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【フェアリー王国】

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 フェアリー王国に辿りついた。

 途中結界の張ってある迷いの森があったが、カルラの案内のもと、すんなりと入る事ができた。

 そして入った先の光景はとても神秘的な場所だった。

 空には淡色の青やピンクの綿菓子みたいな大きな丸い雲がフワフワと浮いている。

 また家々は大きな樹木と一体となっており、フェアリー族達は高い所を住居としているようだ。

 そしてその木々の下層には見渡す限りの花々が咲き誇り、カルラと同い年ぐらいの子供達、いや大人なのかもしれないロリやショタを思わす可愛らしいフェアリー達がせっせと美味しそうな果実を成す木々の手入れをしている。

 昔からそうだけど、俺って木に付いてる実を見るとテンション上がるんだよな。

 わ!実がなってる!!すげぇ!!!って感じで。

 別に分かってもらえなくてもいいけど何かの本で、日常に溢れる風景であったり、物でもいいけど、自分の気持ちが一気に高揚する何かを持つ事はとてもメディカル的にいいらしい。

 俺にとっての【実】はソレだ。

 皆んなも是非日常の風景の中で何かに一度目を向けてみるといいかもよ。

 と、まぁこの話は置いといて、その家となった木々や、花々が咲き誇る畑を抜けると一際大きな樹がそびえ立つ。

 その高さを例えるならば20階建ぐらいのマンションぐらいで、その樹からはピンク色の花が満開に咲き誇り感嘆の声を漏らすほどだ。

 ってアレ?これって桜だ。

 馬鹿でかい桜の木だ。

 「ただいま。‥大樹。」

 カルラが懐かしそうに桜を見上げそういうと、フワっとカルラを迎えるかの様に桜の花びらが風で舞ったように見えた。

  何というか神秘的だよな。

 隣を見れば

「わぁ。こんなにも綺麗な光景が、あったなんて‥」モグモグ。

 さっきまでの放心状態は何処へやら、シスカはその光景に高揚し感嘆していた。

「うん。とっても綺麗だ。」モグ。

 俺も目を輝かせ桜を見上げると、シスカが俺を見て頬を染める。

 モグモグモグモグ。

 さっきから後ろ側から聞こえるこの音は何?

 妙な音につられて後ろを振り向くと、プーたんと黒曜丸が果実をガツガツと頬張り取り合っていた。

「あっ!それは俺様のだど!!モグモグ」

「愚か者!!これは我のじゃ!そこらじゅうにあるではないか!!ガツガツ!」

 「ってか何勝手に食ってんの!!お前らのせいで雰囲気が台無しだよ!この光景に何も思わないのかよ!?」

「ふっ、ハルよ!光景では腹は満たされん。」

 顔を片手で覆い隠しキメポーズを取る黒曜丸。

「ほう。珍しく意見が合うど。」

 プーたんも何故かキメポーズを取り、広角をニヤリと上げる。

 何だこいつら?仲良しか!?

 

 そんなこんなで桜の木の下に辿りつくと、大きな蔓が巻き上がって出来た門らしき物の前に幼き男の子が2人立っていた。

 恐らくカルラと同じく子供に見えても立派な大人のフェアリー族で門番なのだろう。

 その証拠にカルラと色は違うが頭から先端に毛玉がついた触覚を生やしている。

 カルラが門番に近づくと、門番2人はカルラを見るなり目がひっくり返る様に慌てて片膝をついた。

「な!?か、カルラ様!!?」

 その慌てようを見ても動じず「やっ!」と、カルラは軽く片手を上げる。

「ちょ、やっ!ではありませんよ!?カルラ様が帰ってくるという言伝は上から聞いていませんでしたよ!?カルラ様どうしてここに!?」

「ちょっと‥ね‥。伝説の4刀の内の一振りを手にした者を連れてきたんだ。」

「な!?なな、なんと!!?それは一大事です!して、その刀を抜いた人物と言うお方はどこに?」

 カルラが俺に視線を向ける。

「ま、まさかこのまだ幼い童が!?」

 童!?まぁ確かにそうだけど、貴方達も人間界じゃ子供にしか見えませんよ?

 驚く門番にカルラが無言で頷くと、門番は慌ててもう1人の門番に言う。

「おい!急ぎ門を開くぞ!」

 1人の門番がそう言うと、もう1人の門番が頷き、2人は左右に設置された水晶に手をかざす。

 するとギギギ、ギギギと植物のツルが動きはじめ、通路が開かれた。

 この世界に来て、一番ファンタジー感溢れる瞬間に俺は目を輝かせた。

そしてその通路を行くと、桜の幹に突き当たる。

 近くにくると、その大きさが更に凄みを増す。

 感想は1つ。

 なんと素晴らしい!!

 そしてそこにも左右対称に水晶がはめ込まれており、門番が触れると根の一部が向き上がり通路を作る。

「では皆様。私達はここで。引き続き門番がありますので。」

 門番の1人が言う。

「カルラ様はご存知ですが、この先は一本道で、抜けると広場があります。そこでまた案内役がおりますので、其奴が誘導します。」

「わかったよ。」

 
 門番達を後にし中に入ると、そこはぼんやりと青白い光が辺りを照らす場所だった。

「ほう。灯り苔か。」

 関心するようにシスカに抱き抱えられたプーたんがそう言う。

「灯り苔?」

 シスカがクビを傾げるとカルラが答える。

「こういった大きな大樹には、聖なる大地のエネルギーが流れてる。そこに生える苔はそのエネルギーを吸うから淡く光る。」

「へぇ。すごーい。」

 
 それからしばらく奥に進むと開けた場所に出た。

 そしてその中央には、先程の灯り苔が沢山ついた半円形の機器的な物が地面擦れ擦れの空中で動きを止めていた。

「あや?カルラじゃぁん!!」



 
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