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2章

44 side ギィ

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「カイト、話しがあるんだが、聞いてくれるか?」

カイトが座り込んでいる床に俺も座り込む。立てた膝の間にカイトを挟んでソファに肘をついて。カイトを囲うように横に並ぶ。

「ん?なに?」

カイトの左手を右手でそっと持ち上げた。

「コレについてギルド長から何か言われたか?」
「えーと、副長に中の魔力はギィのですか?って聞かれて、お守りに貰いました。って答えた」
「そうか。
コレはな、お守りはお守りなんだがカイトが思っているようなのとはちょっと違うんだ。もちろんカイトを大切に想う俺の気持ちが込められていることに違いはない。
コレは、カイトに悪い虫がつかないようにする為のお守りなんだ」
「…悪い虫…」

この様子だとわかってないな…。

「カイト、俺はカイトが好きだ。かわいいし、大事にしたい。
カイトも俺を嫌いではないだろう?」
「うん」
「でもそれはルークも同じだろう?」
「んー。ルークももちろん好きだけどギィを好きなのは時々ちょっと違う気がする」

!!これは、脈ありか!?
いや待て、ルークに惹かれ始めてるって事もある。
落ち着け、俺。

「カイト、俺の好きは恋人の好きだ。わかるか?」
「えっ。俺、男だよ!?」
「ん?そうだな?」
「えぇ?ギィも男だよね?あれ?こっちは男も子ども産めるの?」
「んん?子どもが産めるかどうかが問題になるのか?」
「えーと、恋人の好きは結婚する好きだよね?俺のいたとこでは男同士は結婚出来なかったんだけど…」
「それは…子どもが出来ないから結婚できないってことか?」
「えっ。…どうなんだろう…」
「カイトのところでは男女で結婚して必ず子どもを持つということか?」
「いや、結婚してても子どもいない人もいた」
「子どもがいなくてもいいなら、なぜ同性同士はダメなんだ?」
「…わかんない。法律でダメってなってた」
「気持ちを法で縛るのか。
ここでは同性同士でも異性とでも、本人達の気持ち次第だ。カイトは男が恋人なのは嫌か?」

俯いて考え込むカイトのつむじを見つめる。
カイトは男が恋愛対象にはならないって事か?それとも考えた事がなかっただけか?
迷うようなら押しきるまでだがな。

「カイトのとこではどうやって恋人同士になって、どんな風に過ごすんだ?」
「え?んーと、好きですって告白して相手も好きなら恋人になる。あとはデート…ぁー、2人だけで出かけて恋人繋ぎで手を繋いで」
「恋人繋ぎ?どうやるんだ?」
「えっ?えーっと、こう指の間に指を入れる感じで手を繋ぐ…」
「こうか?」

カイトの左手と肩の後ろから回した俺の左手を恋人繋ぎで繋ぐ。
お。カイトの耳が赤くなってきた。

「歩くときは右手と左手だけど…まぁ、こんな感じ。で、後は…」
「後は?」
「…えと…キ、キスしたり…」

俯いたうなじが真っ赤だ。
あー、かわいい。齧りたい。

「カイトはキスはしたことあるのか?」
「えっ!そんなのないよ!?」

慌てたように顔を撥ね上げて、俺が至近距離から見ていたのに気づいて引こうとするが、させるか!
右手でカイトの顎先を優しく掴む。

「試してみないか?カイトが男とでもキスが出来るか」

そっと囁く。無理強いはしたくない。でも迷っているならチャンスととって攻めるのみ。悪いなカイト。

「ギィ…」
「大丈夫だ。試してみないとわからないだろ?
ほら、目をつぶって」

視線を彷徨わせて迷う素振りを見せるカイトを、顎先を掴んだままじっと待っているとゆっくりと瞼が下りていった。

カイト。好きだ。俺のものになれ。

想いを込めてそっと触れるだけのキスを送る。
少し啄む様にしてゆっくり離れると、真っ赤になったカイトが震える瞼を上げて俺を見る。

きつく抱き寄せてもう一度キスしたいのを渾身の自制心で留まる。
ここで焦ると獲物は逃げてしまう。

「カイト、俺の好きはこういう好きだ。
カイトが好きだ。大事にしたい。護りたい。
キスももっと親密な事もしたい好きなんだ」
「ギィ…。俺、まだわからない。
なんで男同士はダメって言われてたのかもわからないし、男同士がいいのかもわからない。
わからないのにキスするのはよくない気がする…。ギィに悪くない?」

あぁー!こんな時でもカイトはカイトだ!
その考えすぎることがあるところも、相手の気持ちを慮りすぎるところも愛おしくてたまらない。

「俺はカイトにもっとキスがしたい。
カイトが俺を恋人として好きになってくれるように口説きたい。
俺がいいのだから、カイトはわからないことを悪いと思わなくていいんだ」
「いいの?」
「あぁ。カイトは俺に嫌なところがないか試すといい。俺にカイトを口説かせてくれ。
ほら、もう一度キスだ。カイト、好きだ」

先程より少し肩を引き寄せて右手はカイトのうなじに添える。顔を寄せるとカイトは素直に目を閉じた。
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