re 魂術師（ソウルテイカー）は産廃最強職（ロマン職）！

トリカブト

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嫉妬の章

第25話　衝突

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　真の姿を見せた九尾の攻撃はこれまで以上に苛烈になった。幻術に回していたMPを攻撃に回しているだけと思いたいが…それにしてもなんでカトルがあの美しい姿に固執してたんだろうか？もしかしてまだ残っているのか？あいつの魂というかなんというか…

「クソ、キリがねぇぞ！」

「おい、灰崎！攻撃が激しくなっただけじゃないか！！」

「どこから来るのか分かるだけましじゃないですか！」

「手数が倍になってるから同じだろ！！」

「とりあえずあいつのイージスをどうにかしないと…」

「待たせたな！」

「ヘリオさん？！」

「腰抜けが何の用だ！！」

「俺は俺で動いてたんだ！」

「今更逃げた野郎を信じられるか！」

「仲間割れをしている場合か？氷獄！！」

「エンチャントファイア、豪炎斬！！」

「1人手が増えるのは良いことじゃないですか…と言いたいですけど」

「話は後だ！今は逃げるぞ！」

　ヘリオはテレポート石を使い、周囲に光が満たされていく。化け物になったカトルの追撃も虚しく、僕たちはどこかへと転移した。

「うぉ？！なんだ、ここどこだ？！」

「落ち着け、俺たちが作ったラベンスト中央区拠点だ」

「確かに…見覚えがあるっちゃある」

「それでお前の言う準備はこれだけかぁ？このまま逃げるってかぁ？」

「違う、俺は奴を打つ作戦を練ってきたんだ」

「おいおい、ここぞって時に逃げるような奴を信じて命を賭けろって言うのかよ」

「それは…」

「どうせこれもお前が逃げ切れるようにするための作戦だろ？」

「それだけは違う、逃げた所でどうにもならないだろ」

「お前はどうにかなるだろ、だってお前は元々あの慈愛帝のとこにいたんだからな」

「それは……そうだ、俺は慈愛帝の都市に住んでいた」

「強欲帝様に恨みを持たれようがそっちに鞍替えしたらいいだけだもんな、お前はよぉ？」

「しかし！裏切りを許さないのは慈愛帝も同じだ、今更あそこに行ったとしてもいいように使われて捨てられるだけだ」

「おい、灰崎…だっけ？」

「はい？」

「お前はどう思うよ、こいつが逃げようとしているかそれとも…」

「なぜ僕なんですか？」

「そりゃどんな状況でも戦い続ける指揮官として信頼があるからだ、失敗してもどうにか戦おうとするような奴なら信用してもいいぜ」

「…僕は信じたいとは思っています」

「旦那…！」

「信じたいと思っていますが、あなたは信用出来ない！」

「な、なんでだ！」

「だってそうだろ？初めて会った時も危うく命を失う所だった！」

「それは昔の話だろ！なんだかんだ助けてやったのになんだその言い草は！」

「そもそもあんたがあんな危険な仕事内容を持ちかけてきたからだろ！」

「うるせぇ！ごちゃごちゃと昔のことを持ち上げやがって…冒険者なら受けた仕事は自己責任だ！」

「まぁまぁ…灰崎も師匠も大人げないぜ？」

「…そうだな、俺が逃げたことは変えようがない事実だ」

「なんで逃げたんですか」

「俺は…俺は過去に強欲帝様と戦い、敗北したことがある」

「嫉妬帝とは関係ないじゃないですか」

「フラッシュバックするんだよ、どの帝王でも…雰囲気だけで手が震えてきてな」

「それならなんで戻ってきたんですか？」

「それはお前たちが…いや、正直俺にも分からないんだ」

「はぁ…なんですかそれ」

「しょうがねぇだろ！昔の自分が出たのか、それとももっと別の何かか…俺も分からねぇ、気が付いたらお前たちを探していた」

「分かりましたよ、それで作戦は？」

「おぉ、聞いてくれるのか！」

「聞くだけですがね、もちろん同意出来れば」

「分かった、説明しよう！まず……でポイントに誘い込んで……」

「そんなの出来るのか？」

「あの人の戦闘センスは疑いようがない、知っているだろ」

「…そうだな」

　ヘリオがどんどんと奇策の概要を話していく。聞けば聞くほど信じ難いが、決め手に欠ける僕たちにとってそれは希望的な案に思えた。

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