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1章
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「目隠ししたの?
眩しいのはマシになる?」
「俺たちだけでなく、周りも光って見えてるらしい。
ずっと強い光を見ていると目を傷めるかもしれないし、応急処置だ」
「ちょっと不便だろうけど、原因が分かるまでは我慢だね。見えなくても俺たちが居るから大丈夫だし」
ギィとは反対の隣に座りながらルークは言った。
目隠し状態で目を開けると、ギィやルークの強い光は薄らわかるくらいに遮られていて、木や草の光は感じない。粒々も見えない。
物を見ることはできないけれど、頭痛に悩まされることはなくなりそう。自分で目を瞑り続けているよりはマシになった。
「カイト、手を出して。
昼に干し果物が気に入ってたみたいだから、森に成ってるのを採ってきたよ。食べてみて」
差し出した手のひらに丸いものが乗せられる。
恐る恐る口に持っていき齧ると、甘酸っぱい果汁が口に広がった。
「うまっ。
これ美味しい!ありがとう!」
飲み込むと熱い。水と同じだ。
果物が熱いのは不思議だが、甘みは美味しくて夢中で食べた。
「村に向かっていたが、行き先を変更しようかと思う」
果物を食べ終わって、続いて手渡された燻製らしき物を昼と同じようにしがんでいると、ギィが話し出した。
「カイトの目については、俺たちでも思い当たるものがないのに、この先の村ではわかる者がいるとは思えない。
都でなら何かわかるかもしれないが、ここから向かうには距離がありすぎて、カイトの体力が保つかが心配だ。」
冒険者は各地を渡り歩くから、いろんな話を耳にするんだそうだ。なのに、それなりに長く冒険者をしてる2人でも、光って見える人については聞いたことがないらしい。
反対に村の人はほとんどが村から離れることはないそうだ。特に今向かっている村は田舎にあたるらしく、穏やかでいい村らしいが、情報が集まっている場所とは言い難いとのこと。
「確かに。
ケガではなさそうだし病気の感じもしないけど、体に負担はかかってるから早く解明はしたいな。
あそこにいた状況も気になるしね」
「暮らしていくにもまず目をどうにかしなければな」
話し合う2人をよそに、俺は燻製を噛み噛みし続ける。
この場所のことが何もわからない俺には、意見なんてないしな。村で仕事を探すのも難しいみたいだし…。
考えると落ち込んでしまいそうなので、今は食事に集中だ。
噛めば噛むほど旨味が出てくるコレが何の肉なのかちょっと気になるけど、知らない方がいいかもしれないから、とりあえず考えないようにする。
美味いし!
「で、行き先を魔王領に変更したい。」
ん?まおうりょうって何だ?
「あー…確かにあそこなら知ってそうだけど、行けるか?」
「ある程度の情報を先に伝えれば、興味は引けると思うんだが。
あそこ以上に情報があるところはないだろうから、直接会えずとも調べる許可さえでれば…」
「あの…まおうりょうって何?」
「ん?カイトは知らないか?
魔王が治めている地を魔王領と呼ぶんだ」
「…まおう…って、魔王!?」
この世界、魔王居るの!?
魔王の国とか、近づいて大丈夫なのかよ!?
俺、戦ったりとかできないぞ!
「えっ、でも危なくないの?
魔王でしょ?
強いよね?」
「ん?
そりゃ魔王は強いけど、戦う必要はないと思うよ?
カイトの国の魔王は戦わないといけないのかい?」
日本に魔王はいないし、外国にもいないと思うけど、魔王のイメージっていうのはある。
俺の持つ魔王のイメージは、配下の魔物がいっぱいいて、人間を支配しようと攻撃してくる悪者だ。
そのイメージを、しどろもどろ伝えると2人はかなり驚いたみたいだった。
「ここの魔王はそういう感じとは違うなぁ。
たしかにすごい力を持っているけど、興味がないことには見向きもしないし、基本的には自分の領地から出てくることもないね」
魔王領はこの森を抜けたところだけど、行こうしていた村とは少し方向が違うらしい。
そして、ちゃんと魔王領として実在しているのに、魔王が許可した人しか辿り着けないんだとか…。
そういう意味での「行けるか」発言だった。
魔王、引きこもってた!
ギィとルークは、昔調査の仕事を受けたときに魔王と会ったことがあるらしく、話くらいは聞いてもらえるんじゃないかってことだった。
何でもないような感じで説明されたけど、知り合いに魔王がいるって凄いことじゃないんだろうか…。
眩しいのはマシになる?」
「俺たちだけでなく、周りも光って見えてるらしい。
ずっと強い光を見ていると目を傷めるかもしれないし、応急処置だ」
「ちょっと不便だろうけど、原因が分かるまでは我慢だね。見えなくても俺たちが居るから大丈夫だし」
ギィとは反対の隣に座りながらルークは言った。
目隠し状態で目を開けると、ギィやルークの強い光は薄らわかるくらいに遮られていて、木や草の光は感じない。粒々も見えない。
物を見ることはできないけれど、頭痛に悩まされることはなくなりそう。自分で目を瞑り続けているよりはマシになった。
「カイト、手を出して。
昼に干し果物が気に入ってたみたいだから、森に成ってるのを採ってきたよ。食べてみて」
差し出した手のひらに丸いものが乗せられる。
恐る恐る口に持っていき齧ると、甘酸っぱい果汁が口に広がった。
「うまっ。
これ美味しい!ありがとう!」
飲み込むと熱い。水と同じだ。
果物が熱いのは不思議だが、甘みは美味しくて夢中で食べた。
「村に向かっていたが、行き先を変更しようかと思う」
果物を食べ終わって、続いて手渡された燻製らしき物を昼と同じようにしがんでいると、ギィが話し出した。
「カイトの目については、俺たちでも思い当たるものがないのに、この先の村ではわかる者がいるとは思えない。
都でなら何かわかるかもしれないが、ここから向かうには距離がありすぎて、カイトの体力が保つかが心配だ。」
冒険者は各地を渡り歩くから、いろんな話を耳にするんだそうだ。なのに、それなりに長く冒険者をしてる2人でも、光って見える人については聞いたことがないらしい。
反対に村の人はほとんどが村から離れることはないそうだ。特に今向かっている村は田舎にあたるらしく、穏やかでいい村らしいが、情報が集まっている場所とは言い難いとのこと。
「確かに。
ケガではなさそうだし病気の感じもしないけど、体に負担はかかってるから早く解明はしたいな。
あそこにいた状況も気になるしね」
「暮らしていくにもまず目をどうにかしなければな」
話し合う2人をよそに、俺は燻製を噛み噛みし続ける。
この場所のことが何もわからない俺には、意見なんてないしな。村で仕事を探すのも難しいみたいだし…。
考えると落ち込んでしまいそうなので、今は食事に集中だ。
噛めば噛むほど旨味が出てくるコレが何の肉なのかちょっと気になるけど、知らない方がいいかもしれないから、とりあえず考えないようにする。
美味いし!
「で、行き先を魔王領に変更したい。」
ん?まおうりょうって何だ?
「あー…確かにあそこなら知ってそうだけど、行けるか?」
「ある程度の情報を先に伝えれば、興味は引けると思うんだが。
あそこ以上に情報があるところはないだろうから、直接会えずとも調べる許可さえでれば…」
「あの…まおうりょうって何?」
「ん?カイトは知らないか?
魔王が治めている地を魔王領と呼ぶんだ」
「…まおう…って、魔王!?」
この世界、魔王居るの!?
魔王の国とか、近づいて大丈夫なのかよ!?
俺、戦ったりとかできないぞ!
「えっ、でも危なくないの?
魔王でしょ?
強いよね?」
「ん?
そりゃ魔王は強いけど、戦う必要はないと思うよ?
カイトの国の魔王は戦わないといけないのかい?」
日本に魔王はいないし、外国にもいないと思うけど、魔王のイメージっていうのはある。
俺の持つ魔王のイメージは、配下の魔物がいっぱいいて、人間を支配しようと攻撃してくる悪者だ。
そのイメージを、しどろもどろ伝えると2人はかなり驚いたみたいだった。
「ここの魔王はそういう感じとは違うなぁ。
たしかにすごい力を持っているけど、興味がないことには見向きもしないし、基本的には自分の領地から出てくることもないね」
魔王領はこの森を抜けたところだけど、行こうしていた村とは少し方向が違うらしい。
そして、ちゃんと魔王領として実在しているのに、魔王が許可した人しか辿り着けないんだとか…。
そういう意味での「行けるか」発言だった。
魔王、引きこもってた!
ギィとルークは、昔調査の仕事を受けたときに魔王と会ったことがあるらしく、話くらいは聞いてもらえるんじゃないかってことだった。
何でもないような感じで説明されたけど、知り合いに魔王がいるって凄いことじゃないんだろうか…。
応援ありがとうございます!
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