魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職!

トリカブト

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序章

第3話 初クエスト依頼主ぼったくり野郎

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 青天の霹靂のように現れた少年が、自信あり気に話しかけてきた。もちろん、顔馴染みなんていない世界だから、知らない子だ。豆鉄砲でも食らったような気持ちになり、呆然としていると、彼は恐る恐るもう一度訪ねてきた。

「‥‥えっと、答えよ!お前が魂術師か?!」

「あっ、そうですよ」

「探したぜ!あのアステリアの街で優待券を使った者が現れた上に、産廃職に就くもの好きだってな!良い笑い者が出てくれて俺は嬉しいぜ!はっはっは!」

「あの、貴方は誰なんでしょうか?」

「おっと、自己紹介を忘れていたぜ!俺は、アレクシエル・サミエム、名門アレクシエル家の騎士だ!」

(アレクシエル家?!)

「知っているんですか?」

(ここら辺の土地を治める貴族よ!でも、なんでこんなところに‥‥)

「おい!誰と喋っているんだよ!」

「おっと、失礼いたしました。サミエム殿」

「まぁ、許してやる。‥‥ところで、お前はもう魔物は倒せたのか?」

「ええ、今さっきスライムを倒せた所です」

「はは、だよな!産廃職で魔物なんて‥‥え、倒したの?」

「はい」

「そ、ソロで?」

「そうですね」

「ふ、ふーん、まぁまぁやるようだな‥‥よし、お前を俺のライバルと認めてやるぜ!じゃあ、俺は特訓してくるぜ!あばよ!」

 見本のような捨て台詞を吐き捨て、彼は日が落ちつつある平原へ走りだしていった。そういえば騎士って上位職だったような‥‥それはそうとして、貴族だからって個人情報駄々洩れなのは、なんかあれだなぁ。まぁ、この服装にも問題があるか‥‥

「よし!もう一匹スライムを狩りますか‥‥あっ、あいつに決めた!行きますよ、アリフィカさん!」

(ごめん!MP切れてるからサポート出来ないわ、てへ)

「え?」

 唐突に発せられた彼女の謝罪は間に合わず、僕は無防備なままスライムに突っ込む破目になった。やっぱり、この女神を頼りにしすぎるとこうなるのだ‥‥ていうか、女神なのにMPとか切れるのか、意外だな。そんなゆったりとした感想を考えながら、必死に逃げる僕であった‥‥



 何度目かの命からがらの逃走を成功させ、町に辿り着いた時には、街頭に灯りがともされていた。今日はもう疲れたから、宿でゆっくり休みたいな‥‥あれ、何かを忘れているような‥‥

「あっ、戦利品取ってない!ど、どうしよう」

(おや?お困りのようだねぇ?)

「はい‥‥」

(安心したまえよ、君が戦利品を忘れていることに気が付いていた私は、ちゃんと戦利品を取ってきたのだ!ふふーん、私って良妻だわ!はい、これ)

「‥‥ありがとうございます」

(何よ?なんか含みがあるような返しね、失礼な人だわ!)

「すみません、アリフィカさんの信用はあんまりないようなイメージが付きかけてるので、最初から疑い深く関わろうかと‥‥」

(うっ、確かに心当たりがあるのは否めないけど‥‥でも、今回限りは大丈夫よ!)

「そうですね、元はと言えば僕のせいですし‥‥さぁ、その戦利品を売って宿を探しましょう!」

 意気揚々と店を探し始めたが、時間帯のせいか閉店しているものばかりだった。疲れが見え始めた頃、ようやく明かりがある店に辿り着くことが出来た。僕は、藁にも縋るような思いで中に入る。しかし、そこは埃の被った棚に古ぼけた商品が並べられているような道具屋だった。本当にここで買い取ってもらえるのか?そんな疑念が浮かぶのと同時にここしかもう開いている店が無いのでは?という不安感でせめぎ合っていると、初老の男性が話しかけてきた。

「なんだ‥‥客か?」

「あっ、あの‥‥買い取りって出来ますか?」

「買い取り?‥‥ああ、それは物によるぞ」

「えっと、スライムの戦利品っていうか、これなんですけど‥‥」

「スライムコアか‥‥ふん、粗悪品だな、こんなもん金にすらならんやつだな」

「そう‥‥ですか‥‥これは、売れないですよね?」

「どれだ?‥‥これは‥‥」

「あ、やっぱり駄目ですよね。ははは‥‥」

「いや、魂縛状態のスライムなんて持っているとはな。これは、お前さんが?」

「はい、一応ですけど」

「なるほどな、よし、買い取ろう」

「いいんですか?!」

「ああ、このくらいの魔力のスライムなら‥‥銀貨4枚でどうだ?」

「えっと‥‥それで宿は借りられますか?」

「もちろんだ、この辺りのなら銅貨5枚あたりが妥当だからな」

「じゃあ、その値段でお願いします」

「へへ、毎度あり」

 不敵な笑みを浮かべる随所にしわが刻まれた顔は、悪い魔法使いのような表情で少し身震いした。僕はすぐさま貨幣を受け取ると、今晩の宿を探しにそそくさと走っていった。幸い宿の方はすぐに見つかり、部屋に着くころにはベッドに身体をうずめることしか考えられず、すぐさま眠りについた。



 翌朝、気持ちの良い柔らかな朝日に気が付き、目が覚める‥‥そんな健康的で理想的な朝を迎えるはずだったが、僕を起こしたのは固くやかましい岩だった。

(へーい!灰崎くん、グッドモーニング!)

「うう‥‥まだ眠いんですが‥‥」

(宿で寝ているってことは、私の戦利品が約にたったってわけね!)

「いいえ、僕が握っていた魂縛状態のスライムしか売れませんでしたよ‥‥っていうか、見てたんじゃないんですか?」

(戦利品をあげた後に寝ちゃった、てへ!)

「とりあえず銀貨4枚で売れましたよ‥‥この辺の宿代が銅貨5枚くらいだからまだ寝ていても‥‥」

(あら?魂縛状態、もとい魂縛石ってそんなに安かったかしら?ちゃんと冒険者ギルド指定の店で売ったの?)

「え‥‥?そんなの知らないんですが‥‥」

(ありゃりゃ、教え忘れてたわ。うーん、実際は銀貨6枚くらいって相場ね)

「はぁ‥‥ぼったくられたってことですね‥‥」

(まぁ、あんたにとって魂縛石の量産なんて簡単なことだし良いんじゃない?)

「そういえば、魂縛石ってなんでそんなに高いんですか?確かに、魂術師って珍しい職業って聞きましたけど‥‥」

(魂縛化って難しいのよ、あなたは神の洞察眼を持っているから簡単だけどね、それに魂術師の少なさが高価にしているってのも合ってるわ、なんたって世界に数人しかいないからね!)

「なるほど‥‥よし、そろそろ起きましょうか‥‥」

 疲労感が残る身体をベッドから起こしたその時、ドアをノックする音が部屋に響く。入室の許可を言い渡すと、入ってきたのは宿の女将と‥‥昨日のぼったくり店主?!なんでだ‥‥?寝ぼけた頭を必死に回転させていると、店主が一言こう切り出される。

「いい話がある、仕事を受けてくれないか?」

「え?」

「クエストだよ、指名のな」
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