異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞

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馬鹿野郎!!

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「みぃーつけた。」

全身の毛が逆立つ。

奴だ。忘れるわけがない。

気味の悪い子供(バルス)と、その悪魔。

恐怖が胸を締め付ける。動揺する俺とは違って、ホーリーが真っ先に動いた。

「悪魔め! 今すぐに立ち去れ! ホーリー・ランス!」

輝く光のランスが悪魔へ向かって飛んでいく。しかし、悪魔が手を払うと、ランスはその手前で打ち消された。

「フン。所詮たかが精霊。契約者なしではこの程度か。」

「何を貴様──!!」とホーリーが叫ぶ。だがシャドーがホーリーを制した。

「よせ! ホーリー!」

バルスはニヤリと笑いながら、シャドーの問いかけに答える。

「ほう。利口な判断ではないか、シャドーよ。」

シャドーは悪魔へ視線を戻す。問いを投げるように言葉を紡いだ。

「何様でここに立ち入った?」

バルスはくくく、と笑って言った。

「最悪因子の消滅だよ。」

「最悪因子だと?」

「そうだよ。そこのガキだ!」

バルスが、いきなり俺を指差す。

咄嗟に俺は後ろに振り返る。が、誰もいない。

「いや! テメェだよ!!」

俺か!?いや、わかってたけど!

「な、なんで俺なんだ?」

「ちっ、ふざけた野郎だ。ヴァルゼイン、こんな奴が本当に使徒なのか?」

「間違いない。現に神の干渉を受けたのを目の当たりにしただろう。」

「ふん。まぁいいや。消すのには変わりはない。やってやれ」

「御意。」

ヴァルゼインがこちらへ手を向けると、空間が伸縮しはじめた。キュインキュインと危ない音が鳴り響く。

くっ、なんだこれ──。

身体中から汗が噴き出す。

足から根っこが生えたみたいに体が硬直して動かない?

 ビビってるのか? なんで?どんな相手でも平気だったはずなのに。

声を出そうとしても、喉に何かがつかえて言葉が出ない。

「死ね——」

ピュイン――――! 圧縮された赤い閃光が放たれる。そして次の瞬間、ドンッと体が突き飛ばされた。

「なっ!?」

その閃光は俺の目前で、プータンを貫いていた。

「プータン!!」

「おいおい、なんだ外してんじゃねぇかよ、ヴァルゼイン」

「余計な邪魔を──」

頭が真っ白になった。プータン? どうして──。

慌ててプータンに駆け寄ると、プータンの体には大きな穴が空いていた。けれど俺を見ると、プータンはにやっと笑った。

「び…ビビってんじゃねーよ。いつもの調子はどうしたどか?」

「おいおいおい! 何してんだよ! クソ!」

頭をかきむしる俺に、プータンはまたニヤリとする。

「じ…自分でもわからんど。けど、悪くないんだど」

「馬鹿野郎! 今すぐ治療してやる!」

俺は必死にプータンへ光を注ぎ込む。

「ブブブ。な‥何慌ててやがるど? どうせこの傷ど、‥どんな魔法でも手遅れど。やめるど」

「黙れ!」

治癒魔法をかける。するとプータンの傷口から治癒魔法に呼応するように血がさらに溢れ出した。

「くそ!! くそ!!血がとまんねぇ!!馬鹿! 馬鹿野郎!!」

プータンは荒い息をしながら、震える声で言った。

「はぁ、はぁ。オデは‥生まれてからずっと一人だったど。け、けど、お前と会って、お前の仲間がいて‥楽しかったんだど。だからお前には──」

プータンの言葉を遮るようにパチパチパチと、バルスが手を叩いた。

「あのさぁ。感動の瞬間、申し訳ないんだけどぉ。僕、興味ないんだよね。仲間ごっこ? クソだな。どっちにしろここにいる奴ら全員、消す予定なんだよ。二番目が一番になっただけ。無駄死にだよ。キャハハ! さぁ、死ぬ時間だ! じゃあね、使徒ちゃん。」

バルスが指先からレーザーを放つ。

ビュイン!!

「うるせぇ!」

俺は体から魔力を放ち、レーザーを粉々に散らした。バルスは驚愕の表情を見せる。

「な、なんだと!?」

煽るような視線を無視して、俺はさらに魔力を大きく溜め、全力でプータンに流し込む。

「なおれぇぇぇぇ!!!!!!!」

ジュワァァァ──。プータンの細胞が沸き立ち、みるみると再生していく。

 そして傷口は見事塞がり治癒は完了した。

「ば、バカな!! あの傷が治っただと!?」

バルスや悪魔、ホーリー、シャドー、ジン──皆の顔に驚愕が走る。

プータンは治ったのに、どこか複雑な表情で黙っていた。

「はぁ、はぁ。やってやったぜ! さすが俺! なはははは! ようプータン! まだ死ぬには早いだろ?」

「お、おう」

「何その反応? 嬉しくないの?」

「い、いや、嬉しいんだどが…」

「くくく。なんだよ、ありがとうでも言いたいのか?」

「だ! 誰が言うどか!!! 寝言は寝てから言うど!」

俺らのやりとりにバルスが額に青筋を立てる。

「くそ! バカにしやがって。テメェら俺を舐めんじゃねぇぞ!!」

バルスが悪魔から離れると、黒いオーラを解き放つ。

 風が舞い、肌に冷たい痛みを走らせる。そしてホーリーの光のドームが軋み、バリンと砕け散る。

 威圧が俺を指すが、

不思議と、俺はそれを冷静に見つめていた。

 我ながら本当に情け無い。

 家族や仲間が窮地に陥らなければ動けないなんてな。

 俺は鉾を肩に担ぎ、イキってみせる。

「よう。癇癪ボーイ。お仕置きの時間だぜ。」

 
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感想 71

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みんなの感想(71件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

2021.08.27 桜花龍炎舞

数ある作品の中、目を通して頂き有難うございます^_^
少しでも暇つぶしになれば嬉しく思いますのでお付き合い頂ければと思います。^_^

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koroteri
2020.01.12 koroteri

楽しく拝見させていただいてます。お忙しいとは思いますが、作品の更新を楽しみに待っていますのでよろしくお願いします。

2020.01.16 桜花龍炎舞

いつも見て頂きありがとうございます。

今週中に書きます!!

楽しみに待って頂けたらとても嬉しく思います!^_^

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セトリト
2019.11.23 セトリト

瑠璃丸、美少女ですけれど主人公に懐いてくれないのかあ……
けれど、これでランスが邪竜討伐軍の一員で、どの剣を持つ事になるのか分かって、凄く嬉しいです。
更新待ってます(^_^)

2019.11.26 桜花龍炎舞

気まぐれな更新に付き合って頂きまず感謝します!

これからも書いていきますので気長に見て下さると嬉しいです^_^

頑張ります!

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