描写集

雪乃都鳥

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12月

青春

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セーラー服のリボンを風に揺らして、小春は並木道を歩いていた。まだあどけない顔をして、隣の男子がそっぽを向いて歩いている。

一生懸命に会話を続けようとする恋人に小春は笑って聞いては、相槌を打っていた。

その気まずさは、とても甘酸っぱい。小春はその時間が嫌いではなかった。

小春は上を見上げた。

若葉が風できらきらとしていた。男子はそれを見て、首を傾げる。

小春は、なんでもないと首を振ってはにかんだ。

中学卒業の最後の夏。不安や期待で胸が締めつけられる。

初夏の予感が、小春を呼んだ。

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