異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞

文字の大きさ
41 / 69

【魔導騎士団長】

しおりを挟む
「ファイヤーボール!!」

「リフレクション!!」

 ボガァァア!!!!

衝撃で砂煙が舞い上がる。

 それを横目で見る一人の女性、いや、少女がいた。

 その少女の年齢は12~3ぐらいだろうか?
 髪は綺麗なオレンジ色をし、ショートカットがとても似合っている。また、肌は純白で特徴的な尖った耳をもっている。一見するとエルフの様にも見えるが確実に違うものが頭から生えている。

 それは触覚だ。

 頭から一本の触覚がヌーンと伸び出ていて、その先端にモフモフとした小さき毛玉のようなボールがくっ付いている。

 あれは確かフェアリーという種族だ。

 フェアリーは、20代前後で急に老が止まるエルフと比べてフェアリーは12~3ぐらいの見た目で止まる。

 また聴覚、視覚においてはエルフに少し劣るが、援護魔法を得意とするエルフとは真逆の攻撃魔法を得意とする者が多く、またエルフより数段高い魔力を持つ者が多いって本に書いてあったっけ。

 大まかに魔力の基本地が高いとされる順で言えば下から人間、エルフ、フェアリー、魔族といった感じだ。

 他にも種族はいて個々の差もあるが平均的の順位付けによればこうなるらしい。

 ってよりも、あの子メチャクチャ眠たそうな表情してるな。

 「で、その魔法騎士団長とやらはどこに?」

 俺がシスカに聞くと、「あのオレンジ色の髪をした人がカルラよ。」

 うぇ!?マジか!あれが魔法剣騎士団長!?

 てっきりもっと凛々しい方を想像していた俺としてはビックリだった。

 それに何度も言うけどメチャクチャ眠たそうだし!

 そんな事を思いながら訓練の様子を遠目で見ていると、オレンジ色の髪をしたフェアリー、もとい魔法剣騎士団長カルラが此方に気づいたようで歩み寄ってきた。

 そしてシスカの前で片膝をつき軽く頭を下げた。

「シスカ様。‥どうも‥」

 「カルラ。それはやめてっていったのに!」

 シスカは頬を膨らませる。

「そ、‥だね。だけど、‥。」

 カルラが此方を気にする様に視線を向ける。

「え、えと、ハル・フォン・エステードでつ。よろちく。」

「‥。」

 ジー‥。

 え?な、何?

「!!?」

 急に勢いよく目を見開くカルラ。

 な、何だぁ!?

「凄い‥魔力量。貴方はいったい‥。」

「流石はカルラね。ハルはね私のライトニングスマッシュさえも受け止めてみせたのよ。」

 「な‥凄い‥。じゃぁ‥私の魔法も受けてみて。」

 ん?今なんて?

 カルラはいきなり立ち上がると、急にシスカを押しのけ俺にむけて詠唱を唱える。

「【フレアボール】!!」

 ファイヤーボールをさらに5倍程強化した炎の玉が俺に放たれた。

 咄嗟の判断でマジックバリアを正面に張りフレアボールを受けとめたが、気付いた時には俺の首ギリギリの所で止められたレイピアの切っ先があった。

「不意をついた魔法に反応したのは褒めるに値するけど、魔法以外は‥ダメ‥だね。」

 カルラはそう言ってチャキンと音を鳴らし、レイピアを腰の鞘に納めるとドヤ顔をした。

「ってアホかぁ!!!死ぬでちょうが!!」

 俺はいきり立つとカルラが俺の顔をヌッと覗き込む。

 こ、今度はなんだぁ?と眉間を顰めるとカルラは急にニッコリと笑顔を作り俺を抱きしめた。

  そして俺の耳元で「いいこ、いいこ」と優しく囁き俺の頭を撫でる。

  何じゃこいつは!?謎すぎる!!

 け、けど‥

 やはり女の子。頬に当たるカルラの肌もとても柔らかく、そしてほのかに香る甘い匂い。

 意識が遠のきそうになる。

 って待てい!!俺はそんなに安かねぇぞ!!ましてや相手は子供!と意識を立て直した瞬間、隣にいたシスカが目に映る。

 シスカは静かに壁に立て掛けられた剣を抜き取り振り上げる。

 え?その小さな体でそんな物を持てるんですか?ってか何故に私に向けるの?

 そしてそのまま剣は振り落とされる。

 カルラが気づき、俺を素早く離し剣を躱す。

そして躱した剣はガンッ!と地面に亀裂をつくった。

「あら?私、今何を‥?」

 惚けた様にシスカが慌てだす。

 化け物か!!!

 これが魔法剣騎士団長カルラとの出会いであった。

  それから暫くカルラとシスカ、3人でたわいも無い話をしていると、何故かカルラに気に入られ週一回はここに訓練に来る様に指示された。

 週一回なんて俺の領土からじゃあり得ないから無理と言おうとした時、シスカがある事に気付いた。

「そういえばハルはいったい何でここまできたの?急に来たとかってメイドから聞いたんだけど、それに馬車も無いみたいだし。」

 うっ。鋭い。

 シスカとカルラの視線が俺に注目する。

 誤魔化しても仕方ないか。

「て、テレポートできまちた。」

 「「テレポート!!?」」

 シスカは驚きカルラも眠たそうな目がビックリするぐらい大きく見開いた。

「テレポートって古代魔法よ!?もう使える人は居ないって聞いていたのに。」

「まぁ、なんというか出来てしまったので‥。」

 そう言って苦笑いしながら答えると2人はポカンと口を開けて固まっていた。

 ちょこっと興味本位で覗くだけと思っていたが思惑とは違い妙な展開になってきたので、ここは一時撤退を試みる。

「と、言うわけでそろそろ食事ができた頃かもしれないから父さんの所にもどるよ。じゃ。」と、踵を返すように後ろへ振り向くと肩にガシッとカルラの手が乗せられた。

いや、乗せられたと言うよりも捕らえられたと言うべきだろう。

「なら、毎週これる‥よね?それにまだ幼稚園も行ってない。ってことは‥暇‥な筈。」

 スボシ!

 確かに暇っちゃ暇です。

  なかなか痛いところをお付きですな。

 しかし!!暇と一括りにするのはどうだろうか!俺は俺なりに時間を費やし日々の時間を有効に使っているつもりだ。

 巨乳のメイドに時たま抱っこしてもらったり、膝枕で寝たりする時もあるが俺が決してそうしたいと望んだわけでは無くメイドがやりたいと言うからやっているだけだ!

 いわばサービスなのだ!そう!神聖なるサービス精神があるからこそその時間はとても大切なのである!!!

 と、言う訳でここはすんなり諦めてもらおう。

 そう思い言葉を出そうとすると、シスカが先に言葉を発した。

「そうよカルラ!それはとてもいい提案だわ。そうね、それなら曜日を決めなきゃだけど、、」

「シスカの休み‥に合わせればいい。」

「そうよ!そうしましょ!早速お父様に相談してくるわ!」

 シスカは強引に俺を引き連れ訓練場から出ることとなった。


〇〇


 「はっはっは!カルラに気に入られたか!彼奴は魔法だけでなく剣も一流だからな。教えを請うにはもってこいの人物だぞ。」

 晩餐室で食事を囲みながら王が高らかに笑う。

「ハル。それは凄い事だ。家にずっといるのも退屈だろうし是非お願いするといいよ。」

 父さんも乗り気の様で、俺の意を反する展開になった。

 最早ここまでか。

 こうしてその日以来、俺は毎週この王都にてカルラの訓練を受けるという習い事が出来てしまったのだ。

 俺は暇ではない!!

  


 
 
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...