機械と花 ロボットだろうが感情はあるんだから恋愛くらいしてもいいだろ?

トリカブト

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ロボットだって感情はあるんだから恋愛してもいいだろう?

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 涙がようやく止まったころには、街についていた。見慣れた街だ‥‥
「はぁ‥‥はぁ‥‥ここまでくれば安全だ」

「兄さん‥‥これからどうしよう?」

「え?ああ‥‥どうしようか‥‥」

「とりあえずお金を稼がないと暮らせない‥‥だから、働くぞ!」
 そう言い並び立つ店に片っ端から、交渉をしていった。だが、小さな子供を雇う酔狂な店主など存在せず、全滅した。
「くそ!ケチ臭い奴らばかりだ!」
 そう悪態をつき、次の通りに出る路地裏に入ると、いかにも悪そうな少年たちが寄ってきた。
「おい‥‥お前らいい服着てんじゃねぇか?金目のもん全部おいていったら、見逃してやるよ」

「悪いが、金目のモノなんてない!あったとしても、これからの生活に使っていく」

「そうか‥‥じゃあ、痛い目に遭ってもらうぜ!」
 そう言い終えると、悪ガキたちが襲ってきた。兄は、俺に神器を持たせると、下がっていろと言い、悪ガキたちと戦った。
 兄は強く、自分よりも大きい相手にも余裕で殴り飛ばし、悪ガキたちは捨て台詞を吐き、どこかへ消えていった。
「ふぅ‥‥強くなくて良かったぜ」
 そう言うと、兄は神器を受け取り、目的地へと進んでいった。
 次の通りでも、そのまた次の通りでも、交渉は成功しなかったが、最後の最後でようやく交渉に成功し、しかも、居候させてもらえることになった。
「一応は寝床を確保できたな!」

「うん!兄さん凄い!」

「へへ、兄ちゃんに任せとけ!」
 そう言って、硬い寝床に着く。毎晩、隣ですすり泣くような声を聞きながら、自身も涙をこらえ眠りにつく日々が始まった。



 年月が過ぎ、俺も働けるようになり、兄の手伝いをするようになった。ある日、俺が買い出しに出かけると、後ろから誰かが付けてくる‥‥また‥‥悪ガキか?そう思った俺は、返り討ちにしようと、路地裏に隠れ込む。
 曲がり角を利用して、不意打ちを食らわせようとするが、これを軽々と阻止された。何だと?!これで、狩れなかった不良どもはいなかったのに‥‥
 そう思った俺の顔面に拳が突き刺さる。痛みに思わずうなりながら、後ずさりする。
「おやおや‥‥流石、漆山の血族だ‥‥戦闘が得意なようで」

「誰だ!お前は、何者だ!」

「平たく言えば敵となりますねぇ‥‥悪いですが、貴方はここで死んでもらいます」
 そう言って、銃口を突き付けてきた。ここで‥‥死ぬのか?そう思った瞬間、兄の叫ぶような声が聞こえてきた。
「やめろ!!!」

「おや?兄の方も出てきてくれましたか‥‥これは、好都合だ」

「それ以上弟を傷つけるんじゃねぇ!」
 そう言って、兄が殴り掛かったが、奴は軽くあしらうように蹴り飛ばした。兄が壁に激突し、項垂れる。
「兄さん!」

「仲がよろしいのですねぇ?安心してください、両方とも仲良く殺して刺しあげますよ」

「俺がお前らの仲間になってやるよ‥‥」

「はい?」

「お前‥‥家を焼いた奴らの仲間だろ?狙いは知っている‥‥神器だろ?」

「よくご存じで‥‥なるほど、貴方が持ち出していましたかぁ‥‥」

「あれは‥‥俺にしか使いこなせない‥‥継承はすでに終わっている!」

「なるほど‥‥それを渡す代わりに弟を見逃せと?」

「そうだ‥‥頼む」

「いいでしょう!ちょうど新しい実験体が欲しかったところです。貴方には、機械のように我が帝国で働いてもらいましょうか」

「待ってくれ‥‥兄さん‥‥」
 手を伸ばすも届かず、無力にも兄は連れていかれてしまった。奴の攻撃が効いてきたのか、意識が遠のく‥‥目の前がどんどん霞んでいき、最後には目を閉じた。



 気が付くと俺は、帝王の死体の前に倒れ込んでいた。若干ぼやけた視界で周りを見渡していると、外から爆発音がした。その音は何度も続き、扉を破壊した。爆炎のその先には、いるはずのない人物が佇んでいた。彩花だ‥‥幻覚なのか?そう思っていると、彼女がこう言った。
「ようやく見つけましたよ」

「私‥‥ロボットは大嫌いです‥‥でも、貴方をそれだけで嫌いになんてなれなかった‥‥」

「それに‥‥ようやく思い出したのです‥‥声も形もみんな変わってしまって、自信が持てなかったけど、たくさん一緒に楽しい日々を過ごして‥‥今なら自信を持って言えます」

「ようやく会えたね‥‥一将くん」
 そう微笑む彼女を最後に俺は、力尽き瞼を閉じた。



 目が覚めると、司令官と博士が傍らにいた。俺が、起きたことに気が付き、2人が話しかける。
「一将!やった‥‥!もう無理かと思ったよ」

「ああ、博士‥‥俺もダメだと思ったよ‥‥」

「貴公‥‥よく生きて生還してくれた!」

「ありがとうございます‥‥」

「貴公のおかげで無事帝都を占拠し、この戦争を終結させることが出来たぞ!」

「本当ですか?」

「ああ‥‥しかし、王宮にいた国家技術者たちや、一部の権力者たちは、まだ捜索中だ」

「全く‥‥帝王も食えん男だ‥‥我々が攻めてくるのを察知して、連合国に逃がしていたらしい」

「とりあえず、今すぐに戦争がまた起きるとは言いにくい現状になった‥‥それもこれも、貴公の働き‥‥それと、機体を開発してくれた博士のバックアップのおかげだな」

「僕もですか?」

「ああ、貴公がいなければ、7号は作戦途中で完全に破壊されていただろう。貴公の処分は破棄する方向に考えている」

「それは、ありがたいです」

「そうだ!彩花ちゃんが、呼んでたよ?一本桜の下で待ってるって!」

「分かった、すぐに向かおう‥‥本当にありがとう、博士」
 そう言い終えると、俺は基地を飛び出した。



 いつも賑わう通りが、戦争が終わったためかいつも以上に賑やかな風景が広がっていた。俺は、そんな中をかき分けながら、街外れの花園の一本桜へと向かった。 
 花園に着くと、桜の花びら舞い散り、まるで白い絨毯のように一本桜へと続いていた。根元には、彩花が腰かけていて、花園の風景を楽しんでいる。俺が、着いたことに気が付くと、彼女は、少し微笑んだ後こう言った。
「おかえり、一将くん」

「ただいま‥‥」

「今日はね、大事なことを伝えたくて来てもらったんだ‥‥」

「奇遇だな、俺も君に大事な話がある」

「え?じゃあ、先に言っていいよ」

「ああ‥‥えっと‥‥まずは、騙していてすまなかった。これも‥‥その、君に嫌われたくなくてついてた嘘だったんだ」

「うん‥‥知った時は、ショックだったけど‥‥別にいいよ」

「ありがとう‥‥それで‥‥えっと、ずっと言おうと思っていたことがもう1つあって‥‥君が好きだ‥‥俺の‥‥恋人になってくれないか?」

「はい、喜んで‥‥ふふ、考えてみたら、ロボットが恋をするなんて面白いですね」

「はは、機械だって感情はあるんだから恋くらいしてもいいだろ?」

「そうですね‥‥じゃあ、行きましょうか!一将くん!」

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