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★ピタラス諸島第三、ニベルー島編★
382:氷の花
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夜がやってきた。
帰れずの集落は、昼間の騒動など無かったかのような、穏やかな静けさに包まれている。
元の顔へと戻った人間達は、明日の朝にはここを発つ。
既に廃村のような雰囲気の集落だから、すぐに自然に飲み込まれ、跡形も無く消え去って……
最初から何もなかったかのように、ここはかつての森になるだろう。
昨日と同じように、俺たちは魔導式樹上テントで野営をする。
簡単に夕食をとって、明日からの探索に備えて、日が沈むと共に床についた。
「う~ん……、お、重い……、ひっ!?」
俺は、頭部に妙な圧迫感を覚え、目を覚ました。
ゆっくりと瞼を開くと、そこにあるのは真っ白な腕。
一瞬、それが何なのか分からず、ビビってちびりそうになったが……
「あ……、そうか、メラーニアか……、ふぅ~」
視界の端に、スヤスヤと眠る美少年メラーニアの姿を捉えて、俺は安堵の息を漏らした。
ゆっくりと、額に被さっているメラーニアの腕を退ける俺。
人間の子供にしてはか細い腕ではあるが、小さな俺からすれば、充分にデカくて重いのだ。
テントの中では、俺とグレコとカービィと、メラーニアとカナリーとマシコットの六人が雑魚寝している。
ギンロはというと、自分が一番体が大きいから、という理由で、今夜は外で眠ると自己申告した。
しかしながら、ギンロはまだ病み上がりなのだ。
外で寝るなんて……、大丈夫なのかしら?
ちょっぴり心配になった俺は、眠るみんなを起こさないように気をつけながら、モゾモゾと体を動かして、そっとテントの外へ出た。
外はまだ真っ暗で、眠りについてからさほど時間は経っていないようだ。
夜空には無数の星々が光り輝き、まるで音楽を奏でるかのように瞬いている。
その中でも一際輝く、空の真ん中にある大きなお月様が、灯りなど一つもないこの森を明るく照らしていた。
「……ん? どうしたモッモ、眠れぬか??」
「あ……、ギンロも、起きてたの」
ギンロは起きていた。
テントの入り口のすぐ隣で胡座をかき、俺に気付いてこちらを見る。
月明かりに照らされて、その青みがかった銀色の毛並みが、キラキラと輝いていた。
「うむ、少々考え事をな……」
そう言うとギンロは、夜空を仰ぎ見る。
「怪我はもう大丈夫なの?」
ギンロの隣にちょこんと座って、俺は尋ねた。
「大事ない。体の傷など、そのうちに治る。しかし心の傷は……、幾年月が過ぎようとも、決して治る事はない」
むん? 何やら難しい事を仰ってますね??
心の傷って……
「メラーニアのこと?」
「うむ。それに……、グレコもだ」
ほう? グレコ??
「グレコ、どうかしたの? まぁ、確かに今日のグレコはちょっと……、いつにも増して面倒見が良かったけど」
初対面な上に、人間達を馬面に変えた張本人で、更には俺たちに攻撃を仕掛けてきたメラーニアの為に、あんな風に熱くなるなんて……
確かにメラーニアは可哀想な子だよ、産まれてからすぐ実の親に監禁されて、名前すら付けて貰えなくてさ。
それでもあんな風に……、グレコがしたような事を、俺は出来なかったろうな。
「我には、出来なかった。グレコのように、メラーニア殿を守る事など……、我には思いもつかなかったのだ」
「ギンロ……。それは僕も同じだよ。グレコだから出来たんだよ」
グレコは、なんだかんだいって育ちが良いからな。
あの厳格そうなエルフの村で、村を治める巫女様の後継として、きっと小さい頃から英才教育を受けてきたに違いない。
知識や教養だけで無く、物の考え方だって、のんべんだらりと育てられた俺なんかとは全く違うだろうさ。
「グレコが歩んできたこれまでを、我は知らぬ。知らぬが、今日のあの行い……。グレコも、さぞ辛い思いをしてきたのだろう。故に、真に弱き者を守る術を、グレコは心得ておるのだ。果たして我は、グレコのように、弱き者を守る事が出来ようか……」
ん~? ギンロ、なんか難しく考えすぎじゃないかなぁ??
グレコがこれまで、どんな辛い思いをしてきたのか、それは俺にも分からない。
大変だったんだろうな~っていうのは、村の雰囲気を思い出す限りでは、何と無く分かるけど。
「……モッモよ、これを見てくれ」
「ん? な……、にぃっ!? あ、びっくりした……、氷、の花?? ……どうしたのそれ???」
ギンロが差し出したもの、それは、ギンロの大きな掌の上にある、小さな氷の塊だ。
月の光に照らされて、キラキラと煌めくそれは、薔薇のような花の形をしている。
一瞬、何か得体の知れない危険な物だと思ってしまった俺は、ちょっぴりちびってしまった。
「我が作ったのだ」
……はへ? 作った??
「そんなの……、いつ作ったの?」
「今だ」
えっとぉ……、わけがわからん。
「見ていてくれ」
そう言ってギンロは、もう片方の拳をギュッと握りしめてから、そっと開いた。
するとそこには、同じような氷の花が……
「えぇっ!? 何それっ!?? 手品っ!?!?」
驚いた俺は、ギンロの両方の掌にある二つの氷の花を見比べる。
細部こそ少し違えども、ほぼ同じ形の氷の花だ。
「てじな? なんだそれは??」
いやっ!? そこはどうでもいいからっ!!
「どど……、どうやって? えっ!? 今作ったの!??」
「うむ。以前、話した事があろう。我はパントゥー。フェンリルの父と、雪女の母を持つと」
「そ、それは知ってるけど……。えっ!? まさか、氷の魔法が使えるのっ!??」
「魔法などという大それたものではない。しかしながら、幼き頃より、このように掌に意識を集中させると、氷の結晶を作り上げる事が出来るのだ」
マジかっ!? えぇっ!??
それ完全に魔法じゃんっ!?!?
「……え、いいなぁ~」
思わず心の声が漏れてしまう俺。
しかしギンロは、少し悲しげな顔になる。
「フェンリルは……、魔力こそあれ、人化の術を使えるのみ。我のようなパントゥーは、産まれると同時に外界へ捨てられるのが掟である」
「えっ!? そうだったの!?? え、じゃあギンロは……?」
「我は……、メラーニア殿と同じ様に、獣化の術を会得するその日まで、母と共に暗き地下にて過ごした」
うえぇえっ!? そうだったのぉおっ!??
「それは……、大変、だったね……」
それ以外の言葉が見つからない俺。
どれくらいの期間、地下で過ごしたのかは知らないけど、もしかしたら何年も……?
「幸い、我の側には母がいてくれた。母は献身的に我を支えてくれた。故に我は、生まれて数週間で獣化の術を会得できたが……」
数週間かぁ~いっ!?
いや、でも、良かったよっ!!
期間が短くてさっ!!!
「メラーニア殿はたった一人で、あの孤独に身を置いていたのかと思うと……、胸が締め付けられる思いだ。他者と違うというだけで、蔑まれる。それが如何に辛く、悲しい事か。その苦しみを想像出来るというのに我は、メラーニア殿に、言葉一つかける事すら出来なかった……」
ギンロは、心底悔しそうな顔をして、せっかく作った綺麗な氷の花を、自らの手でグシャっと握り潰してしまった。
俺はと言うと……
なんていうか、ギンロがちゃっかり魔法が使えるという事実に、かなり困惑していて……
数週間とはいえ、地下に閉じ込められていたという事も、結構衝撃的で……
掛ける言葉が見つからない。
「いつか我も、今日のグレコのように、他者の痛みを理解し、弱き者の心に寄り添えるようになれるのだろうか? 我は強くなりたい。しかしそれは、力だけではない。弱き者を救える力、優しさというものを、我はこの身に、心に、会得したいのだ。それが出来なければ、一族の王になる事など到底不可能……。否、なれたとしても、それでは父の二の舞だ。我は父を超えねばならぬ。力でも、心でも」
ギンロの言葉……、とてつもなく重苦しい言葉に俺は、ポリポリと耳を掻き、どうしたもんかと首を傾げる。
まさか、今日のグレコの言動で、ギンロがここまで思い悩むなんて……
戦闘好きの脳筋バカだとか思っててごめんよ。
ギンロもギンロで、色々背負って、日々いろんな事を考えてるんだね。
……でも、一つだけ、はっきりと言える事がある。
「年の差のせいじゃない? だって……、グレコはあぁ見えて、もう四十歳だよ??」
「なぬっ!? そうだったのかっ!??」
なぬって……、ギンロ、知らなかったの?
それとも忘れてた??
ギンロは、その大きな目を、これでもかってくらい見開いて、顔面全部で驚きを表現する。
良くも悪くも、いつでも全力なんだよな、ギンロは。
「ほら、よく言うでしょ、年の功ってやつ? やっぱり、それなりに歳食ってりゃさ、学んできた事の数も違うわけじゃない。ギンロは、僕もだけど……、まだ十五だよ?? それを、もう四十過ぎてるグレコと同じ行動が出来ないからって、落ち込む事はないよ」
俺の言葉にギンロは、目をパチパチさせる。
……うん、たぶん、まだグレコが四十歳だという部分で頭が止まっているな、こいつ。
「ま、あれだよ! 僕たちが四十になった頃に、グレコみたいに出来るようになっていたら良いんじゃないっ!?」
軽く笑いながら、俺はそう言った。
難しい事を考えるには、ピグモルサイズの俺の小さな頭じゃ限界がある。
だから、ちょっとずつでいいんだ。
ちょっとずつ、成長していけばいい。
出来ない事も、今はあったっていいんだよ。
俺は一人、自分の言葉に納得して、うんうんと頷いた。
しかしギンロは、まだ難しい顔をして、ブツブツと何かを呟いている。
「グレコが、四十……。そうか、グレコは齢、四十、なのか……?」
……うん、やっぱり、ギンロの頭は脳筋らしい。
帰れずの集落は、昼間の騒動など無かったかのような、穏やかな静けさに包まれている。
元の顔へと戻った人間達は、明日の朝にはここを発つ。
既に廃村のような雰囲気の集落だから、すぐに自然に飲み込まれ、跡形も無く消え去って……
最初から何もなかったかのように、ここはかつての森になるだろう。
昨日と同じように、俺たちは魔導式樹上テントで野営をする。
簡単に夕食をとって、明日からの探索に備えて、日が沈むと共に床についた。
「う~ん……、お、重い……、ひっ!?」
俺は、頭部に妙な圧迫感を覚え、目を覚ました。
ゆっくりと瞼を開くと、そこにあるのは真っ白な腕。
一瞬、それが何なのか分からず、ビビってちびりそうになったが……
「あ……、そうか、メラーニアか……、ふぅ~」
視界の端に、スヤスヤと眠る美少年メラーニアの姿を捉えて、俺は安堵の息を漏らした。
ゆっくりと、額に被さっているメラーニアの腕を退ける俺。
人間の子供にしてはか細い腕ではあるが、小さな俺からすれば、充分にデカくて重いのだ。
テントの中では、俺とグレコとカービィと、メラーニアとカナリーとマシコットの六人が雑魚寝している。
ギンロはというと、自分が一番体が大きいから、という理由で、今夜は外で眠ると自己申告した。
しかしながら、ギンロはまだ病み上がりなのだ。
外で寝るなんて……、大丈夫なのかしら?
ちょっぴり心配になった俺は、眠るみんなを起こさないように気をつけながら、モゾモゾと体を動かして、そっとテントの外へ出た。
外はまだ真っ暗で、眠りについてからさほど時間は経っていないようだ。
夜空には無数の星々が光り輝き、まるで音楽を奏でるかのように瞬いている。
その中でも一際輝く、空の真ん中にある大きなお月様が、灯りなど一つもないこの森を明るく照らしていた。
「……ん? どうしたモッモ、眠れぬか??」
「あ……、ギンロも、起きてたの」
ギンロは起きていた。
テントの入り口のすぐ隣で胡座をかき、俺に気付いてこちらを見る。
月明かりに照らされて、その青みがかった銀色の毛並みが、キラキラと輝いていた。
「うむ、少々考え事をな……」
そう言うとギンロは、夜空を仰ぎ見る。
「怪我はもう大丈夫なの?」
ギンロの隣にちょこんと座って、俺は尋ねた。
「大事ない。体の傷など、そのうちに治る。しかし心の傷は……、幾年月が過ぎようとも、決して治る事はない」
むん? 何やら難しい事を仰ってますね??
心の傷って……
「メラーニアのこと?」
「うむ。それに……、グレコもだ」
ほう? グレコ??
「グレコ、どうかしたの? まぁ、確かに今日のグレコはちょっと……、いつにも増して面倒見が良かったけど」
初対面な上に、人間達を馬面に変えた張本人で、更には俺たちに攻撃を仕掛けてきたメラーニアの為に、あんな風に熱くなるなんて……
確かにメラーニアは可哀想な子だよ、産まれてからすぐ実の親に監禁されて、名前すら付けて貰えなくてさ。
それでもあんな風に……、グレコがしたような事を、俺は出来なかったろうな。
「我には、出来なかった。グレコのように、メラーニア殿を守る事など……、我には思いもつかなかったのだ」
「ギンロ……。それは僕も同じだよ。グレコだから出来たんだよ」
グレコは、なんだかんだいって育ちが良いからな。
あの厳格そうなエルフの村で、村を治める巫女様の後継として、きっと小さい頃から英才教育を受けてきたに違いない。
知識や教養だけで無く、物の考え方だって、のんべんだらりと育てられた俺なんかとは全く違うだろうさ。
「グレコが歩んできたこれまでを、我は知らぬ。知らぬが、今日のあの行い……。グレコも、さぞ辛い思いをしてきたのだろう。故に、真に弱き者を守る術を、グレコは心得ておるのだ。果たして我は、グレコのように、弱き者を守る事が出来ようか……」
ん~? ギンロ、なんか難しく考えすぎじゃないかなぁ??
グレコがこれまで、どんな辛い思いをしてきたのか、それは俺にも分からない。
大変だったんだろうな~っていうのは、村の雰囲気を思い出す限りでは、何と無く分かるけど。
「……モッモよ、これを見てくれ」
「ん? な……、にぃっ!? あ、びっくりした……、氷、の花?? ……どうしたのそれ???」
ギンロが差し出したもの、それは、ギンロの大きな掌の上にある、小さな氷の塊だ。
月の光に照らされて、キラキラと煌めくそれは、薔薇のような花の形をしている。
一瞬、何か得体の知れない危険な物だと思ってしまった俺は、ちょっぴりちびってしまった。
「我が作ったのだ」
……はへ? 作った??
「そんなの……、いつ作ったの?」
「今だ」
えっとぉ……、わけがわからん。
「見ていてくれ」
そう言ってギンロは、もう片方の拳をギュッと握りしめてから、そっと開いた。
するとそこには、同じような氷の花が……
「えぇっ!? 何それっ!?? 手品っ!?!?」
驚いた俺は、ギンロの両方の掌にある二つの氷の花を見比べる。
細部こそ少し違えども、ほぼ同じ形の氷の花だ。
「てじな? なんだそれは??」
いやっ!? そこはどうでもいいからっ!!
「どど……、どうやって? えっ!? 今作ったの!??」
「うむ。以前、話した事があろう。我はパントゥー。フェンリルの父と、雪女の母を持つと」
「そ、それは知ってるけど……。えっ!? まさか、氷の魔法が使えるのっ!??」
「魔法などという大それたものではない。しかしながら、幼き頃より、このように掌に意識を集中させると、氷の結晶を作り上げる事が出来るのだ」
マジかっ!? えぇっ!??
それ完全に魔法じゃんっ!?!?
「……え、いいなぁ~」
思わず心の声が漏れてしまう俺。
しかしギンロは、少し悲しげな顔になる。
「フェンリルは……、魔力こそあれ、人化の術を使えるのみ。我のようなパントゥーは、産まれると同時に外界へ捨てられるのが掟である」
「えっ!? そうだったの!?? え、じゃあギンロは……?」
「我は……、メラーニア殿と同じ様に、獣化の術を会得するその日まで、母と共に暗き地下にて過ごした」
うえぇえっ!? そうだったのぉおっ!??
「それは……、大変、だったね……」
それ以外の言葉が見つからない俺。
どれくらいの期間、地下で過ごしたのかは知らないけど、もしかしたら何年も……?
「幸い、我の側には母がいてくれた。母は献身的に我を支えてくれた。故に我は、生まれて数週間で獣化の術を会得できたが……」
数週間かぁ~いっ!?
いや、でも、良かったよっ!!
期間が短くてさっ!!!
「メラーニア殿はたった一人で、あの孤独に身を置いていたのかと思うと……、胸が締め付けられる思いだ。他者と違うというだけで、蔑まれる。それが如何に辛く、悲しい事か。その苦しみを想像出来るというのに我は、メラーニア殿に、言葉一つかける事すら出来なかった……」
ギンロは、心底悔しそうな顔をして、せっかく作った綺麗な氷の花を、自らの手でグシャっと握り潰してしまった。
俺はと言うと……
なんていうか、ギンロがちゃっかり魔法が使えるという事実に、かなり困惑していて……
数週間とはいえ、地下に閉じ込められていたという事も、結構衝撃的で……
掛ける言葉が見つからない。
「いつか我も、今日のグレコのように、他者の痛みを理解し、弱き者の心に寄り添えるようになれるのだろうか? 我は強くなりたい。しかしそれは、力だけではない。弱き者を救える力、優しさというものを、我はこの身に、心に、会得したいのだ。それが出来なければ、一族の王になる事など到底不可能……。否、なれたとしても、それでは父の二の舞だ。我は父を超えねばならぬ。力でも、心でも」
ギンロの言葉……、とてつもなく重苦しい言葉に俺は、ポリポリと耳を掻き、どうしたもんかと首を傾げる。
まさか、今日のグレコの言動で、ギンロがここまで思い悩むなんて……
戦闘好きの脳筋バカだとか思っててごめんよ。
ギンロもギンロで、色々背負って、日々いろんな事を考えてるんだね。
……でも、一つだけ、はっきりと言える事がある。
「年の差のせいじゃない? だって……、グレコはあぁ見えて、もう四十歳だよ??」
「なぬっ!? そうだったのかっ!??」
なぬって……、ギンロ、知らなかったの?
それとも忘れてた??
ギンロは、その大きな目を、これでもかってくらい見開いて、顔面全部で驚きを表現する。
良くも悪くも、いつでも全力なんだよな、ギンロは。
「ほら、よく言うでしょ、年の功ってやつ? やっぱり、それなりに歳食ってりゃさ、学んできた事の数も違うわけじゃない。ギンロは、僕もだけど……、まだ十五だよ?? それを、もう四十過ぎてるグレコと同じ行動が出来ないからって、落ち込む事はないよ」
俺の言葉にギンロは、目をパチパチさせる。
……うん、たぶん、まだグレコが四十歳だという部分で頭が止まっているな、こいつ。
「ま、あれだよ! 僕たちが四十になった頃に、グレコみたいに出来るようになっていたら良いんじゃないっ!?」
軽く笑いながら、俺はそう言った。
難しい事を考えるには、ピグモルサイズの俺の小さな頭じゃ限界がある。
だから、ちょっとずつでいいんだ。
ちょっとずつ、成長していけばいい。
出来ない事も、今はあったっていいんだよ。
俺は一人、自分の言葉に納得して、うんうんと頷いた。
しかしギンロは、まだ難しい顔をして、ブツブツと何かを呟いている。
「グレコが、四十……。そうか、グレコは齢、四十、なのか……?」
……うん、やっぱり、ギンロの頭は脳筋らしい。
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