時を買う人

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雪の降る街

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" さらにまとまった雪が、東北地方で今夜から今週末に渡って降り続くとみられております。 "


東北地方の天気予報を、雪の全く降らない関東地方の局アナが伝える。


「朝ごはん食べ終わったらすぐ雪掻きしてきてよ。そうしないと家から出られないんだから。」


と森中明美(58歳)が弟で百姓をやっている森中和彦(55歳)に言い、それに、


「わかってるって」


といかにもめんどくさそうに和彦が返事をする。


"母さんが死んでからさらにうるさくなったよなぁ"


と思いながら、和彦は家の前の雪掻きを始めた。

独り者の和彦は長年、東北地方で、両親といっしょに暮らしていたのだが、15年前に夫の家庭内暴力からのがれるために、姉の明美が実家に逃げてきて、明美ともいっしょに暮らすことになったのだが、一昨年は父、3ヶ月まえに母が亡くなり、現在は2人で生活を共にしている。


"なんとか家と車庫の前から、普段道路があるところまでは雪を取り除くことはできたけど、道路の除雪は全くされていないから、軽トラで移動することができないじゃないか……。例年以上の大雪なのに除雪の体制がとられないなんておかしいよなぁ。"


そんなことを考えていると和彦の携帯電話に着信があり


「もしもし和彦。これから天気がさらに荒れるから今のうちに商店街にいって食料買ってきて」


と姉から言われたので、商店街まで雪の降り積もった道路を歩いた。


商店街で食料を買って、帰ろうとしたとき、きたときはなかった " 時(人生)買います " という札の付いた屋台があることに気付いた。


"今日みたいな、どか雪降ってる日に屋台やってるなんて不思議だけど、この雪では早く帰っても仕事にならないから、気分転換によってみてもいいか"


と思った和彦は屋台によってみることにした。


「いらっしゃい。この店はあなたの時(人生)・健康を売るとそれと同程度の契約、モノ、経験が手に入る店だよ。売ってしまった人生の間に起こったできごとは思い出に残らないけど売ってみるかい?」


和彦が店の前に立つと店員がそう尋ねたので、


「この地域が過疎地だからかも知れないんだけど除雪車が家の前の道まで来なくて困ってんだよね。我が家の前の道まで除雪車を来させる契約はできますか?」


と和彦が答えると


「その契約なら五年の人生を売ってくれればOKです。それでよければこの契約書にサインして契約成立です。」


と言って店員が契約書を出してきたので、和彦はそれにサインをした。和彦が、サインするや否や、自身が家の前で雪掻きをしていることに気付いた。


" さっきまで商店街にいたのにここで雪掻きしてるってことは本当に時を売ったみたいだなぁ。家の前の道まで除雪車が通った跡があるし間違いなさそうだ。それにしても、五年前はなかった家が、隣や向かいに建ててあって、20代から30代くらいの若い兄ちゃんが家の前の雪掻きしてるんだけどどうしてだろうなぁ?若いやつなんて都心部に転出して過疎化が進む一方だったのに不思議だわぁ "


と思いながらも、家の前の雪掻きを終わらせて家に入ると


" 快晴日数が多い、関東地方の✕✕では不法滞在する外国人の犯罪が跡をたたず無法地帯となっています。そのため、降雪量が多く、寒くて厳しい環境であっても、安全な土地を求めて、我が県に転入してくる若者が増えています。それに伴い、知事が除雪環境を整えて、ほぼ全ての道路に除雪車がすぐ駆けつけられる体制をとったのです。"


というローカルニュースがテレビから流れていた。


それを見た和彦は


"除雪車がきてくれるようになってうれしいけど、関東地方の治安は大丈夫なのだろうか?"


と思ったそうな。






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