最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★虫の森、蟷螂神編★

73:みんなが無事で良かったぁ~

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『ギジャッ!? ギジャッ!?? ギジャアァァァ!!???』

   青い炎に包まれたカマーリスの腹部は、余りの高温に火傷を負う事すら許されず、ドロドロと溶け出していく。
   カマーリスは、なんとか炎を消そうと体を捻ったり、鎌手をバタバタさせているものの、炎の勢いが衰える事は無い。
 そんな完全に隙だらけのカマーリスに対し、ギンロがその剣を振るう。

「その首、貰ったぁっ!」

『許すまじっ! ギジャアァァァ!!!』

 ザザザンッ!!!!!

   ギンロの双剣が、カマーリスの三つの首を斬り落とす。
   それとほぼ同時にカマーリスは、叫びながら、ブワッ! と長い尾をしならせて………

「えっ?」

 ドゴッ!!!

 なんとその尻尾は、空中にいた俺に直撃した。
 何が起きたか分からず、叫び声も上げられないままに、体に激痛が走ったのを感じた。

 突然の予期せぬ出来事に、俺は成す術が無く……
 首から離れたカマーリスの三つの頭と、ギンロの背中が逆さに見えた。
   そして最後に見えたのは、俺に向かって必死に何かを言っているリーシェの顔だった。
    
 意識を手放した俺は、大量の鎌手の虫型魔物の死骸が浮かぶ茶色い湖へと、落下していった。









『おーい、大丈夫かい?』

   ん~? この声は確か……

「神様……、あれ?」

   俺が目を開けると、そこには神様が立っていた。
   クロノス山の聖地で出会った、時の神、その名も時空王クロノシア・レア。
   ……たぶん、そういう名前の神様のはずだ。

「ん? ここは?? ……え???」

   状況が分からずに、辺りをキョロキョロと見回す俺。
   真っ白くて、どこまでも続くだだっ広い空間に、俺と神様だけが立っている。

   えっと……、どうしてこんな場所に?
   俺、どこで何してたんだっけ??
   確か、グレコと旅に出て、河に落ちて、はぐれて……
 それで、ポポと、ギンロに出会って……
 ほんでもって、あ……、あ~そうそう、そうだよ、思い出した。
 巨大な虫型魔物の親玉、カマーリスと戦って、それで……ん???
 なんか、尻尾が飛んできて……、はっ!?
 あわわわわっ!!?
 まさか、まさか俺…………、まさかぁあぁぁっ!?!?

「死んだっ!?!!?」

『いやいや、死んでないよ』

  焦る俺を診て、はははと笑う神様。

  あ、死んでないんだ、良かった……
  じゃあ、ここはどこ?

『いや~、驚いたよ。まさか君が、恐ろしい邪神を相手に、あんなに勇敢に戦ってくれるとはね』

   神様は、満足そうに拍手をする。

「邪神って……、え、カマーリスの事ですか? 邪神?? じゃあ……、カマーリスは、元は神様だったんですか???」

 あの化け物が? 嘘だろ??

『うん、そうだよ。けれど、もう随分前から様子がおかしくてね。なんとかしなければと思ってはいたんだけど……。君が対処してくれて助かったよ、ありがとう』

   にこりと笑う神様。

 マジかよ、あれが神様だと???
 あんなのが神様だなんて、世も末だな。
 ……てかちょっと、今の説明だと、腑に落ちない事があるんだけども。

「どうして、あんな奴を放っておいたんですか? おかげでダッチュ族のみんなは、毎年生贄を出していたみたいだし、僕たちだって……、危ない目に遭いました。どうして放っておいたんですかっ!?」

   神様に食ってかかる俺。

 だってそうだろ、神様今、自分で言ったもんね、カマーリスは随分と前から様子がおかしかったって。
 じゃあなんで、放置していたの?
 おかしいのが分かっているなら、神様なんだから、もっと早くどうにかしなくちゃならなかったんじゃないの??
 神様がもっと早くになんとかしてれば、ダッチュ族は生贄なんて出さずに済んだはず……、ポポが怖い思い、悲しい思いをする事もなかったはずだ。
 なのにどうして、神様なのに、カマーリスをほったらかしにしていたのさ???

『うん、それは済まなかったね。ただ、一つ言い訳をさせてもらえるなら……。あの神は、僕の創った神じゃない。ただの魔物に力を与え、神格へと引き上げたのは、別の神だ。だから僕は、迂闊に手が出せなかった。済まなかったね』

   謝罪の意を述べ、俺に向かって深々と頭を下げる神様。

 うわおっ!?
   神様に頭を下げせるなんて、俺はなんて罰当たりなことを!??

「あぁあっ!? あっ、頭を上げてくださいっ!!!」

   あわあわと慌てる俺に、はははと笑う神様。

『しかし、君はなかなかに無頓着だなぁ。世界地図にはちゃんと、あの森の、あの位置に、神の光が出ていたはずだ。けど……、君は気付いていなかったみたいだね』

 なぬっ!? そうだったのかっ!!? 

「えっ!? うっ!?? あ……、た、旅立ってすぐ、仲間とはぐれてしまって……。旅ってものが初めてだったから、なんていうかこう、テンパってて……。その……、見てませんでした、すみません」

   正直に謝り、ペコリと頭を下げる俺。
   幾度も世界地図を見ていたはずなのに、そこに光っていたカマーリスの神の光を、俺は全く見ていなかった。
   もはや何の為の旅なのかと問いたくなるほど、このミスは大きい。
 だけど……

『いいよ。最初はみんなそんなものさ、慣れない事をしようとするとね』

   さすが神様だ、やっさし~い♪

「あの、でも……、ここ、どこなんですか? なんで神様はここに?? 僕は……、どうなったんですか???」

 そう、ここは何処で、俺はどうなったんだ?
 神様はさっき、俺は死んでいないって言ったけど……
 だとしても、なんだか凄く嫌な予感がする……

『あ~、うん。カマーリスの尻尾にやられてね、軽い脳震盪を起こしたみたい。で、水の中に落ちて……。けど安心して、君の仲間が助けてくれたようだから』

 うっげぇ~!?
 水の中に落ちただとぉっ!??
 水ってあれだよな、溺死した虫型魔物の死骸が沢山浮いている、あの茶色く濁った……
 もぉ~! 最悪じゃないかぁ~!!
 ゲロゲロ~~~!!!

 でも、仲間が助けてくれたって……、グレコか、ギンロが?
 つまり、二人のうちどちらかが、あの湖に飛び込んでくれたと??
 う、嬉しいような……、申し訳ないような気分……

   様々な感情に苛まれ、苦悶する俺。
 
『ここは君の意識の中さ。と言っても、ここに来られるのも、一月に一度ほどだけどね』

   ふむ、なるほど、ここは俺の意識の中とな?
 俺の意識って、こんなに真っ白なのか??
 なんか……、何も考えてないって感じがするのは、気のせいかな???

   てか、神様って、結構制約があるんだな。
   聖地に降りられるのは週一だし、心の中に現れられるのは月一だし……
 さっき、カマーリスには手が出せなかった、とも言っていたけど……
 もしかしてこの神様、そんなに万能じゃ無いんじゃないか????

 訝しげに、神様を見つめる俺。

『今回は、これらを君に渡そうと思ってね』

   そう言って、神様が俺に手渡したのは、赤、青、黄、白、黒の、それぞれ煌めく石が埋め込まれた、五つのイヤリング。
 キラキラと輝くそれらは、なんとなくだけど、不思議な力を放っているように感じられる。

『これは【絆の耳飾り】。離れた場所でも、仲間と連絡がとれるものさ』

   え、それって……?

   神様を見上げる俺。

『君には素敵な仲間が出来た。絆で結ばれた、かけがえのない仲間だ。彼らに一つずつ、これを渡すといい。君も一つ、これを耳につけておけば、いつでも彼らと連絡がとれる。まぁ……、簡単に言ったら、携帯電話、的なものかな』

   ふふふと、悪戯に笑う神様。

   携帯電話だと?
   神様が携帯電話て、言うか普通??
 違和感しか無いんだけどもぉ~???

 などと、心の中で思いながら、尚も俺が不審な目を神様に向けていると……

『おっと、そろそろ時間だ。君の大切な仲間が待ってるよ。じゃあ、またね♪』

「えっ? ちょっ!? 神様っ!?? ………神様っ!?!?」








「モッモ!!?」

 聞き覚えのある声に、俺はパチリと瞼を開いた。

   目に映るのは、涙で顔をぐしゃぐしゃにしたグレコと、心配そうに、でも安堵した表情で俺を見つめるびしょ濡れのギンロ。
   その側には、ぼーっとした顔のトカゲ姿のバルンと、何故だかシュンとした様子のリーシェもいる。

「あ……、えと……。ただいま、へへ」

   にへらと笑う俺に、グレコが泣き笑いする。

「もぉっ! 心配したんだからっ!! 死んだかと思ったんだからっ!!!」

   早速怒り出すグレコ。
   切り替えが早すぎ、もうちょっと俺を労って?

「だが、生きていた……。モッモ、お主、かなりの強運の持ち主であるな」

 牙を見せながら、ニヤリと笑うギンロ。
 ギンロこそ、あのカマーリス相手に無傷だなんて、そっちの方が強運だよ。
 ……てか、俺の為に、あの死骸だらけの湖に入ってくれたのですね、びしょ濡れな体が物語っておりますよ。
 本当に、本当に、ありがとうございます!!!

『モッモ……。ごめんなさい! あたし、気を抜いていたわ……。本当にごめんなさい!!』

   おぉ? リーシェや、どうしたんだい??
   珍しいにも程があるぞ、ドSな君がそんな風に謝るなんて。
   ……いや、珍しいって言うか、初めてじゃないか???

『うお、肉、食いたいうぉ。約束、肉、食いたいうぉ』

   あ、そうだったね、約束のお肉ね、はいはい。
   ……てかバルンよ、君のあれは、いったいなんだったのかな?
   何故に、いきなりあんな、ドラゴンに??
 めっちゃカッコよかったけど、かなりビビったよ。
 何故、ドラゴンに???

 いろいろと、聞きたい気持ちは山々だけど、なんだかみんなの顔を見るとホッとして、過ぎた事はどうでも良くなっていって……

   まぁ、いいか!
 とりあえず今、俺が言いたい事はただ一つ!!

「みんなが無事で良かったぁ~」

   大きく息を吐いて、寝惚けているかのような気の抜けた声でそう言った俺に対し、みんなは揃って笑顔になるのであった。
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