転移先は勇者と呼ばれた男のもとだった。

桜花龍炎舞

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第一章【愛情の形】

10話 ハーフエルフ

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 ネズヤン視点

 ワテはネズヤン!

 情報収集、密偵はワテの右にでるもんはおらん。

 なぜならワテはネズミの王。

 街のネズミ達の見るもの全てがワテには見える。

 そしてネズミ族ならばワテはどいつでも念話することができるんや!

「街ネズミ共よ!我が同胞共よ!赤目褐色肌の少年を見かけた者はいるか?わが問いに答えよ!」

 目を瞑り念話に耳を傾ける。

「見つけたで!!」

 急足で現場へ向かう。

 そして現場で見た光景は戸惑いのあまり思考が停止するものだった。

 「こ、これはどう言うこっちゃ」

 現場には血が飛び散り、悪党どもが次々と亜空間の中に放り込まれていく。

 そしてそれをやっていのはカンディだった。

 ネズヤンの記憶でのカンディはもっと小さく、泣きじゃくる子供のイメージだったが、今のカンディはまるで、

 かつての魔王を想像させるような雰囲気を持っていた。

 唖然とその光景をみていると、カンディと目があった。

 その事にネズヤンは驚いた。

 何故ならネズヤンは隠密にかけて、魔族の中では群を抜く実力者であり、そのステルス能力は他を横にたたせぬ実力。

 確かに唖然と呆けてはいたが、そのステルス効果は絶対だったはず。

 それがいとも簡単に見つかったのだから驚かない訳がなかった。

「ん?あれ?ネズヤンじゃねぇーかよ。久しぶりだなぁ!なんでこんな所にいんだ?」

「なんでもこうも、あんさんがおらんなってしもたからラルフはんに探せ言われて来たんですがな!」

「あ、そういや攫われたんだった。」

 テヘっと笑うカンディにはもう先程の魔王を感じさせる姿はなく、当時の無邪気な子供に戻っていた。

 さっきのは気のせいやったんやろか?とホッと胸を撫で下ろすネズヤンは視線を感じて子供達のほうへと目を向ける。

「ね、ネズミが喋ってる!?」

 白髪の少年アイルである。

「ほう。ハーフエルフですがな。こら珍しい。」

 その言葉にカンディが目をキラキラさせてくいつく。

「ハーフエルフ!やっぱりアイルはエルフだったんだ!」

「な、なんだよ。」と警戒を強めるアイル。

 その様子にカンディは首を傾げる。

「え?なんで悪いの?」

「まぁその少年の反応は普通ですやろな。」

「どう言う事だよ?」

「エルフ族は昔からその容姿がいい為、人間族に性の吐口として捉えられたり、酷い目にあったりしてましてなぁ。
 今でこそ取り決めの法律が厳しなってるけども裏稼業では未だに売買されて高値がつくのでこうして捉えられたりもあるみたいです。
 よってにハーフエルフやエルフにとって人族にあんま良え印象はないんですわ。
 世の中の闇ですな。」

「そうなのか。なぁアイル。あって早々に言うのもなんだが俺は女のオッパイにしか興味のない生粋なる男だ。安心してくれていい。」

 歯を輝かせ親指をたてる。

「馬鹿かお前。」

 アイルもネズヤンも唖然とした表情でかなり残念な者を見る顔をした。

「ん?何か変な事いったのか?」

「カンディはん。いくらなんでもそらあきまへんわ。これ以上はドツボにハマるよってに喋らんほうが宜しいです。」

 一回この空気を切り替えるべく、ネズヤンは話題を変える。

「それにしても、カンディはんを捕まえるやなんて、なかなかでけへん事ですやろ?どないして捕まりはったんでっか?」

 カンディは腕を組み思いだすように天位を見上げる。

「たしか甘い匂いがして、そのまま。んで起きたらここだった。」

「ふむ。そない一瞬で眠らせるようなもんが‥甘い匂い。」

ネズヤンはピョンと跳ねた髭をなでて考えて、ピンと髭を跳ねさせる。

「何か心あたりがあるのか?」

「えぇ、ちょっとこの事件キナくさいですわ。カンディはん、すみませんけどワテはちょっと用事できたんで、代わりに同胞ネズミがラルフはんの所まで案内してもらいますわ。」

「他の子達はどうすればいい?」

「とりあえずの事情は召喚者のラルフはんに念話で伝えときますんで、それで後は何とかしてくれはる思います」

「了解。」

「ほな、後ほど」

 そう言ってネズヤンは1匹のネズミを置いて走って行った。

「さて、そういう訳で皆さん。俺についてきてくれ。ここから出してやるよ。」

 そう言うと皆、顔を明るくさせたがアイルだけは未だ警戒を解く気配がない。

 「ほ、本当に大丈夫なんだろうな?」

 「疑りやさんだな。まぁここにいたいなら好きにすりゃいいんじゃね。」

「くっ。わ、わかった。付いてくよ」

 こうしてネズミの案内でラルフの元へと向かう事となった。





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