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綾香おばちゃん
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「お姉さんがユリの面倒を見てくれるからほんと助かるわぁ」
妹の山口愛美はそういって娘のユリを私に預けて、いつものように持病の診察のために病院にいってしまった。
「これでゲームでもして遊んできな。」
「彩香おばちゃんありがとう。」
商店街のゲームコーナーで千円札をユリに渡し、ユリがゲームをやっているのを遠くから見守る。
"予定ではいまごろ、姪っ子じゃなくて自分の子供の面倒をみているはずだったのになぁ。マイホーム購入も諦め、精神的にも、肉体的にも辛い不妊治療をしてるのに、成果がでない。なんで妹とすぐ離婚したDV夫とのあいだにできた子供の面倒をみているんだろうか?"
とも思うことがあるが、もともと子供が好きだということもあって、ユリとの関係は良好だ。
「彩香おばちゃん、全然とれないだけど。」
千円をクレーンゲームで使い果たしたユリが、泣き出しそうになりながら私にうったえてくる。
「つかむんじゃなくて、アームで押す感じで落とすんだよ。」
百円玉をいれてアームを操作すると景品が簡単に手に入った。
「どうもありがとう」
景品を手にしてユリはとても嬉しそうだ。
そのあと二人でご飯を食べ、病院から戻ってきた愛美にユリをまかせ、帰ろうとしたとき、
"時(人生)買います。"
と書いた札をつけた屋台が目に止まったので、立ち寄ってみることにした。
店員……「いらっしゃい。この店は時(人生)・健康を売って、それに見合った契約、もの、こと(経験)が手に入るお店だよ。」
彩香……「時間だけを買っていただいて自分の子供をもつことはできますか?」
店員……「子供が手に入るとしても、売った時間の過程にあった子供との思い出は一切記憶に残らないがそれでも売るかい?」
彩香……「えぇ。構いません。売る時間についてはそちらに決めていただいて構いませんが、健康は子供の面倒をみなくてはならないので売ることはできません。」
店員……「老いて死ぬ間際までの時間をいただくかもしれないがそれでもいいかい?」
彩香……「それでも構いません。"お母さん"と一度でも呼ばれるのが私の望みです。」
店員……「それじゃ。この契約書にサインして」
契約書にサインするとなぜか自分が実家の仏壇の前で手を会わせていることに気がついた。
カレンダーの日付は時を売った日から1ヶ月ほどしか経っていないのに、仏壇には妹の愛美の遺影がおかれていることがわかり全ての状況が
理解できた。
"妹は具合が相当悪かったにも関わらず、娘にそれを悟られないようにしていたのに私はそれに気づいてあげられなかった"
という後悔と
"具合が相当悪かったにも関わらず最後まで自分の娘にたいして気丈に振る舞った"
という感動の思いがごちゃ混ぜになって涙が溢れ出してきた。
そこに隣に座っていっしょに手を合わせていたユリがこう声をかけてきた。
「愛美お母さんは死んじゃって残念だけど近くに同じくらい大好きな人がいるから私は寂しくないわ。ねぇ、彩香"お母さん"。」
私の涙はさらに止まらなくなった。
妹の山口愛美はそういって娘のユリを私に預けて、いつものように持病の診察のために病院にいってしまった。
「これでゲームでもして遊んできな。」
「彩香おばちゃんありがとう。」
商店街のゲームコーナーで千円札をユリに渡し、ユリがゲームをやっているのを遠くから見守る。
"予定ではいまごろ、姪っ子じゃなくて自分の子供の面倒をみているはずだったのになぁ。マイホーム購入も諦め、精神的にも、肉体的にも辛い不妊治療をしてるのに、成果がでない。なんで妹とすぐ離婚したDV夫とのあいだにできた子供の面倒をみているんだろうか?"
とも思うことがあるが、もともと子供が好きだということもあって、ユリとの関係は良好だ。
「彩香おばちゃん、全然とれないだけど。」
千円をクレーンゲームで使い果たしたユリが、泣き出しそうになりながら私にうったえてくる。
「つかむんじゃなくて、アームで押す感じで落とすんだよ。」
百円玉をいれてアームを操作すると景品が簡単に手に入った。
「どうもありがとう」
景品を手にしてユリはとても嬉しそうだ。
そのあと二人でご飯を食べ、病院から戻ってきた愛美にユリをまかせ、帰ろうとしたとき、
"時(人生)買います。"
と書いた札をつけた屋台が目に止まったので、立ち寄ってみることにした。
店員……「いらっしゃい。この店は時(人生)・健康を売って、それに見合った契約、もの、こと(経験)が手に入るお店だよ。」
彩香……「時間だけを買っていただいて自分の子供をもつことはできますか?」
店員……「子供が手に入るとしても、売った時間の過程にあった子供との思い出は一切記憶に残らないがそれでも売るかい?」
彩香……「えぇ。構いません。売る時間についてはそちらに決めていただいて構いませんが、健康は子供の面倒をみなくてはならないので売ることはできません。」
店員……「老いて死ぬ間際までの時間をいただくかもしれないがそれでもいいかい?」
彩香……「それでも構いません。"お母さん"と一度でも呼ばれるのが私の望みです。」
店員……「それじゃ。この契約書にサインして」
契約書にサインするとなぜか自分が実家の仏壇の前で手を会わせていることに気がついた。
カレンダーの日付は時を売った日から1ヶ月ほどしか経っていないのに、仏壇には妹の愛美の遺影がおかれていることがわかり全ての状況が
理解できた。
"妹は具合が相当悪かったにも関わらず、娘にそれを悟られないようにしていたのに私はそれに気づいてあげられなかった"
という後悔と
"具合が相当悪かったにも関わらず最後まで自分の娘にたいして気丈に振る舞った"
という感動の思いがごちゃ混ぜになって涙が溢れ出してきた。
そこに隣に座っていっしょに手を合わせていたユリがこう声をかけてきた。
「愛美お母さんは死んじゃって残念だけど近くに同じくらい大好きな人がいるから私は寂しくないわ。ねぇ、彩香"お母さん"。」
私の涙はさらに止まらなくなった。
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