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今から1200年程前、争いで溢れていたこの世を鎮めたのが、トレンス王国の建国者である初代聖女アリシア・ウィリアムズ様と聖獣スレイ様だ。
聖なる結界で世界中の人々の心を清め、一度この世から争いを消した。
世界中の多くの人間が初代聖女と聖獣様に感謝し、頭を下げ、付き従った。
そして気付けば、多くの民が初代聖女の元に集まっていたため、国を作ることにした。
これがトレンス王国の成り立ちだ。
トレンス王国は初代聖女が亡き後も、聖属性を持つ者を聖女に指名し、王族に嫁がせた。
聖女の主な仕事は、災害や魔獣避けの結界の維持、修繕。
他にも毎日のお祈りや、貧しい平民への炊き出しなどもあるが、一番の仕事はこの国を護ることだ。
だから聖女達は次の聖女が見つかるまで、身を削って結界を張り続けた。
時には寿命ギリギリまで次の聖女が見つからず、魂を削ってまで結界に魔力を込め続けた者もいた。
そして、私アリア・トーマスは9代目の聖女となる。
初代聖女に勝るとも劣らない聖属性の魔力を持って生まれた私は、祝福され、危険視された。
これ程の力があれば国に利用されることは間違いない。
最近の王族は領土を広げるために、密かに軍事強化しているからだ。
だから両親は嘘をついた。
『アリアは歴代の聖女と比べても、少ない量の魔力しかありません。なので、神々の祝福を最も受けやすい教会を出てしまえば、その力を奮うことはできません』
王族や貴族には鼻で笑われた。
ある程度の生活を送れている平民にも陰でコソコソ言われていたことを知っている。
炊き出しをした際、貧しい平民達は感謝の言葉を伝えてくれたが、署名をチラリと見た際、ミミズのような文字で見覚えのある名前が書かれていたので、内心では私のことを恨んでいたのだろう。
事実、私の生活には、王族に敵わないとしても多額の税金が使われていたから。
それでも私達聖女のしてきた功績としては安いものなのに。
365日年中無休で国を護り続け、命、時には魂を削ってきたのに。
初代聖女アリシア・ウィリアムズ様が建国したトレンス国を、9代目の聖女であるアリア・トーマスが滅ぼしてみせますわ。
聖なる結界で世界中の人々の心を清め、一度この世から争いを消した。
世界中の多くの人間が初代聖女と聖獣様に感謝し、頭を下げ、付き従った。
そして気付けば、多くの民が初代聖女の元に集まっていたため、国を作ることにした。
これがトレンス王国の成り立ちだ。
トレンス王国は初代聖女が亡き後も、聖属性を持つ者を聖女に指名し、王族に嫁がせた。
聖女の主な仕事は、災害や魔獣避けの結界の維持、修繕。
他にも毎日のお祈りや、貧しい平民への炊き出しなどもあるが、一番の仕事はこの国を護ることだ。
だから聖女達は次の聖女が見つかるまで、身を削って結界を張り続けた。
時には寿命ギリギリまで次の聖女が見つからず、魂を削ってまで結界に魔力を込め続けた者もいた。
そして、私アリア・トーマスは9代目の聖女となる。
初代聖女に勝るとも劣らない聖属性の魔力を持って生まれた私は、祝福され、危険視された。
これ程の力があれば国に利用されることは間違いない。
最近の王族は領土を広げるために、密かに軍事強化しているからだ。
だから両親は嘘をついた。
『アリアは歴代の聖女と比べても、少ない量の魔力しかありません。なので、神々の祝福を最も受けやすい教会を出てしまえば、その力を奮うことはできません』
王族や貴族には鼻で笑われた。
ある程度の生活を送れている平民にも陰でコソコソ言われていたことを知っている。
炊き出しをした際、貧しい平民達は感謝の言葉を伝えてくれたが、署名をチラリと見た際、ミミズのような文字で見覚えのある名前が書かれていたので、内心では私のことを恨んでいたのだろう。
事実、私の生活には、王族に敵わないとしても多額の税金が使われていたから。
それでも私達聖女のしてきた功績としては安いものなのに。
365日年中無休で国を護り続け、命、時には魂を削ってきたのに。
初代聖女アリシア・ウィリアムズ様が建国したトレンス国を、9代目の聖女であるアリア・トーマスが滅ぼしてみせますわ。
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