前世タチだった悪役令息はできれば攻役をネコにしたい

しそみょうが

文字の大きさ
25 / 28

25 悲しきインターン生活


翌日の朝食は俺とお義父様とお義母様の3人だった。


「ハーディはどうしたのだジュディス」

「お身体の調子が優れぬそうでお休みされています」

「あら、それは心配だわ。滅多に風邪もひかない子ですのに。あとで皆でお見舞いに行きましょうか」

「いくら調子が良いとは言え無理は禁物だぞシュゼット。息子の様子は私が見てこよう。ジュディス、朝食後に私の執務室に来なさい。少し話がある」

「はい、お義父様」



朝食後。
執務室に入るとすぐ、お義父様は怒鳴りながら俺に斬りかかってきた。

「この大馬鹿者が!!何が『大船に乗った気でいてください』だ!!舌の根も乾かぬ内にっ」

「いきなり何をなさるんですか。あっ。俺の部屋着がっ」

ハーディ様を残して逝くわけにいかない俺はお義父様の剣を躱したのだが、何太刀か目で部屋着にしているシャツの襟元を切り裂かれてしまった。

「ジュディスよ。お前の純潔を証明する、例のペンダントはどうしたのだ?」

喉元に剣の切っ先を突き付けられる。

「えへ」

俺とハーディ様がエッチしてしまったのがバレている。
憤怒の形相で再び斬り掛かろうとするお義父様を、トーマスが「落ち着いてくださいハースティー様」と後ろから羽交い締めにして止める。かつてハーディ様の護衛騎士だったトーマスは現在お義父様を補佐する仕事をしている。

「お待ちください父上!」 

そこへ部屋で休んでいたはずのハーディ様がバタンとドアを開け飛び込んできた。

「私から誘惑したのです!ジュディスは何も悪くありません」

「何だと!?」

お義父様から庇うように俺の肩を抱くハーディ様は、昨日と同じネイビーの厚手のガウンを羽織っている。昨日はこのガウンの下に裸がほとんど丸見えのシースルーの白いガウンを着ていて、それもノーパンだったから乳首どころかおチンチンまでスケスケだった。それで俺の理性がブッ飛んだ結果、エッチするに至ってしまったのである。

だが理性が飛んだわりにはギリギリで俺が避妊魔法を使えないことを思い出し、射精直前にハーディ様のナカからチンコを引き抜き腹や胸の上にぶっかけさせてもらったのだが『避妊魔法を掛けてあるから私の中で果ててほしかったのに』とハーディ様が可愛らしく拗ねるので更に理性が吹き飛び朝まで抱き潰してしまったのであった。くったりしてしまったハーディ様の様子で我に返った俺は、クリーン魔法で精液やらなにやらを綺麗にして、お疲れだろうと俺の部屋にそのまま寝かせておいたのである。

ハーディ様が部屋にご不在なことでメイドさんをパニックに陥れてはいけないと、朝イチでハーディ様が俺の部屋で寝ていらっしゃることをメイドさんに伝えたのだが、どうやら当主であるお義父様にはとっくにご報告がいっていた様だ。

ハーディ様は昨日と違って厚手のガウンの下にはシルクのシャツパジャマをお召しなのだが、首筋が俺のつけたキスマでどえらいことになっている。

「ハーディ様、その様な姿で部屋の外に出られては目に毒です。枕元に治癒のポーションと書き置きを残しておいたのですが」

「それには気付いていたが、せっかく君が付けてくれた痕を消したくなかったのだ」 

「ハーディ様⋯!」

お義父様は「親の目の前でイチャイチャするな!」と怒鳴りながらも剣を鞘に収める。 

 「あの、お義父様。俺はお義父様の言いつけに背き昨夜ハーディ様を愛してしまいましたが、誓って固有魔法は使っておりません!ハーディ様が朝食の席に来られなかったのは俺が絶倫過ぎたからで」

「それ以上言わんでいい!ジュディス。お前はハーディと結婚するまでは騎士団の宿舎で暮らせ。平日は宿舎から貴族学校へ通い、週末だけは王都の屋敷に帰るのを許す」 

「は!?どうしてですか!?せっかくハーディ様とラブラブ同棲生活が送れると思ったのに!!」

「そうです、あんまりです父上!!」

「黙れお前達。よいか、このジュディスのことだ。本体と同じく子種も常識外れに相違あるまい。いずれ避妊魔法を打ち破る可能性は捨てきれんだろう。このまま屋敷に置いておけば早晩ハーディが孕まされかねん」

それは有り得るかもしれない。ハーディ様もそう思ったのか黙ってしまわれた。

この世界、同性同士間の妊娠は魔力が絡むので孕んだ瞬間に判明する。昨夜のエッチでハーディ様は孕まなかったが、この先もそうとは限らない。何せエッチの終盤『ハーディ様っ。俺の子を孕んでくださいっ』とか言ってた記憶がおぼろげにある。俺の『孕ませたい』という強い意志が昨夜以上に振り切れてしまったら、きっと避妊魔法も打ち破ってしまうだろう。

「それになジュディス。騎士団の中に昨日の試合結果を疑う者もちらほら居るのだ。私が息子の為に手心を加えたのではないかとな。面倒なのでお前が直接行ってそいつらを黙らせろ。ついでに剣の稽古もして来い。おおそうだ、ちょうど今日から上のやつらがディストピア山に魔獣討伐に向かうので、お前も行ってプメプメの実を採って来るがよい」


◇◇◇◇


ハーディ様に手を出して即日、王宮騎士団の宿舎に放り込まれた俺は、数時間後には騎士団のおっさん達と共にディストピア山に居た。

プメプメの実の大豊作によって大繁殖した魔獣は、先発の高ランク冒険者チームの討伐によって麓の村に降りてくる個体はほとんど減ったそうがまだまだ多く、騎士団の中でも腕に覚えのある者が志願して2泊3日の討伐キャンプに行くことになっており、俺もお義父様の一存で学校を休んで参加させられている。学生しながら騎士団でバイトするインターン生活の幕開けである。

初対面では『腕っぷしの弱い下っ端が行っても死人と怪我人がムダに出るだけだからな!』と言って団長含む5人のマッチョなイケオジ達がキャッキャウフフしながら俺を迎え入れてくれた。おっさん連中が何でウキウキなのかと言うと、討伐した魔獣や採取したプメプメの実は全て個人で貰えることになっているからだ。今更の説明だがプメプメの実は前世のアセロラとほぼ同じ見た目をしている。

「娼館のお気にに通いまくるぜ」とか「孫ちゃんにプメプメの実食べさせてあげよ♡」とはしゃぐおっさん達は、さながらゴルフに行く前のテンションだ。俺は逆アナルの件でイビリにイビられるもんだとばかり思っていたので拍子抜けした。後から知ったが俺に物申したいのは試合を観なかった事務方の偉いさんばかりらしい。

「よお、お前が噂のハースティーんとこの婿だな。今日はよろしく頼むぜ!」と気さくに肩を叩いてきたイケオジの1人に「お前が負けたらハースティーの息子を妾に貰うの立候補しようと思ってたのに残念だぜ!ハースティーがガチノンケだから激似の息子が入団するの楽しみにしてたのにな~。腹いせにお前を騎士団でみっちりシゴいてやるからな!」と冗談まじりに言われた。

卒業後は俺がハーディ様の代わりに騎士団に入り、ハーディ様は代官に付いて領地経営の勉強をすることになっている。以前の予定のままハーディ様が騎士団に入団しなくて本当に良かったと思った。


◇◇◇◇


2泊3日の討伐キャンプも無事終わり、残りの2日を騎士団宿舎と学校を往復した後は、いよいよ待ちに待った週末である。ハーディ様とは学校の休憩時間やランチタイムに大っぴらにイチャイチャしているが、相思相愛の俺達にはそれだけでは全然足りない。宿舎の部屋に置いてある荷物を片っぱしからマジックバッグに投げ込み意気揚々とドアを開けると、ドアの前にディストピア山に一緒に行ったイケオジの1人が俺を待ち構えていた。

「よう、ジュディス。今からうちの隊が中央湿地近くに出た地竜の討伐に行くんだが、怪我で欠員が出ててメンツがちぃと不安でな。悪ぃが1泊2日でバイトに来てくれねえか?特別手当は弾むからよ!」

と、問答無用で俺の襟首をつかみ連行しようとする。

「は!?ちょ、勘弁してくださいよ!俺これから婚約者とラブラブな週末過ごす予定なのにっ」

「ウンウン。それが下っ端の悲しいところだよな!俺も覚えあるわ!」

「くっ⋯こうなったら日帰りで終わらすしかねえっ」

「いやあ。頼もしい新人だなあ」


⋯そんな感じで週末にハーディ様の待つ王都の伯爵邸に帰れるのは良くて月に1~2回という悲しき生活は、俺とハーディ様が学校を卒業して実際に結婚するまで続いたのである。



あなたにおすすめの小説

ミリしら作品の悪役令息に転生した。BL作品なんて聞いてない!

宵のうさぎ
BL
 転生したけど、オタク御用達の青い店でポスターか店頭販促動画か何かで見たことがあるだけのミリしら作品の世界だった。  記憶が確かならば、ポスターの立ち位置からしてたぶん自分は悪役キャラっぽい。  内容は全然知らないけど、死んだりするのも嫌なので目立たないように生きていたのに、パーティーでなぜか断罪が始まった。  え、ここBL作品の世界なの!?  もしかしたら続けるかも  続いたら、原作受け(スパダリ/ソフトヤンデレ)×原作悪役(主人公)です  BL習作なのであたたかい目で見てください

α主人公の友人モブαのはずが、なぜか俺が迫られている。

宵のうさぎ
BL
 異世界に転生したと思ったら、オメガバースの世界でした。  しかも、どうやらここは前世の姉ちゃんが読んでいたBL漫画の世界らしい。  漫画の主人公であるハイスぺアルファ・レオンの友人モブアルファ・カイルとして過ごしていたはずなのに、なぜか俺が迫られている。 「カイル、君の為なら僕は全てを捨てられる」  え、後天的Ω?ビッチング!? 「カイル、僕を君のオメガにしてくれ」  この小説は主人公攻め、受けのビッチング(後天的Ω)の要素が含まれていますのでご注意を!  騎士団長子息モブアルファ×原作主人公アルファ(後天的Ωになる)

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

BLゲームの主人公に憑依した弟×悪役令息兄

笹井凩
BL
「BLゲーの主人公に憑依したら、悪役令息の兄が不器用すぎてメロかった」……になる予定の第一話のようなものです。 復讐不向きな主人公×ツンツンクーデレな兄ちゃん 彼氏に遊ばれまくってきた主人公が彼氏の遊び相手に殺され、転生後、今度こそ性格が終わっている男共を粛清してやろうとするのに、情が湧いてなかなか上手くいかない。 そんな中、ゲームキャラで一番嫌いであったはずのゲスい悪役令息、今生では兄に当たる男ファルトの本性を知って愛情が芽生えてしまい——。 となるアレです。性癖。 何より、対人関係に恵まれなかったせいで歪んだ愛情を求め、与えてしまう二人が非常に好きなんですよね。 本当は義理の兄弟とかにしたほうが倫理観からすると良いのでしょうが、本能には抗えませんでした。 今日までの短編公募に間に合わなかったため供養。 プロットはあるので、ご好評でしたら続きも載せたいなと思っております。 性癖の近しい方に刺されば、非常に嬉しいです。 いいね、ご感想大変励みになります。ありがとうございます。