4 / 4
4
しおりを挟む
「お父様、お母様。まず一刻も早くこの国を出ようと思います。お話は伝わっていると思いますが、今日中に出ていくと宣言致しましたので、今すぐにでも荷物を纏め、夜が明ける前に隣国に入れたらと思っています」
「ああ、その話が伝わった時点で使用人達が完璧に荷物を纏めてある」
「ひとまずその後の話は馬車でしましょうか。早速出発するわよ」
いつの間にか外には使用人達も全員乗り込める馬車が用意されていた。
一台しかないが、これは私が空間拡張の魔法がかけられているので、その気になれば百人でも乗れる。
聖女は基本的に国の結界の維持だけで相当な魔力を使用するので、他属性には手を出せない。
だが、歴代聖女トップレベルの魔力を持つ私は、結界の維持を続けても尚余ってしまうので、空間属性と風属性も極めてみた。
事が済んだら他の水属性や火属性なども極めてみようと思う。
それはさておき、出発した馬車の中で私が考えた作戦をみんなと共有する。
「まず結界を解くだけで魔獣達は喜んで国に侵入します。それに加え、今まで抑えられてきた大規模な災害も起こるでしょう。ですが、それだけでは国が滅ぶとは思いません。今後災害がいつ起こるかなどは運ですし、魔獣に関しては、辺境の領地が退治に長けていますから。
ですので、トレント王国に侵入する魔獣だけを強化する結界を張ろうと思います」
災害を起こせるほどの魔法を習得していないのでそれは自然に任せるとして、他に私が出来ることといえば魔獣関係だけだ。
本来一から結界を張るのには多くの魔力を使用するが、初代聖女が張った結界を維持するより、魔獣強化の結界の方を張ることの方が魔力は使用しない。
それだけ自然に逆らうのは難しいという事だ。
「確かにそれならアリアにもあまり負担がかからないし、いいと思うわ。でもそれだけでは王都へのダメージは少ないんじゃないかしら?」
「いいや、王都に魔獣が攻め込んでもあまりダメージはない。仮にも王族が住む場所。軍事は相当のものだ。
……アリアの狙いは王族が処刑されることだろう」
お父様の言う通り。
王族の周りは一流の騎士が揃っているので、魔獣を直接仕向けるよりも民に反乱させ、首を落とされる方が確実だと予想した。
何故聖女を追放した、と明日にでも苦情が王城に届くことでしょう。
そうなってしまえばあとは時間の問題。
「王族の無能さが露見し、私が手を出さなくても勝手に自滅してくれますわ」
「ああ、その話が伝わった時点で使用人達が完璧に荷物を纏めてある」
「ひとまずその後の話は馬車でしましょうか。早速出発するわよ」
いつの間にか外には使用人達も全員乗り込める馬車が用意されていた。
一台しかないが、これは私が空間拡張の魔法がかけられているので、その気になれば百人でも乗れる。
聖女は基本的に国の結界の維持だけで相当な魔力を使用するので、他属性には手を出せない。
だが、歴代聖女トップレベルの魔力を持つ私は、結界の維持を続けても尚余ってしまうので、空間属性と風属性も極めてみた。
事が済んだら他の水属性や火属性なども極めてみようと思う。
それはさておき、出発した馬車の中で私が考えた作戦をみんなと共有する。
「まず結界を解くだけで魔獣達は喜んで国に侵入します。それに加え、今まで抑えられてきた大規模な災害も起こるでしょう。ですが、それだけでは国が滅ぶとは思いません。今後災害がいつ起こるかなどは運ですし、魔獣に関しては、辺境の領地が退治に長けていますから。
ですので、トレント王国に侵入する魔獣だけを強化する結界を張ろうと思います」
災害を起こせるほどの魔法を習得していないのでそれは自然に任せるとして、他に私が出来ることといえば魔獣関係だけだ。
本来一から結界を張るのには多くの魔力を使用するが、初代聖女が張った結界を維持するより、魔獣強化の結界の方を張ることの方が魔力は使用しない。
それだけ自然に逆らうのは難しいという事だ。
「確かにそれならアリアにもあまり負担がかからないし、いいと思うわ。でもそれだけでは王都へのダメージは少ないんじゃないかしら?」
「いいや、王都に魔獣が攻め込んでもあまりダメージはない。仮にも王族が住む場所。軍事は相当のものだ。
……アリアの狙いは王族が処刑されることだろう」
お父様の言う通り。
王族の周りは一流の騎士が揃っているので、魔獣を直接仕向けるよりも民に反乱させ、首を落とされる方が確実だと予想した。
何故聖女を追放した、と明日にでも苦情が王城に届くことでしょう。
そうなってしまえばあとは時間の問題。
「王族の無能さが露見し、私が手を出さなくても勝手に自滅してくれますわ」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~
銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。
自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。
そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。
テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。
その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!?
はたして、物語の結末は――?
婚約破棄がお望みならどうぞ。
和泉 凪紗
恋愛
公爵令嬢のエステラは産まれた時から王太子の婚約者。貴族令嬢の義務として婚約と結婚を受け入れてはいるが、婚約者に対して特別な想いはない。
エステラの婚約者であるレオンには最近お気に入りの女生徒がいるらしい。エステラは結婚するまではご自由に、と思い放置していた。そんなある日、レオンは婚約破棄と学園の追放をエステラに命じる。
婚約破棄がお望みならどうぞ。わたくしは大歓迎です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる