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夕暮れのコッペパン
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「コッペパンやっぱ美味いわー」
「このコッペパン、美味しいよね」
ベンチの上。立花さんを俺の右隣にして、侑希はイチゴジャムのパンを頬張っている。俺は黙々とミニトマトの入ったピザパンを噛んでは飲み込んでを繰り返している。侑希はなぜ俺の隣に立花さんを座らせたんだ。否、きっと奴に気遣いはない。話さなくていいのはちょっとよかったかもしれない。
濃くなってきた夕陽が、春の名残を俺の額から頬にかけて浸透してくる。横を見ると二人にも染みていて、懐かしい気持ちになった。立花さんは風が吹く度に、石鹸のような匂いを漂わせる。
「比奈、夕飯それ? 」
「侑希のせいだかんな」
こやつが夕飯食べようぜみたいなことを言わなければ、今日の俺の晩餐はカレーかシチューだったはずだ。
「比奈」いうのは、俺の苗字「朝比奈」から切り取った呼称。この呼び方をするのは、侑希だけだ。
風が吹きやんで、夏の蒸し暑い予感を残した。
「二人とも、仲良いんだね」
目を細めていた。息を飲んだ。そこだけが、ひんやりとしていた。二人とも顔を合わせた。
「なんでもない、ごめんね。そろそろ私、行かなきゃ」
「もう行くのか、またな」
スカートをはたいて、立ち去ろうとする彼女に侑希は元の顔で「よっ」とジェスチャーをした。
「このコッペパン、美味しいよね」
ベンチの上。立花さんを俺の右隣にして、侑希はイチゴジャムのパンを頬張っている。俺は黙々とミニトマトの入ったピザパンを噛んでは飲み込んでを繰り返している。侑希はなぜ俺の隣に立花さんを座らせたんだ。否、きっと奴に気遣いはない。話さなくていいのはちょっとよかったかもしれない。
濃くなってきた夕陽が、春の名残を俺の額から頬にかけて浸透してくる。横を見ると二人にも染みていて、懐かしい気持ちになった。立花さんは風が吹く度に、石鹸のような匂いを漂わせる。
「比奈、夕飯それ? 」
「侑希のせいだかんな」
こやつが夕飯食べようぜみたいなことを言わなければ、今日の俺の晩餐はカレーかシチューだったはずだ。
「比奈」いうのは、俺の苗字「朝比奈」から切り取った呼称。この呼び方をするのは、侑希だけだ。
風が吹きやんで、夏の蒸し暑い予感を残した。
「二人とも、仲良いんだね」
目を細めていた。息を飲んだ。そこだけが、ひんやりとしていた。二人とも顔を合わせた。
「なんでもない、ごめんね。そろそろ私、行かなきゃ」
「もう行くのか、またな」
スカートをはたいて、立ち去ろうとする彼女に侑希は元の顔で「よっ」とジェスチャーをした。
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