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「はっ、ぅ、ぐ……ぁ……」
薄暗い部屋の中、自分の吐息がやけに大きく聞こえた。
さざなみ先輩の手が、僕のペニスを優しく包み込み、上下に動かしている。
そのたびに、身体に電流がぴりぴりと走った。

「やっぱり可愛いな、八神やがみ
先輩がじっと僕を見つめてきた。
まるでその目に魅入られたかのように、僕は身動きが取れなくなる。
ただ、腰だけが自然ともぞもぞと動いていた。

「これはただの、オナニーの手伝い」
先輩が僕をまっすぐ見つめたまま言う。
「だから何も悪く思うことはない。彼女とのセックスでも何でも、思い浮かべればいいさ」
男同士だからだろうか。
先輩の手は、ぞくぞくするほど僕の気持ちいいところを刺激してくる。
先端を包まれ、掌で優しく擦られたときには、ねっとりした液体が、亀頭に塗り広げられるのがわかった。

「漣、先輩……」
僕は熱い吐息と一緒に、先輩を呼んだ。
「ん?」
すべてを包み込むような表情。
なぜ先輩を呼んだのか、自分でもわからなかった。

「気持ち、いい、です……」
それでも、考える前に自然と口が動いていた。
自分でもびっくりするほど、甘い声。
先輩も少し驚いたように、目を大きくしている。
急に、恥ずかしくなった。

「ずりぃな、お前……」
気がつけば、先輩の手の動きが止まっていた。
僕はまるで求めるように、腰をもぞもぞとさせる。
少し俯いた先輩が、ふっと顔を上げた。
真剣な表情。
何て整った顔立ちだろう。
男の僕でも、思わず見惚れてしまう。

その顔が、ゆっくりと近づいてきた。
僕はまるで、蛇に睨まれた蛙のように固まっていた。
あぁ、いけない、こんなの……。

そう思ったときには、先輩の唇が、僕の唇に重なっていた。
不思議と、まったく嫌ではなかった。
自分でも、今の自分がよくわからない。

「ふぐっ……!」
突如、先輩が再び手を激しく動かし始めた。
「はっ、はっ……んんっ」
思わず顔を逸らして吐息を漏らした僕の口を、追いかけてきた先輩の唇が塞ぐ。

舌が侵入してきた。
ねっとりと、柔らかい舌。
「はぇ、ぁ、へんは、ぃ……」
全身ががくがくと震える。
先輩が、貪るように僕の唇を求めてくる。
僕も自然と、応えるように舌を絡ませていた。

ひねりを加えるような手つきで、ペニスをしごかれる。
「はっ、うぅ、あ、ぁ……」
まるで女性のように、甘い喘ぎ声が漏れる。
意思とは関係なく、腰が激しく左右に動いた。

「あっ、先輩待って、イ、イッちゃう……!」
突然腰の奥から込み上げてきた衝動に、僕は慌てて先輩を押し留める。
髪が少し乱れ、潤んだような瞳の先輩の顔。
その口元が、ぞっとする微笑みを浮かべた。

次の瞬間、先輩が身体をかがめた。
何が起こったのかわからないうちに、ペニスが温かさに包まれる。
「……!?」
僕の股間に、先輩の頭部。
まさか……フェラされてる!?
「うあぁっ、ぁ、先輩ダメイクっ……!」
一気に吸い上げられたペニスが、あっさりと限界を迎える。
先輩の口の中に含まれたまま、僕は先端から激しく欲望をほとばしらせた。
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