卒業式に婚約破棄されたら、なぜか?イケメンきらきら王子に告白されました!ルマンド王国魔法学院のエリーゼ・バンダームです!

山田 バルス

文字の大きさ
29 / 37

第6話 坑道アイス屋台で大繁盛編

しおりを挟む
◆坑道アイス屋台で大繁盛編!◆
【エリーゼ視点】

「ひゃっほーい! 屋台、完成~っ!!」

私は両手を広げて、目の前にそびえ立つ(?)ピカピカのアイス屋台を見上げた。
木製のカウンターに青と白のテント屋根。「坑道アイス」のロゴが描かれたのぼり旗が風にはためいてる。

「……めっちゃ目立つね、エリーゼ」

ローレンスがちょっと呆れたように言うけど、いいのいいの!

「目立ってなんぼでしょ、こういうのは!」

「でも“坑道”って名前、ほんとにいいの? スイーツっぽさゼロだけど……」

「逆にそれがいいのよ! インパクト大事っ! ほら、見て!」

私が指さすと、通りすがりの子どもがのぼりを見て立ち止まる。

「ねえママ、こうどうアイスってなに?」

「わからないけど、ちょっと見てみましょうか」

「でしょー!? 『え、坑道ってなに? アイス?』ってなるのが狙いなの!」

「うわ……ちゃんと計算してる……」

◆ ◆ ◆

いよいよオープン初日。
私たちは冷却装置“クールフローType-E”を2台並べて、アイス製造の準備万端!

「試作品よりパワーアップしてるよ。魔石2層構造で冷却効率1.3倍!」

「甘さと酸味のバランスを取った『鉱石ベリー』は私のおすすめよ」

「こっちは“黒曜バニラ”! 名前のインパクトなら負けないぜ!」

そう、味もネーミングも“鉱山系”で統一! コンセプトは「冷たくて美味しい、働く人のごほうびスイーツ」!

……なのに。

「お、お客さん来ない……?」

開始30分。通りは人で賑わってるのに、うちの屋台だけスルーされがち。

「え、うそでしょ……ネーミング失敗?」

「やっぱり“坑道”って……スイーツには……」

「でも味はいいのに!」

ガスパルが試食用のアイスをかじって泣きそう。

まずい、まずい……! これは屋台大失敗の流れ……!?

そのとき。

「ちょっとちょっとー!」

どこかで聞いた声が飛んできたと思ったら──ジェームズさんだ!!

「エリーゼちゃん! これ、めちゃくちゃイイ匂いするじゃん! ひとつちょうだい!」

「ジェームズさんっ! もちろんですっ! “冷やし鉱石いちご”いきますねっ!」

「ネーミング最高! よく冷えてて、しかもめっちゃ美味い! これさ、働いてる人たちにも広めようよ!」

ウイリアムさんが、屋台のすぐ横で手を叩いて叫ぶ。

「みなさーん! このアイス、鉱山で生まれたスイーツですよー! 一口で暑さが吹っ飛びます!」

「うわっ、何あれ? 伯爵領の青年貴族じゃん……!」
「ウイリアム様がオススメしてる……じゃあ美味しいに違いない!」

どどどっと人が集まってきた!

「えっ、アイス!?」
「鉱山のアイスってなんかかっこいい!」
「その黒いの何味!? “黒曜バニラ”? めちゃ映えそう!」

◆ ◆ ◆

……そこからは、まさに戦場だった。

「はいっ、“鉱石ベリー”お待たせしましたっ!」
「次、“魔導ミント”ねっ! 少々お時間かかります~!」

「うわ~! もうトッピング足りない!?」
「ガスパル、冷却装置の魔石替えて! 魔力落ちてきた!」
「ルナ、追加のカップどこだっけ!? 倉庫!? 私走る!!」

汗をぬぐうヒマもないくらい忙しくて、足もガクガクだけど……でも!

「エリーゼさーん、これおいしい~!!」
「鉱山ってなんか遠いと思ってたけど、これ食べて行ってみたくなったよ!」

そんな声が聞こえるたびに、疲れなんてふっとぶ。

◆ ◆ ◆

「……売上、すごいなこれ……」

ローレンスが伝票を見ながら目を丸くする。

「ほんと……え、昨日だけでこの数……!?」
「ていうか“坑道アイス”って王都でも話題になってるよ!? ほら、新聞! “まるで魔鉱石を食べてるみたい”って!」

私たちは顔を見合わせて──

「「やったあぁぁ!!」」

ガスパルが思いきり飛び跳ねた。

ルナはひとり静かに感涙してるし、ローレンスは「これ……本格的に商売にしないか?」と真剣な顔。

「じゃあ、次は“移動式アイスカー”作る!?」
「テント付きで冷却装置4台くらい積めるようにして……」
「待って、商談きた! 商店街の人がフランチャイズしたいって!!」

夢はどんどん広がっていく──

私たちが鉱山から持ち帰った“冷たくて甘いしあわせ”が、今、王都の人たちの心をふんわり冷やしていってるんだ。

ふふっ。

「ねえ、“坑道アイス”って名前……悪くなかったでしょ?」

「はいはい、参りました」
「エリーゼ、やっぱセンスあるわ……」

みんなが笑う。

こうして、“鉱山スイーツ革命”の第一歩は、大成功で幕を開けたのだった!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

【完結】余命三年ですが、怖いと評判の宰相様と契約結婚します

佐倉えび
恋愛
断罪→偽装結婚(離婚)→契約結婚 不遇の人生を繰り返してきた令嬢の物語。 私はきっとまた、二十歳を越えられないーー  一周目、王立学園にて、第二王子ヴィヴィアン殿下の婚約者である公爵令嬢マイナに罪を被せたという、身に覚えのない罪で断罪され、修道院へ。  二周目、学園卒業後、夜会で助けてくれた公爵令息レイと結婚するも「あなたを愛することはない」と初夜を拒否された偽装結婚だった。後に離婚。  三周目、学園への入学は回避。しかし評判の悪い王太子の妾にされる。その後、下賜されることになったが、手渡された契約書を見て、契約結婚だと理解する。そうして、怖いと評判の宰相との結婚生活が始まったのだが――? *ムーンライトノベルズにも掲載

継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアーティアは、継母に冷酷無慈悲と噂されるフレイグ・メーカム辺境伯の元に嫁ぐように言い渡された。 継母は、アーティアが苦しい生活を送ると思い、そんな辺境伯の元に嫁がせることに決めたようだ。 しかし、そんな彼女の意図とは裏腹にアーティアは楽しい毎日を送っていた。辺境伯のフレイグは、噂のような人物ではなかったのである。 彼は、多少無口で不愛想な所はあるが優しい人物だった。そんな彼とアーティアは不思議と気が合い、やがてお互いに惹かれるようになっていく。 2022/03/04 改題しました。(旧題:不器用な辺境伯の不器用な愛し方 ~継母の嫌がらせで冷酷無慈悲な辺境伯の元に嫁がされましたが、溺愛されています~)

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~

咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】 あらすじ 「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」 ​聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。 彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。 ​しかし、エリーナはめげなかった。 実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ! ​北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。 すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。 ​「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」 ​とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。 以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。 ​最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?

処理中です...