合いいねぇもん。しかも面会時間過ぎてんのに突然現れるんだろ?それしかなくね?」
「うーん……。でも、お医者さんが頭打ったせいで一部記憶が飛んでるっていうし」
「はぁー?俺より医者の言葉信じるのかよ。お前は正常だって何回も言ったろ?」
「そうだけど……」
 僕が言い淀むと、兄は何か閃いたかのように顔をあげた。
「じゃあ、あれじゃね?大学の講義で習ったじゃん。ほらー……」



「イマジナリーフレンド?」


 そう聞き返した男は、少し驚いたように目を丸くする。

 夕暮れに包まれた二人きりの病室に、沈黙が訪れた。

 虚を突かれたかのように固まる彼に、僕は慌てて言い訳を捲し立てる。
「だって、僕の記憶に君はいないし……。あ、っと、そうじゃなくて!君みたいな素敵な人だったら、ちゃんと覚えてる筈だからっ。そ、そのー……」
 しどろもどろな苦しい言い訳を並べれば、彼は空を見上げて言った。
「そうだよ」
「えっ!」
 今度は、僕が驚く番だった。

「その通りだ。俺は、君のイマジナリーフレンドだよ」

 物静かな横顔は、此方を振り返ることはなかった。柔らかく言葉を紡ぐその声は、星空に瞬くように消えてゆく。


「だから、もう少し。もう少しだけ、お前の傍にいてもいいか?」


 その言葉に、僕は頷くことしか出来なかった。
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