最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★ピタラス諸島第四、ロリアン島編★

542:何が嘘で、何が真実なのかを

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   外へ繋がる扉をピタリと閉じると、部屋の中は完全なる暗闇となった。
   しかしながら、一泊した俺には部屋の構造が手に取るように分かる。
   ティカの肩から降りて、そろそろと歩いてベッド脇にある机に向かい、そこに置かれているであろうランタンに手を伸ばして……

   ガッ!!!

「いぃっ!?!?」

   俺は、何かに思い切り足の小指をぶつけて悶絶した。

   キョオォォーーーー!!!
   何っ!? なんでっ!!?

   ジンジンと痛む小指と、涙目になる俺。
   すると、ティカがランタンに火を灯してくれたらしく、部屋の中が明るくなる。
   俺の側には、出る時にはそこになかったはずの椅子が置かれており、その脚に俺の足の小指は激突したらしい。

「くっ!? なんで……??」

   その場に座り込み、椅子を睨みつけて、靴の上から足の先をスリスリと撫でる俺。

「ぬ? どうした?? ぶつけたのか??? ……あぁすまない。先ほど自分が椅子をここへ移動させたのだ。入口のすぐ側にあって邪魔だった故な」

   すんとした顔で俺を見下ろすティカ。

   お前のせいかよぉっ!?

   涙目のままティカを睨み付けるも、彼は既に視線を俺から外し、中部屋へと続く扉を見つめている。

「……ふむ、確かに。物音一つ聞こえないな。まだお休みされているのだろうか?」

   だがしかし、ティカの推測は外れている。
   俺のよく聞こえる耳は、中部屋に続く扉の更に向こう側、チャイロの部屋から聞こえる微かな物音を捉えていた。
   どうやらチャイロは既に起床しているようだ。
   遊んでいるのだろうか? カサカサと動く音が微かに聞こえている。

「チャイロはもう起きてるよ」

   ようやく足の小指の痛みが治まった俺は、ジトッとした目付きでティカを見ながらそう言った。
   するとティカは、俺の目付きとは比べ物にならない程の恐ろしく鋭い眼差しで、俺を睨み返してきたではないか。

   ひっ!? 殺されるっ!!?

「モッモよ……、君は何故、チャイロ様を呼び捨てにするのだ?」

   ティカに問われて、俺はハッとする。
   知らず知らずのうちに俺は、またしてもチャイロの事を呼び捨てにしてしまっていたようだ。

「あ……、えと……、それは……、その……」

   しどろもどろになる俺。

「よもやと思うが……、チャイロ様の事を見下しているのではなかろうな?」

「そそそっ!? そんな事はっ!!? 断じてありませぬぅっ!!!」

    ティカの視線に命の危機を感じた俺は、ガタガタと震えながらそう言った。

「ならば何故だ? 何故チャイロ様の事を呼び捨てにする??」

   少しばかり怒りを収めた様子で、ティカは冷静な声色でそう尋ねた。

「えと……、それは……。実は僕、チャイロ……、様に、友達になって欲しいって言われて……」

   モゴモゴと答える俺に対し、ティカは目を見開いて驚く。

「なんとっ!? 友達にっ!??」

 大声を出したティカに対し、俺はビクッと身震いする。
 遂にられるか!? と身構えるも……、何やら状況は好転したようだ。
   先ほどまでと比べると、ティカの俺を見る目が明らかに違っていた。
   なんていうかこう、尊敬の眼差しというか……、恭しくなっているのだ。

   えぇ、えぇえぇ、そうなんですよ。
   僕は王子様の友達なんですよ。
   だから、出来れば丁寧に扱ってくださいな。

「お、王子様の友達だなんて、気が引けたんだけど……、チャイロがどうしてもっていうから、その……。あ、名前を呼び捨てにしているのも、チャイロがそうしてって言ったから……、どうしてもそうして欲しいって言われたから! 仕方なく、ね……?」

   遠慮がちに話しながらも、かなり盛り盛りで説明する俺。
   だけど、ティカには俺の嘘を見破る術なんて勿論ない。

「そうだったのか……。それは失礼した。まさか、チャイロ様直々の御命令だったとはつゆ知らず……。モッモ、非礼を詫びよう」

   ティカはそう言って、今度は深々と頭を下げた。
 角度にして120度ほどだろうか、先ほど地下牢にて下げていた頭とはまるで別物だ。
   
「あ……、いいよいいよ、そんなに頭を下げなくても!」

   反射的にそう言ってしまう俺。
   そんな風に深々と頭を下げられると、逆にこっちが悪いような気になってしまうのだ。
   それに……、そんな事よりも、知りたい事が俺にはあった。

「あの……、ティカ、一つ聞いていい?」

「ん? なんだ??」

   頭をあげて、俺に向き直るティカ。

「えっと……、さっきさ、変な話してたよね? この部屋に入ると、呪いがどうとか……??」

   そうなのである。
   先ほど、新米兵士とティカが話していた言葉の中に、怪しい事柄が含まれていたのである。
   この、チャイロの部屋に入ると、呪われるとかなんとか……?

「あぁそれは……。以前話した事があっただろう? これまでに、チャイロ様の世話役を任された侍女が八人、死んでしまったと。彼女達は皆、この侍女の待機部屋にて自害していたのだ。チャイロ様の夜言を耳にしてな。一人目の被害者は姉だったが……。この部屋で死者が出て以降、この部屋には呪いがかけられていると噂になり、王宮に使える者は皆ここに近付きたがらないのだよ」

   はは~ん、なるほどそういう事ね。
   どおりで下階に比べて上階は静かなわけだ。
   兵士も侍女も、みんな意図してここを避けていたわけだな。

「この五年間、チャイロ様の持つ力は、外界の悪しき者共が持つ魔力であると考えられてきた。夜言もまた然り……。我らは魔力を持たず、その耐性がない為に呪いにかかるのだとな。しかしながら、それらは全て憶測であり、噂でしかなかった。だが今、チャイロ様の夜言の真意が明らかとなり、国議でチャイロ様が生贄となられる事が決まった為に、皆更に怯えて、恐れているのだ。チャイロ様の呪いは本物だったのだと……」

   ほほ~う、なるほどそういう事ね。
   まぁ……、今みんながビビってるのは半分俺のせいだな、ごめんよ。
   けど、俺は違うと思うんだ。

「たぶん、違うよ」

「……何だと?」

   怪訝そうな顔で首を傾げるティカに対し、俺はこう言った。

「違うんだ。チャイロは呪いなんてかけていない。亡くなってしまった八人の侍女達はみんな、きっと、別の者に殺されたんだ」

   驚くティカを前に、俺は思い出していた。
   宰相イカーブの部屋で聞いた、イカーブと悪魔である骸骨野郎の会話、その内容を……

   もしこの先、ティカが本当にチャイロを救おうと思っているのなら、ティカは知っておかなくちゃならない。
   何が嘘で、何が真実なのかを。

「ティカ……。これから僕が話す事は、とても信じ難い事かも知れないけれど、全て真実だ。だから、心して聞いて欲しい」

   こくんと頷くティカを前に、俺は意を決して話し始めた。
   この目で見た事、この耳で聞いた事……
   そして、本当の敵は何者で、誰なのかを。
   
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