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闇夜の襲撃者 1
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周囲の地形とある程度の名産を調べて終えると、ロボットが全員到着したと報告があった。俺は、それを聞くと、街へと全速力で向かった。
街に着いたころには、日が傾き始めており、俺は急いで基地へと向かった。
基地前では、輸送用のトラックが何台も止まっていた。トラックの運転席に行こうとしている司令官を見て、声を掛けた。
「ただいま戻りました。これから護衛させていただきます」
「うむ、索敵には飛行ドローンもあるから、貴公の負担も軽減するだろう」
「ありがたい限りでございます」
「ああ‥‥それと、本当によくやってくれた‥‥まだ第一段階だが、この一歩は大きい」
そう言い終えると、彼は、運転席に座った。
そういえば、彩花はどこにいるのだろうか?そう思い周りを見渡していると、後ろから声をかけられた。
「漆山さん?」
「うん?何故分かったんだ?」
「指定されたトラックの前で声が聞こえてきたから‥‥おかえりなさい!」
「ああ‥‥今回も俺が護衛するから、安心してくれ!国落としが襲ってきても、守り抜いて見せる!」
「ふふ、それは頼もしいですね!では、お願いします。」
そう言い終えると、彼女は、トラックの荷台に乗り込んだ。ちらりと覗いた荷台の中はトラックと思えないくらい快適そうな空間が広がっていたような気がした。
トラックのスピードに、合わせながら護衛すること数時間。それは突然起きた。索敵をしていた飛行ドローンが墜落したのである。ただの故障かと思ったが、次々と落ちていく。
唐突な異常事態に困惑しながら、周囲を見渡す。すると、前方に唐突に現れた白いロボットが、何かを飛ばして飛行ドローンを次々と落としているのが分かった。
ただ者ではない‥‥そう直感した俺は、奴を倒すべく近づく。
月明かりに照らされた白い敵をめがけて、荒野を駆ける。しかし、次の瞬間、俺は目を疑った。目標が忽然と姿を消したのだ。
周囲を必死に見渡すが、一向に消えたあの白いロボットは見つからない。この暗闇に、あの機体ならすぐに見つかるはずだが‥‥
そんなことを考えていると、どこかから声が聞こえてくる。
「その武器は‥‥ルドベキアのモノね?じゃあ、貴方がターゲットってわけね?」
「何者だ!姿を現せ!」
「ふふ、素直に敵の言うことを承諾するとでも思っているの?」
嘲笑じみた声が荒野に響く。声の方向を探っていると、何かがこちらへ飛んできた。鋭く煌めく銀色の物体‥‥あれは、ナイフか?
その攻撃を悠々と躱すと、次々とナイフが飛んでくる。敵の猛攻撃をしのぎながら、トラックに異常事態発生のサインを送る。しかし、攻撃の方向から敵の位置が把握出来ない‥‥移動しながら攻撃されているのか?
そんなことを考えていると、またどこかから声が聞こえてきた。
「なるほど、流石にあの正義心の塊を倒すだけあるわ‥‥この私の攻撃をここまでしのぐとはね‥‥」
「貴様も中々の手練れじゃないか?おそらくだが‥‥国落としだな?」
「正解よ、第5席次のアニス‥‥と言えば、分かるかしら?まぁそれが分かったとして、貴方の敗北は変わらないんだけどね」
そう言い終えると、また猛攻撃が始まる。防戦一方の俺は、あることを思い出す。奴の消える仕組み‥‥光学迷彩というやつなのでは?だとすれば、あの手を使うか‥‥!
俺は、空中に飛び上がり、地面に向かって、弾丸を数発ぶち込む。舞い上がる砂ぼこり‥‥その中に、歪んだ空間があった。やはり、そうだ!光学迷彩で、姿は消せても、実態はある!
俺は、その場所に銃弾を撃つと、奴をかすめた。徐々に、アニスが姿を現し、こう言った。
「危なかった‥‥やっぱりこんな小細工でやられてくれる相手じゃないようね‥‥」
「ふふ、ここからは、本来の戦い方で行かせてもらうわ!」
小太刀とナイフを構えながら、奴は突進してきた。
俺は、銃剣を構え、敵の攻撃を迎え撃つ体制に入る。奴の手元から、ナイフが何本か投げられる。しかし、俺に命中しない。わざと外しているのか?警戒をしていると、奴の小太刀が、俺のほほをかすめる。
銃弾で牽制しつつ、体勢を立て直そうとすると、奴は先ほど投げたナイフを蹴りつけ、攻撃をしてきた。腕にナイフが突き刺さる。なるほど、こういう使い方をするのか‥‥
そんな関心をしていると、次々とナイフを蹴りつけ、攻撃をしてきた。ナイフを避けようとすると、今度は、小太刀で切りつけられる。咄嗟に後方へ体を、そらしたおかげか、傷口は浅かった。
飛び道具で、相手を牽制しつつ、もう一刀で攻撃する‥‥まるで、鏡に映った自分と戦っているようだ‥‥いや、少し違うな‥‥奴の攻撃は、数段早く、洗礼されている。
このままでは不味いと思った瞬間、あることを思い出す。そうか‥‥攻撃を躱すことに専念しすぎるから、こちらが防戦一方になるのか‥‥だから、あいつは‥‥
俺は、背中に担いだ武器を取り出し、構えた。
「あら?貴方、それを使えるの?」
「使えなきゃ‥‥俺の負けだ‥‥!」
奴の攻撃を受けながら、攻撃を行う‥‥だが、機体のダメージ的にも一撃が限界だ‥‥なら、見様見真似だが‥‥今まで受けてきた攻撃の中で、最強の一撃をくらわすしかない!
アニスが先ほどと同様にナイフを投げながら、突進してくる。突き刺さっていく奴の武器を物ともせず、戦槌を振り上げる。小太刀で切りかかってきたその時、わざと踏み込み、体を切りこませ、奴の動きを封じる。
「お前の一撃‥‥借り受ける!雷帝の一撃!」
逃げ遅れた奴を頭からとらえ、恐ろしい勢いで粉々になった。くぼんだ地面に奴だったものを確認すると、後ろで待機していたトラックにGOサインを出す。
もう少しだけ持ってくれよ‥‥俺の体‥‥
領地に到着するころには、朝になっていた。俺は安心すると、地面に腰を下ろした。流石にダメージが‥‥蓄積しすぎた。
しばらくの間、座り込んでいると、聞きなれた声が聞こえてきた。
「一将!大丈夫か?すぐに直してあげるよ!」
「ああ‥‥博士か?何故ここに?」
「司令官さんに呼ばれてね‥‥そんなことより僕の乗ってきたトラックまで動けるかい?」
「問題ない‥‥」
そう言い終えると、博士の指さす方向へゆっくりと歩き出した。
トラック内で、博士の処置を受けて終わり、ダメージがほとんど抜けきったのを確認していると、彩花が荷台の中を覗き込みこう言った。
「漆山さん‥‥?いますか?」
「ああ、ここにいるよ」
「良かった‥‥!敵襲があったって聞いたから、どうなったかと‥‥」
「問題ない、博士に今しがた診てもらったからな」
「まぁ、割りと深刻なダメージを追ってたけどね」
「博士‥‥余計なことは言わなくていいだろ?」
「本当に大丈夫なのですか?」
「ああ、そんなことより、この町を散歩でもしないか?面白そうなところもあるし」
「ええ、でも‥‥漆山さんの体は‥‥」
「平気だ、基地の設営が終わるまで、お互い暇だろ?」
「まぁ‥‥そうですが‥‥」
「じゃあ行こう!」
そう言うと、俺は彼女の手を取り、町へと歩みだした。
街に着いたころには、日が傾き始めており、俺は急いで基地へと向かった。
基地前では、輸送用のトラックが何台も止まっていた。トラックの運転席に行こうとしている司令官を見て、声を掛けた。
「ただいま戻りました。これから護衛させていただきます」
「うむ、索敵には飛行ドローンもあるから、貴公の負担も軽減するだろう」
「ありがたい限りでございます」
「ああ‥‥それと、本当によくやってくれた‥‥まだ第一段階だが、この一歩は大きい」
そう言い終えると、彼は、運転席に座った。
そういえば、彩花はどこにいるのだろうか?そう思い周りを見渡していると、後ろから声をかけられた。
「漆山さん?」
「うん?何故分かったんだ?」
「指定されたトラックの前で声が聞こえてきたから‥‥おかえりなさい!」
「ああ‥‥今回も俺が護衛するから、安心してくれ!国落としが襲ってきても、守り抜いて見せる!」
「ふふ、それは頼もしいですね!では、お願いします。」
そう言い終えると、彼女は、トラックの荷台に乗り込んだ。ちらりと覗いた荷台の中はトラックと思えないくらい快適そうな空間が広がっていたような気がした。
トラックのスピードに、合わせながら護衛すること数時間。それは突然起きた。索敵をしていた飛行ドローンが墜落したのである。ただの故障かと思ったが、次々と落ちていく。
唐突な異常事態に困惑しながら、周囲を見渡す。すると、前方に唐突に現れた白いロボットが、何かを飛ばして飛行ドローンを次々と落としているのが分かった。
ただ者ではない‥‥そう直感した俺は、奴を倒すべく近づく。
月明かりに照らされた白い敵をめがけて、荒野を駆ける。しかし、次の瞬間、俺は目を疑った。目標が忽然と姿を消したのだ。
周囲を必死に見渡すが、一向に消えたあの白いロボットは見つからない。この暗闇に、あの機体ならすぐに見つかるはずだが‥‥
そんなことを考えていると、どこかから声が聞こえてくる。
「その武器は‥‥ルドベキアのモノね?じゃあ、貴方がターゲットってわけね?」
「何者だ!姿を現せ!」
「ふふ、素直に敵の言うことを承諾するとでも思っているの?」
嘲笑じみた声が荒野に響く。声の方向を探っていると、何かがこちらへ飛んできた。鋭く煌めく銀色の物体‥‥あれは、ナイフか?
その攻撃を悠々と躱すと、次々とナイフが飛んでくる。敵の猛攻撃をしのぎながら、トラックに異常事態発生のサインを送る。しかし、攻撃の方向から敵の位置が把握出来ない‥‥移動しながら攻撃されているのか?
そんなことを考えていると、またどこかから声が聞こえてきた。
「なるほど、流石にあの正義心の塊を倒すだけあるわ‥‥この私の攻撃をここまでしのぐとはね‥‥」
「貴様も中々の手練れじゃないか?おそらくだが‥‥国落としだな?」
「正解よ、第5席次のアニス‥‥と言えば、分かるかしら?まぁそれが分かったとして、貴方の敗北は変わらないんだけどね」
そう言い終えると、また猛攻撃が始まる。防戦一方の俺は、あることを思い出す。奴の消える仕組み‥‥光学迷彩というやつなのでは?だとすれば、あの手を使うか‥‥!
俺は、空中に飛び上がり、地面に向かって、弾丸を数発ぶち込む。舞い上がる砂ぼこり‥‥その中に、歪んだ空間があった。やはり、そうだ!光学迷彩で、姿は消せても、実態はある!
俺は、その場所に銃弾を撃つと、奴をかすめた。徐々に、アニスが姿を現し、こう言った。
「危なかった‥‥やっぱりこんな小細工でやられてくれる相手じゃないようね‥‥」
「ふふ、ここからは、本来の戦い方で行かせてもらうわ!」
小太刀とナイフを構えながら、奴は突進してきた。
俺は、銃剣を構え、敵の攻撃を迎え撃つ体制に入る。奴の手元から、ナイフが何本か投げられる。しかし、俺に命中しない。わざと外しているのか?警戒をしていると、奴の小太刀が、俺のほほをかすめる。
銃弾で牽制しつつ、体勢を立て直そうとすると、奴は先ほど投げたナイフを蹴りつけ、攻撃をしてきた。腕にナイフが突き刺さる。なるほど、こういう使い方をするのか‥‥
そんな関心をしていると、次々とナイフを蹴りつけ、攻撃をしてきた。ナイフを避けようとすると、今度は、小太刀で切りつけられる。咄嗟に後方へ体を、そらしたおかげか、傷口は浅かった。
飛び道具で、相手を牽制しつつ、もう一刀で攻撃する‥‥まるで、鏡に映った自分と戦っているようだ‥‥いや、少し違うな‥‥奴の攻撃は、数段早く、洗礼されている。
このままでは不味いと思った瞬間、あることを思い出す。そうか‥‥攻撃を躱すことに専念しすぎるから、こちらが防戦一方になるのか‥‥だから、あいつは‥‥
俺は、背中に担いだ武器を取り出し、構えた。
「あら?貴方、それを使えるの?」
「使えなきゃ‥‥俺の負けだ‥‥!」
奴の攻撃を受けながら、攻撃を行う‥‥だが、機体のダメージ的にも一撃が限界だ‥‥なら、見様見真似だが‥‥今まで受けてきた攻撃の中で、最強の一撃をくらわすしかない!
アニスが先ほどと同様にナイフを投げながら、突進してくる。突き刺さっていく奴の武器を物ともせず、戦槌を振り上げる。小太刀で切りかかってきたその時、わざと踏み込み、体を切りこませ、奴の動きを封じる。
「お前の一撃‥‥借り受ける!雷帝の一撃!」
逃げ遅れた奴を頭からとらえ、恐ろしい勢いで粉々になった。くぼんだ地面に奴だったものを確認すると、後ろで待機していたトラックにGOサインを出す。
もう少しだけ持ってくれよ‥‥俺の体‥‥
領地に到着するころには、朝になっていた。俺は安心すると、地面に腰を下ろした。流石にダメージが‥‥蓄積しすぎた。
しばらくの間、座り込んでいると、聞きなれた声が聞こえてきた。
「一将!大丈夫か?すぐに直してあげるよ!」
「ああ‥‥博士か?何故ここに?」
「司令官さんに呼ばれてね‥‥そんなことより僕の乗ってきたトラックまで動けるかい?」
「問題ない‥‥」
そう言い終えると、博士の指さす方向へゆっくりと歩き出した。
トラック内で、博士の処置を受けて終わり、ダメージがほとんど抜けきったのを確認していると、彩花が荷台の中を覗き込みこう言った。
「漆山さん‥‥?いますか?」
「ああ、ここにいるよ」
「良かった‥‥!敵襲があったって聞いたから、どうなったかと‥‥」
「問題ない、博士に今しがた診てもらったからな」
「まぁ、割りと深刻なダメージを追ってたけどね」
「博士‥‥余計なことは言わなくていいだろ?」
「本当に大丈夫なのですか?」
「ああ、そんなことより、この町を散歩でもしないか?面白そうなところもあるし」
「ええ、でも‥‥漆山さんの体は‥‥」
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「じゃあ行こう!」
そう言うと、俺は彼女の手を取り、町へと歩みだした。
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