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第八章 帰るべき場所
85話 裏切りの血
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雨が降ってきたため、野営地の建設は中断となった。にわかに仕事の空きができると、僕は特に用事もなく厩舎へと足を運ぶ。
雨をたまの休暇にと言って酒宴を開いている者もあるそうだが、やはりああいうのには近付きたくない。
やることもなく馬と戯れるかと思った。最初はパウルに言われて渋々世話を始めたものだが、やり始めると妙に愛着が湧く。
パウル曰く、馬は人間の言葉を理解するらしい。それが本当なのかは今いち半信半疑だったが、そう言われれば何か馬の方からも感情のようなものが伝わってくるような、そんな気がしてしまうものだ。
最初は集会所の脇の草地に繋いでいただけの馬だが、馬糞の苦情も多かったもので、建設されつつある野営地に厩舎も新設された。
とは言ってもまだ屋根があるだけで、中に馬がいないと厩舎だとは分からないかもしれない。雨の中僕が訪れた時、厩舎はその状態だった。
こんな雨の中、パウルは馬をどこへ連れて行ってしまったのだろうか。空になった厩舎を呆気にとられて眺めていると、酒盛りが行われていただろう方面から騒動が伝わってくるのがすぐに分かった。何か、ただ酒を飲んで騒いでいるという雰囲気とは少し違う。
そこに緊張が走っているのを感じて、僕も足早にそちらに向かった。雨除けの外套を被りこんだままそのフードの内側から様子を窺う。慌ただしく走り回る兵士に混じって、何か怒号を飛ばしている者がいる。どうやらただごとではない……。
状況を把握しようと思って周囲を見渡していると、何か逆上した様子の兵士の一人が僕の姿を見つけ、突然殴りかかるような勢いで詰め寄ってきた。
「ヨン! どういうことだ、説明しろ!」
見覚えのある顔だが名前は出てこない。その程度の顔見知りだが、彼は何故か僕に対してその怒りをぶつけてくる。
全く話が分からないまま目を白黒させていると、男は構わず僕の胸ぐらを両手で掴み上げた。
自分よりも背の高い男に胸元を締め上げられ、足が浮くような心地がする。息も苦しかった。
「何だ、何の話だ!」
僕だって意味のわからない暴力にされるがままになっているのも嫌だ。なんとか抵抗の姿勢を見せながらそう抗議した。
騒ぎ始めた僕達を取り囲んだ者たちの中には、落ち着け、と彼を宥めるものもあれば、同じように僕を罵る声も混ざっている。トレンティア軍の手先め、という、そんな罵倒が。
「落ち着け! 手を離さないか!」
中でも大きな声を上げて周囲を一喝したモルズの声を受けて、周囲を取り囲んでいた兵士らはどよめきながら道を開ける。
しかしそれでもなお、目の前の男は僕の胸から手を離さなかった。間近で僕の青い瞳を覗き込んでいるその目は、めらめらと憎悪に燃えている。
「魔術師の野郎がトレンティア軍に寝返った! 俺達を裏切った! お前もその手先なんだろう、この薄汚い混血児が!」
男の叫んだその言葉に、僕は呆気にとられて、その一瞬だけでも力を失った。……何を言っている?
「情報を整理しろ! 正確な状況の把握が最優先だ!」
モルズが怒鳴る、その声で僕はハッと我に返った。男は苛立ったまま、その怒りを隊長であるモルズにまで向け始めた。
「整理するまでもないだろ、隊長! 俺は見たんだ、確かに同志を殺した敵兵と、魔術師の野郎は戦いもせず一緒に連れ立ってどこかへ行った! 仲間はあの剣士に殺された! その死体が雨に打たれたままだってのに!」
そこには憎悪とともに、親しい仲間を失ったのだろう――やり場のない悲しみと悔しさが滲み出ていた。
僕はただ目を見開いてそんな彼の顔を見ていた。パウルが……裏切った? 敵兵と連れ立ってどこかへ行っただって?
「そんな馬鹿なことがあるか! あいつは……」
ほとんど反射的に言葉は口をついていた。何を言おうとしていたのか自分でも分からない。
あいつは……、あいつは、確かに僕の仲間で、裏切るなんてそんなはずが、なんて、訴えたところで伝わるわけもないのに。
それでも頭がかっと熱されたように制御が効かない、言葉が止まらなかった。
「あいつが裏切るわけなんてない!」
「ふざけるな! お前だって仲間なんだろ! 隊長、いい加減このトレンティア人どもを庇い立てるのはやめろよ! 今すぐにでもぶっ殺してやりたいぐらいだ!」
僕達は激昂し合うが、しかしモルズはまだ落ち着いていた。怒鳴っても仕方がないと諦めたのだろう、その声は静けささえ纏っている。
「魔術師が敵兵と共に馬で移動して行った、その報告は複数の者から聞いている。それは疑いようのない事実だ。ヨン、お前は本当に何も聞いていないのか」
力強い眼差しでモルズは僕を見つめる。僕は見開いた目でそれを見返して、しかし返事はできなかった。
……聞いていない。僕は何も聞かされていない。パウルがなぜそんな行動をとったのかは全く分からない。
だけどさすがに、彼がズミを裏切るとは到底考えられない。今までずっと共に戦ってきたのだし、だいたい彼はトレンティアからすれば即刻命を狙わねばならないようなお尋ね者である、敵軍に寝返れるはずもない。
本当に敵兵についてどこかへ行ったとしても、そこには何か特別な理由があるはずだ。……何か、よほどの事情が。しかしその事情を僕は全く知らされていない。
ざわざわと嫌な予感が胸を蝕んでいく。トレンティア軍に寝返ることなどできるはずがない。だけど……、もしかすると少なくともズミ軍に味方することをやめてしまう、それぐらいのことならあり得るのではないかと、そんな考えがよぎってしまったのだ。
だってそうだろう、そもそも彼はトレンティアに帰れなくなったというだけで、だからといって必ずしもズミに味方する理由はなかったはずだ。ただ食っていくために傭兵稼業をしている中で、成り行きそうなっただけではないか。
だけど、待てよ、それならどうして今までここにいたんだ。今まで彼が口走ってきた言葉が次々と脳裏に蘇る。
彼はこの戦争にただの報酬金以上のものを求めた、その時確かに言っていた、「ヨン、お前が望むのなら」と。
……今思えば、あの頃から、それよりも前から、出会った最初から彼は僕の正体を知っていたのだ。彼はずっと父親として僕を見ていたのだ。
トレンティアで一旦の別れを告げた時もそうだった。「ヨハン、必ずお前のもとへ戻るから」と。僕を抱き締めて言ったじゃないか。……僕のことを息子だと知っていたから、そう言ったんじゃないのか。
なのにその言葉を裏切ってまでズミ軍から……、僕の元から離反する理由があったのだろうか。彼は僕を二度までも捨てるのか? そんな言葉が浮かんできて胸がずきりと痛む。
もしかしてリョドルが……母の恋人だったらしい男が現れたせいで、ミョーネから、その息子ごと関心を失ってしまったとでも言うのだろうか。
そんなことまで想像が巡ったけど、結局確かなことは何も分からない。何も言えないでいる僕を見て、モルズは相手の兵士の方へ向き直った。
「それで、魔術師と共に去ったという敵兵の数はどの程度だったんだ?」
そう聞かれて、男は苦しそうに眉間の皺を深めた。
「一人……、たった一人だ!」
その言葉を聞いて思わず僕は地面に落としていた視線を上げた。モルズも顔をしかめて彼を睨み返している。
「一人? おい、こちらは十名ほど向かっていたという話ではなかったのか」
いくら魔法技術の有無という差があっても、十人の兵士を一人で相手取るなんて、そんなことができる者なんて……、と思いを巡らせば、心当たりはないわけではなかった。
「それが恐ろしい敵で……、あの攻撃、確かオーデルで相手取ったあの魔剣士、あいつだ!」
兵士はオーデルでの戦いにも参加していた者だったらしい。その時の記憶を思い出しながら、その時に気付いたというようなそんな様子だった。当然、僕の心当たりも同じ顔を思い浮かべていた。
先にそれを早く言え、なんて恨み言を怒鳴りたくなったのをぐっと飲み込む。パウルが連れたって行った、たった一人の相手がクラウスだったのならある程度は納得ができる。
彼はパウルの幼馴染であり、その妹の家族でもある男だ。オーデルでの対決で、パウルは彼を、その情故に殺せなかったではないか。
しかしパウルがクラウスについていった、その意図までは分からない。裏切りなどではない、全く別の目的がある可能性もありそうだが、しかしそれでも敵には違いないのだ。
ズミ軍や息子に味方することと、妹やその家族に味方することの二者択一に立たされて後者を選んだようなことだってあるかもしれない。考えたところで不透明なことばかりで、胸騒ぎは到底収まらなかった。
今ここで、魔術師と魔剣士が幼馴染であることなどを言ってしまえば……、それはもう魔術師の裏切りを裏付ける証言としかならないだろう。そうと決めかかって逆上している者がいる以上、そう迂闊なことは言えない。
僕がやっと口を開いた時、しかしそこから零れた声は震えていた。
「……奴が、本当に裏切ったのかどうかは分からない。だけどそうだったとしても僕は違う。僕はここにいる、ズミを裏切ったりなんかしない……!」
それだけをなんとか声にして張り上げた、しかしそれでも周囲の逆上した者達は当然、更に怒りを燃やすだけだった。
「お前は魔術師の子分だろ、いつも犬みたいにひっついてやがって、信じられるか! この裏切り者!」
「そうだ、隊長、この混血野郎も追い出しましょう! 信用できたもんじゃない!」
「魔術師を殺せ! 仇をとれ!」
怒りに燃える者たちは、めいめいにその憎悪を叫ぶ。そんな黒々とした感情の渦の中で、僕はそれ以上何も言えずにただ、立ち尽くしていた。
モルズは難しそうに顔をしかめていたが、やがて僕に向き直る。
「ヨン、残念だがここまで騒ぎになっている以上お前をそのままにしておくことはできん。任務から離れて一旦こちらの監視下にいてもらう。魔術師の捜索と調査は力を入れて行う、だがはっきりとしたことが分かるまではヨンを私刑にするようなことは許さない、いいか!」
僕と、そして周囲で騒ぐ者たち両者にそう言いつけた。僕は黙って立ち尽くしたまま、昔のことを思い出していた。前にも同じようなことがあった。
かつてセラーラ地方で活動していたレジスタンス、サガンという男の部下となった時……、パウルと出会うよりも前の話だ。
そこで僕の青い目が元になって、裏切りだのスパイだのと騒ぎになって、僕は味方であるはずのズミ人から命を狙われる羽目になったのだ。
結局その部隊にはいられず、別の隊へ移ることで何とか命を繋いだのだが……、今になってもやはり同じようなことが起こるのだな、と噛みしめる思いには、もはや激情すら伴わない。
モルズは部下に命じて僕から武器を取り上げ、その腕を引いてどこかへ連れ去ろうとする。当然僕は抵抗もできない。表情を殺して罵声から耳を塞ごうとすれば、降りしきる雨の音がいやに耳についた。
少数部隊だったサガン隊とは今は全く規模が違う。そして今回直接問題になったのは僕の目の色ではなくパウルの行動だ。あの時とは当然状況は同じではない。
せめてもの希望は隊長であるモルズ自身がパウルに信頼を寄せていたことと、彼がまだ冷静な判断が期待できる人間だということだろうか。
だけど事態が穏当に終わるような未来は想像しづらい。僕はここでの居場所を追われることになるのだろうか。最悪殺されたりするのだろうか。不安を持ったところでもはや、僕に為す術は何もなかった。
野営地に建てられた建物のうち、外の様子も分からない独房のような狭い部屋に僕は放り込まれた。拘束されたり見張りが常駐していたりすることはないが、部屋に鍵がかけられていて何もできない。
時々は巡回の者が様子を見に来て食事などの世話を軽くしていく。モルズの配慮だろう、巡回の者は僕へ敵意の薄いものが遣わされた。
そんな状態が始まった翌朝には僕に面会に来るものがあった。その顔を見て、しかし僕は笑顔を浮かべる気にもならない。
「ヨ、ヨン! なんかすごい騒ぎになってません!? 大丈夫なんですか!」
青い顔で慌てているのはジュリだ。その後ろには心配そうな表情を浮かべるアルドがいる。
僕はジュリを見るなり座り込んでいた状態から立ち上がり、そののんきな顔に詰め寄って、きつく彼女を睨みつけた。
「どこまで聞いているのか知らないが、パウルに裏切りの嫌疑がかかっている。その部下である僕にもだ。そんな時に会いに来るなんてどういうつもりだ! 部隊の中には僕達を裏切り者だと決めてかかって憎んでいる者も少なくない、僕の恋人であることが知られたら君にまで危害が及ぶかもしれないんだぞ!」
心配して会いに来たというのにそんな叱責を受けるとは思ってもいなかったのだろうか、ジュリは青ざめた顔のまま固まってしまった。僕は荒くため息をつきながら頭を押さえた。
「いいか、よほどの用事がない限り極力宿にこもっていろ。一人で出歩くような真似は絶対にするなよ。当たり前だが僕にも会いに来るな。……父さん、悪いけどジュリのことを頼むよ」
そう言いつけて、僕はアルドにもそう声をかけた。ジュリは固まったままだったがアルドは静かに頷いたようだ。
今すぐにでも帰れ、と言おうとも思ったが、しかしアルドが何かを言いたげにこちらに近付いた。
「それにしてもパウルさんに裏切りの嫌疑だなんて、一体何があったんだ」
彼も彼で随分のんきな様子だが、父に向かっては僕も怒鳴るようなことはできない……。
「敵と交戦した偵察部隊の応援に向かって……、でも戦うこともせずそのまま敵兵についてどこかへ行ったらしい」
聞いたままの話を言うと、アルドもジュリも目を丸くして驚いたようだ。一体なぜ? とアルドは続けて聞いてくる。僕は呆れてがくりと項垂れた。
「そんなこと知るかよ。僕は何も聞いていないしはっきりしたことは分からない。……まあでも、もともとトレンティア人には違いないんだし、敵に寝返るまでとは行かなくても軍から脱走するようなことはあってもおかしくないんじゃないか……」
疲れた声で言うと、しかしアルドは突然、ふっと笑いを零した。どう考えても笑う状況ではないのだ、僕はそれにぎょっとしてアルドの顔を見つめた。彼はいつも通り穏やかな微笑を浮かべている。
「はは、そんなわけないだろう。何の用事かは分からないが、パウルさんは戻ってくるさ」
ぬけぬけと言った声に、僕は脱力感さえ覚えて、咄嗟に何も言い返せなかった。
唖然とさえしている僕に向かって、アルドはふいに右手を伸ばしてきて……、その手が僕の頭を上から優しく押さえる。
「味方からこんな扱いを受けて苦しいかもしれないが、大丈夫だ。パウルさんは必ずお前の元へ戻って来るから。私では何もできなくて心苦しいが、少しの辛抱だ、頑張れよヨハン。大丈夫だ、ミュロス様はお前が頑張っているのを見てくださっているからな、サーシェ」
例によって何の説得力もない優しい言葉は、それなのに何故かむしょうに安心感を与えてくる。僕は気が抜けた思いでそれを聞いていた。
「……とにかく、父さんもジュリも帰ってくれ。ここにいるだけで危険だ」
すっかり緊張感が抜けてしまったが、それでも僕はため息まじりに言った。アルドは穏やかに微笑んだままでゆっくりと頷いたようだ。
しかし最初から固まってしまっていたジュリはハッと息を呑んで、今更のように戸惑い始めた。あわあわとした様子で口を開くが、そこから言葉はなかなか出ないらしい。
その目に涙が滲んでいるのも分かった。……少しきつく言い過ぎただろうか、なんて思うけど、この鈍感な少女にはそれぐらい言わないと伝わらなさそうだった。
「私は先に出ているから、ジュリさんも落ち着いたら一緒に帰ろう」
アルドは穏やかに言って、勝手に部屋から出て扉を閉めてしまった。閉め切られた独房に僕とジュリ二人を残した……そのアルドの意図は察するに難くないが、そんな気遣いも今はわだかまって感じてしまう。
「ヨン……」
弱々しい声で僕を呼んで、ジュリはこわごわと両手をこちらに伸ばしてくる。仕方なく僕はそれを取って、とりとめのない感情を隠しもせずに強引に抱き寄せた。だけど今は危険だ……そうのんびりと睦み合っている時間はない。
「どうなるかは分からないけど今焦ったって仕方がないことだ、待っててくれ」
とにかくジュリの背を抱きしめて、僕はそう言った。彼女がか細い声で返事をしたのだけ聞いて、僕はすぐにその体を離す。
僕やパウルが嫌疑をかけられている今、彼女の身を守ることすら満足にできないかもしれない。それどころか、僕のせいで彼女にまで危害が及ぶかもしれない。
……ジュリのことは好きだ。だけどもともと目の色が違う。それだけで憎まれ、疑われ、命を狙われることすらある。そんな僕と恋仲であることは、もしかするとジュリにとっては不幸なことなのではないか……。そんな思いがよぎって、それ以上彼女に触れているのも躊躇われた。
「早く帰るんだ」
そう短く促すと、ジュリは名残惜しそうに僕を見つめてから、やがて扉の外で待っているアルドの元へと引いていった。
また一人になった暗い独房の中で、僕は膝を抱えてただその身を甘んじる。
いくら焦ったところで僕にはどうすることもできない。ただ不安と葛藤が頭の中で無限に渦巻いていく、その苦痛に抗うことすら、何も。
ただアルドにかけられた能天気なまでの気休めの言葉は、束の間に握りしめる希望にはなっただろうか。……パウルは必ず僕の元へ帰ってくると。
確かに彼自身もかつてそう語っていた。だけどその言葉を無邪気に信じ切れるほどのものは、僕の中には無いのだ。
雨をたまの休暇にと言って酒宴を開いている者もあるそうだが、やはりああいうのには近付きたくない。
やることもなく馬と戯れるかと思った。最初はパウルに言われて渋々世話を始めたものだが、やり始めると妙に愛着が湧く。
パウル曰く、馬は人間の言葉を理解するらしい。それが本当なのかは今いち半信半疑だったが、そう言われれば何か馬の方からも感情のようなものが伝わってくるような、そんな気がしてしまうものだ。
最初は集会所の脇の草地に繋いでいただけの馬だが、馬糞の苦情も多かったもので、建設されつつある野営地に厩舎も新設された。
とは言ってもまだ屋根があるだけで、中に馬がいないと厩舎だとは分からないかもしれない。雨の中僕が訪れた時、厩舎はその状態だった。
こんな雨の中、パウルは馬をどこへ連れて行ってしまったのだろうか。空になった厩舎を呆気にとられて眺めていると、酒盛りが行われていただろう方面から騒動が伝わってくるのがすぐに分かった。何か、ただ酒を飲んで騒いでいるという雰囲気とは少し違う。
そこに緊張が走っているのを感じて、僕も足早にそちらに向かった。雨除けの外套を被りこんだままそのフードの内側から様子を窺う。慌ただしく走り回る兵士に混じって、何か怒号を飛ばしている者がいる。どうやらただごとではない……。
状況を把握しようと思って周囲を見渡していると、何か逆上した様子の兵士の一人が僕の姿を見つけ、突然殴りかかるような勢いで詰め寄ってきた。
「ヨン! どういうことだ、説明しろ!」
見覚えのある顔だが名前は出てこない。その程度の顔見知りだが、彼は何故か僕に対してその怒りをぶつけてくる。
全く話が分からないまま目を白黒させていると、男は構わず僕の胸ぐらを両手で掴み上げた。
自分よりも背の高い男に胸元を締め上げられ、足が浮くような心地がする。息も苦しかった。
「何だ、何の話だ!」
僕だって意味のわからない暴力にされるがままになっているのも嫌だ。なんとか抵抗の姿勢を見せながらそう抗議した。
騒ぎ始めた僕達を取り囲んだ者たちの中には、落ち着け、と彼を宥めるものもあれば、同じように僕を罵る声も混ざっている。トレンティア軍の手先め、という、そんな罵倒が。
「落ち着け! 手を離さないか!」
中でも大きな声を上げて周囲を一喝したモルズの声を受けて、周囲を取り囲んでいた兵士らはどよめきながら道を開ける。
しかしそれでもなお、目の前の男は僕の胸から手を離さなかった。間近で僕の青い瞳を覗き込んでいるその目は、めらめらと憎悪に燃えている。
「魔術師の野郎がトレンティア軍に寝返った! 俺達を裏切った! お前もその手先なんだろう、この薄汚い混血児が!」
男の叫んだその言葉に、僕は呆気にとられて、その一瞬だけでも力を失った。……何を言っている?
「情報を整理しろ! 正確な状況の把握が最優先だ!」
モルズが怒鳴る、その声で僕はハッと我に返った。男は苛立ったまま、その怒りを隊長であるモルズにまで向け始めた。
「整理するまでもないだろ、隊長! 俺は見たんだ、確かに同志を殺した敵兵と、魔術師の野郎は戦いもせず一緒に連れ立ってどこかへ行った! 仲間はあの剣士に殺された! その死体が雨に打たれたままだってのに!」
そこには憎悪とともに、親しい仲間を失ったのだろう――やり場のない悲しみと悔しさが滲み出ていた。
僕はただ目を見開いてそんな彼の顔を見ていた。パウルが……裏切った? 敵兵と連れ立ってどこかへ行っただって?
「そんな馬鹿なことがあるか! あいつは……」
ほとんど反射的に言葉は口をついていた。何を言おうとしていたのか自分でも分からない。
あいつは……、あいつは、確かに僕の仲間で、裏切るなんてそんなはずが、なんて、訴えたところで伝わるわけもないのに。
それでも頭がかっと熱されたように制御が効かない、言葉が止まらなかった。
「あいつが裏切るわけなんてない!」
「ふざけるな! お前だって仲間なんだろ! 隊長、いい加減このトレンティア人どもを庇い立てるのはやめろよ! 今すぐにでもぶっ殺してやりたいぐらいだ!」
僕達は激昂し合うが、しかしモルズはまだ落ち着いていた。怒鳴っても仕方がないと諦めたのだろう、その声は静けささえ纏っている。
「魔術師が敵兵と共に馬で移動して行った、その報告は複数の者から聞いている。それは疑いようのない事実だ。ヨン、お前は本当に何も聞いていないのか」
力強い眼差しでモルズは僕を見つめる。僕は見開いた目でそれを見返して、しかし返事はできなかった。
……聞いていない。僕は何も聞かされていない。パウルがなぜそんな行動をとったのかは全く分からない。
だけどさすがに、彼がズミを裏切るとは到底考えられない。今までずっと共に戦ってきたのだし、だいたい彼はトレンティアからすれば即刻命を狙わねばならないようなお尋ね者である、敵軍に寝返れるはずもない。
本当に敵兵についてどこかへ行ったとしても、そこには何か特別な理由があるはずだ。……何か、よほどの事情が。しかしその事情を僕は全く知らされていない。
ざわざわと嫌な予感が胸を蝕んでいく。トレンティア軍に寝返ることなどできるはずがない。だけど……、もしかすると少なくともズミ軍に味方することをやめてしまう、それぐらいのことならあり得るのではないかと、そんな考えがよぎってしまったのだ。
だってそうだろう、そもそも彼はトレンティアに帰れなくなったというだけで、だからといって必ずしもズミに味方する理由はなかったはずだ。ただ食っていくために傭兵稼業をしている中で、成り行きそうなっただけではないか。
だけど、待てよ、それならどうして今までここにいたんだ。今まで彼が口走ってきた言葉が次々と脳裏に蘇る。
彼はこの戦争にただの報酬金以上のものを求めた、その時確かに言っていた、「ヨン、お前が望むのなら」と。
……今思えば、あの頃から、それよりも前から、出会った最初から彼は僕の正体を知っていたのだ。彼はずっと父親として僕を見ていたのだ。
トレンティアで一旦の別れを告げた時もそうだった。「ヨハン、必ずお前のもとへ戻るから」と。僕を抱き締めて言ったじゃないか。……僕のことを息子だと知っていたから、そう言ったんじゃないのか。
なのにその言葉を裏切ってまでズミ軍から……、僕の元から離反する理由があったのだろうか。彼は僕を二度までも捨てるのか? そんな言葉が浮かんできて胸がずきりと痛む。
もしかしてリョドルが……母の恋人だったらしい男が現れたせいで、ミョーネから、その息子ごと関心を失ってしまったとでも言うのだろうか。
そんなことまで想像が巡ったけど、結局確かなことは何も分からない。何も言えないでいる僕を見て、モルズは相手の兵士の方へ向き直った。
「それで、魔術師と共に去ったという敵兵の数はどの程度だったんだ?」
そう聞かれて、男は苦しそうに眉間の皺を深めた。
「一人……、たった一人だ!」
その言葉を聞いて思わず僕は地面に落としていた視線を上げた。モルズも顔をしかめて彼を睨み返している。
「一人? おい、こちらは十名ほど向かっていたという話ではなかったのか」
いくら魔法技術の有無という差があっても、十人の兵士を一人で相手取るなんて、そんなことができる者なんて……、と思いを巡らせば、心当たりはないわけではなかった。
「それが恐ろしい敵で……、あの攻撃、確かオーデルで相手取ったあの魔剣士、あいつだ!」
兵士はオーデルでの戦いにも参加していた者だったらしい。その時の記憶を思い出しながら、その時に気付いたというようなそんな様子だった。当然、僕の心当たりも同じ顔を思い浮かべていた。
先にそれを早く言え、なんて恨み言を怒鳴りたくなったのをぐっと飲み込む。パウルが連れたって行った、たった一人の相手がクラウスだったのならある程度は納得ができる。
彼はパウルの幼馴染であり、その妹の家族でもある男だ。オーデルでの対決で、パウルは彼を、その情故に殺せなかったではないか。
しかしパウルがクラウスについていった、その意図までは分からない。裏切りなどではない、全く別の目的がある可能性もありそうだが、しかしそれでも敵には違いないのだ。
ズミ軍や息子に味方することと、妹やその家族に味方することの二者択一に立たされて後者を選んだようなことだってあるかもしれない。考えたところで不透明なことばかりで、胸騒ぎは到底収まらなかった。
今ここで、魔術師と魔剣士が幼馴染であることなどを言ってしまえば……、それはもう魔術師の裏切りを裏付ける証言としかならないだろう。そうと決めかかって逆上している者がいる以上、そう迂闊なことは言えない。
僕がやっと口を開いた時、しかしそこから零れた声は震えていた。
「……奴が、本当に裏切ったのかどうかは分からない。だけどそうだったとしても僕は違う。僕はここにいる、ズミを裏切ったりなんかしない……!」
それだけをなんとか声にして張り上げた、しかしそれでも周囲の逆上した者達は当然、更に怒りを燃やすだけだった。
「お前は魔術師の子分だろ、いつも犬みたいにひっついてやがって、信じられるか! この裏切り者!」
「そうだ、隊長、この混血野郎も追い出しましょう! 信用できたもんじゃない!」
「魔術師を殺せ! 仇をとれ!」
怒りに燃える者たちは、めいめいにその憎悪を叫ぶ。そんな黒々とした感情の渦の中で、僕はそれ以上何も言えずにただ、立ち尽くしていた。
モルズは難しそうに顔をしかめていたが、やがて僕に向き直る。
「ヨン、残念だがここまで騒ぎになっている以上お前をそのままにしておくことはできん。任務から離れて一旦こちらの監視下にいてもらう。魔術師の捜索と調査は力を入れて行う、だがはっきりとしたことが分かるまではヨンを私刑にするようなことは許さない、いいか!」
僕と、そして周囲で騒ぐ者たち両者にそう言いつけた。僕は黙って立ち尽くしたまま、昔のことを思い出していた。前にも同じようなことがあった。
かつてセラーラ地方で活動していたレジスタンス、サガンという男の部下となった時……、パウルと出会うよりも前の話だ。
そこで僕の青い目が元になって、裏切りだのスパイだのと騒ぎになって、僕は味方であるはずのズミ人から命を狙われる羽目になったのだ。
結局その部隊にはいられず、別の隊へ移ることで何とか命を繋いだのだが……、今になってもやはり同じようなことが起こるのだな、と噛みしめる思いには、もはや激情すら伴わない。
モルズは部下に命じて僕から武器を取り上げ、その腕を引いてどこかへ連れ去ろうとする。当然僕は抵抗もできない。表情を殺して罵声から耳を塞ごうとすれば、降りしきる雨の音がいやに耳についた。
少数部隊だったサガン隊とは今は全く規模が違う。そして今回直接問題になったのは僕の目の色ではなくパウルの行動だ。あの時とは当然状況は同じではない。
せめてもの希望は隊長であるモルズ自身がパウルに信頼を寄せていたことと、彼がまだ冷静な判断が期待できる人間だということだろうか。
だけど事態が穏当に終わるような未来は想像しづらい。僕はここでの居場所を追われることになるのだろうか。最悪殺されたりするのだろうか。不安を持ったところでもはや、僕に為す術は何もなかった。
野営地に建てられた建物のうち、外の様子も分からない独房のような狭い部屋に僕は放り込まれた。拘束されたり見張りが常駐していたりすることはないが、部屋に鍵がかけられていて何もできない。
時々は巡回の者が様子を見に来て食事などの世話を軽くしていく。モルズの配慮だろう、巡回の者は僕へ敵意の薄いものが遣わされた。
そんな状態が始まった翌朝には僕に面会に来るものがあった。その顔を見て、しかし僕は笑顔を浮かべる気にもならない。
「ヨ、ヨン! なんかすごい騒ぎになってません!? 大丈夫なんですか!」
青い顔で慌てているのはジュリだ。その後ろには心配そうな表情を浮かべるアルドがいる。
僕はジュリを見るなり座り込んでいた状態から立ち上がり、そののんきな顔に詰め寄って、きつく彼女を睨みつけた。
「どこまで聞いているのか知らないが、パウルに裏切りの嫌疑がかかっている。その部下である僕にもだ。そんな時に会いに来るなんてどういうつもりだ! 部隊の中には僕達を裏切り者だと決めてかかって憎んでいる者も少なくない、僕の恋人であることが知られたら君にまで危害が及ぶかもしれないんだぞ!」
心配して会いに来たというのにそんな叱責を受けるとは思ってもいなかったのだろうか、ジュリは青ざめた顔のまま固まってしまった。僕は荒くため息をつきながら頭を押さえた。
「いいか、よほどの用事がない限り極力宿にこもっていろ。一人で出歩くような真似は絶対にするなよ。当たり前だが僕にも会いに来るな。……父さん、悪いけどジュリのことを頼むよ」
そう言いつけて、僕はアルドにもそう声をかけた。ジュリは固まったままだったがアルドは静かに頷いたようだ。
今すぐにでも帰れ、と言おうとも思ったが、しかしアルドが何かを言いたげにこちらに近付いた。
「それにしてもパウルさんに裏切りの嫌疑だなんて、一体何があったんだ」
彼も彼で随分のんきな様子だが、父に向かっては僕も怒鳴るようなことはできない……。
「敵と交戦した偵察部隊の応援に向かって……、でも戦うこともせずそのまま敵兵についてどこかへ行ったらしい」
聞いたままの話を言うと、アルドもジュリも目を丸くして驚いたようだ。一体なぜ? とアルドは続けて聞いてくる。僕は呆れてがくりと項垂れた。
「そんなこと知るかよ。僕は何も聞いていないしはっきりしたことは分からない。……まあでも、もともとトレンティア人には違いないんだし、敵に寝返るまでとは行かなくても軍から脱走するようなことはあってもおかしくないんじゃないか……」
疲れた声で言うと、しかしアルドは突然、ふっと笑いを零した。どう考えても笑う状況ではないのだ、僕はそれにぎょっとしてアルドの顔を見つめた。彼はいつも通り穏やかな微笑を浮かべている。
「はは、そんなわけないだろう。何の用事かは分からないが、パウルさんは戻ってくるさ」
ぬけぬけと言った声に、僕は脱力感さえ覚えて、咄嗟に何も言い返せなかった。
唖然とさえしている僕に向かって、アルドはふいに右手を伸ばしてきて……、その手が僕の頭を上から優しく押さえる。
「味方からこんな扱いを受けて苦しいかもしれないが、大丈夫だ。パウルさんは必ずお前の元へ戻って来るから。私では何もできなくて心苦しいが、少しの辛抱だ、頑張れよヨハン。大丈夫だ、ミュロス様はお前が頑張っているのを見てくださっているからな、サーシェ」
例によって何の説得力もない優しい言葉は、それなのに何故かむしょうに安心感を与えてくる。僕は気が抜けた思いでそれを聞いていた。
「……とにかく、父さんもジュリも帰ってくれ。ここにいるだけで危険だ」
すっかり緊張感が抜けてしまったが、それでも僕はため息まじりに言った。アルドは穏やかに微笑んだままでゆっくりと頷いたようだ。
しかし最初から固まってしまっていたジュリはハッと息を呑んで、今更のように戸惑い始めた。あわあわとした様子で口を開くが、そこから言葉はなかなか出ないらしい。
その目に涙が滲んでいるのも分かった。……少しきつく言い過ぎただろうか、なんて思うけど、この鈍感な少女にはそれぐらい言わないと伝わらなさそうだった。
「私は先に出ているから、ジュリさんも落ち着いたら一緒に帰ろう」
アルドは穏やかに言って、勝手に部屋から出て扉を閉めてしまった。閉め切られた独房に僕とジュリ二人を残した……そのアルドの意図は察するに難くないが、そんな気遣いも今はわだかまって感じてしまう。
「ヨン……」
弱々しい声で僕を呼んで、ジュリはこわごわと両手をこちらに伸ばしてくる。仕方なく僕はそれを取って、とりとめのない感情を隠しもせずに強引に抱き寄せた。だけど今は危険だ……そうのんびりと睦み合っている時間はない。
「どうなるかは分からないけど今焦ったって仕方がないことだ、待っててくれ」
とにかくジュリの背を抱きしめて、僕はそう言った。彼女がか細い声で返事をしたのだけ聞いて、僕はすぐにその体を離す。
僕やパウルが嫌疑をかけられている今、彼女の身を守ることすら満足にできないかもしれない。それどころか、僕のせいで彼女にまで危害が及ぶかもしれない。
……ジュリのことは好きだ。だけどもともと目の色が違う。それだけで憎まれ、疑われ、命を狙われることすらある。そんな僕と恋仲であることは、もしかするとジュリにとっては不幸なことなのではないか……。そんな思いがよぎって、それ以上彼女に触れているのも躊躇われた。
「早く帰るんだ」
そう短く促すと、ジュリは名残惜しそうに僕を見つめてから、やがて扉の外で待っているアルドの元へと引いていった。
また一人になった暗い独房の中で、僕は膝を抱えてただその身を甘んじる。
いくら焦ったところで僕にはどうすることもできない。ただ不安と葛藤が頭の中で無限に渦巻いていく、その苦痛に抗うことすら、何も。
ただアルドにかけられた能天気なまでの気休めの言葉は、束の間に握りしめる希望にはなっただろうか。……パウルは必ず僕の元へ帰ってくると。
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