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第5章 貴方の目で見る世界
5-7 愛を覚えていて*
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「朝になったらここを発つんだ、いいね」
セヴィリオはリアナーレを強く抱き締めて言う。
「嫌」
最後の別れになりそうな台詞に、素直に頷く女ではない。ロマンチックな雰囲気をぶち壊してでも、リアナーレは拒む。
「これは命令だ。兄の言うことが聞けるなら、僕の言うことも勿論聞くよね」
「う…」
「これまで僕がどんな気持ちでいたか、思い知るといいよ」
セヴィリオはいたずらっぽく笑った。返す言葉がない。国のために喜んで死ぬのだろうと、彼が嫌味を言いたくなる気持ちも今なら分かる。
パチパチと暖炉の火が爆ぜる。今は平和なこの村も、じき戦禍に巻き込まれるだろう。
戦女神時代であれば、村ごと護ってみせようと勇ましく宣言したが、今の体では足手まといになるだけだ。
残念ながら、隠れて続けてきた筋肉増強トレーニングの成果は全く出ていない。
「二度も君を死なせたくない」
「分かった。分かったから。セヴィー、何が何でも戻ってきて」
端正な顔に傷がつこうと、腕が一本無くなろうと構わないから、生きて戻ってくること。二人は約束をした。
「ここまで来るのに疲れたよね。少し休もう」
セヴィリオはリアナーレの背中に回していた腕を緩め、エスコートするように腰に手を添える。
「疲れたのはエルドと馬で、私は平気」
元部下は、今頃どこかの小屋で仮眠をとっているだろう。
どこでも眠れるリアナーレは、馬上でしっかり睡眠をとった。エルドは曲芸師かと呆れていたが、案外難しいことではない。
「誘ったつもりだったんだけど、はっきり言わないと分からないか」
「えっと…?」
「愛し合いたい」
「ひゃっ」
小柄な体はいとも簡単に持ち上げられてしまう。王宮のベッドの半分もない、狭くて硬い寝床にリアナーレは転がされる。
彼が上に乗ると、二人分の重みにベッドはぎしりと軋んだ。
「ちょっと、今はこんなことしてる場合じゃ…んっ……っ」
抗議の隙を与えまいと、セヴィリオは唇を奪う。未だに息を継ぐタイミングすら分からないリアナーレは、唇ごと食べられそうなキスにただただ翻弄された。
「リアナ、愛してる」
長い口づけを終えると、セヴィリオは至近距離でリアナーレを見つめ、熱っぽく囁く。
彼の呼ぶ「リアナ」はずっと、リアナ=キュアイスのことではなく、リアナーレのことだったのだ。
「…うぅ」
彼の熱を孕んだ情欲の眼差しを直視できない。リアナーレは顔を隠そうとするが、両腕を掴まれ、許してもらえなかった。
「可愛い」
無防備な額、鼻先、頬、そして唇に軽いキスが降ってくる。たくさん甘やかされ、自分が可愛い女の子になれた気さえしてくる。
「全部脱いで」
「嫌だ、恥ずかしい」
「それなら脱がしてあげる」
「それも嫌」
嘘。本当は嫌なわけがない。ただ恥ずかしいだけ。
嫌だと首を振りながらも、腰元のリボンを解く手を拒むことはしなかった。彼の手はそのままドレスの裾から侵入し、太腿を撫でる。
「さっきから手にあたって気になってたんだけど、これ、何かな」
――しまった! そういえば、短刀を隠し持ったままだ。
セヴィリオは裾をたくし上げ、柔らかい革製のホルスターに収められた短刀をじっと見つめた。ずり落ちないように、ホルスターは下着から繋がる特注のガーターベルトで固定されている。
そんなつもりは全くなかったのに、次第に卑猥な装飾具に見えてきた。
「護身用の武器」
「いつの間にこんなものを?」
「必要になる日が来ると思いまして」
「準備がいいね」
怒られなかったが、やけに笑顔なのが怖い。リアナーレもつられ、笑って誤魔化そうとする。
彼は凶器を丁寧に外すと、露わになった肌をくすぐるように撫でる。
「…っ、~っ」
あちこちの肌に指を滑らすだけの愛撫に、リアナーレはとうとう耐えられなくなる。
「もうやだ、さっさとして」
「駄目だよ。今日は自分がどれだけ愛されているか、覚えて帰って」
彼はリアナーレの衣服をゆっくり脱がすと、夜が白み始めるまで一晩中、奉仕を続けた。
早く寝ないと体に障ると言っても、離してもらえず、かといって決定的な刺激も与えてもらえない。
自分だけ脱がされ、曝されるのは不平等だ。同じように脱ぐよう文句をつけると、彼は恥じらいもなく衣服を脱ぎ捨てる。
押しつぶされるように抱き締められ、肌同士が触れ合った。明かりの消された室内は真っ暗で何も見えないが、鼓動の速さ、漏れる吐息、互いの温度が伝わる。
あと少しで繋がれる。リアナーレは期待するも、セヴィリオは強情で、それ以上を求めなかった。
ぐずぐずになった体を持て余し、涙目で懇願しても、与えてもらえない。
「生きて帰りたくなるように、続きはとっておいて」
セヴィリオはそう言って眉尻を下げた。
結局、リアナーレの恥ずかしいお強請りは、彼を喜ばせただけだった。
セヴィリオはリアナーレを強く抱き締めて言う。
「嫌」
最後の別れになりそうな台詞に、素直に頷く女ではない。ロマンチックな雰囲気をぶち壊してでも、リアナーレは拒む。
「これは命令だ。兄の言うことが聞けるなら、僕の言うことも勿論聞くよね」
「う…」
「これまで僕がどんな気持ちでいたか、思い知るといいよ」
セヴィリオはいたずらっぽく笑った。返す言葉がない。国のために喜んで死ぬのだろうと、彼が嫌味を言いたくなる気持ちも今なら分かる。
パチパチと暖炉の火が爆ぜる。今は平和なこの村も、じき戦禍に巻き込まれるだろう。
戦女神時代であれば、村ごと護ってみせようと勇ましく宣言したが、今の体では足手まといになるだけだ。
残念ながら、隠れて続けてきた筋肉増強トレーニングの成果は全く出ていない。
「二度も君を死なせたくない」
「分かった。分かったから。セヴィー、何が何でも戻ってきて」
端正な顔に傷がつこうと、腕が一本無くなろうと構わないから、生きて戻ってくること。二人は約束をした。
「ここまで来るのに疲れたよね。少し休もう」
セヴィリオはリアナーレの背中に回していた腕を緩め、エスコートするように腰に手を添える。
「疲れたのはエルドと馬で、私は平気」
元部下は、今頃どこかの小屋で仮眠をとっているだろう。
どこでも眠れるリアナーレは、馬上でしっかり睡眠をとった。エルドは曲芸師かと呆れていたが、案外難しいことではない。
「誘ったつもりだったんだけど、はっきり言わないと分からないか」
「えっと…?」
「愛し合いたい」
「ひゃっ」
小柄な体はいとも簡単に持ち上げられてしまう。王宮のベッドの半分もない、狭くて硬い寝床にリアナーレは転がされる。
彼が上に乗ると、二人分の重みにベッドはぎしりと軋んだ。
「ちょっと、今はこんなことしてる場合じゃ…んっ……っ」
抗議の隙を与えまいと、セヴィリオは唇を奪う。未だに息を継ぐタイミングすら分からないリアナーレは、唇ごと食べられそうなキスにただただ翻弄された。
「リアナ、愛してる」
長い口づけを終えると、セヴィリオは至近距離でリアナーレを見つめ、熱っぽく囁く。
彼の呼ぶ「リアナ」はずっと、リアナ=キュアイスのことではなく、リアナーレのことだったのだ。
「…うぅ」
彼の熱を孕んだ情欲の眼差しを直視できない。リアナーレは顔を隠そうとするが、両腕を掴まれ、許してもらえなかった。
「可愛い」
無防備な額、鼻先、頬、そして唇に軽いキスが降ってくる。たくさん甘やかされ、自分が可愛い女の子になれた気さえしてくる。
「全部脱いで」
「嫌だ、恥ずかしい」
「それなら脱がしてあげる」
「それも嫌」
嘘。本当は嫌なわけがない。ただ恥ずかしいだけ。
嫌だと首を振りながらも、腰元のリボンを解く手を拒むことはしなかった。彼の手はそのままドレスの裾から侵入し、太腿を撫でる。
「さっきから手にあたって気になってたんだけど、これ、何かな」
――しまった! そういえば、短刀を隠し持ったままだ。
セヴィリオは裾をたくし上げ、柔らかい革製のホルスターに収められた短刀をじっと見つめた。ずり落ちないように、ホルスターは下着から繋がる特注のガーターベルトで固定されている。
そんなつもりは全くなかったのに、次第に卑猥な装飾具に見えてきた。
「護身用の武器」
「いつの間にこんなものを?」
「必要になる日が来ると思いまして」
「準備がいいね」
怒られなかったが、やけに笑顔なのが怖い。リアナーレもつられ、笑って誤魔化そうとする。
彼は凶器を丁寧に外すと、露わになった肌をくすぐるように撫でる。
「…っ、~っ」
あちこちの肌に指を滑らすだけの愛撫に、リアナーレはとうとう耐えられなくなる。
「もうやだ、さっさとして」
「駄目だよ。今日は自分がどれだけ愛されているか、覚えて帰って」
彼はリアナーレの衣服をゆっくり脱がすと、夜が白み始めるまで一晩中、奉仕を続けた。
早く寝ないと体に障ると言っても、離してもらえず、かといって決定的な刺激も与えてもらえない。
自分だけ脱がされ、曝されるのは不平等だ。同じように脱ぐよう文句をつけると、彼は恥じらいもなく衣服を脱ぎ捨てる。
押しつぶされるように抱き締められ、肌同士が触れ合った。明かりの消された室内は真っ暗で何も見えないが、鼓動の速さ、漏れる吐息、互いの温度が伝わる。
あと少しで繋がれる。リアナーレは期待するも、セヴィリオは強情で、それ以上を求めなかった。
ぐずぐずになった体を持て余し、涙目で懇願しても、与えてもらえない。
「生きて帰りたくなるように、続きはとっておいて」
セヴィリオはそう言って眉尻を下げた。
結局、リアナーレの恥ずかしいお強請りは、彼を喜ばせただけだった。
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