re 魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職(ロマン職)!

トリカブト

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嫉妬の章

第27話 衝撃の幕引き

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「な…なんで!!」

 思わず叫んでしまった。確かに九尾カトルは消し炭になり、僕らが勝利した。なのに…なのにどうしてヘリオが刺されているんだ!!しかも、奴に…嫉妬帝に刺されているではないか!!これはどういうことなんだ…思考ばかりが動いて、身体は全く動かない。ヘリオの顔が痛みで歪んでいく。

「ぐぅ…ここで死んでたまるか!!」

「おっと、危ない危ない」

「なんで…お前が生きているんだ!!カトル!!」

「お前たちが倒したあれは影武者だからな、しかし予想外だった…いくら不完全とはいえあいつを倒すとはな」

「影武者…だと?嘘をつくな、あいつはアーティファクトを使えたじゃないか」

「勘違いしているようだな、ガメイラロッドの効果は奪うだけではない!与えることも出来るのだ!」

「つまり…ゴホッゴホッ、影武者に能力を渡したって言うのか?」

「惜しいな、与えたのは俺の全てだ…身体を除いた全てを与え、操っていた」

「…ふざけるな」

「おやぁ?怒ったのか」

「お前は既にむき身、何もない状態だ!今ここでやってやる!!」

「MPもない魔法職など毛ほども恐ろしくない、それに残念ながらタイムリミットだ」

 辺りに陽光が射し、敵兵が続々と向かってきているのが見える。しかし、敵将は目の前だ。あいつらが僕に辿り着く前には済む話だ!

「灰崎!退け!」

「何でですか!!」

「奴は万全の状態でこちらは満身創痍、それに数でも負けている」

「…」

「俺たちは…負けたんだよ、所定の場所まで逃げ切れ!」

「ヘリオさんはどうするんですか!その傷じゃ…」

「俺はしんがりだ」

「そんなことしたら死んでしまう!」

「サミエム!!こいつを連れていけ!!」

「……分かった、師匠」

「ま、待ってくれよ!」

「黙ってろ、灰崎!!俺だって一緒だ…」

 涙を堪えながらサミエムは僕に一喝する。そうだ、僕よりも彼の方がヘリオと一緒にいた時間は長い。それだけ辛いはずなのに…血が滴り落ちる僕らのしんがりは鬼神のように戦い続けていた。その姿に僕は担がれながら涙を流すことしか出来なかった。



 作戦は無事に帰還するまでである。どれだけ精密な計画だとしても撤退がずさんなものは優れたものとは言えない。今回の作戦ではある地点でテレポートするという方法だ。しかし、ラベンストからラクスウェルまでという超長距離を安全に正確に転移するにはいつも使っているテレポート石では不十分だ。そこで大規模な転移装置を作成し、動力を大幅に上げ、制度を上げるという試作品が開発された。実験では正常に起動していたから大丈夫だろう……思えばこれも彼が提案したものだった。

「見えてきたぞ!」

「…あぁ、そうだね」

「必ず来る、俺は信じてる」

 決意にも似た声色は彼の切なる願いを表現するには余りあるものだと感じた。僕は深く…強くうなづいた。たとえそれが叶わないと分かっていても実現して欲しいと本気で思っていた。

「おっ、ちゃんと来たじゃないかぁ」

「すみません、遅れてしまって」

「本当に遅かったな!それでヘリオは?」

「実は……」

「…そうか、じゃあ行くぞ」

「え?」

「なんだよ、まだあるのか?」

「意外に少ないなと」

「それだけか、さっさと行くぞ」

「ちょっと冷たいんじゃな…」

「うるせぇな!!お前の話じゃあいつが死に物狂いで時間を稼いでんだろ、俺たちのために!」

「…そうですね」

 イライラしながら口の悪い諜報員がボタンを叩く。すると、光の渦が漂い出した。これに触れれば転移される。息を呑み込み、僕はそれに触れた。
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