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我が家に到着し、使用人達に出迎えられながら馬車を降りる。
玄関では両親が笑顔で私を待っていた。
「お父様、お母様。只今帰りました」
「おかえりなさい、アリア」
「疲れているだろうが、家族会議を開こうか」
笑顔のままリビングに向かい、それぞれの定位置に座る。
「アリア、早速だが婚約破棄についてだ」
「やはりお話は全て伝わっているのですね」
トーマス家はトレンス王国の筆頭公爵家。
情報網は国の中でもトップレベルで広く、今日のパーティーでの出来事もリアルタイムで聞いていたのだろう。
「何度か乗り込もうとしたのだけど、使用人が武器を持ち出して止めてくるものだから……」
「今すぐにでも殺ろうかと思ったのだが、使用人に魔法で止められてしまったからな……」
使用人達、よくやった。
私達はトレント王国の貴族の中でも一二を争う程家族仲が良い。
それだけでなく使用人達とも家族のように仲が良いので、多少両親を雑に扱っても解雇になることは無い。
と言ってもうちの使用人達は優秀なので、相当な非常事態が起きない限り、雑に扱うようなことは無いのだけれど。
今回は相当両親が荒れていたのだろう。
だけど、荒れていたのは私も同じだ。
「お父様、お母様。今回ばかりは私も頭に来ました。
……この国を滅ぼそうと思います」
これは例え私を愛してくれている両親が反対しても仕方がないことだ。
それだけ初代聖女に対して無礼なことをするという自覚もある。
だから両親が反対するなら、トーマス家だけ別の国に避難させ、一人で作戦を進めようと考えていた。
だが、両親の反応は想像と180度違った。
「いいわね!私にも手伝わせて頂戴!」
「王家には今までの恨みもあるからな。盛大にやってやろうじゃないか」
両親どころか後ろで控えている使用人達までやる気に満ち溢れている。
確かにうちは貴族の中では一番爵位が高いのに、王族からの扱いは酷いものだった。
そのせいで他の貴族にも裏で色々なことを言われていたりもした。
だからと言ってすぐに国を滅ぼす決断を出来るのは血筋ということか。
だが、これで私の心配事は何も無くなった。
これから馬車で立てた計画を本格的に実行していこうと思う。
玄関では両親が笑顔で私を待っていた。
「お父様、お母様。只今帰りました」
「おかえりなさい、アリア」
「疲れているだろうが、家族会議を開こうか」
笑顔のままリビングに向かい、それぞれの定位置に座る。
「アリア、早速だが婚約破棄についてだ」
「やはりお話は全て伝わっているのですね」
トーマス家はトレンス王国の筆頭公爵家。
情報網は国の中でもトップレベルで広く、今日のパーティーでの出来事もリアルタイムで聞いていたのだろう。
「何度か乗り込もうとしたのだけど、使用人が武器を持ち出して止めてくるものだから……」
「今すぐにでも殺ろうかと思ったのだが、使用人に魔法で止められてしまったからな……」
使用人達、よくやった。
私達はトレント王国の貴族の中でも一二を争う程家族仲が良い。
それだけでなく使用人達とも家族のように仲が良いので、多少両親を雑に扱っても解雇になることは無い。
と言ってもうちの使用人達は優秀なので、相当な非常事態が起きない限り、雑に扱うようなことは無いのだけれど。
今回は相当両親が荒れていたのだろう。
だけど、荒れていたのは私も同じだ。
「お父様、お母様。今回ばかりは私も頭に来ました。
……この国を滅ぼそうと思います」
これは例え私を愛してくれている両親が反対しても仕方がないことだ。
それだけ初代聖女に対して無礼なことをするという自覚もある。
だから両親が反対するなら、トーマス家だけ別の国に避難させ、一人で作戦を進めようと考えていた。
だが、両親の反応は想像と180度違った。
「いいわね!私にも手伝わせて頂戴!」
「王家には今までの恨みもあるからな。盛大にやってやろうじゃないか」
両親どころか後ろで控えている使用人達までやる気に満ち溢れている。
確かにうちは貴族の中では一番爵位が高いのに、王族からの扱いは酷いものだった。
そのせいで他の貴族にも裏で色々なことを言われていたりもした。
だからと言ってすぐに国を滅ぼす決断を出来るのは血筋ということか。
だが、これで私の心配事は何も無くなった。
これから馬車で立てた計画を本格的に実行していこうと思う。
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