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第一章 いざ、竜狩りへ
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ザックスは漆黒のワイヤーがを身体に巻きつけられているため、身動きが取れない。
「ち、くそっ!」
ネルビスは、足を上下して抵抗しているザックスを冷酷な眼差しで見つめた。
「動くな。手元が狂って、足を切断されたくないだろう?」
「てめぇ……何する気だ!」
「なに、三か月ほど歩けなくするだけだ。我が鋼鉄剣『シグムンド』は、人間の骨などたやすく切断できる」
「させるかよ、この、クソチビっ!」
ザックスは身をよじってみたり、足を動かして暴れてみるが、ネルビスは動じない。どっしりとザックスの腹に足を乗せ、強く踏みつけている。ザックスがもがくほど、ネルビスは押さえつける力を強めていった。
「がはっ!」
内臓を圧迫され、ザックスは肺に蓄えた空気を強制的に押し出された。さらに、ネルビスのつま先がザックスのみぞおちにめり込んでいく。
「無理に動かない方がいい。呼吸が苦しくなれば、じきに意識を保てなくなる。このワイヤーを解くつもりも、この足もどかすつもりはないぞ?」
「うる、せぇよ……」
息も絶え絶えに、ザックスは文句を吐き出す。
ネルビスの忠告を無視し、ザックスはワイヤーを引きちぎろうと腕に渾身の力を込めてみるが、ワイヤーはびくともしない。
体力を使い、呼吸が浅くなり、ザックスは体のしびれを覚え始めた。
「く、そった、れ……が……」
それでもなお抵抗を試みるが、やはり、駄目。ネルビスは力を力を抜くことなく、ザックスの怒張した顔を冷ややかな目で見つめていた。
真っ赤な顔は次第に青ざめていき、ザックスは徐々に力を失っていく。と、その頭がついに地を打つ。
ネルビスが剣を落とす前に、ザックスの意識が落ちた。
「ふん、たわい無い」
ネルビスは振り上げた剣を降ろすと、腰の鞘にスラリと戻した。
「ザックス、大丈夫!?」
すぐにマーブルが駆け寄って、ザックスの傍に座り込む。
ネルビスは黙って足を退けると、ザックスの身体が一瞬ビクンと跳ねた。
すぐに、スーっという音がザックスの鼻から聞こえる。
「どうやら、息は戻ったようですわね……。ネルビスさん、ここまでしなくても良いのではございませんこと?」
マーブルが横になっているザックスの傍らで、ネルビスを見上げる。
眉尻を吊り上げ、怒りをはらんだ目つきだった。
「これが現場なら、こいつは死んでいるだろう。体術の方はそれなりに見どころがある。が、所詮それだけだ。策も無ければ、ただ突っ込んでいくしか出来ないガキが。魔力が無ければ何もできん木偶の坊に、竜狩りの同行は認められん」
「ザックスにはザックスの戦い方があるのですわ。ネルビスさんが、それをサポートできるように立ち回れば良いではないですか?」
「勘違いするな。こいつは、あくまで我々の狩りに同行するのだ。やり方は我々に合わせてもらう。それについて来られないようなら、ただ死ぬだけだ」
「そうは言っても、魔力を使わないなんて、ザックスはどうやって戦ったら……ビゴットさんから任された案件ですのに、そんな無茶なこと……」
ネルビスは、鼻を鳴らしてマーブルを見下ろす。
「ふん。あの武器では、沼地で戦えないだろう。ビゴットがどんな無茶なやり方でワイバーンを狩っていたのかは知らないが、相性が悪いのは違いない。まったく、とんだ依頼だな」
だが、と。ネルビスは、ザックスを拘束するワイヤーをほどき、巻き取りながら言葉を続ける。
「マーブルの依頼は受けてやる。先ほど前払いとは言ったが、ザックスを連れて行くという話は無かったことにさせてもらう手前、達成後の報酬で構わない。どうせ、翡翠竜の角はワイバーン討伐に使うことが無いからな。我が盾『バリアルド』も、あそこでは魔力障壁を使えぬ、丈夫なだけの大盾だ」
もっとも、それだけで十分なのだが、と付け加え、ワイヤーの回収を終えたネルビスは小さく呼吸するザックスを背負った。
マーブルもそれに合わせて立ち上がる。
「このまま、コイツは診療所に連れて行ってやる。明日の日が高いうちに、我々はワイバーンを狩りに行けるだろう。人員が揃いしだい、奴らの巣へ直接乗り込む。依頼の尻尾と翼は翌々日のこの時間あたりには届けに行けるだろうから、研究所で待っていれば良い」
ネルビスはマーブルの前を歩きながら、手短に予定を伝えた。
マーブルは沈鬱な表情で、ネルビスの背中で目を閉じているザックスを見つめていることしか出来なかった。
「ち、くそっ!」
ネルビスは、足を上下して抵抗しているザックスを冷酷な眼差しで見つめた。
「動くな。手元が狂って、足を切断されたくないだろう?」
「てめぇ……何する気だ!」
「なに、三か月ほど歩けなくするだけだ。我が鋼鉄剣『シグムンド』は、人間の骨などたやすく切断できる」
「させるかよ、この、クソチビっ!」
ザックスは身をよじってみたり、足を動かして暴れてみるが、ネルビスは動じない。どっしりとザックスの腹に足を乗せ、強く踏みつけている。ザックスがもがくほど、ネルビスは押さえつける力を強めていった。
「がはっ!」
内臓を圧迫され、ザックスは肺に蓄えた空気を強制的に押し出された。さらに、ネルビスのつま先がザックスのみぞおちにめり込んでいく。
「無理に動かない方がいい。呼吸が苦しくなれば、じきに意識を保てなくなる。このワイヤーを解くつもりも、この足もどかすつもりはないぞ?」
「うる、せぇよ……」
息も絶え絶えに、ザックスは文句を吐き出す。
ネルビスの忠告を無視し、ザックスはワイヤーを引きちぎろうと腕に渾身の力を込めてみるが、ワイヤーはびくともしない。
体力を使い、呼吸が浅くなり、ザックスは体のしびれを覚え始めた。
「く、そった、れ……が……」
それでもなお抵抗を試みるが、やはり、駄目。ネルビスは力を力を抜くことなく、ザックスの怒張した顔を冷ややかな目で見つめていた。
真っ赤な顔は次第に青ざめていき、ザックスは徐々に力を失っていく。と、その頭がついに地を打つ。
ネルビスが剣を落とす前に、ザックスの意識が落ちた。
「ふん、たわい無い」
ネルビスは振り上げた剣を降ろすと、腰の鞘にスラリと戻した。
「ザックス、大丈夫!?」
すぐにマーブルが駆け寄って、ザックスの傍に座り込む。
ネルビスは黙って足を退けると、ザックスの身体が一瞬ビクンと跳ねた。
すぐに、スーっという音がザックスの鼻から聞こえる。
「どうやら、息は戻ったようですわね……。ネルビスさん、ここまでしなくても良いのではございませんこと?」
マーブルが横になっているザックスの傍らで、ネルビスを見上げる。
眉尻を吊り上げ、怒りをはらんだ目つきだった。
「これが現場なら、こいつは死んでいるだろう。体術の方はそれなりに見どころがある。が、所詮それだけだ。策も無ければ、ただ突っ込んでいくしか出来ないガキが。魔力が無ければ何もできん木偶の坊に、竜狩りの同行は認められん」
「ザックスにはザックスの戦い方があるのですわ。ネルビスさんが、それをサポートできるように立ち回れば良いではないですか?」
「勘違いするな。こいつは、あくまで我々の狩りに同行するのだ。やり方は我々に合わせてもらう。それについて来られないようなら、ただ死ぬだけだ」
「そうは言っても、魔力を使わないなんて、ザックスはどうやって戦ったら……ビゴットさんから任された案件ですのに、そんな無茶なこと……」
ネルビスは、鼻を鳴らしてマーブルを見下ろす。
「ふん。あの武器では、沼地で戦えないだろう。ビゴットがどんな無茶なやり方でワイバーンを狩っていたのかは知らないが、相性が悪いのは違いない。まったく、とんだ依頼だな」
だが、と。ネルビスは、ザックスを拘束するワイヤーをほどき、巻き取りながら言葉を続ける。
「マーブルの依頼は受けてやる。先ほど前払いとは言ったが、ザックスを連れて行くという話は無かったことにさせてもらう手前、達成後の報酬で構わない。どうせ、翡翠竜の角はワイバーン討伐に使うことが無いからな。我が盾『バリアルド』も、あそこでは魔力障壁を使えぬ、丈夫なだけの大盾だ」
もっとも、それだけで十分なのだが、と付け加え、ワイヤーの回収を終えたネルビスは小さく呼吸するザックスを背負った。
マーブルもそれに合わせて立ち上がる。
「このまま、コイツは診療所に連れて行ってやる。明日の日が高いうちに、我々はワイバーンを狩りに行けるだろう。人員が揃いしだい、奴らの巣へ直接乗り込む。依頼の尻尾と翼は翌々日のこの時間あたりには届けに行けるだろうから、研究所で待っていれば良い」
ネルビスはマーブルの前を歩きながら、手短に予定を伝えた。
マーブルは沈鬱な表情で、ネルビスの背中で目を閉じているザックスを見つめていることしか出来なかった。
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