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第一章 相田一郎
暗い朝
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けたたましい電子音が部屋中に広がると、所々くすんだ白い天井、そしてその中央にある照明器具が瞬時に視界へ現れた。
ああ、起きたのか……
今日もまた始まる。いつもの一日が。
目覚まし時計を止め、少しの間ボーッとしていると意識がどんどん現実へとシフトしてゆく。
部屋は薄暗く、とても静かだ。
昨日とはうって変わって今日は天気があまり良くないようだ。爽やかな雀の鳴き声も聞こえない。
ただでさえ朝は気分が冴えないというのに余計に沈みそうだ。
重い足取りで階段を降りてゆく。
廊下を抜けリビング前へ着き、扉を開ける。
なぜかリビングもキッチンも照明は消えたままで薄暗い。電気ぐらいつければいいのに。
遠目から眺めればいつものようにリビングテーブルには朝食が用意されていた。
しかし今日はどういうわけか親父の食べ終わった食器までもがそこにそのまま放置されている。
母さんはといえばテレビ正面の座椅子にもたれかかって画面を眺めている。
らしくないな。いつもはさっさと片付けるのに……
母さんは俺が降りてきたというのに、ただひたすらに俺に背を向けたまま画面を見つめている。まるで俺に気付いていないかのようだ。
そんなに面白いテレビでもやっているのか? と、期待を込めて画面を見れば砂嵐が繰り返されているだけだ。
きっと眠っているのだろう。
リビングの電気をつけ、母さんを起こすことにした。
「母さんおはよう」
背後から声をかけると、体はそのままに母さんの首だけがゆっくりこちらを向いた。
「オハヨウ」
どういうことなのか?
昨日とは正反対の全く感情のこもってない挨拶だ。それに無表情。
そして母さんはまた微動だにせずテレビを黙々と眺め続けた。
何か嫌なことでもあったんだろうか?
親父とケンカしたとか?
まあ大人には色々事情があるのだろう。
あまり深入りしないほうがいいのかもしれない。
俺も座椅子へと座り、朝食に手を付けようとするが、俺の体は何かを察知して硬直する。
そこにあったのはスープ皿に入った得体の知れない液体だったからだ。
茶色なのか紫色なのかそれとも緑色か……見る角度によって色が変わる。見たことのない物質だ。
「母さん……これは何?」
母さんはまた無表情で首だけをこちらへ向ける。
「高密度エネルギー流動食ヨ」
言っている意味がまるで分からない。だから何なんだよこの液体は!?
そうか! もしかすると昨日、俺が親父から晩飯のことを聞かれて「普通」とか答えたもんだから怒ってるんじゃないのか?
いやでも……ここまでするか?
わざわざこんなものまで用意して。
まあいいや、とりあえず少しだけ舐めてみよう。
見た目はアレだが味は悪くないのかもしれない。
ほんの少しだけ舐めてみる。ほんの少しだけだ。
なんだこれは!!
舌に電気が流れたかのような衝撃が走る。
とんでもなく苦い! そしてなんだこの痺れは?
とても人間が口にできるものじゃない!!
母さんを見れば、悶絶するそんな俺には全く興味がないかのようにずっとテレビを向いて硬直している。
やはり余程の何かがあったのだろう。
今は母さんにはあまり触れないようにしよう。
きっと会社から帰る頃には機嫌を戻してることだろうから。
ああ、起きたのか……
今日もまた始まる。いつもの一日が。
目覚まし時計を止め、少しの間ボーッとしていると意識がどんどん現実へとシフトしてゆく。
部屋は薄暗く、とても静かだ。
昨日とはうって変わって今日は天気があまり良くないようだ。爽やかな雀の鳴き声も聞こえない。
ただでさえ朝は気分が冴えないというのに余計に沈みそうだ。
重い足取りで階段を降りてゆく。
廊下を抜けリビング前へ着き、扉を開ける。
なぜかリビングもキッチンも照明は消えたままで薄暗い。電気ぐらいつければいいのに。
遠目から眺めればいつものようにリビングテーブルには朝食が用意されていた。
しかし今日はどういうわけか親父の食べ終わった食器までもがそこにそのまま放置されている。
母さんはといえばテレビ正面の座椅子にもたれかかって画面を眺めている。
らしくないな。いつもはさっさと片付けるのに……
母さんは俺が降りてきたというのに、ただひたすらに俺に背を向けたまま画面を見つめている。まるで俺に気付いていないかのようだ。
そんなに面白いテレビでもやっているのか? と、期待を込めて画面を見れば砂嵐が繰り返されているだけだ。
きっと眠っているのだろう。
リビングの電気をつけ、母さんを起こすことにした。
「母さんおはよう」
背後から声をかけると、体はそのままに母さんの首だけがゆっくりこちらを向いた。
「オハヨウ」
どういうことなのか?
昨日とは正反対の全く感情のこもってない挨拶だ。それに無表情。
そして母さんはまた微動だにせずテレビを黙々と眺め続けた。
何か嫌なことでもあったんだろうか?
親父とケンカしたとか?
まあ大人には色々事情があるのだろう。
あまり深入りしないほうがいいのかもしれない。
俺も座椅子へと座り、朝食に手を付けようとするが、俺の体は何かを察知して硬直する。
そこにあったのはスープ皿に入った得体の知れない液体だったからだ。
茶色なのか紫色なのかそれとも緑色か……見る角度によって色が変わる。見たことのない物質だ。
「母さん……これは何?」
母さんはまた無表情で首だけをこちらへ向ける。
「高密度エネルギー流動食ヨ」
言っている意味がまるで分からない。だから何なんだよこの液体は!?
そうか! もしかすると昨日、俺が親父から晩飯のことを聞かれて「普通」とか答えたもんだから怒ってるんじゃないのか?
いやでも……ここまでするか?
わざわざこんなものまで用意して。
まあいいや、とりあえず少しだけ舐めてみよう。
見た目はアレだが味は悪くないのかもしれない。
ほんの少しだけ舐めてみる。ほんの少しだけだ。
なんだこれは!!
舌に電気が流れたかのような衝撃が走る。
とんでもなく苦い! そしてなんだこの痺れは?
とても人間が口にできるものじゃない!!
母さんを見れば、悶絶するそんな俺には全く興味がないかのようにずっとテレビを向いて硬直している。
やはり余程の何かがあったのだろう。
今は母さんにはあまり触れないようにしよう。
きっと会社から帰る頃には機嫌を戻してることだろうから。
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