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2章

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「ピヨちゃん!待っててくれたの?」
「グゥッグー」
「ギィはまた依頼に行っちゃって俺1人でつまんないなって思ってたんだよ」
「グッグッ」
「俺のこと放置してる訳じゃないのはわかってるけどさ。なんか、ね。最近冷たいっていうかさ」
「グッ、ギュィ」
「キスも挨拶の時だけだし、一緒に寝てくれないし、他にも…ね。無いし」

アレとかソレとか…さ。宿では隙あらばって感じだったのに、全然だし。いや、俺は別にすごくしたいって程じゃないよ!?でもギィだってイイって言ってたのに。
「気持ちいいな」って目元を染めて照れたみたいに笑うギィの顔が思い浮かんで、胸がキュンってなった。
本当に胸ってキュンってなるんだよな。俺に胸キュンがどういう事なのかわからせておきながら、ギィは今は全くそんな事なかったかのように振る舞う。俺がペットからちょっと進化したから前ほど可愛がらなくなっただけかもだけど。寂しいなんて言ったりしないけど。ギィは"恋人の好き"って言ってたけど、俺が思ってたのとは違ったのかな。

「キュッ、クルッ、グゥ」

頭を撫でながら俯いてしまった俺の顔をピヨちゃんが下から覗いてくる。

「あー、ごめんごめん。考え込んでも仕方ないよな!
ダスさんがくれたご飯一緒に食べよ。お皿取ってくるね」

急いで家から取り皿と自分用のフォークを持って来る。賢いピヨちゃんはポーチのテーブルセットに移動して机の上に座ってた。向かいの席には茶色い実?が置いてある。

「これ俺にくれるの?」
「グゥ、ギュッ」

袋に入ってないから魔王領からの届け物ではなくてピヨちゃんからのプレゼントだな。

エリカに拠点を持つって魔王にお知らせしたら、魔王領から色んな物がどんどん届いた。家電的な道具にセットする魔力鉱石のすごい容量大きいやつ。とか、敷地の境界線のとこにおく防犯用の道具とか。ギィも色々相談してたみたい。それらは全部ピヨちゃんが足首に袋を付けてその中に入れて運んでくれた。
ピヨちゃんは普通の伝書鳥よりだいぶん大きいから荷物も結構な大きさでも運んでくれる。でもね、ハクが送ってくれた辞書ぐらいの厚みがあるレシピ集はちょっと無理があった。
俺、あんなに疲労困憊のピヨちゃん見たの初めてだったし。お礼の手紙にピヨちゃんがかわいそうだから荷物の大きさは控えめに。って書いちゃったよ。

荷物がなくてもピヨちゃんは遊びに来てくれるし、時々途中で拾ったんだろう綺麗な花とか石とかをプレゼントしてくれる。今日のこれも拾ったのかな?

お肉をお皿に分けてピヨちゃんと食べながら、それを観察する。
実って言うか、種だな。アボカドの種に似てる。魔力は、すごく詰まってる。

「これ、植えてもいいのかな…」

ギィは家の中でも庭でも俺の好きにしたらいいって言ってくれてるから植えるのは問題ないと思う。
問題は何の種なのか。だよね。

「でもピヨちゃんがせっかく持って来てくれたんだし、植えてみよっと」

すごく魔力が詰まってるから美味しい実が生るかもしれないし!

庭の隅の日当たりのいい場所を選ぶ。真っ暗になる前にと急いで穴を掘って種を植える。水もあげて。

「楽しみだなー。ピヨちゃん、ありがとうね」


翌朝、ギルドに行く前に昨日種を植えた所を見に行ったら、30センチくらいの細い木(?)が生えてた。

え。こっちの世界って芽とか通り越していきなり木が生えるの!?
一晩で30センチって、さすが魔力満タンの種だな!
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