112 / 796
★オーベリー村、蜥蜴神編★
107:最大級落雷 !!
しおりを挟む
ミシッ、ベキベキベキッ!!!
周りの木々をいとも簡単に薙ぎ倒しながら、巨大トカゲはクンクンと鼻を動かして、肉の在処を探っている。
あぁあぁぁぁっ!?
やばいっ!??
このままだと喰われるぅうぅぅっ!???
恐怖のあまり、一歩も動けなくなる俺。
姿が透明だから、そうそう見つかるわけではないと高を括っていたのだが……
『こっちかぁ~?』
巨大トカゲは、ピンポイントで俺の立っている方向へと頭を向けてきた。
ぎょえぇぇぇぇ~!!!!!
顔の作りこそバーバー族と同じだが、その迫力や大蛇のごとし。
巨大な爬虫類特有の、鋭い爪に鱗がびっしりの前足をズンズンと踏み出し、こちらへと近づいてくる。
な、な、な、何か……、何かをどうにかしないとぉっ!??
もはやパニック状態以外の何ものでもない俺は、腰にぶら下げていた万呪の枝を取り出して、巨大トカゲに向かって構え、両手でギュッと握りしめた。
な、何か、のろ、のろのろ、呪いを……
そ、そうだっ! とりあえず、小さくしちゃえっ!!
精一杯、頭の中で念じる俺。
小さくなれっ! 小さくなれっ!! 小さくなれぇぇっ!!!
だがしかし……、巨大トカゲは巨大なまま。
1ミリたりとも縮みやしない。
なぜだっ!? 呪いが効かないっ!??
『ぬ~ん、見えぬ……、見えぬが、そこにおるなぁ?』
ひぃいぃっ!? ばれてるぅっ!??
あまりの恐怖に、体中から汗が噴き出て、前歯はカタカタと小さく音を立てながら震えている。
静かな森の中で、見えないにしてもそこに何かがいると気付かせるには充分なほど、俺は自らをアピールしてしまっていたようだ。
『ふんふん……、鼠のような匂いじゃ~。鼠はそうじゃなぁ……、舌の上で転がして、ゆっくりと噛んで味わうのが美味い』
美味くないっ! そんなの全然美味くないっす!!
「モッモ、どう? いた??」
はっ!? グレコっ!??
突然のグレコの声が聞こえて、俺は辺りをキョロキョロする。
しかし、どこにもグレコの姿はない。
「ん? お~い、返事してぇ?? あ……、耳飾りだよぉ~? モッモ~??」
あっ! そっか!! 絆の耳飾りっ!!!
だがしかし……
この状況では声が出せないっ!!!!
どうにか、どうにか奴の気を逸らして逃げないと!!!!!
足元をキョロキョロと探って、なんとなく良さそうな石を拾い上げる俺。
これを、巨大トカゲの後ろ側へ投げれば、きっと後ろに獲物がいるって勘違いして、奴はあっちへ行くはずだっ!
よぉ~し、投げるぞぉ~、投げるぞぉ~、……えいっ!!
すると、俺の投げた石は、真っ直ぐ巨大トカゲの額に向かっていって……
ベシッ!!!
『ぬがっ!? 何奴じゃぁっ!??』
だぁあぁぁぁぁぁっ!? しまったぁっ!??
『もう容赦はせぬぞ……、姿が見えぬのなら、片っ端から食い荒らしてやるぅっ!!!』
巨大トカゲは、無数の鋭い牙が生えた口を大きく開けて、周りの木々や地面の土諸共に、ガブガブと食べ始めた。
はっ!? そんなの反則っ!??
ベキッ! バキバキバキッ!!
ベキベキ……、ボキボキボキボキッ!!!
巨大トカゲの口の中で、無残にもただの木屑と化していく木々。
土は掘り起こされて、どんどんと足場がなくなって……、巨大トカゲの口はもうそこだ。
あんな風に食われたら、俺の柔らかジューシーなお肉なんて一瞬でミンチになっちゃう!?!?
思わず後ずさりをした俺は、例のごとく、ローブに足が引っかかって……
「おふぅっ!?」
豪快に後ろへ倒れ込み、その拍子にローブが脱げて、姿が露わになる。
『ぬがぁ~!? そこにおったか、鼠めぇ~!!!』
巨大トカゲの鋭い目が、ギロリと俺を睨みつける。
そして、俺が立っている地面ごと食おうと、無数の鋭い牙が光る大きな口をグワッ! と開けた。
……あぁ、もう駄目だぁ。
本日二度目の死を覚悟し、そっと目を閉じる俺。
大丈夫、神様にもらった時空の指輪があるから生き返れる。
三分前に戻って、巨大トカゲの尻尾を踏む前に、グレコたちの所へ引き返せばいいんだ。
生き返っても、死んだ記憶と痛みが残るらしいが……
お願いします、ミンチになどせず、一思いに飲み込んで下さい。
……アーメン。
『ぬぎゃあぁぁぁぁぁっ!!!!!』
断末魔の叫びが響き渡る。
さらば、俺のピグモル生よ……
「モッモ! 無事かっ!?」
体を大きく揺さぶられて、俺はハッと我に返った。
そこにいるのは、白いローブに身を包み、手には魔導書と杖を持った……
「カービィっ!?」
どうなったのかと体を起こし、辺りを見回す俺。
「モッモ! 危なかったわね!!」
隣には、弓矢を構える、髪の毛真っ金金のグレコ。
「離れていろっ!」
前方で、こちらに向かってそう叫んでいるのはギンロ。
いつものように、両手に剣を握っているのだが……、何やらその二本の剣の様子がおかしい。
二本の剣にはメラメラと、青く燃え盛る炎が宿っているのだ。
『ぬぐぅ~、小癪な……。全員まとめて喰ってやるぅっ! ぬがぁあぁぁっ!!』
雄たけびを上げた巨大トカゲの体には、既に焼き斬られた跡がある。
「……あれは?」
「おいらのとっておき、魔法剣だっ! 巨大トカゲの肉は分厚い、そしてバーバー族は火に弱い。その両方を考慮して、ギンロの剣に火炎魔法をかけたのさっ!!」
そう説明したカービィは、最後にキラーン☆という効果音が入りそうな、グッドなスマイルで、俺に向かってウィンクをした。
……魔法剣。
なにそれいいなっ! カッコイイなぁっ!!
俺たちの目の前で、ギンロは次々と巨大トカゲに攻撃をしかけていく。
ちょうど、心臓を狙っているのだろうと思われる場所を、集中的に斬りつけていく。
そのたびに、青い炎が燃え上がり、巨大トカゲは悲鳴を上げた。
カマーリスに比べれば、でっぷりと太った巨大トカゲの動きはかなり鈍く、ギンロは踊るようにその攻撃をかわしている。
そして、遂に……
「見えたっ!!」
えぐれ返った巨大トカゲの肉の中から、ドクンドクンと、脈打つ心臓が姿を現した。
『ぬぎゃぎゃぎゃぎゃぁっ!!!』
奇声を上げて、痛みにもがき、何とか心臓を守ろうとする巨大トカゲの両手を、ギンロは容赦なく斬り落とす。
そして……
「カービィ! 今だっ!!」
「ほいさっ! 最大級落雷 !!」
ギンロの合図で、準備を万端に整えていたカービィが、魔法を行使した!
呪文に導かれて、空から三本の雷の矢が現れ、巨大トカゲの心臓を貫いたっ!!
『ぬぐっ……、がっ……』
巨大トカゲは、雷によるショックで心臓の鼓動が止まり、ドシーン!! と地響きを立てながら横向けに倒れた。
「や、やったぁ……」
何もしていない俺が、ポツリと漏らす。
「ふぅ~……、強敵であった」
ギンロが額を拭う。
「よし、とりあえず……、再生しちまう前に、心臓を取り出そう」
「……はっ!? 再生するのっ!??」
「ん~、おそらくな。トカゲ科の生物は再生力に優れているし、あいつはその中の頂点に立つ蜥蜴神だ。念には念を、だ」
なるほど、そういうことか。
確かに、カマ―リスを倒した時は、すぐに石化が始まったけど……
あの巨大トカゲは倒れただけで、石化する気配もない。
念には念を、だな!
「おいし、そう……」
……ん? グレコ、何か言ったかい??
周りの木々をいとも簡単に薙ぎ倒しながら、巨大トカゲはクンクンと鼻を動かして、肉の在処を探っている。
あぁあぁぁぁっ!?
やばいっ!??
このままだと喰われるぅうぅぅっ!???
恐怖のあまり、一歩も動けなくなる俺。
姿が透明だから、そうそう見つかるわけではないと高を括っていたのだが……
『こっちかぁ~?』
巨大トカゲは、ピンポイントで俺の立っている方向へと頭を向けてきた。
ぎょえぇぇぇぇ~!!!!!
顔の作りこそバーバー族と同じだが、その迫力や大蛇のごとし。
巨大な爬虫類特有の、鋭い爪に鱗がびっしりの前足をズンズンと踏み出し、こちらへと近づいてくる。
な、な、な、何か……、何かをどうにかしないとぉっ!??
もはやパニック状態以外の何ものでもない俺は、腰にぶら下げていた万呪の枝を取り出して、巨大トカゲに向かって構え、両手でギュッと握りしめた。
な、何か、のろ、のろのろ、呪いを……
そ、そうだっ! とりあえず、小さくしちゃえっ!!
精一杯、頭の中で念じる俺。
小さくなれっ! 小さくなれっ!! 小さくなれぇぇっ!!!
だがしかし……、巨大トカゲは巨大なまま。
1ミリたりとも縮みやしない。
なぜだっ!? 呪いが効かないっ!??
『ぬ~ん、見えぬ……、見えぬが、そこにおるなぁ?』
ひぃいぃっ!? ばれてるぅっ!??
あまりの恐怖に、体中から汗が噴き出て、前歯はカタカタと小さく音を立てながら震えている。
静かな森の中で、見えないにしてもそこに何かがいると気付かせるには充分なほど、俺は自らをアピールしてしまっていたようだ。
『ふんふん……、鼠のような匂いじゃ~。鼠はそうじゃなぁ……、舌の上で転がして、ゆっくりと噛んで味わうのが美味い』
美味くないっ! そんなの全然美味くないっす!!
「モッモ、どう? いた??」
はっ!? グレコっ!??
突然のグレコの声が聞こえて、俺は辺りをキョロキョロする。
しかし、どこにもグレコの姿はない。
「ん? お~い、返事してぇ?? あ……、耳飾りだよぉ~? モッモ~??」
あっ! そっか!! 絆の耳飾りっ!!!
だがしかし……
この状況では声が出せないっ!!!!
どうにか、どうにか奴の気を逸らして逃げないと!!!!!
足元をキョロキョロと探って、なんとなく良さそうな石を拾い上げる俺。
これを、巨大トカゲの後ろ側へ投げれば、きっと後ろに獲物がいるって勘違いして、奴はあっちへ行くはずだっ!
よぉ~し、投げるぞぉ~、投げるぞぉ~、……えいっ!!
すると、俺の投げた石は、真っ直ぐ巨大トカゲの額に向かっていって……
ベシッ!!!
『ぬがっ!? 何奴じゃぁっ!??』
だぁあぁぁぁぁぁっ!? しまったぁっ!??
『もう容赦はせぬぞ……、姿が見えぬのなら、片っ端から食い荒らしてやるぅっ!!!』
巨大トカゲは、無数の鋭い牙が生えた口を大きく開けて、周りの木々や地面の土諸共に、ガブガブと食べ始めた。
はっ!? そんなの反則っ!??
ベキッ! バキバキバキッ!!
ベキベキ……、ボキボキボキボキッ!!!
巨大トカゲの口の中で、無残にもただの木屑と化していく木々。
土は掘り起こされて、どんどんと足場がなくなって……、巨大トカゲの口はもうそこだ。
あんな風に食われたら、俺の柔らかジューシーなお肉なんて一瞬でミンチになっちゃう!?!?
思わず後ずさりをした俺は、例のごとく、ローブに足が引っかかって……
「おふぅっ!?」
豪快に後ろへ倒れ込み、その拍子にローブが脱げて、姿が露わになる。
『ぬがぁ~!? そこにおったか、鼠めぇ~!!!』
巨大トカゲの鋭い目が、ギロリと俺を睨みつける。
そして、俺が立っている地面ごと食おうと、無数の鋭い牙が光る大きな口をグワッ! と開けた。
……あぁ、もう駄目だぁ。
本日二度目の死を覚悟し、そっと目を閉じる俺。
大丈夫、神様にもらった時空の指輪があるから生き返れる。
三分前に戻って、巨大トカゲの尻尾を踏む前に、グレコたちの所へ引き返せばいいんだ。
生き返っても、死んだ記憶と痛みが残るらしいが……
お願いします、ミンチになどせず、一思いに飲み込んで下さい。
……アーメン。
『ぬぎゃあぁぁぁぁぁっ!!!!!』
断末魔の叫びが響き渡る。
さらば、俺のピグモル生よ……
「モッモ! 無事かっ!?」
体を大きく揺さぶられて、俺はハッと我に返った。
そこにいるのは、白いローブに身を包み、手には魔導書と杖を持った……
「カービィっ!?」
どうなったのかと体を起こし、辺りを見回す俺。
「モッモ! 危なかったわね!!」
隣には、弓矢を構える、髪の毛真っ金金のグレコ。
「離れていろっ!」
前方で、こちらに向かってそう叫んでいるのはギンロ。
いつものように、両手に剣を握っているのだが……、何やらその二本の剣の様子がおかしい。
二本の剣にはメラメラと、青く燃え盛る炎が宿っているのだ。
『ぬぐぅ~、小癪な……。全員まとめて喰ってやるぅっ! ぬがぁあぁぁっ!!』
雄たけびを上げた巨大トカゲの体には、既に焼き斬られた跡がある。
「……あれは?」
「おいらのとっておき、魔法剣だっ! 巨大トカゲの肉は分厚い、そしてバーバー族は火に弱い。その両方を考慮して、ギンロの剣に火炎魔法をかけたのさっ!!」
そう説明したカービィは、最後にキラーン☆という効果音が入りそうな、グッドなスマイルで、俺に向かってウィンクをした。
……魔法剣。
なにそれいいなっ! カッコイイなぁっ!!
俺たちの目の前で、ギンロは次々と巨大トカゲに攻撃をしかけていく。
ちょうど、心臓を狙っているのだろうと思われる場所を、集中的に斬りつけていく。
そのたびに、青い炎が燃え上がり、巨大トカゲは悲鳴を上げた。
カマーリスに比べれば、でっぷりと太った巨大トカゲの動きはかなり鈍く、ギンロは踊るようにその攻撃をかわしている。
そして、遂に……
「見えたっ!!」
えぐれ返った巨大トカゲの肉の中から、ドクンドクンと、脈打つ心臓が姿を現した。
『ぬぎゃぎゃぎゃぎゃぁっ!!!』
奇声を上げて、痛みにもがき、何とか心臓を守ろうとする巨大トカゲの両手を、ギンロは容赦なく斬り落とす。
そして……
「カービィ! 今だっ!!」
「ほいさっ! 最大級落雷 !!」
ギンロの合図で、準備を万端に整えていたカービィが、魔法を行使した!
呪文に導かれて、空から三本の雷の矢が現れ、巨大トカゲの心臓を貫いたっ!!
『ぬぐっ……、がっ……』
巨大トカゲは、雷によるショックで心臓の鼓動が止まり、ドシーン!! と地響きを立てながら横向けに倒れた。
「や、やったぁ……」
何もしていない俺が、ポツリと漏らす。
「ふぅ~……、強敵であった」
ギンロが額を拭う。
「よし、とりあえず……、再生しちまう前に、心臓を取り出そう」
「……はっ!? 再生するのっ!??」
「ん~、おそらくな。トカゲ科の生物は再生力に優れているし、あいつはその中の頂点に立つ蜥蜴神だ。念には念を、だ」
なるほど、そういうことか。
確かに、カマ―リスを倒した時は、すぐに石化が始まったけど……
あの巨大トカゲは倒れただけで、石化する気配もない。
念には念を、だな!
「おいし、そう……」
……ん? グレコ、何か言ったかい??
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
482
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる