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第一章 相田一郎
小説家を目指して
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急ぎ足で自分の部屋へ戻ると部屋着へと着替え、さっそく小説を書く準備にとりかかる。とりあえず紙とペンがあればそれでいいだろう。
そうだ、俺は今日から頑張ると決めたんだ。いつもの俺とは違うんだ。やってやる…やってやるぞ!
椅子に座り机に肘を付けると構想を練る。とはいっても何を書けばいいのだろうか?
ウケるのは恋愛ものと異世界転生ものだが恋愛ものは経験のない俺にはとてもやれる内容じゃない。何より俺自身が興味がないのでモチベーションが続かないだろう。
じゃあ異世界転生ものはどうだろうか?
悪くないがこのジャンルはあまりにも数が多すぎる。他の作者とアイデアがいろいろ被ってしまいそうだ。
何かオンリーワンな作品を作りたい。
今までなかった設定の新しい作品だ。
神秘的、ミステリアス、怪奇的で謎に満ちていて先の展開にワクワクするような作品だ。
仲間との熱い絆とかも入れていこう。
舞台はこの町をモデルにしよう。
日常が侵食されて壊れていくストーリーだ。
やる気が増してきたぞ…
俺はペンを進めた。
――とある地方都市から車で国道99号線を北上してゆくと田んぼや畑が広がる長閑な風景へと変わり、やがて峠道へと入る。
さらにそれを三十分ほど飛ばし気味で進んで越えると山と海に囲まれた平地へとつながる。
そこが俺が生まれ育った小さな町だ――
まあ出だしはこんなものだろう。
古典的な怪奇小説の出だしだ。これから何かが始まるような雰囲気が出てきたんじゃないか?
序盤をいろいろ書いていくうちに文章や進行に行き詰まり集中力が途切れてくる。こんな時は……
ラジオでも聞こう。
本棚の上に置いてあるラジカセへと手を伸ばす。
このラジカセは近所のリサイクルショップで売っていた昭和時代の古い角張ったラジカセだ。
その洗練されたカッコいいデザインに一目惚れして思わず買ってしまった。
購入時はサビや汚れだらけで色褪せていたが、精魂込めてひたすら磨くと本来の美しいシルバーが輝きを放つようになった。
俺はやたら昔のものに興味がある。というより新しいものにあまり興味がない。部屋の中は昔からあるものばかりだ。
子供時代に集めたオマケシール、漫画、子供時代から使っている目覚まし時計、ベッド、本棚……
今俺が小説を書いているこの机だって学習机じゃないか。
まるでこの六畳間の洋室は時間を過去に閉じ込めているかのようだ。ここでは今がいつの時代なのか分からなくなりそうだ。
ラジオのアンテナを立てスイッチを押すと、スピーカーからノイズ混じりの音声が聞こえてくる。
ダイヤルを回して周波数を調整するが、どこに合わせてもどういうわけかノイズは消えない。
おかしいな? それにしてもやけにノイズが強い。いつもはこれで消えるのに……今日は調子が悪いようだ。
『じんザーいはうちゅザーからのザーくしゅうを』
「一郎ご飯よー!」
母さんが呼んでいる。あれこれしてる間にもう飯の時間になってしまったか。とりあえず作業は一時中断しよう。また後で書けばいい。
そうだ、俺は今日から頑張ると決めたんだ。いつもの俺とは違うんだ。やってやる…やってやるぞ!
椅子に座り机に肘を付けると構想を練る。とはいっても何を書けばいいのだろうか?
ウケるのは恋愛ものと異世界転生ものだが恋愛ものは経験のない俺にはとてもやれる内容じゃない。何より俺自身が興味がないのでモチベーションが続かないだろう。
じゃあ異世界転生ものはどうだろうか?
悪くないがこのジャンルはあまりにも数が多すぎる。他の作者とアイデアがいろいろ被ってしまいそうだ。
何かオンリーワンな作品を作りたい。
今までなかった設定の新しい作品だ。
神秘的、ミステリアス、怪奇的で謎に満ちていて先の展開にワクワクするような作品だ。
仲間との熱い絆とかも入れていこう。
舞台はこの町をモデルにしよう。
日常が侵食されて壊れていくストーリーだ。
やる気が増してきたぞ…
俺はペンを進めた。
――とある地方都市から車で国道99号線を北上してゆくと田んぼや畑が広がる長閑な風景へと変わり、やがて峠道へと入る。
さらにそれを三十分ほど飛ばし気味で進んで越えると山と海に囲まれた平地へとつながる。
そこが俺が生まれ育った小さな町だ――
まあ出だしはこんなものだろう。
古典的な怪奇小説の出だしだ。これから何かが始まるような雰囲気が出てきたんじゃないか?
序盤をいろいろ書いていくうちに文章や進行に行き詰まり集中力が途切れてくる。こんな時は……
ラジオでも聞こう。
本棚の上に置いてあるラジカセへと手を伸ばす。
このラジカセは近所のリサイクルショップで売っていた昭和時代の古い角張ったラジカセだ。
その洗練されたカッコいいデザインに一目惚れして思わず買ってしまった。
購入時はサビや汚れだらけで色褪せていたが、精魂込めてひたすら磨くと本来の美しいシルバーが輝きを放つようになった。
俺はやたら昔のものに興味がある。というより新しいものにあまり興味がない。部屋の中は昔からあるものばかりだ。
子供時代に集めたオマケシール、漫画、子供時代から使っている目覚まし時計、ベッド、本棚……
今俺が小説を書いているこの机だって学習机じゃないか。
まるでこの六畳間の洋室は時間を過去に閉じ込めているかのようだ。ここでは今がいつの時代なのか分からなくなりそうだ。
ラジオのアンテナを立てスイッチを押すと、スピーカーからノイズ混じりの音声が聞こえてくる。
ダイヤルを回して周波数を調整するが、どこに合わせてもどういうわけかノイズは消えない。
おかしいな? それにしてもやけにノイズが強い。いつもはこれで消えるのに……今日は調子が悪いようだ。
『じんザーいはうちゅザーからのザーくしゅうを』
「一郎ご飯よー!」
母さんが呼んでいる。あれこれしてる間にもう飯の時間になってしまったか。とりあえず作業は一時中断しよう。また後で書けばいい。
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