異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞

文字の大きさ
50 / 69

【フェアリー王国】

しおりを挟む
 フェアリー王国に辿りついた。

 途中結界の張ってある迷いの森があったが、カルラの案内のもと、すんなりと入る事ができた。

 そして入った先の光景はとても神秘的な場所だった。

 空には淡色の青やピンクの綿菓子みたいな大きな丸い雲がフワフワと浮いている。

 また家々は大きな樹木と一体となっており、フェアリー族達は高い所を住居としているようだ。

 そしてその木々の下層には見渡す限りの花々が咲き誇り、カルラと同い年ぐらいの子供達、いや大人なのかもしれないロリやショタを思わす可愛らしいフェアリー達がせっせと美味しそうな果実を成す木々の手入れをしている。

 昔からそうだけど、俺って木に付いてる実を見るとテンション上がるんだよな。

 わ!実がなってる!!すげぇ!!!って感じで。

 別に分かってもらえなくてもいいけど何かの本で、日常に溢れる風景であったり、物でもいいけど、自分の気持ちが一気に高揚する何かを持つ事はとてもメディカル的にいいらしい。

 俺にとっての【実】はソレだ。

 皆んなも是非日常の風景の中で何かに一度目を向けてみるといいかもよ。

 と、まぁこの話は置いといて、その家となった木々や、花々が咲き誇る畑を抜けると一際大きな樹がそびえ立つ。

 その高さを例えるならば20階建ぐらいのマンションぐらいで、その樹からはピンク色の花が満開に咲き誇り感嘆の声を漏らすほどだ。

 ってアレ?これって桜だ。

 馬鹿でかい桜の木だ。

 「ただいま。‥大樹。」

 カルラが懐かしそうに桜を見上げそういうと、フワっとカルラを迎えるかの様に桜の花びらが風で舞ったように見えた。

  何というか神秘的だよな。

 隣を見れば

「わぁ。こんなにも綺麗な光景が、あったなんて‥」モグモグ。

 さっきまでの放心状態は何処へやら、シスカはその光景に高揚し感嘆していた。

「うん。とっても綺麗だ。」モグ。

 俺も目を輝かせ桜を見上げると、シスカが俺を見て頬を染める。

 モグモグモグモグ。

 さっきから後ろ側から聞こえるこの音は何?

 妙な音につられて後ろを振り向くと、プーたんと黒曜丸が果実をガツガツと頬張り取り合っていた。

「あっ!それは俺様のだど!!モグモグ」

「愚か者!!これは我のじゃ!そこらじゅうにあるではないか!!ガツガツ!」

 「ってか何勝手に食ってんの!!お前らのせいで雰囲気が台無しだよ!この光景に何も思わないのかよ!?」

「ふっ、ハルよ!光景では腹は満たされん。」

 顔を片手で覆い隠しキメポーズを取る黒曜丸。

「ほう。珍しく意見が合うど。」

 プーたんも何故かキメポーズを取り、広角をニヤリと上げる。

 何だこいつら?仲良しか!?

 

 そんなこんなで桜の木の下に辿りつくと、大きな蔓が巻き上がって出来た門らしき物の前に幼き男の子が2人立っていた。

 恐らくカルラと同じく子供に見えても立派な大人のフェアリー族で門番なのだろう。

 その証拠にカルラと色は違うが頭から先端に毛玉がついた触覚を生やしている。

 カルラが門番に近づくと、門番2人はカルラを見るなり目がひっくり返る様に慌てて片膝をついた。

「な!?か、カルラ様!!?」

 その慌てようを見ても動じず「やっ!」と、カルラは軽く片手を上げる。

「ちょ、やっ!ではありませんよ!?カルラ様が帰ってくるという言伝は上から聞いていませんでしたよ!?カルラ様どうしてここに!?」

「ちょっと‥ね‥。伝説の4刀の内の一振りを手にした者を連れてきたんだ。」

「な!?なな、なんと!!?それは一大事です!して、その刀を抜いた人物と言うお方はどこに?」

 カルラが俺に視線を向ける。

「ま、まさかこのまだ幼い童が!?」

 童!?まぁ確かにそうだけど、貴方達も人間界じゃ子供にしか見えませんよ?

 驚く門番にカルラが無言で頷くと、門番は慌ててもう1人の門番に言う。

「おい!急ぎ門を開くぞ!」

 1人の門番がそう言うと、もう1人の門番が頷き、2人は左右に設置された水晶に手をかざす。

 するとギギギ、ギギギと植物のツルが動きはじめ、通路が開かれた。

 この世界に来て、一番ファンタジー感溢れる瞬間に俺は目を輝かせた。

そしてその通路を行くと、桜の幹に突き当たる。

 近くにくると、その大きさが更に凄みを増す。

 感想は1つ。

 なんと素晴らしい!!

 そしてそこにも左右対称に水晶がはめ込まれており、門番が触れると根の一部が向き上がり通路を作る。

「では皆様。私達はここで。引き続き門番がありますので。」

 門番の1人が言う。

「カルラ様はご存知ですが、この先は一本道で、抜けると広場があります。そこでまた案内役がおりますので、其奴が誘導します。」

「わかったよ。」

 
 門番達を後にし中に入ると、そこはぼんやりと青白い光が辺りを照らす場所だった。

「ほう。灯り苔か。」

 関心するようにシスカに抱き抱えられたプーたんがそう言う。

「灯り苔?」

 シスカがクビを傾げるとカルラが答える。

「こういった大きな大樹には、聖なる大地のエネルギーが流れてる。そこに生える苔はそのエネルギーを吸うから淡く光る。」

「へぇ。すごーい。」

 
 それからしばらく奥に進むと開けた場所に出た。

 そしてその中央には、先程の灯り苔が沢山ついた半円形の機器的な物が地面擦れ擦れの空中で動きを止めていた。

「あや?カルラじゃぁん!!」



 
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界

小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。 あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。 過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。 ――使えないスキルしか出ないガチャ。 誰も欲しがらない。 単体では意味不明。 説明文を読んだだけで溜め息が出る。 だが、條は集める。 強くなりたいからじゃない。 ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。 逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。 これは―― 「役に立たなかった人生」を否定しない物語。 ゴミスキル万歳。 俺は今日も、何もしない。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...