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【6話】気持ちの変化
あたたかな祝福2
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「……入れば?」
何故か部屋の入り口で固まっている優生に、そう声をかけた。こわごわとした仕草で、優生は床の上に座る。
「優生は俺の部屋、来たことなかったっけ?」
「中学以来かな」
「あー……そっか。高校から外で遊ぶこと多くなったもんなぁ」
神崎一家の視線がなくなり、優生は少しほっとしている様子だった。基城は「お疲れ」と言って、何度か肩を揉んでやる。
「姉ちゃん強烈だっただろ?」
「うん、まあ……同じアルファだけど、プレッシャーがすごかった。お義姉さんを敵に回したら生きていけない」
基城と同じ感想を言う優生の顔は、少し疲れているようだった。基城は客用の敷き布団をベッドの横に敷き、優生に休むよう言った。
「まだ九時なのにもう眠い」
「だね」
話題に上がるのは中高の話だった。ついこの前流行ったものが五年前や八年前なのが信じられない。基城はベッドの上で横になり、視線が少し下の優生に話しかける。
「基城」
落ち着いた声で名前を呼ばれ、基城は口を閉ざした。薄いタオルケットの下に侵入してくる手。薄闇の中で基城の手を見つけると、指の隙間を埋めるように繋いだ。
「あったかい」
「……寒いのか?」
「そうじゃなくて。人肌がいいなって言いたかった」
「ふぅん?」
同じベッドで寝ていたのに、優生はまるで初めて手を繋いだみたいに感慨深く呟く。
基城は優生の手をぎゅっと繋ぎ直した。
「別に優生の手、冷えてないけどな」
「うん……まあ、そうなんだけど」
言いたいことがあるならはっきり言えよな。そう言えたかどうか分からない。久しぶりの実家に安心して、すぐに眠気がやってくる。
「ちび達、可愛かったな」
「うん。琴音ちゃん、小さいのにしっかりしてるよね」
「俺達もあんなふうに赤ちゃん産まれて、大きくなったら喧嘩とかすんのかなー」
「え……う、うん。いつか」
先祖返りして姉達みたいな子供が産まれたら、それはそれで大変そうだ。でも、優生相手だと大人しくなるので、優生に頑張ってもらうしかない。
「優生が赤ちゃんの面倒見て、掃除して洗濯してご飯つくる」
「それだと身体がいくつあっても足りない」
「俺が姉ちゃんの下で働くから、優生は家にいればいいじゃん」
「基城が出産するのに、俺が働かないのは非現実的かも」
「そうかぁ? ま、そのときになったら考えればいいか」
繋いだ手を握り返される。人肌がいいと言う優生の言葉を噛み締めながら、眠りに落ちていった。
……────。
夏が終わる頃に、エアコンの修理業者を騙る人達が来て、基城はついセールスか何かだと勘違いして追い返しそうになった。「数ヶ月前に予約を入れてもらった……」と説明されて、ようやく思い出すくらいには、自室の壊れたエアコンのことなど忘れていた。
あれほど何度もリモコンを操作してもつかなかったエアコンは、ものの数十分で動くようになった。せっかく直してもらったが、今は過ごしやすい秋口なので、出番は少ないだろう。
「排水口に溜まった埃が原因なんてな。はあぁ……バカみてぇ」
「まあでも、俺達にはどうしようもできなかったし」
無事に直ったものの、使う機会はもう少し寒くなってからだ。
「基城、もう食べないの?」
「んー……もう今日は寝とく」
後期は講義のコマを詰め込み過ぎて、身体がついていかない。自分の食べた後の食器だけを片付けて、基城は処方された抑制剤を飲んだ。抑制剤は何種類かあり、オメガはそれぞれ自身の体質に合う薬を試してみて、生涯それを服用する。
けれど、発情期は生理的な現象なので、全ての症状を抑えられるわけではない。基城の場合は、転化したばかりでフェロモンはまだ薄く、薬でアルファが検知できないほどに抑えられている。
厄介なのが、発情期に訪れる性的欲求だ。
──あー……やば。今回のは、ちょっとキツイかも……。
自室の扉が完全に閉まっていることを確認し、基城は履いているものを脱ぎ捨てた。
「ん……んん……っ」
下着は後孔から溢れる、とろりとした蜜ですでに濡れていた。
隣の部屋には優生がいるが、理性は働いてくれない。一度刺激してすっきりさせようと、基城は自身へと手を伸ばした。
前も後ろも濡れていて、不快さに眉毛を寄せる。
「あ、あっ……ん」
早く達しようと手を早めれば、声が漏れてしまう。優生の手だったらすぐに気持ちよくなれたのに、絶頂までは程遠い。
「……っ」
思いきって蜜を垂らす後孔へと指を添える。身体がオメガへと変化してから、そこは性器と同じように感じる場所へと変わった。
熱で潤んだ入り口は、第一関節くらいまでなら、二本の指を簡単に飲み込んだ。
縁を撫でるだけで甘苦しい電流が、身体中を駆け巡る。擦るように指を動かすと、「きもちいい……」と独りでに声が漏れ出ていた。
「基城……? ……え、あ、えっと」
「……ゆうせ……!? ば、バカ……!」
「ノックはしたんだけど……」
優生はしどろもどろに言い訳をする。そんなの、こっちに聞こえなかったら言い訳にもならない。涙の膜が張った瞳で、優生を強く睨んだ。
何故か部屋の入り口で固まっている優生に、そう声をかけた。こわごわとした仕草で、優生は床の上に座る。
「優生は俺の部屋、来たことなかったっけ?」
「中学以来かな」
「あー……そっか。高校から外で遊ぶこと多くなったもんなぁ」
神崎一家の視線がなくなり、優生は少しほっとしている様子だった。基城は「お疲れ」と言って、何度か肩を揉んでやる。
「姉ちゃん強烈だっただろ?」
「うん、まあ……同じアルファだけど、プレッシャーがすごかった。お義姉さんを敵に回したら生きていけない」
基城と同じ感想を言う優生の顔は、少し疲れているようだった。基城は客用の敷き布団をベッドの横に敷き、優生に休むよう言った。
「まだ九時なのにもう眠い」
「だね」
話題に上がるのは中高の話だった。ついこの前流行ったものが五年前や八年前なのが信じられない。基城はベッドの上で横になり、視線が少し下の優生に話しかける。
「基城」
落ち着いた声で名前を呼ばれ、基城は口を閉ざした。薄いタオルケットの下に侵入してくる手。薄闇の中で基城の手を見つけると、指の隙間を埋めるように繋いだ。
「あったかい」
「……寒いのか?」
「そうじゃなくて。人肌がいいなって言いたかった」
「ふぅん?」
同じベッドで寝ていたのに、優生はまるで初めて手を繋いだみたいに感慨深く呟く。
基城は優生の手をぎゅっと繋ぎ直した。
「別に優生の手、冷えてないけどな」
「うん……まあ、そうなんだけど」
言いたいことがあるならはっきり言えよな。そう言えたかどうか分からない。久しぶりの実家に安心して、すぐに眠気がやってくる。
「ちび達、可愛かったな」
「うん。琴音ちゃん、小さいのにしっかりしてるよね」
「俺達もあんなふうに赤ちゃん産まれて、大きくなったら喧嘩とかすんのかなー」
「え……う、うん。いつか」
先祖返りして姉達みたいな子供が産まれたら、それはそれで大変そうだ。でも、優生相手だと大人しくなるので、優生に頑張ってもらうしかない。
「優生が赤ちゃんの面倒見て、掃除して洗濯してご飯つくる」
「それだと身体がいくつあっても足りない」
「俺が姉ちゃんの下で働くから、優生は家にいればいいじゃん」
「基城が出産するのに、俺が働かないのは非現実的かも」
「そうかぁ? ま、そのときになったら考えればいいか」
繋いだ手を握り返される。人肌がいいと言う優生の言葉を噛み締めながら、眠りに落ちていった。
……────。
夏が終わる頃に、エアコンの修理業者を騙る人達が来て、基城はついセールスか何かだと勘違いして追い返しそうになった。「数ヶ月前に予約を入れてもらった……」と説明されて、ようやく思い出すくらいには、自室の壊れたエアコンのことなど忘れていた。
あれほど何度もリモコンを操作してもつかなかったエアコンは、ものの数十分で動くようになった。せっかく直してもらったが、今は過ごしやすい秋口なので、出番は少ないだろう。
「排水口に溜まった埃が原因なんてな。はあぁ……バカみてぇ」
「まあでも、俺達にはどうしようもできなかったし」
無事に直ったものの、使う機会はもう少し寒くなってからだ。
「基城、もう食べないの?」
「んー……もう今日は寝とく」
後期は講義のコマを詰め込み過ぎて、身体がついていかない。自分の食べた後の食器だけを片付けて、基城は処方された抑制剤を飲んだ。抑制剤は何種類かあり、オメガはそれぞれ自身の体質に合う薬を試してみて、生涯それを服用する。
けれど、発情期は生理的な現象なので、全ての症状を抑えられるわけではない。基城の場合は、転化したばかりでフェロモンはまだ薄く、薬でアルファが検知できないほどに抑えられている。
厄介なのが、発情期に訪れる性的欲求だ。
──あー……やば。今回のは、ちょっとキツイかも……。
自室の扉が完全に閉まっていることを確認し、基城は履いているものを脱ぎ捨てた。
「ん……んん……っ」
下着は後孔から溢れる、とろりとした蜜ですでに濡れていた。
隣の部屋には優生がいるが、理性は働いてくれない。一度刺激してすっきりさせようと、基城は自身へと手を伸ばした。
前も後ろも濡れていて、不快さに眉毛を寄せる。
「あ、あっ……ん」
早く達しようと手を早めれば、声が漏れてしまう。優生の手だったらすぐに気持ちよくなれたのに、絶頂までは程遠い。
「……っ」
思いきって蜜を垂らす後孔へと指を添える。身体がオメガへと変化してから、そこは性器と同じように感じる場所へと変わった。
熱で潤んだ入り口は、第一関節くらいまでなら、二本の指を簡単に飲み込んだ。
縁を撫でるだけで甘苦しい電流が、身体中を駆け巡る。擦るように指を動かすと、「きもちいい……」と独りでに声が漏れ出ていた。
「基城……? ……え、あ、えっと」
「……ゆうせ……!? ば、バカ……!」
「ノックはしたんだけど……」
優生はしどろもどろに言い訳をする。そんなの、こっちに聞こえなかったら言い訳にもならない。涙の膜が張った瞳で、優生を強く睨んだ。
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