異世界強制お引越し 魔力なしでも冒険者

緑ノ深更

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2章

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服屋で買った色々はギィが持ってくれてる。
今日はマントはなしだから、昨日より周りがよく見えてすごくワクワクしてる。

「カイト」

通りすがりの広場の露店を興味津々でのぞいていたら、ギィに呼ばれて仰ぎ見る。

「色んな物があっておもしろ「デートだな」…っ!!」

恋人繋ぎはまだダメか?って、止めろ!不意打ちされたらかわせなくて赤くなるだろ!
好きな相手と出かけると買い物がこんなに楽しいなんて知らなかった。じゃない!
恥ずかしくてうまく返せず俯いてしまう。

俺、今、絶対赤くなってる…。

「カイトは欲しい物はないのか?」
「…小さい袋が欲しい」

あんな風に俺を恥ずかしがらせておきながらなんでもないみたいに会話を続けるギィが、慣れてる感じがしてちょっとモヤっとする。
なんでモヤっとするのかは…考えない。今は。

「袋?何に使うんだ?」
「鞄の中がさ、ぐちゃぐちゃになるから中の物を分けておきたいんだ」

道具の鞄は見た目以上に沢山入るとはいっても無制限に入るわけではないし、入れた物もちゃんと整理しておかないと必要な時に必要な物が見つからないことになる。荷物を無駄なく見やすく詰める技術は冒険者の嗜みとして必須で、もちろんギィもルークも上手だけど俺はまだ習得できてない。従って俺の鞄はカオスになりつつある。カチカチの果物とかが隅っこから出てくることがないように整理がしたい。と考えて思いついたのが、鞄の中で種類毎に小分けする。だった。

「お財布で巾着袋みたいなの使ってるでしょ?あれのもっと大きいサイズないかなぁ。材質は薄めの布がいいんだけど」
「ふむ。思い当たる物はないな…。ひとまず財布を扱っているような雑貨屋をのぞいてみるか」
「なんかごめん。曖昧なこと言って」
「いや、カイトと街を歩くのが楽しいからな。同じ物を一緒に探すっていうのもいいしな」

そのうち恋人繋ぎも許してくれるといいんだがな。って、もう…。勘弁して…。

結局いい感じの巾着袋は見つからなかったけど、初めて自分で買い物もしてみた。瓶に入った小さめの飴。最初はもうちょっと大きい粒のを買おうとしてたんだけど、ギィに飲み込めるサイズの方がいいって言われて小さい方にした。いつ走ることになるかわからないし、何があるかわからないから喉に詰まらす事がないサイズがいいって。そういう見方で物を選ぶんだな。って感心すると同時にまだまだ考え方が甘い自分を反省。ギィはいつでも冒険者であることが基準になってる。そんなだからこそAランクまでなれたんだろう。俺も冒険者になるんだから見習わらないとな!


ギルドにはもうルークが来てた。
中は昨日より人が多い。入った瞬間視線が集まった気がしたけどすぐにみんな興味をなくしたみたいだ。見慣れないのが入って来たから見たのかな。

「ルーク、待たせてごめん」
「大丈夫だよ。買い物はできたか?」
「うん!色々見て楽しかった!飴も買った!」
「飴かー。ははっ。いいな。美味しいしかわいいな。
ギルド証受け取りに行くか?登録カウンターの受付に行っておいで」

飴ってかわいい…か?ルークは時々女子力高めなことを言うんだよな。


side ルーク

「おぃ。カイトに何した」

素直に登録カウンターに向かうカイトを見守りながらギィを問い詰める。
カイトを一目見てギィと何かあったのがわかった。昨日までと空気感が違う。
入って来た時にギィがカイトの後ろで威嚇して集まった視線を蹴散らしてたし、俺も他の奴らを牽制したから今はカイト1人でカウンターに行かせても大丈夫だ。

「想いを伝えただけだ」
「…」
「返事はまだだがな。口説く許しは貰ったぞ」
「まさか手を出したんじゃないだろうな」
「……ちょっと齧っただけ「あ゛、あ゛!?」…カイトに俺を味見してもらっただけだ」
「…カイト"が"味見したんだな」
「あぁ」

俺を試してもらった。って、愛おしさ全開のそんな目でカイトを見るなよな。周りがちょっと引いてるぞ。
あー、くそっ。
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