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第4話 エマ、開店準備をする
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猫耳亭、そして始まりの取引
サンジャンの町に辿り着いた頃には、空はすでに茜色に染まりはじめていた。
石畳の通りにはランプの灯が一つ、また一つと入り、人々の声が夕暮れの空気にやわらかく溶け込んでいく。
「ほら、着いたよ。ここが猫耳亭」
アンナが立ち止まり、親指で示した先にあったのは、木造二階建ての宿だった。
外壁は年季が入っているが、手入れは行き届いている。看板には、丸い目をした猫がちょこんと座る愛嬌のある絵が描かれていた。
「……猫の宿、ですか」
「そうそう。冒険者に大人気。値段も良心的だよ」
扉を開けた瞬間、香ばしい煮込みの匂いと、人の熱気が一気に押し寄せてきた。
一階は食堂兼酒場になっており、革鎧姿の冒険者たちがテーブルを囲み、剣や杖を無造作に立てかけている。笑い声、杯の音、木椅子のきしむ音が混じり合い、町の息遣いそのものだった。
「一泊二食付きで十シルバ。どう? 安いでしょ」
「……安すぎませんか?」
エマが思わず聞き返すと、アンナは肩をすくめた。
「この町じゃ普通。長期滞在の冒険者が多いからね。回転率重視ってやつ」
通された二階の部屋は簡素だが清潔で、窓からは通りを見下ろすことができた。
夕食は具沢山のシチューと黒パン。特別な味ではないが、体の奥にじんわりと染み込む。
(……ちゃんと、生きてる)
ベッドに横になりながら、エマは静かにそう思った。
それを実感できたのは、本当に久しぶりだった。
◇
翌朝。
焼きたてのパンと卵料理を平らげ、エマはアンナに深く頭を下げて宿を出た。
「気をつけてね。何かあったら、また猫耳亭に戻ればいい」
「ありがとうございます」
目指すは、商業ギルドだった。
石造りの堂々とした建物の中は、朝から人で溢れていた。
受付の奥から顔を上げたのは、淡い黄色の髪を結い上げた若い女性だ。
「いらっしゃいませ。商業ギルドへようこそ」
「エマといいます。登録について伺いたいのですが」
「受付のマルゲリータと申します」
彼女はにこやかに説明を始めた。
「登録料は百シルバ。屋台を借りる場合は、場所と屋台代で一か月二十シルバになります」
「この町で、正式に商売ができるようになる、と」
「ええ。税の優遇もありますよ」
エマは頷き、さらに問いを重ねた。
「宝石ほど高価でなくても構いません。綺麗な石……カラーストーンを扱いたいのですが」
「ああ、それなら宝石商か道具屋ですね。冒険者ギルドに鉱石採取の依頼を出す方もいますよ」
「穴を空ける道具や、研磨は?」
「鍛冶工房です。紐は布屋か縫製店で」
マルゲリータは手際よく紙に地図を書き、差し出した。
「助かります。それと……売りたいものが一つ」
エマは布に包んでいた拳大の石を、そっと取り出した。
「……石、ですか?」
「中身は、エメラルドです」
「えっ!? エ、エメラルド!?」
マルゲリータは目を見開き、慌てて奥へと駆けていった。
しばらくして現れたのは、眼鏡をかけた中年の男性だった。
「私はマリナーラ。この件を担当させてもらいます」
鑑定魔法がかけられ、原石が淡く光を放つ。
「……これは……」
男の表情が変わる。
「ここでは話せません。応接室へどうぞ」
◇
さらに奥にある応接室で待っていたのは、白髪の老人で商業ギルド長クアトロ=フォルマッジだった。
「入手経路は、どちらで?」
「隣国フランセ王国です。私は元モナコラ伯爵夫人、エマです。現在は離縁し、平民ですが……」
再度の鑑定結果が告げられる。
「エメラルドを含む原石ですな……ただのエメラルドではない。最上位のノンオイルだ」
「で、いくらになりますか?」
「うーん、百ゴルドでどうじゃ? 手頃なお値段かと」
エマは即座に首を横に振った。
「安すぎます。別の場所で売ります」
立ち上がろうとするエマをギルド長が慌てて引き留める。
「待ってくれ! 二百でどうじゃ!」
「三百は最低でもいくでしょう」
沈黙が落ちる。
「……二百五十。加えて、屋台と場所代を一年間無料で提供する」
「うーん、それではそれで手を打ちましょう」
エマは悩んだそぶりを見せた後、小さく微笑んだ。
「中身を割れば、価値はもっと明確になりますよ。これでも、エメラルド鉱山で知られたモナコラ伯爵夫人でしたから」
口座を開設し、金は入金された。
五十ゴルドは、手元に残した。
◇
次にエマが向かったのは、宝石商ペンネ商会だった。
店に入ると、店員が現れた。
「いらっしょいませ、ペンネ商会へ、本日はどのようなご用で?」
「マカロニさんをお願いします。エマが来たと言えばわかるかと」
「かしこまりました、少々、お待ちください」
店員は手慣れた感じで、近くのソファにエマを案内してから、一礼をして奥へと立ち去った。
言葉の通りに少々、待っていると、奥から見慣れた顔を現れた。
エマを確認すると、店主マカロニは驚いた顔をした。
「久しぶりです、奥様……いや、今はエマ様とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「もう、貴族ではないので、エマで。それで店長、お願いがあるのですが」
「はい、どのようなご要望でしょうか?」
店長はにこりと営業用の笑みを浮かべている。
「宝石をカットした後の廃棄石があったら、購入したいかと思いまして」
そして、ここでエマは加工した後の残りの廃棄石を購入するのだった。
捨てる物がお金になって満足した店長マカロニに、エマは店を出る時に軽くアドバイスを送る。
「良い取引ができたお礼に、少し助言をしてもいいかしら」
エマは声を落とす。
「これから、エメラルドの価格が暴落する可能性があります」
「……え、その理由は?」
「市場に、流れます。かなりの量が」
店主は目を細め、深く息を吐いた。
「貴重な情報ありがとうございます。しばらく仕入れは控えます」
◇
布屋では、糸を前に立ち止まった。
「アクセサリー用に向いた糸は?」
「用途次第ですね」
若い女性店員は麻糸を手に取る。
「丈夫で安価。普段使いならこちらがおすすめです」
次に、絹糸を差し出した。
「こちらは高級感があります。肌触りも良いですよ」
「……両方を少量ずつください」
◇
鍛冶工房タパスでは、特注の魔道具を頼んだ。
「鉱石を入れると、自動で粉砕し、一センチほどの玉に整形。研磨して、穴まで空ける……ですか?」
「ええ。一連で」
中年男の主人タパスは顎を撫で、にやりと笑った。
「面白い。できるとも」
◇
完成まで一週間。
その間、エマは冒険者ギルドに鉱石の依頼を出し、街を歩き、素材を集めた。
「……ミスリルとか見てみたいわ」
前世では見たことがない鉱石の名にわくわくする。
一週間後に、再び鍛冶工房を訪れた。
完成品が想像以上に大きいことに驚いた。
馬車ぐらいの大きさはあるのではないだろうか?
「置き場所はどうする? 自分で運ぶか?」
工房主タパスは嬉しそうににやりと笑った。
「なんならこの工房に置いて使用するか? 場所代は一か月十シルバでな」
タパスにそう言われ、エマは深く頭を下げた。
◇
それからの日々は、忙しかった。
魔道具に石を投げ込む作業が続いた。魔道具が石を砕き、磨き、穴を空ける。
ただ、それだけ。
だが確かに、積み上がっていく。
二週間後。
屋台を開く準備は整った。
磨き上げられた石を前に、エマは小さく息を吐く。
ここから――
静かに、しかし確かに。
彼女の人生は、再び動き出していた。
サンジャンの町に辿り着いた頃には、空はすでに茜色に染まりはじめていた。
石畳の通りにはランプの灯が一つ、また一つと入り、人々の声が夕暮れの空気にやわらかく溶け込んでいく。
「ほら、着いたよ。ここが猫耳亭」
アンナが立ち止まり、親指で示した先にあったのは、木造二階建ての宿だった。
外壁は年季が入っているが、手入れは行き届いている。看板には、丸い目をした猫がちょこんと座る愛嬌のある絵が描かれていた。
「……猫の宿、ですか」
「そうそう。冒険者に大人気。値段も良心的だよ」
扉を開けた瞬間、香ばしい煮込みの匂いと、人の熱気が一気に押し寄せてきた。
一階は食堂兼酒場になっており、革鎧姿の冒険者たちがテーブルを囲み、剣や杖を無造作に立てかけている。笑い声、杯の音、木椅子のきしむ音が混じり合い、町の息遣いそのものだった。
「一泊二食付きで十シルバ。どう? 安いでしょ」
「……安すぎませんか?」
エマが思わず聞き返すと、アンナは肩をすくめた。
「この町じゃ普通。長期滞在の冒険者が多いからね。回転率重視ってやつ」
通された二階の部屋は簡素だが清潔で、窓からは通りを見下ろすことができた。
夕食は具沢山のシチューと黒パン。特別な味ではないが、体の奥にじんわりと染み込む。
(……ちゃんと、生きてる)
ベッドに横になりながら、エマは静かにそう思った。
それを実感できたのは、本当に久しぶりだった。
◇
翌朝。
焼きたてのパンと卵料理を平らげ、エマはアンナに深く頭を下げて宿を出た。
「気をつけてね。何かあったら、また猫耳亭に戻ればいい」
「ありがとうございます」
目指すは、商業ギルドだった。
石造りの堂々とした建物の中は、朝から人で溢れていた。
受付の奥から顔を上げたのは、淡い黄色の髪を結い上げた若い女性だ。
「いらっしゃいませ。商業ギルドへようこそ」
「エマといいます。登録について伺いたいのですが」
「受付のマルゲリータと申します」
彼女はにこやかに説明を始めた。
「登録料は百シルバ。屋台を借りる場合は、場所と屋台代で一か月二十シルバになります」
「この町で、正式に商売ができるようになる、と」
「ええ。税の優遇もありますよ」
エマは頷き、さらに問いを重ねた。
「宝石ほど高価でなくても構いません。綺麗な石……カラーストーンを扱いたいのですが」
「ああ、それなら宝石商か道具屋ですね。冒険者ギルドに鉱石採取の依頼を出す方もいますよ」
「穴を空ける道具や、研磨は?」
「鍛冶工房です。紐は布屋か縫製店で」
マルゲリータは手際よく紙に地図を書き、差し出した。
「助かります。それと……売りたいものが一つ」
エマは布に包んでいた拳大の石を、そっと取り出した。
「……石、ですか?」
「中身は、エメラルドです」
「えっ!? エ、エメラルド!?」
マルゲリータは目を見開き、慌てて奥へと駆けていった。
しばらくして現れたのは、眼鏡をかけた中年の男性だった。
「私はマリナーラ。この件を担当させてもらいます」
鑑定魔法がかけられ、原石が淡く光を放つ。
「……これは……」
男の表情が変わる。
「ここでは話せません。応接室へどうぞ」
◇
さらに奥にある応接室で待っていたのは、白髪の老人で商業ギルド長クアトロ=フォルマッジだった。
「入手経路は、どちらで?」
「隣国フランセ王国です。私は元モナコラ伯爵夫人、エマです。現在は離縁し、平民ですが……」
再度の鑑定結果が告げられる。
「エメラルドを含む原石ですな……ただのエメラルドではない。最上位のノンオイルだ」
「で、いくらになりますか?」
「うーん、百ゴルドでどうじゃ? 手頃なお値段かと」
エマは即座に首を横に振った。
「安すぎます。別の場所で売ります」
立ち上がろうとするエマをギルド長が慌てて引き留める。
「待ってくれ! 二百でどうじゃ!」
「三百は最低でもいくでしょう」
沈黙が落ちる。
「……二百五十。加えて、屋台と場所代を一年間無料で提供する」
「うーん、それではそれで手を打ちましょう」
エマは悩んだそぶりを見せた後、小さく微笑んだ。
「中身を割れば、価値はもっと明確になりますよ。これでも、エメラルド鉱山で知られたモナコラ伯爵夫人でしたから」
口座を開設し、金は入金された。
五十ゴルドは、手元に残した。
◇
次にエマが向かったのは、宝石商ペンネ商会だった。
店に入ると、店員が現れた。
「いらっしょいませ、ペンネ商会へ、本日はどのようなご用で?」
「マカロニさんをお願いします。エマが来たと言えばわかるかと」
「かしこまりました、少々、お待ちください」
店員は手慣れた感じで、近くのソファにエマを案内してから、一礼をして奥へと立ち去った。
言葉の通りに少々、待っていると、奥から見慣れた顔を現れた。
エマを確認すると、店主マカロニは驚いた顔をした。
「久しぶりです、奥様……いや、今はエマ様とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「もう、貴族ではないので、エマで。それで店長、お願いがあるのですが」
「はい、どのようなご要望でしょうか?」
店長はにこりと営業用の笑みを浮かべている。
「宝石をカットした後の廃棄石があったら、購入したいかと思いまして」
そして、ここでエマは加工した後の残りの廃棄石を購入するのだった。
捨てる物がお金になって満足した店長マカロニに、エマは店を出る時に軽くアドバイスを送る。
「良い取引ができたお礼に、少し助言をしてもいいかしら」
エマは声を落とす。
「これから、エメラルドの価格が暴落する可能性があります」
「……え、その理由は?」
「市場に、流れます。かなりの量が」
店主は目を細め、深く息を吐いた。
「貴重な情報ありがとうございます。しばらく仕入れは控えます」
◇
布屋では、糸を前に立ち止まった。
「アクセサリー用に向いた糸は?」
「用途次第ですね」
若い女性店員は麻糸を手に取る。
「丈夫で安価。普段使いならこちらがおすすめです」
次に、絹糸を差し出した。
「こちらは高級感があります。肌触りも良いですよ」
「……両方を少量ずつください」
◇
鍛冶工房タパスでは、特注の魔道具を頼んだ。
「鉱石を入れると、自動で粉砕し、一センチほどの玉に整形。研磨して、穴まで空ける……ですか?」
「ええ。一連で」
中年男の主人タパスは顎を撫で、にやりと笑った。
「面白い。できるとも」
◇
完成まで一週間。
その間、エマは冒険者ギルドに鉱石の依頼を出し、街を歩き、素材を集めた。
「……ミスリルとか見てみたいわ」
前世では見たことがない鉱石の名にわくわくする。
一週間後に、再び鍛冶工房を訪れた。
完成品が想像以上に大きいことに驚いた。
馬車ぐらいの大きさはあるのではないだろうか?
「置き場所はどうする? 自分で運ぶか?」
工房主タパスは嬉しそうににやりと笑った。
「なんならこの工房に置いて使用するか? 場所代は一か月十シルバでな」
タパスにそう言われ、エマは深く頭を下げた。
◇
それからの日々は、忙しかった。
魔道具に石を投げ込む作業が続いた。魔道具が石を砕き、磨き、穴を空ける。
ただ、それだけ。
だが確かに、積み上がっていく。
二週間後。
屋台を開く準備は整った。
磨き上げられた石を前に、エマは小さく息を吐く。
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