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25 悲しきインターン生活
翌日の朝食は俺とお義父様とお義母様の3人だった。
「ハーディはどうしたのだジュディス」
「お身体の調子が優れぬそうでお休みされています」
「あら、それは心配だわ。滅多に風邪もひかない子ですのに。あとで皆でお見舞いに行きましょうか」
「いくら調子が良いとは言え無理は禁物だぞシュゼット。息子の様子は私が見てこよう。ジュディス、朝食後に私の執務室に来なさい。少し話がある」
「はい、お義父様」
朝食後。
執務室に入るとすぐ、お義父様は怒鳴りながら俺に斬りかかってきた。
「この大馬鹿者が!!何が『大船に乗った気でいてください』だ!!舌の根も乾かぬ内にっ」
「いきなり何をなさるんですか。あっ。俺の部屋着がっ」
ハーディ様を残して逝くわけにいかない俺はお義父様の剣を躱したのだが、何太刀か目で部屋着にしているシャツの襟元を切り裂かれてしまった。
「ジュディスよ。お前の純潔を証明する、例のペンダントはどうしたのだ?」
喉元に剣の切っ先を突き付けられる。
「えへ」
俺とハーディ様がエッチしてしまったのがバレている。
憤怒の形相で再び斬り掛かろうとするお義父様を、トーマスが「落ち着いてくださいハースティー様」と後ろから羽交い締めにして止める。かつてハーディ様の護衛騎士だったトーマスは現在お義父様を補佐する仕事をしている。
「お待ちください父上!」
そこへ部屋で休んでいたはずのハーディ様がバタンとドアを開け飛び込んできた。
「私から誘惑したのです!ジュディスは何も悪くありません」
「何だと!?」
お義父様から庇うように俺の肩を抱くハーディ様は、昨日と同じネイビーの厚手のガウンを羽織っている。昨日はこのガウンの下に裸がほとんど丸見えのシースルーの白いガウンを着ていて、それもノーパンだったから乳首どころかおチンチンまでスケスケだった。それで俺の理性がブッ飛んだ結果、エッチするに至ってしまったのである。
だが理性が飛んだわりにはギリギリで俺が避妊魔法を使えないことを思い出し、射精直前にハーディ様のナカからチンコを引き抜き腹や胸の上にぶっかけさせてもらったのだが『避妊魔法を掛けてあるから私の中で果ててほしかったのに』とハーディ様が可愛らしく拗ねるので更に理性が吹き飛び朝まで抱き潰してしまったのであった。くったりしてしまったハーディ様の様子で我に返った俺は、クリーン魔法で精液やらなにやらを綺麗にして、お疲れだろうと俺の部屋にそのまま寝かせておいたのである。
ハーディ様が部屋にご不在なことでメイドさんをパニックに陥れてはいけないと、朝イチでハーディ様が俺の部屋で寝ていらっしゃることをメイドさんに伝えたのだが、どうやら当主であるお義父様にはとっくにご報告がいっていた様だ。
ハーディ様は昨日と違って厚手のガウンの下にはシルクのシャツパジャマをお召しなのだが、首筋が俺のつけたキスマでどえらいことになっている。
「ハーディ様、その様な姿で部屋の外に出られては目に毒です。枕元に治癒のポーションと書き置きを残しておいたのですが」
「それには気付いていたが、せっかく君が付けてくれた痕を消したくなかったのだ」
「ハーディ様⋯!」
お義父様は「親の目の前でイチャイチャするな!」と怒鳴りながらも剣を鞘に収める。
「あの、お義父様。俺はお義父様の言いつけに背き昨夜ハーディ様を愛してしまいましたが、誓って固有魔法は使っておりません!ハーディ様が朝食の席に来られなかったのは俺が絶倫過ぎたからで」
「それ以上言わんでいい!ジュディス。お前はハーディと結婚するまでは騎士団の宿舎で暮らせ。平日は宿舎から貴族学校へ通い、週末だけは王都の屋敷に帰るのを許す」
「は!?どうしてですか!?せっかくハーディ様とラブラブ同棲生活が送れると思ったのに!!」
「そうです、あんまりです父上!!」
「黙れお前達。よいか、このジュディスのことだ。本体と同じく子種も常識外れに相違あるまい。いずれ避妊魔法を打ち破る可能性は捨てきれんだろう。このまま屋敷に置いておけば早晩ハーディが孕まされかねん」
それは有り得るかもしれない。ハーディ様もそう思ったのか黙ってしまわれた。
この世界、同性同士間の妊娠は魔力が絡むので孕んだ瞬間に判明する。昨夜のエッチでハーディ様は孕まなかったが、この先もそうとは限らない。何せエッチの終盤『ハーディ様っ。俺の子を孕んでくださいっ』とか言ってた記憶がおぼろげにある。俺の『孕ませたい』という強い意志が昨夜以上に振り切れてしまったら、きっと避妊魔法も打ち破ってしまうだろう。
「それになジュディス。騎士団の中に昨日の試合結果を疑う者もちらほら居るのだ。私が息子の為に手心を加えたのではないかとな。面倒なのでお前が直接行ってそいつらを黙らせろ。ついでに剣の稽古もして来い。おおそうだ、ちょうど今日から上のやつらがディストピア山に魔獣討伐に向かうので、お前も行ってプメプメの実を採って来るがよい」
◇◇◇◇
ハーディ様に手を出して即日、王宮騎士団の宿舎に放り込まれた俺は、数時間後には騎士団のおっさん達と共にディストピア山に居た。
プメプメの実の大豊作によって大繁殖した魔獣は、先発の高ランク冒険者チームの討伐によって麓の村に降りてくる個体はほとんど減ったそうがまだまだ多く、騎士団の中でも腕に覚えのある者が志願して2泊3日の討伐キャンプに行くことになっており、俺もお義父様の一存で学校を休んで参加させられている。学生しながら騎士団でバイトするインターン生活の幕開けである。
初対面では『腕っぷしの弱い下っ端が行っても死人と怪我人がムダに出るだけだからな!』と言って団長含む5人のマッチョなイケオジ達がキャッキャウフフしながら俺を迎え入れてくれた。おっさん連中が何でウキウキなのかと言うと、討伐した魔獣や採取したプメプメの実は全て個人で貰えることになっているからだ。今更の説明だがプメプメの実は前世のアセロラとほぼ同じ見た目をしている。
「娼館のお気にに通いまくるぜ」とか「孫ちゃんにプメプメの実食べさせてあげよ♡」とはしゃぐおっさん達は、さながらゴルフに行く前のテンションだ。俺は逆アナルの件でイビリにイビられるもんだとばかり思っていたので拍子抜けした。後から知ったが俺に物申したいのは試合を観なかった事務方の偉いさんばかりらしい。
「よお、お前が噂のハースティーんとこの婿だな。今日はよろしく頼むぜ!」と気さくに肩を叩いてきたイケオジの1人に「お前が負けたらハースティーの息子を妾に貰うの立候補しようと思ってたのに残念だぜ!ハースティーがガチノンケだから激似の息子が入団するの楽しみにしてたのにな~。腹いせにお前を騎士団でみっちりシゴいてやるからな!」と冗談まじりに言われた。
卒業後は俺がハーディ様の代わりに騎士団に入り、ハーディ様は代官に付いて領地経営の勉強をすることになっている。以前の予定のままハーディ様が騎士団に入団しなくて本当に良かったと思った。
◇◇◇◇
2泊3日の討伐キャンプも無事終わり、残りの2日を騎士団宿舎と学校を往復した後は、いよいよ待ちに待った週末である。ハーディ様とは学校の休憩時間やランチタイムに大っぴらにイチャイチャしているが、相思相愛の俺達にはそれだけでは全然足りない。宿舎の部屋に置いてある荷物を片っぱしからマジックバッグに投げ込み意気揚々とドアを開けると、ドアの前にディストピア山に一緒に行ったイケオジの1人が俺を待ち構えていた。
「よう、ジュディス。今からうちの隊が中央湿地近くに出た地竜の討伐に行くんだが、怪我で欠員が出ててメンツがちぃと不安でな。悪ぃが1泊2日でバイトに来てくれねえか?特別手当は弾むからよ!」
と、問答無用で俺の襟首をつかみ連行しようとする。
「は!?ちょ、勘弁してくださいよ!俺これから婚約者とラブラブな週末過ごす予定なのにっ」
「ウンウン。それが下っ端の悲しいところだよな!俺も覚えあるわ!」
「くっ⋯こうなったら日帰りで終わらすしかねえっ」
「いやあ。頼もしい新人だなあ」
⋯そんな感じで週末にハーディ様の待つ王都の伯爵邸に帰れるのは良くて月に1~2回という悲しき生活は、俺とハーディ様が学校を卒業して実際に結婚するまで続いたのである。
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