サーシェ

天山敬法

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第六章 親の願い

55話 復讐の使者

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 ルベルへ戻ってから三日ほど、その時間の多くを僕は村の外の森で過ごしていた。
 薪を拾い、山菜を摘み、拾った枝を削って矢を作り、その日の食事のために獣を狩って帰る。幼い頃に過ごした日常を、成長した体で追って体験するのはどことなく心地よかった。
 アルドはだいたい病院にいて、庭の薬草の手入れをしたり、薬を調合したり、本を読んだり書いたりしているようだった。
 僕が水を汲んできて、病院で使う寝具や衣類を洗って干して、森で狩ってきた肉を食材にして料理をする。そうして身の回りのことが勝手に進んでいく様を見てアルドはいたく感動していた。
 僕の帰省を喜ぶ者はアルドの他にいなかったが、それでも気にはかけて声をかけてくる者は多かった。そのほとんどが、こわごわと、怪しみながらの様子ではある。
 彼らとて僕を冷遇し、者によっては石を投げた記憶を完全に忘れてはいないだろう。仕返しをしにきたんじゃないかと危ぶんだようだ。
 ……今更彼らを殴ったところで栓はない。せっかく戻ってきたのに揉め事を起こしてはアルドにも悪い。僕は手も口も出さずに黙々と生活を続けた。
 トレンティアのスパイになったのか、なんて嫌味を零した者もあったが、ひと睨みすると黙ってしまった。
 僕は普段は胸のマントの内側に隠している短剣を、村にいる間は見えるように腰に提げるようにしていた。もはや僕がただ無力な子どもではないことを彼らも悟っている。……見栄のためだけなら長剣を提げた方がいいな、なんてのんきに考えたりする。
 父と会って落ち着いてくると、オーデルに置いてきたジュリのことがいよいよ気にかかり始めた。金を持たせて適当に過ごせなんて言って来たけど、どうしてるだろうかと。
 危険な目にさえあっていなければいいと思っていたが、よくよく考えてみれば心配事は身の危険以外にもある。仲間がいなくて寂しい思いをしていないか……、寂しさを募らせて変な友人を作ったりしてないか、町に滞在していれば自然と交友関係もできてくるだろう、僕ではない若い男と近付いてはいないか、など。
 そんな不安を思う自分自身が、今更ながらにおかしかった。いつからそんなに気にするようになったのか……、僕は彼女のことが好きなのだろうか? いや分からない。
 僕がこんなにも彼女に気をかけているのは、何度も怪我を治療してくれた恩人で、直接戦うことはなくても任務を助けてくれる仲間であって、自分では戦うことのできない彼女の身を守るのは仲間としての責任であるから。
 だけどころころと表情が変わる顔を見ているとなんとなく嬉しくなってしまうし、その髪や体に触ってみたいと思うこともあるし、他の男が近付いたらと思うと嫌な感じがする……それはやっぱり、そういうことなんだろうか。
 でもそれも、たまたま近くにいる女性が彼女だけだから、なんて理由であればそれはそれでなんだか不誠実な気もしてしまう。……考えたところで仕方がなさそうだ。
 何はともあれ気がかりは気がかりだ。そろそろオーデルにも戻ろうかなと思ったり、でも家にいるアルドの顔を見ると離れ難いな、もう少しだけこのままで、なんて思いもしてしまう。さっさとオーデルへの移住を決めてしまった方がいいのかもしれない。
 摘んだ山菜を一旦家に持ち帰ってきた僕を、家の中からひょいと顔を出したアルドが出迎える。ちょうど庭の世話をしようとしていたところのようだ。
 ……子どもの頃は何でもかんでも父に話していたが、さすがに気になる女のことなんかは話せない。僕も大人に近付いている。
 庭の草を弄り始めたアルドの横に立って山菜の籠を下ろし、草を話題に何気ない会話をする。……まるで穏やかな村の日常だ。
 こんな生活の中にいると、だんだんと自分が兵士であることすら忘れそうになる。こんな日々を自分が送っていてもいいのだろうか、なんて疑問が湧いては、すぐにアルドの穏やかな声に攫われていくようだった。
 しかしそうして穏やかに過ごす村人の日常に、戦争の音は否応もなく襲ってくる、そういうものだった。

 何か慌ただしい足音が聞こえて、なんとなしに振り向く。
 村の入口の方面から、何やら不安な顔で早足で移動する村人の姿がいくつか見えた。何かから逃げるようなその素振りを見て、僕の神経が少しだけ静まった。
 何だろうと思ったのはアルドも同じらしい。僕と顔を見合わせた時、きょとんと不思議そうな顔をしていた。考えること数秒、僕は少し表情を引き締めて頷いた。
「一応様子を見てくる」
 そうひとこと言ってさっと歩き出す。アルドは戸惑ったように僕の名前を呼んだが、僕は立ち止まらなかった。
 その道中には、僕とは逆の方面に逃げていく村人の姿が多かった。同じように様子を見に入口へ向かう者も少しはある。大抵は年配の男だ。
 そしてずんずんと進んでいった先に見える景色は、その一歩ごとに僕を現実へと引き戻してく……。今日は雲間から覗いている太陽の光を反射して、ぎらりと銀色が光るのが見えた。
 村の入口でどよどよとした喧騒を上げてたむろしているのは数人の村人……、そして外側に立っているのは銀色の鎧を着た者達。その姿を捉えて、僕は胸の奥に嫌な痛みが走るのを感じた。
「大人しくしていればこちらも無益な暴力を振るうつもりもない。黙ってこちらの要求に応じてもらおうか」
 そう堂々と力強い声で言ったのは、金髪の兵士達の先頭にいた男。その後ろに引き連れている数は……、十あまり。「なぜだ」なんて言葉がどうしても浮かんできてしまう。
 ……なぜ、よりによって今、よりによって僕の目の前で、五年前と同じことが繰り返されているのだ。
 ああ、考えてみればおかしなことじゃない。トレンティアの侵攻は終わったわけじゃない。しばらくはその向きが南に向いて穏やかになったとは言っていたが、それが再び西へ……、ラズミルの方角へ向かっていることは分かっていたことじゃないか。
 兵士が何を求めたのかは定かではないが、どうせ食料か物資をよこせと言っているのだろう。村人達は怯えた様子で、兵士らの求めに応じるかどうかの相談をしたらしい。だが、相手が抜き身の剣を持っている以上、そこに多くの選択肢はない。
 そんな中、僕の存在に気付いた者があった。あからさまに嫌な顔をして舌打ちをする。
「あいつが連れてきたんじゃないだろうな」
 その言葉は僕に聞こえるように言われた。それに煽られて村の男達の視線がいくつもこちらに向いた。僕はそこから一歩離れた場所で仁王立ちになって、真っ直ぐその景色を睨んでいた。ぐっと、眉間に力が入ってしまう。
 村人の中からとうとう逆上した者が出た。ぐっと歩いてきたのはこちらへ。
「おい、トレンティア人の仲間だろ、お前がどうにかしろ! 金だ、金を出せ!」
 そうして僕の胸元、マントの布を乱暴に掴みにかかってきた。僕は当然その手を強く払いのける。彼に向ける言葉はない。
 明るみの下、隠れてもいない青い瞳。そこに走る感情をむき出しにしてただ睨む、その形相に怯んだのは……、村人だけではない。
 僕はずしと重い足を前に踏み出して正面に進んだ。そこにいるトレンティア兵の同じ色の目と、その視線ががちりと食い合う。
「お前達にやるものなんか石ころひとつもない。……出ていけ、僕達の故郷から、この国から出ていけ!」
 その言葉は、腹の中で熱された感情そのままだった。どよめくのは村の者達。敵は静かに表情を怒りに深め、その武器をゆらりと動かす。……随分と悠長なことだ。既に僕は駆け出していた。
 まさかこんな辺鄙な村の者が、抵抗をするとは思っていなかった? 愚かなものだ、敵国の地へ、武器を持って踏み入っておいてその覚悟すらなかったというのか。そんな嘲笑を浴びせたくもなった。
 風のように飛びかかった僕の襲撃に、彼はろくに受け身もとれずにいた。長い剣を振るには近すぎる、そんな至近距離まで飛び込んで、その喉元へ深く刃を突き立てた。
 息もかかるような間近で敵の絶命した目が映り込む……、引きちぎった血管から激しく溢れた血がまた、僕の顔を濡らした。
 地面へぐらりと倒れ込んだ敵兵、血を滴らせた短剣の刃、それを見て村人が悲鳴を上げた。
「こいつ……!」
 味方を一人殺されて、やっと敵兵は我に返った。めいめいに腰から剣を抜くのが見える……それをのんびりと眺めているほど余裕はない。
 僕はすぐ隣にいた敵兵の足元に滑り込みながらそれを払った。バランスを崩して転んだ敵の上にのしかかって、確実に喉元を狙う。絶対に外さない。
 その時すでに頭上から剣が襲いかかってきていた。短剣をそこに構えて敵の刃を擦り、そこから地面を転がって攻撃を逃れた。
 素早く姿勢を立て直す、その獣のような姿勢で睨んだ正面には敵が石塀の間の狭い通路からこちらへ向かってきている。偶然にもその石塀があるおかげですぐに広い包囲をとってくることはない。僕は地面の上から弾けるように飛び出した。
 真っ直ぐと正面から猛進する僕へ、当然敵が剣を振りかぶってくる。頭に血が上って、ただ前に進むことしかできない獣だとでも思ったのだろうか。その太刀筋を目で追って、それが振り切られる瞬間に合わせて身を引く。この際前髪に隠れていない目がよく働く。
 敵の武器が空を切った瞬間に合わせてまた前へ距離を詰め、その肘の隙間に短剣を滑り込ませた。少し鎧の金具を擦ったような感触はしたが、肉にも傷を入れた。
 そしてその腕を掴んで捻り上げ、横から襲ってきている敵の方へ投げ飛ばすようにして押し付ける。攻撃をしかけていた敵は、味方の体を押し付けられて思わずつんのめったようだ。
 それを見届けながらも、払い除けた敵の体の奥から次の攻撃が来る予感を、目で見ずとも僕は察知していた。……魔法攻撃、その魔力の感覚に慣れさえすれば、見なくとも向かってくるのが分かるのだから便利なものだ。
 その流れをいなすように体を傾けて火の玉を躱した。ついでに押しのけて膝をついた敵の足首を踏み込んでもう片方の足でその体を蹴り飛ばす。鎧を着た重い体は吹っ飛んでいったりはしないが、姿勢を立て直すまでにまた時間を要するだろう。
 軽やかに敵の体の左側へと踏み込み、村を仕切る石塀に体を擦るようにして襲いかかる。複数の敵を相手になかなか決定打を与える隙を見つけることは難しいが……、避けてばかりいては埒も開かない。
 多少の危険の予感もぐっと飲み込んで、ここという時は思い切り攻める。至近に近付いて喉元を切り裂かんとしてまた短剣を振った。
 狙いは僅かに外れ、敵の顎の下から額にかけての肉を切り裂いただけだった。しかしその太刀筋は敵の眼球を通る。目を潰せば戦えもしないだろう、悲鳴を上げてその敵は倒れ込んだ。
 その奥にはまだ転んだ状態から立て直しきれていない敵の姿がある。迷いなくその上にのしかかり、今度は外さずに喉元に深く短剣を突き立てた。
 更にその奥からも敵が来ている、分かっている。だけど退いてはいられない。……殺す、一人でも多く、殺してやる、絶対に!
 倒れた敵に短剣を突き立てて、それを抜いている間に敵の攻撃は上から来る。咄嗟に短剣をそちらに振って敵の太刀筋はかろうじて逸らす。しかしその隙に、屈みがちになっていた僕の顔に向かって敵の足が迫ってきていた。足技が得意なのは何も僕だけとは限らない。
 鉄の防具に覆われたその膝が、がつりと僕の頬を打った、すぐに口の内側にじわりと血の味が滲む。そして僕が怯んだその一瞬を、敵も見逃しはしない。次には頭にがくんと衝撃がきた。躱すこともいなすこともできず、敵が剣を振り切るのを許してしまった。
 幸い角度を誤ったらしく、その切れ味は鈍い。しかし大の男の力に振られた鉄の武器は、僕の頭の皮膚を裂くには十分な重みを持っている。鋭い痛みと共に、額の上からどろりとした熱が流れ出るのを感じた。
 ……知ったことか、致命傷ではない。目は開いている、手は動く。剣を振り切ったその瞬間が一番大きな隙だ。僕は負けない、僕は退かない、絶対に殺してやる、僕の生活を踏みにじっていく邪悪な侵略者を。
 その憎しみの任せるままに、真っ直ぐと武器を突き出す。また一人、僕の手の中で絶命していく命を知る。
 刺した短剣を抜くと同時に左手の方向から敵が襲ってくる。右手は石塀、密集した敵、単身の僕。そんな中で剣を振るのは下策と思ったのか、敵は鎧を着た体全体で僕を押さえ込みにかかってくる。
 短剣を握った腕をがしと掴まれて封じられ、もう片方の手が、傷を追った頭を打ち据えてくる。ぐらりと揺れた視界の中、自分の血がぱたと地面を濡らしたのが見えた。
「この野郎……!」
 味方を殺されて敵兵も激昂していた。憎悪に歪んだ顔が僕を捉え、今度はその蹴りが腹へ飛んできた。その重みに息は詰まり、体は動く方向を失い、痛みと衝撃とに揺れる僕の首を敵は締め上げるように掴む。そのまま右手にあった石塀へと叩きつけるように押さえ込まれた。
 ……僕とは違って、すぐに殺そうとはしない。その体を封じ込め、壁に追いやり、抵抗を封じて……、どれほど嬲るつもりだろうか。
 後ろから同じく噴き上がった様子のトレンティア兵がめいめいに怒号を上げる。俺にやらせろ、なんて言って剣を抜く音が聞こえた。
 ……こんな所で殺されるわけにいかない。抵抗しないと、まだ戦わないと……。そう焦るのに、体は全く言う事を聞かない。
 目の前に迫ってくるトレンティア兵、彼らの姿を全身の憎悪でもって睨む。殺してやりたい、この手が動きさえすれば、今すぐにでもその喉元に剣を突き立ててやる。その衝動だけがただ身を焦がす。
 そんな僕の元へ、今度はざわざわと……、魔力が近寄る気配が襲う。躱すことも受け身も取ることも、叶わない。
 到達した魔力が爆発したのは背後。ズドンと重い破裂音を上げて、石壁の向こう側に爆炎が上がったようだ。その衝撃に巻き込まれ、ささやかに積まれただけの石塀が砂埃を上げながら崩れ落ちてきた。
 その破片がごつごつと傷ついた体を打つのが鬱陶しい。血の味の中に混じる砂の感触を唾と共に吐き捨てて、しかし僕の衝動は何一つ、ぶれていなかった。
 見開いた目の先では、敵が……怯んでいる。その爆炎と石塀の崩落は、僕を襲わんとしていた敵をも巻き込んだようだった。
 その一瞬で解かれた拘束、その隙に弾け出す衝動のままに、何も考えずただ僕は剣を振っていた。隙さえ掴めば絶対に外さない。僕には敵を捕らえていたぶる趣味はない、一瞬の生存も許さない。
 正面にいた敵を斬り殺してから、残った敵はどこかと視界を巡らしてまだ神経を研ぎ澄ませる。痛みも、血が流れ出ていく感触も、まだ構いはしない。
 倒れていない敵は……二人。砂埃を鬱陶しそうに払いながらも、敵である僕を睨んでちょうど剣を構えかけていた者と、もう一人は崩れた石塀の奥……、その両手の先に大きくソル・サークルを浮かべて……、のんびりと観察している余裕はないようだ。
 魔法攻撃が飛んでくる前にと、近くにいる剣士の方へ襲いかかる。相手の振った剣の方が射程は長い。短剣はその刃を受け止める防御の構えに回さざるを得なかった。長剣と短剣の刃同士ががつりとぶつかり、一瞬は拮抗する。
 だけど既に負傷している僕と比べて、武器の重みも腕の力も相手の方が上だった。じりと押されていく、その間にも魔道士が魔法を放ってくる……。
 そのソル・サークルから放たれた高圧の炎の矢はすさまじい速度でこちらに到達し、着弾すると同時に爆発するがごとくその身を焼いた……、いや、違う。僕の体ではない。その炎の矢が撃ったのは、僕と斬り合っていた敵の体だった。
 敵はその攻撃を予見すらしていなかった。まともに横から受けたその熱に激しく苦しむ。何を考えるよりも早く、僕は彼にとどめを刺す。もがき苦しんでいた彼はすぐに永遠の安息を得たことだろう。
 残りは一人、少し離れたところから魔法を撃っていた、トレンティア人。その間にも血を流している頭がくらりと目眩を起こす、噛み殺す、構っていられない、まだ敵はいる、僕は止まらない。……一人残らず殺してやる。
 その衝動のままに剣を握って敵の元へと踏み込んだ。その敵は、腰に提げている剣を抜きもしないで、間抜けにも僕を正面から迎えていた。見やるに鎧も着ていない。旅装の布上からその喉も、胸も腹もどこでも狙えるではないか。
 その大きな的に向かって短剣を突き出した時に、やっと僕は気が付いたのだ。……なぜ鎧を着ていないのか。なぜ味方であるはずのトレンティア兵を攻撃したのか?
 負傷してふらつく体では、力いっぱいに突き出したつもりの剣もぶれていたらしい。その刺突は敵の喉の横……肩の上の空を突き、彼が被っていたフードの端をびりと引き裂くだけに留まった。
 そして刺突の姿勢のまま前につんのめった僕を、彼は……武器も持たず、魔力も込めないその両手で抱き締めた。
「ヨハン」
 そう僕の名前を呼んだ声は、何か奇妙な感情に滲んでいた。その瞬間に力の抜けた指の隙間から、からりと短剣が落ちていった。
 頭からも足からもがくりと力が抜けていく。抱き留められるままに体の全部その腕の中に預けて、僕は血で霞んだ目でその顔を間近から見上げていた。
 フードの奥にあったのは、見慣れた男の青い瞳……。
「……っこの馬鹿野郎! なんて無茶してやがんだ! 馬鹿! どアホ!」
 必死の顔でそう罵声を飛ばしてくる彼の腕の中で、僕はすぐにがくりと項垂れた。
「怪我は……頭か!? 口も切ってるな、骨は折れてないか! 喋れるか! しっかりしろ!」
 わあわあと耳元で騒ぎ立てるパウルの声を聞いて、僕はただ荒く息をついていた。血の滲んだ口を動かすのも億劫で、だけど、それでも痛みに耐えて僕は唇を動かした。
「……サーシェ」
 呟いた第一声が祈りの言葉だったのは、きっとアルドの癖がうつったせいだ。
 そんな僕の声を聞いて、パウルは驚いて、すぐに呆れたようで、馬鹿、ともう一度押し殺すような声で罵倒してきた。
「すぐに治療するぞ、ジュリはどこだ」
 そう聞いてくるので、僕は小さく首を振った。ああ、こんなことならやっぱり連れて来るべきだったかな、なんて今更思っても仕方がない。
「ジュリはここにはいない。……病院はある」
 仕方なく口を動かしてそう伝えると、なにい、と素っ頓狂な声を上げた。とりあえずは病院で処置をしてもらうしかないだろう。幸い、頭を切ったから血は多く出てるが傷自体は致命傷ではない。
 僕はパウルに抱かれた腕の中でなんとか足を踏ん張り、その胸を押してその場に立った。僕の力を感じてパウルも腕を緩める。なんとか自立した僕の肩から手は離さず、血に汚れた僕の顔を正面から見たようだ。
 その神妙な面持ちを、その時は僕もじっと見つめ返した。会っていなかった時間は、数にしてみれば半月ほどだと思うが……、いやに懐かしい心地がした。
「……なんでここに」
 それは愚問のはずだったが、思わず言ってしまった。必ず僕の元へ戻ると言った彼の言葉を、別に疑ったわけではない。だけどいざズミの空の下でその顔を見ると、本当に帰ってきたのか、なんて変な感慨を持ってしまった。
 案の定彼は呆れた顔だ。しかし一瞬だけ返す言葉を考えたようで、ふいと目を逸らしたかと思うと、また僕を抱き締めた。よろける体を支えるような抱き方ではなく、まるでそう、アルドが僕をそうしたのと同じように。
「遅くなっちまったが、なんとか死ぬまでには間に合ったようでよかったよ、ヨハン。……とにかく怪我治すぞ、その病院とかいうとこへ案内しろ」
 僕は抱き締められたまま、無言で頷いた。

 落ちた短剣を拾いながら改めて周りを見てみると、既に息絶えたトレンティア兵の体がいくつも転がっている様は、のどかだったはずの村の景色には異様だ。
 周囲にいたはずの村人も争いの間は逃げ出し、僕達の切り合いを遠巻きに眺めていたようだった。血濡れた地面に立つ僕達を見る目は、当然恐怖に染まっている。
 そしてその中に見つけてしまう。同じように遠くから、一人でその場に立ち尽くすようにして僕を眺めていた父の姿を。僕がゆっくりとそちらへ歩くと、近くのトレンティア兵らがもう動いていないのを理解したのか、こちらへ駆け付けてきた。
「ヨハン!」
 青ざめた顔で、大慌ての様子でそう名前を呼んでくる。しかし僕の隣に立つトレンティア人の姿を見て当然戸惑ったようだった。
 僕の元へ駆けてくる足を緩めることはなかったが、緊張に張り詰めた目がパウルを睨むように見た。
「こいつは敵じゃない、仲間だ。……とにかく手当てをお願い」
 そう言うと、アルドはすぐに僕に視線を戻して頷いた。僕とパウルとアルドと、三人で連れ立つようにして病院へと向かう。アルドは歩きながらも、携帯していた布を千切って僕の頭に当て始めた。
 そんなアルドへ、パウルのどこか冷めた視線が向く。
「医者? てことはこの人がお前の……」
 無言で頷こうかと思ったが、アルドに頭を押さえられていて首が動かない。仕方なく口を動かした。
「……育ての父だ」
 答えてやると、パウルはハッと息を呑んだようだった。そしてその視線がじっとアルドを見つめる。
「ああ……、えっと、アルド・ファル・テーディル……殿か。噂はかねがね……」
 どこかバツの悪そうな声で、いやに畏まった言い方をしたのは何かの皮肉だろうか。そんな声をかけられて、アルドも目を丸くしたようだ。
「え? いえその、そんな大仰な呼び方はやめてください。既に家名は捨てていますので、アルドとだけ呼んでもらえれば……」
 初対面のトレンティア人相手に、アルドも接し方を測りかねているようだった。……僕が間を取り持つべきなんだろうか、なんて迷ったけど、今は怪我の痛みであまり落ち着いた思考も回らない。
 パウルもやはり何かがひっかかっているような、ぎこちない声を出す。
「そう……ですか。ああ、俺はパウル……と言います。その、ヨハンとはしばらく兵士として同行していました。見ての通りトレンティア人ですが、わけあってズミのレジスタンス部隊にいたもので」
 その落ち着いた声色を聞くに、どうやら皮肉っているわけではないらしい。僕はアルドに頭を押さえられているのも構わず、思わずぎょっとしてパウルの顔を見た。
「……パウル? お前頭でも打ったのか」
 こわごわとして聞くと、パウルも驚いて僕を見返した。
「は!? な、何だよ、頭かち割られたのはお前だろ、俺は無傷だよ馬鹿」
 パウルらしい憎まれ口が飛んできて少し安心した……いや、それにしたって様子がおかしい。
「何だよその気色の悪い喋り方は」
 そう聞くと、パウルはむずむずと据わりの悪そうな顔で視線を泳がせた。
「失礼な奴だな、俺だって目上の相手に敬語ぐらい……、いやまあ、目上っていうか、お前の親御さんなんだから」
 そんなわけのわからないことを言うのを見て、僕はただ唖然とした。相手が貴族だろうと国王だろうと歳上の男はみんなジジイ呼ばわりするくせに、僕の親だったらなぜ敬語になるのか、彼の理屈は全く分からない。
 分からないが……、まあそうだと言うならそういうものなのだろう。僕もそれ以上は何も言わなかった。そんな僕達のやりとりを、アルドも不思議な顔で眺めていた。
 やがて足はアルドの病院へと辿り着く。こうしている間にも血が流れ出ていく頭は、すでにフラフラとして立っているのも億劫だった。すぐに僕は病院の診察台にぐったりと倒れ込む。
 いそいそと治療の準備をするアルドの傍ら、パウルは壁の近くに突っ立ってその様を眺めていた。

 傷口を洗い、頭には包帯を巻いて口に痛み止めの薬湯を流し込まれ、その苦味に苦しみながら僕は血が回復するまでベッドの上で横たわることになった。
 やっと落ち着いた様子のアルドはベッドのすぐ横に椅子を持ってきて座り、悲しそうな顔で僕の顔を見下ろした。
 それを僕も目を細めて見上げる。……今更になって、嫌な感情が胸からこみ上げてきた。
「……驚いた。あんな数の武装した兵士を相手に、お前があんなに……、一人で全部……」
 アルドは零すように言い出した。一人じゃない、パウルが手伝った、なんて補足を入れるべきではなさそうだ。僕は感情を飲み込んだまま、小さく頷いた。
「うん、全部殺したよ」
 しかしそう得意げに言って見せた僕に、すかさず壁際からパウルが舌打ちをする。
「馬鹿が、ぼこぼこに殴られてたくせに……。あんなもん普通は一人で相手取る人数じゃない、無茶をしすぎだ、血の気が多いにも程がある。馬鹿、アホ、反省しろ」
 その怒ったような呆れたような叱責に、僕はむっと口を尖らせた。悲しそうな顔をしていたアルドまで、少し慌てた様子でパウルを宥め始める。
「ま、まあまあ。怪我で済んだのですから、まあ」
 アルドにそう言われると、パウルもため息ひとつついて黙ったようだ。やがてアルドまでため息をついた。
「本当に強くなったんだな」
 しみじみと、感傷に浸るような様子だった。その顔を見上げて、だけど僕は何も言わない。本当は目の前で息子のあんな殺戮を見せつけられて気持ちいいはずがないだろうに、それでもたしなめることもしない。
 きっと彼だって分かっている。戦争が起こっている以上、敵も味方も人が死んでいくのは当たり前だ。そこでは必ず誰かが戦っている、戦わなければ守れないものがある。何もかもは思い通りにならないのだから。
 分かっているからこそ、その優しさゆえに何も言えないでいる、あなたはきっとそういう人だ。そして僕もそんな親の心に……、それでも、まだ甘えていてもいいだろうか、と思ってしまう。
「パウル」
 僕は仲間の名前を呼んだ。彼の視線が無言でこちらを向く。
「……とりあえず状況を説明する。オーデルにはまだトレンティア軍の手は入っていなくて、町のレジスタンスの部隊が防衛の準備をしている。ここに来る前に一旦そこで宿をとって、ジュリとフェリアにはそこで待機させている。何か動きがあるようなら僕もオーデルの部隊に合流する予定だ。そっちは」
 淡々とした報告を聞いて、パウルは細くため息をついた。同じく、重い声が返ってくる。
「トレンティアでの調査の収穫については……、ほとんどが魔法学の話だ、お前には割愛しておこう。ズミへ帰ってからは……サダナムでロードの野郎から聞いたが、やっぱりトレンティアはオーデルの町の制圧を目指しているようだ」
 その言葉を聞いて、ぐっと重いものが胸へと降りてくる。……やはり、オーデルは戦場になる。
「ロードの関心はどうやらオーデルよりラズミルにあるようで、こっちの戦いに関与するのは渋ったが……、なんとか部下を動かさせて南部のレジスタンスに呼びかけを行った。俺は先行してきたが、後から他のレジスタンス……あのヒューグ隊がこちらへ上ってくるはずだ。ここまで来たからには俺もひと仕事しようと考えている」
 続く言葉のひとつひとつが、僕を現実へと引き戻していく。穏やかに思えた村の生活は、ささやかにも一時の慰みを僕に与えてくれた……それだけでいい。
 確かめるように、僕も言葉を繋げる。
「オーデルの地形は自然の要塞だ。攻めてくれるというのならあそこで迎え撃たない手はないだろう。お前がいるなら防衛の望みも十分に高い。なるべく早く向かって、現地の部隊と打ち合わせをしよう」
 そう言うと、パウルの声に不敵な笑いが混ざった。
「なかなか油断はできないぜ。……全く因縁なものだ、今回は事前に情報を掴んだが……、相手方にはあの魔剣野郎……、ジャック・クラウスが参戦してくる。せいぜい気張らねえとな」
 その名前を聞いて思わず僕は目を開いた。トレンティア人が互いに呼ぶ名前が時によって違う、その感覚はいまだによく分からないが……魔剣野郎と言われるとすぐに誰だかは分かる。
 ……そういえば、オーデルに入る前に会ったのを思い出した。あの時は一人のようだったが、確かにあそこまで近くに来ているなら、オーデルの侵攻軍に混ざってきても何もおかしくはない。
「だが分かってさえいれば、俺だってしっかり対策を考えていくさ。……あの筋肉脳みそ野郎に、魔術師たる者の魔道戦術というものを叩き込んでやる」
 そう言ってパウルはぎりと奥歯を噛んだようだ。僕はパーティルでの戦いを思い出して、しかしパウルのその戦意に満ちた意気込みを聞いて、天井を睨む視線に力を込めた。
「トレンティアがもたもたしてくれてる間に万全の準備を整えるぞ。お前は今は治療に集中だ。ちゃんと傷が塞がるまで、血走って起き上がんなよ」
 そう嫌味っぽく言ってくるので、僕はフンと息を吐いてやった。言われなくても、ふらつく頭で起き上がりたくはない。
 そんな兵士二人の応酬を、アルドは静かな表情でただ聞いていた。本当ならこんな話に巻き込むのもよくないのだろうけど、手負いの僕はベッドから動けないし、パウルともすぐに情報共有はしたかった。
 悪いところを見せたな、なんて気持ちになって、僕はちらりとアルドに視線をやった。それを受けて、アルドは穏やかに微笑んで見せた。
「……うん、分かっているさ、戦いに行くんだよな。お前は兵士だからな。せめて無茶はするな……ぐらいしか私には言えることもないが……」
 そんな寂しそうな微笑みを向けられて、僕は眉を寄せて目を逸らすことしかできなかった。しかし存外に、壁の方から力強い声がかかる。
「アルドさん、俺が合流したからにはもう無茶はさせません。俺が……ヨハンを守ります。だから……」
 驚いて僕もアルドもパウルの方を振り向く。彼はこちらに向き直って、アルドのことを真っ直ぐ見ているようだった。
「安心してくれ、てのはまあ、無理でしょうけど……、全力を尽くします」
 強く思い詰めたような表情だった。聞けば聞くほどに、そんな真剣な顔で丁寧語を喋っているパウルが奇妙で仕方がない。僕はげんなりとした表情を見せた。
「やっぱ気色悪いぞ。お前に守られる身になった覚えもないし」
 気に食わなくてそう文句を言うと、パウルはすぐに不機嫌な顔になって僕を睨んだ。
「うるせえ! 放っといたらすぐに無茶して死にかけるくせに偉そうなこと言うな! ほんっっとにお前の血の気の多さはどうしようもないな、この馬鹿野郎、反省しろって言ってんだろ!」
 またその問答が始まって、アルドは驚いたような呆れたような顔になってしまった。
 しかしやがて立ち上がり、怒りの形相で僕を睨んでいたパウルの前へ歩み寄った。驚いた顔で、パウルはすぐにそちらに向き直る。
 そしてアルドはパウルの片手を両手で取り、ぐっとそれを握ったようだ。
「……はい、私にはどうすることもできないから……、あなたに任せます、パウルさん。どうかヨハンを……、私の息子をお願いします。あんなしょうがない子ですが、根は優しい子なんです。サーシェ、神様のご加護があなた達を守ってくださいますように」
 アルドまでそんなことを言うのか、と僕の腹は立つが……、しかし父に言われてはもう自分では何も言えない。僕は彼らからそっぽを向いた。
「サーシェ、ズミの偉大なる神々に誓って。必ず……死なせません」
 パウルの重たい声が聞こえてきたが、僕はもう構わなかった。
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