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2024春の特別編
ミスティカルクリエイター
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私はとある出版社の女性記者です。
年齢は若く、容姿もかなり良いです。
今、編集部の応接室にいます。
今日は特別な日なのです。
それはあの家項愛造先生がお見えになるからです。
そして名誉あることに私が先生へのインタビューを任されたのです。
家項先生といえば「世にも微妙な喪の語り」で新人作家としては異例のミリオンヒットを記録し、その後の作品でも「変異の町」「世界の端っこで金をくれと叫ぶ」「iQ70」と立て続けにミリオンセラーを連発した超売れっ子の小説家です。
原作となった映画に至っても興行収入300億円を超える大ヒットとなったのです。
物書きをする人間ならば、先生のことを知らない人はいないでしょう。そしてその誰もが『先生のようになりたい!』と強く願うのです。
先生の書く作品はどれも詞的に美しく神秘的で、その感性の高さには毎回驚かされるばかりです。どうしたらあんな素晴らしい文章が浮かび上がるのでしょうか? とても凡人には真似できるものではありません。
初めて先生の作品を読んだ時、その衝撃に身体中からほとばしるものを感じ『この人には絶対敵わない』と思い知らされたのでした。
それほどまでに素敵で有名な先生ではありますが、実のところ誰もその姿を見たことがないのです。
姿を見せないのは不細工だから、ゴーストライターだから、訳アリの人だから、巷では様々な憶測がされておりますが、私の想像ではきっと厳格な雰囲気を持ったおじいさんなのではないかと思うのです。
あれほどまでに深い描写は人生経験豊かな人物でないと書けないでしょうし、何よりペンネームがそんな感じです。
「先生がお見えになりました!」
応接室の閉じたドアの向こうからスタッフの声が聞こえました。
ああっ全身に鳥肌が立ちます。これからあの偉大な先生と直接対談ができるのですから!
ドアノブを回す音が聞こえました。直後に応接室のドアが開き、二人の人物が入ってきます。
手前の一人は案内役の部長。
そしてその後ろからやってきたのは……
えっ、まさかこの人が!?
そこにいたのはスーツ姿の長身細マッチョのイケメン好青年でした。
「どうもはじめまして。作家の家項愛造です」
そう言うと彼は手を差し出し、握手を求めてきました。
私は束の間、呆気に取られ身体を硬直させてしまいました。
彼があまりにも自分が想像していたイメージと違った人物だったからです。
なんて美しい人なの……そう感じたのです。
「おい、どうしたんだね?」
部長の声が聞こえました。
ハッと我に返り、私は慌てた様子で先生の手を握りしめました。
指と指が触れ合ったのです。その時、私の心臓は張り裂けそうなほどの勢いでした。
私は先生にときめいてたのです。
ああ……文才も容姿も兼ね揃えたこれ程までに完璧な人間は他にいない!
そう感じたのです。
その後、私の口から先生へのインタビューが続きました。
「先生が小説家を目指したきっかけは何でしょうか?」
「うーんそうだね、世界中の人たちに愛と感動を与えられたらいいかなと思って。僕の小説に感化されて世の中が良くなっていけばいいかなと」
「先生は本当に志の高い方ですね。ところでどうしたらあんな素晴らしい言葉が出てくるのでしょうか?」
「インスピレーションかな? 僕はあんまり考えずに自然に頭の中で浮き上がった言葉を文章にしているだけさ」
先生との耽美な時間の中、質問をあれこれしているうちに約束の時間となりました。
もう先生が帰る時間です。
ああ、先生……もう帰ってしまわれるのですね。
「本日はお忙しいところ本当にありがとうございました! これからもうちの出版社を宜しくお願い致します!」
締めの言葉で部長が頭を下げるとハッとした私は連られるように頭を下げました。
先生を乗せた高級リムジンがどんどん遠ざかっていきます。
また合えるかナ……
先生は私にとって恋のクリエイターだったのです。
――――――――――――――――――
喪田「世の中には自作自演という四字熟語が存在します。もしかするとあなたは今、何らかの憐れみを感じているのかもしれません。もしそうであるならば、ちょっとお気に入り追加ボタンでも押してあげてみてはいかがでしょうか?」
―ミスティカルクリエイター 完―
年齢は若く、容姿もかなり良いです。
今、編集部の応接室にいます。
今日は特別な日なのです。
それはあの家項愛造先生がお見えになるからです。
そして名誉あることに私が先生へのインタビューを任されたのです。
家項先生といえば「世にも微妙な喪の語り」で新人作家としては異例のミリオンヒットを記録し、その後の作品でも「変異の町」「世界の端っこで金をくれと叫ぶ」「iQ70」と立て続けにミリオンセラーを連発した超売れっ子の小説家です。
原作となった映画に至っても興行収入300億円を超える大ヒットとなったのです。
物書きをする人間ならば、先生のことを知らない人はいないでしょう。そしてその誰もが『先生のようになりたい!』と強く願うのです。
先生の書く作品はどれも詞的に美しく神秘的で、その感性の高さには毎回驚かされるばかりです。どうしたらあんな素晴らしい文章が浮かび上がるのでしょうか? とても凡人には真似できるものではありません。
初めて先生の作品を読んだ時、その衝撃に身体中からほとばしるものを感じ『この人には絶対敵わない』と思い知らされたのでした。
それほどまでに素敵で有名な先生ではありますが、実のところ誰もその姿を見たことがないのです。
姿を見せないのは不細工だから、ゴーストライターだから、訳アリの人だから、巷では様々な憶測がされておりますが、私の想像ではきっと厳格な雰囲気を持ったおじいさんなのではないかと思うのです。
あれほどまでに深い描写は人生経験豊かな人物でないと書けないでしょうし、何よりペンネームがそんな感じです。
「先生がお見えになりました!」
応接室の閉じたドアの向こうからスタッフの声が聞こえました。
ああっ全身に鳥肌が立ちます。これからあの偉大な先生と直接対談ができるのですから!
ドアノブを回す音が聞こえました。直後に応接室のドアが開き、二人の人物が入ってきます。
手前の一人は案内役の部長。
そしてその後ろからやってきたのは……
えっ、まさかこの人が!?
そこにいたのはスーツ姿の長身細マッチョのイケメン好青年でした。
「どうもはじめまして。作家の家項愛造です」
そう言うと彼は手を差し出し、握手を求めてきました。
私は束の間、呆気に取られ身体を硬直させてしまいました。
彼があまりにも自分が想像していたイメージと違った人物だったからです。
なんて美しい人なの……そう感じたのです。
「おい、どうしたんだね?」
部長の声が聞こえました。
ハッと我に返り、私は慌てた様子で先生の手を握りしめました。
指と指が触れ合ったのです。その時、私の心臓は張り裂けそうなほどの勢いでした。
私は先生にときめいてたのです。
ああ……文才も容姿も兼ね揃えたこれ程までに完璧な人間は他にいない!
そう感じたのです。
その後、私の口から先生へのインタビューが続きました。
「先生が小説家を目指したきっかけは何でしょうか?」
「うーんそうだね、世界中の人たちに愛と感動を与えられたらいいかなと思って。僕の小説に感化されて世の中が良くなっていけばいいかなと」
「先生は本当に志の高い方ですね。ところでどうしたらあんな素晴らしい言葉が出てくるのでしょうか?」
「インスピレーションかな? 僕はあんまり考えずに自然に頭の中で浮き上がった言葉を文章にしているだけさ」
先生との耽美な時間の中、質問をあれこれしているうちに約束の時間となりました。
もう先生が帰る時間です。
ああ、先生……もう帰ってしまわれるのですね。
「本日はお忙しいところ本当にありがとうございました! これからもうちの出版社を宜しくお願い致します!」
締めの言葉で部長が頭を下げるとハッとした私は連られるように頭を下げました。
先生を乗せた高級リムジンがどんどん遠ざかっていきます。
また合えるかナ……
先生は私にとって恋のクリエイターだったのです。
――――――――――――――――――
喪田「世の中には自作自演という四字熟語が存在します。もしかするとあなたは今、何らかの憐れみを感じているのかもしれません。もしそうであるならば、ちょっとお気に入り追加ボタンでも押してあげてみてはいかがでしょうか?」
―ミスティカルクリエイター 完―
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