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1章

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セイとのお勉強は俺が教わるばっかりじゃなくて色々試したりすることもあった。
その一つが言葉と文字だ。

発端はギィがくれた手紙だった。
ギィとルークが出発して3日目に手紙が来た。
手紙は鳥が運んでくる。伝書鳩みたいな感じなんだけどもっと大きい鳥で小さい小包くらいなら運んで来れる。
ギィがくれたのは森で採れた果実だった。
目的地のエリカに着く前に途中の町のギルドから送ってくれたみたいで、行きにルークがくれて美味しかった果実を採って送ってくれた。
文字を読むのは初めてだったし見たことない文字だったけど読みたいと思って睨んでたら書いてあることが頭に浮かんでくるみたいにわかった。

森でしか採れない果実で気に入ってたみたいだから送る。って。
あと2日でエリカに着いて3日ほどエリカで滞在して用事を片付けたら魔王領に戻るって書いてあった。
順調にいったら10日後にギィに会える!

嬉しくてニヤニヤしてる俺を見てセイが返事を書いてみては?と言ってきた。
えっ。書けるのかな?こっちの文字知らないけど…。

レターセットを取りに行ったセイは魔王と一緒に戻ってきた。

「ギィから手紙来たんだって?意外にマメね」
「前に美味しかった果物くれた!チヤちゃんも食べる?」
「カイトがもらったんだからまずカイトが食べなさい。
文字は読めたのよね?」
「読みたいと思って見てたら意味がわかった感じ」
「それって他の文字もそうなのかしら?ギィが執念で読ませたっていうのも否定できないんだけど…」
「俺が書いたのもギィは見てたら意味がわかるのかな?」

日本語しか書けないから、渡された紙に日本語で書くつもりで考えたことを書こうとしたら手は全く違う動きをしてギィがくれた手紙と同じ様な文字を書いた。

「うわっ」

手が勝手に動く。これは気持ち悪い!

「何それ面白い!
ちょっと色々試してみましょ!」
「まずカイトは返事を書いてしまってください。鳥も待たせてますしね」
実験はその後ゆっくりやりましょう。ってセイもいい笑顔。

俺は果物のお礼と毎日楽しくやってることと会えるのは楽しみだけど気をつけてって書いてセイに確認してもらった。
手紙を読まれるのは恥ずかしいけど、ちゃんと書けてるかわからないから仕方ない。

「カイト、最後の<魔王領>っていうのは何ですか?」

ん?住所と名前って思って書いた「魔王領 百瀬櫂斗」かな?

「住所っていうかどこから出したかわかるように書いたんだけど…」
「カイトはここを魔王領と呼んでいるんですか?」
「えっ?そう教えてもらっていつもそう言ってたけど」
「…そうは聞こえてませんでしたね」

???どういうことだ?

「そもそもカイトはどんな言葉で話してるの?」
「えっ…日本語…」
「我々にはこちらの共通語で聞こえてますね」
「んー面白いねー。どういう事かな?」

で、魔王とセイ2人がかりで検証になった。
色々試してわかったのは俺はこっちの世界の何語でも日本語に聞こえて、話す事もできる。話すときは、俺は日本語で話してるつもりだけど相手には自分と同じ言葉で話してるように聞こえる。
これってすごいよな?自動翻訳付いてるってことだよ!?問題は相手と同じ言葉で返事するってことで通訳的な事は出来ないんだよな…。

「通訳をしようとするなら最初の言語を聞いてから翻訳したい言語を一度聞かないと出来ないということですかね」
「練習次第で出来そうだけどねー」

英語を日本語に翻訳するのに、英語聞いてその後日本語聞かないと日本語出て来ないってことか?
ややこしいな。

さらに俺の知らない事柄は俺の知識の中の近い内容に翻訳されてるらしい。その近い内容を探すときに該当の事柄を教えてくれた相手の持ってるイメージから探すみたいだ。
つまり、魔王領呼びはギィとルークがチヤちゃんに対して持ってるイメージが俺の中の魔王のイメージに近かったってことだ。

…。

「これは、ギィとルークはお仕置きかしらね?」

こんなかわいい女の子つかまえてどんなイメージ持ってんのかしらね。って魔王の笑顔が怖い。目が笑ってない気がします…ギィ、ルーク、ごめん。骨は拾うからな…。

「カイトの元の知識量にかなり影響されることになりますね。サトの時にはそれ程の齟齬を感じなかったのは知識量の差でしょうか」

サトさんは26才だったそうだから高校生の俺の知識量とはすごく差がありそう。

ちなみに知らない事柄でも実物を見て教わるとちゃんとこっちの名前で覚えられる。

「カイトの知識量が増えていくにつれて齟齬はなくなっていくでしょうね。文字も同じ様に何語でも読めるのですから使いこなせば十分役に立ちます。欲しがる者の多い能力ですよ」

これは俺でも出来る仕事がありそうってことかな!
俺に冒険者は難しそうだと思ってたからどこか雇ってくれるとこが見つかるといいなー。
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