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★ピタラス諸島第四、ロリアン島編★
566:声が大きいぜ?
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「モッモ!? モッモ聞こえるっ!??」
「ふぉおぉっ!?!?」
『ギョギョウッ!?!??』
突然耳元で響いたグレコの声に驚く俺と、驚いた俺の声に対して驚くゼコゼコ。
絆の耳飾りを使って、グレコが交信してきたのだ。
「良かった! やっと通じたっ!!」
「ぐっ!? グレコ!?? どうしたの!?!?」
あ~、ビックリしたぁ~!
俺は今、ゼコゼコと共に、沢山の死霊を引き連れながら(取り囲まれてるだけだよ)、暗く黒い泉の中を絶賛下降中である。
こんな状況で、急に耳元で馬鹿でかい声出されたら、そりゃビビるでしょうよ。
ゼコゼコも、驚き過ぎて口のパクパクが止まらないようだぞ、可哀想に。
「どうしたもこうしたもないわよっ! なんで応答しなかったの!? あなた、寝ていたんじゃないでしょうね!??」
「ねっ!? 寝てないよぅっ!!!」
失敬なっ!
こちとら全力で命の危機を乗り越えてたんだぞっ!?
「じゃあ何してたのよ!? 今どこなのっ!??」
「え、えと……。今ね、泉に沈んでて」
「はぁっ!? 沈んでるのっ!??」
グレコの声に、耳がキーン!
毎度の事だけど、そろそろ絆の耳飾りを使っている時は大声出しちゃいけないってグレコに教えないとな。
「そ、そうなんだけど……。で、でも大丈夫! ゼコゼコが一緒だからさ」
「ゼコゼコ!? なんでよりにもよって、あんな偉そうなだけの役立たずな魚を呼んでるのよ!??」
……おう、酷い言いようだな。
本人には聞こえていなさそうだけれども。
「いや、だって……。ほら、一応水の精霊だし」
しかも、俺が呼んだんじゃなくて、ゼコゼコが勝手に出てきたんですけどね。
まぁ、おかげで助かったんですけどね。
「それにしたって頼りなさ過ぎよ! ……え、ちょっと待ってよ。なんで沈んでるのよっ!? いつ沈んだのっ!??」
グレコ、声が大きいぜ?
もうちょい落ち着いて喋ってくれよぅ。
「うぅ~、それはぁ~……。実は、供物の箱に隠れていたせいで、そのまま供物と一緒に泉に落とされちゃってぇ~」
「なっ!? なんて事……。あなたはもう、本当に毎度毎度、問題ばかり起こして……」
呆れた様子で、大きく溜息をつくグレコ。
きっと、額に手を当てて項垂れているに違いない。
「で、でもさ、どのみちほら……、泉の底まで行く予定だったしさ。ゼコゼコも助けてくれてるから、とりあえず底まで行ってみるよ」
「とりあえずって……、はぁ~。分かった。じゃあこっちは、王子様が泉に沈むのを阻止する事に注力するわ。それで……、王子様は何処にいるのかしら? 知ってる??」
「あ、ごめん言ってなかったね。チャイロは黄金の箱の中に入れられているはずだよ。探してくれる?」
「黄金の箱? ……え、それなら目の前にあるわ」
「ふぁ? そ、そうなの??」
「ええ、本当に目の前に。沢山の兵士が取り囲んでいるから、何か大事なものが入っているんだろうなって思って、近くで見張ってたのよ」
うわぁ~お! さっすがグレコ様だぜっ!!
勘が良いっ!!!
「けど、あれの中にいるとなると、救出は難しいわね……。ちょっとカービィと相談してみるわ」
「うん! よろしく!!」
「モッモ、無茶しちゃダメよ。あなた泳げないんだからね。ゼコゼコが頼りにならなかったら、他の精霊を呼んで逃げなさいよ」
ゼコゼコの奴、マジでグレコに嫌われてるな、可哀想に。
まぁ、今までの行いが悪過ぎたんだから仕方が無いか。
「うん! 分かった!! グレコも気をつけて!!!」
俺はそう言って、グレコとの交信を切った。
とにかく、チャイロの事は二人がなんとかしてくれるだろう、任せておこう。
チャイロは……、いや、イグは、泉に沈みたがっていたけれど、こんな中を生身で沈むのは危険極まりないからな。
俺は、チラリと横を見やる。
気のせいだと思いたかったのだが、先ほどから、周りを取り囲む死霊の数がだんだんと増えてきているのだ。
俺とゼコゼコが入っている光る球体の周りを、彼等はグルグルと回っている。
言葉にならない低い唸り声を絶えず上げながら、表情の分からない骨だけの顔を真っ直ぐ下に向けて、俺たちと共にゆっくりと下降している。
『ギョギョ? あれを見ろ! あそこに、異空間への扉があるぞっ!?』
「はっ!? 異空間への扉!??」
ゼコゼコの言葉に、俺はその視線の先を見つめた。
そこにあるのは、暗く黒い水の中にあって、更に真っ黒な何かだ。
薄らと青い光を浴びているそれは、まるで蜃気楼のようにゆらゆらと揺らめいている。
「異空間への扉って何っ!? ヤバイのっ!??」
『ギョギョ、分からぬ、分からぬが……。あれに触れてしまえば、別の空間へと誘われるはずだ。何故あのようなものがここに? ……ど、どうするのだ??』
ゼコゼコは、アセアセとしながら俺に尋ねる。
しかしながら、当の俺もアセアセしているので、答える事が出来ない。
そうこうしているうちにも、俺とゼコゼコが入っている球体は下降を続けていって……
『ギョギョッ!? 吸い込まれるぞぉっ!??』
「あぁああぁぁぁ~~~!?!?」
俺とゼコゼコが入った光る球体は、青く光る黒い蜃気楼の中へと吸い込まれてしまった。
そして……
『きひ。きひひひひ。ち、ちち、珍客、だねぇ~』
聞き覚えのない気味の悪い声が、耳元で聞こえた。
「ふぉおぉっ!?!?」
『ギョギョウッ!?!??』
突然耳元で響いたグレコの声に驚く俺と、驚いた俺の声に対して驚くゼコゼコ。
絆の耳飾りを使って、グレコが交信してきたのだ。
「良かった! やっと通じたっ!!」
「ぐっ!? グレコ!?? どうしたの!?!?」
あ~、ビックリしたぁ~!
俺は今、ゼコゼコと共に、沢山の死霊を引き連れながら(取り囲まれてるだけだよ)、暗く黒い泉の中を絶賛下降中である。
こんな状況で、急に耳元で馬鹿でかい声出されたら、そりゃビビるでしょうよ。
ゼコゼコも、驚き過ぎて口のパクパクが止まらないようだぞ、可哀想に。
「どうしたもこうしたもないわよっ! なんで応答しなかったの!? あなた、寝ていたんじゃないでしょうね!??」
「ねっ!? 寝てないよぅっ!!!」
失敬なっ!
こちとら全力で命の危機を乗り越えてたんだぞっ!?
「じゃあ何してたのよ!? 今どこなのっ!??」
「え、えと……。今ね、泉に沈んでて」
「はぁっ!? 沈んでるのっ!??」
グレコの声に、耳がキーン!
毎度の事だけど、そろそろ絆の耳飾りを使っている時は大声出しちゃいけないってグレコに教えないとな。
「そ、そうなんだけど……。で、でも大丈夫! ゼコゼコが一緒だからさ」
「ゼコゼコ!? なんでよりにもよって、あんな偉そうなだけの役立たずな魚を呼んでるのよ!??」
……おう、酷い言いようだな。
本人には聞こえていなさそうだけれども。
「いや、だって……。ほら、一応水の精霊だし」
しかも、俺が呼んだんじゃなくて、ゼコゼコが勝手に出てきたんですけどね。
まぁ、おかげで助かったんですけどね。
「それにしたって頼りなさ過ぎよ! ……え、ちょっと待ってよ。なんで沈んでるのよっ!? いつ沈んだのっ!??」
グレコ、声が大きいぜ?
もうちょい落ち着いて喋ってくれよぅ。
「うぅ~、それはぁ~……。実は、供物の箱に隠れていたせいで、そのまま供物と一緒に泉に落とされちゃってぇ~」
「なっ!? なんて事……。あなたはもう、本当に毎度毎度、問題ばかり起こして……」
呆れた様子で、大きく溜息をつくグレコ。
きっと、額に手を当てて項垂れているに違いない。
「で、でもさ、どのみちほら……、泉の底まで行く予定だったしさ。ゼコゼコも助けてくれてるから、とりあえず底まで行ってみるよ」
「とりあえずって……、はぁ~。分かった。じゃあこっちは、王子様が泉に沈むのを阻止する事に注力するわ。それで……、王子様は何処にいるのかしら? 知ってる??」
「あ、ごめん言ってなかったね。チャイロは黄金の箱の中に入れられているはずだよ。探してくれる?」
「黄金の箱? ……え、それなら目の前にあるわ」
「ふぁ? そ、そうなの??」
「ええ、本当に目の前に。沢山の兵士が取り囲んでいるから、何か大事なものが入っているんだろうなって思って、近くで見張ってたのよ」
うわぁ~お! さっすがグレコ様だぜっ!!
勘が良いっ!!!
「けど、あれの中にいるとなると、救出は難しいわね……。ちょっとカービィと相談してみるわ」
「うん! よろしく!!」
「モッモ、無茶しちゃダメよ。あなた泳げないんだからね。ゼコゼコが頼りにならなかったら、他の精霊を呼んで逃げなさいよ」
ゼコゼコの奴、マジでグレコに嫌われてるな、可哀想に。
まぁ、今までの行いが悪過ぎたんだから仕方が無いか。
「うん! 分かった!! グレコも気をつけて!!!」
俺はそう言って、グレコとの交信を切った。
とにかく、チャイロの事は二人がなんとかしてくれるだろう、任せておこう。
チャイロは……、いや、イグは、泉に沈みたがっていたけれど、こんな中を生身で沈むのは危険極まりないからな。
俺は、チラリと横を見やる。
気のせいだと思いたかったのだが、先ほどから、周りを取り囲む死霊の数がだんだんと増えてきているのだ。
俺とゼコゼコが入っている光る球体の周りを、彼等はグルグルと回っている。
言葉にならない低い唸り声を絶えず上げながら、表情の分からない骨だけの顔を真っ直ぐ下に向けて、俺たちと共にゆっくりと下降している。
『ギョギョ? あれを見ろ! あそこに、異空間への扉があるぞっ!?』
「はっ!? 異空間への扉!??」
ゼコゼコの言葉に、俺はその視線の先を見つめた。
そこにあるのは、暗く黒い水の中にあって、更に真っ黒な何かだ。
薄らと青い光を浴びているそれは、まるで蜃気楼のようにゆらゆらと揺らめいている。
「異空間への扉って何っ!? ヤバイのっ!??」
『ギョギョ、分からぬ、分からぬが……。あれに触れてしまえば、別の空間へと誘われるはずだ。何故あのようなものがここに? ……ど、どうするのだ??』
ゼコゼコは、アセアセとしながら俺に尋ねる。
しかしながら、当の俺もアセアセしているので、答える事が出来ない。
そうこうしているうちにも、俺とゼコゼコが入っている球体は下降を続けていって……
『ギョギョッ!? 吸い込まれるぞぉっ!??』
「あぁああぁぁぁ~~~!?!?」
俺とゼコゼコが入った光る球体は、青く光る黒い蜃気楼の中へと吸い込まれてしまった。
そして……
『きひ。きひひひひ。ち、ちち、珍客、だねぇ~』
聞き覚えのない気味の悪い声が、耳元で聞こえた。
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