魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職!

トリカブト

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暴食の章

第2話 竜の襲来!

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 かつて途方もなく広がる豊かな草原に1つの村があった。その村では人々が助け合い穏やかに暮らしていたそうだ。しかし、ある日空を覆いつくすような影が平和な晴天を暗くした。その影の元凶は竜、ドラゴンであった。その上、1匹どころではなくおおよそ数え切れないほどの大群であった。彼らは、豊饒なこの地に宿る龍脈を独占するため争い続けた。そんなことを知らず暮らしていた人々は、彼らの戦争に巻き込まれた。あるものは焼かれ、あるものは裂かれ、あるものは食われた。いつしかその豊饒だった地も荒れ果てて誰一人としてその地に住まうものはいなくなった。しかし、依然として地の底に龍脈はあった。それを本能で察知した1匹の竜と復讐に燃え上がり執念と知識で突き止めた男がいた。彼らは、その運命かどうかは分からないが、偶然にも鉢合わせ、戦いが起こった。その勝者は人間である男の方であった。復讐を果たした男は喜びに身を震わせたが、満足感はなかった。殺したりないのだ。それからその地で度々来る竜たちを屠っていると、どこからともなく現れた命知らずの野郎どもが集まり、竜たちに戦いを挑むようになった。これが今なおその勢いを止めないクレイジーフェスティバル、竜祭の起源である!!!

「最後の方テンションおかしいな‥‥」

 貰ったパンフレットをぼろい宿屋で読みながら呟く。だが、意外にも起源は復讐って言うドロドロしたものだったとは驚きだ。てっきり頭のおかしい腕自慢が勝手に始めた武勇伝的なものを想像していた。まぁこれが続いているのはその頭のおかしい腕自慢のおかげだけど‥‥というか、僕もその1人になるわけだけど。

「はぁ‥‥どうやって戦おう‥‥」

「ふっふっふ、お困りのようだね?」

「あー‥‥そうですね‥‥まぁ」

「あれれ?なんでそんなに期待されてない感じなの?」

「だって、この石は通信機器だし‥‥一応は武器になりますけど」

「甘いわよ、灰崎くん!」

「もしかして何か追加されている?」

「その通りよ、これまではその辺に安値で売ってある程度の杖だったけどさらに強くしてその辺にちょっと高値で売ってある程度のものになったのよ!」

「それはいいですね、他には?」

「ない!」

「え?」

「だって‥‥こんなことになるなんて知らないもん!」

「まぁ確かに」

「じゃあ切るからね!死なないでよ‥‥?」

「それはフラグじゃ‥‥」

「あっ、ええっと‥‥あっ、通信障害が!あぁぁ!」

 嘘臭い小芝居の後、プツンと通信が切れる音がした。頼りになるんだか無いんだか‥‥まぁ少しドジだけど頑張ってくれてるし、僕も頑張ってフォローするしかないか。とりあえず今日は寝て、体力回復させよう!



 朝早くから花火の音で目が覚める。結局あんまり眠れなかったなぁ、あれ?そういえばサミエムと会わなかったな、同じ宿だから会うはずだし、彼の性格なら一緒に行こうって誘ってくれるかと思ったのに‥‥というか、本当にここで待ってるだけでいいのかな?

「命知らずの野郎どもぉ!調子はどうだ!」

「うぉぉぉぉ!」

「元気そうで何よりだぜ!この内何人生き残れるか賭ける俺たちも楽しんでいくぜ!」

「なめんなよ!!」

「がっはっはっは!よし、じゃあ開会式も調子あげろよ!」

「うぉぉぉぉ!」

「かつては復讐劇、今や狂人どもお祭り騒ぎ!災害だろうが何だろうが乗り越えるのが俺たちだぁ!そうやって馬鹿どもが騒ぎ立ててかつての竜災は竜祭へと時代を経て変わった!今年もお前たちの力を奴らに見せつけろ‥‥竜祭、開幕!!!」

「うぉぉぉぉ!」

 大地が揺れるような歓声があがる。熱狂的な祭りだ、こんなのが毎年繰り返されているのかぁ‥‥そう考えると、誇りを持って参加すべきなのかも?

「おっと、お前たちぃ!そろそろ最初のドラゴンが来たようだぜ!じゃあ、最初の挑戦者はエントリナンバー32にして最後の命知らず、灰崎ぃぃぃ零ぃぃぃ!!」

「え?」

「順番だがある御方の特別ご指名により変更があったので多少前後するぞ、さぁ挑戦者以外は待機室へ行け!」

 ある御方って、絶対強欲帝の差し金じゃないか!これじゃあドラゴンの能力やら弱点やらが分からないじゃないか‥‥一応昨日貰ったアイテムは持ってきたからこれは使うとして問題はどれくらいの強さかだな。そんなことを考えていると、地響きと共に土煙が背後で舞い上がる。僕が振り返ると身長の数倍もある大きな竜が大きな口からよだれを垂らしながら、腹に響くような低音で唸っていた。

「やばい、にげ」

「グワーッ!」

「シールド展開!」

「アリフィカさん、助かりました!」

「すぐに壊れるわ、早く体制を整えなさいな!」

「はい、とりあえずメタモルフォーゼして貰えますか?」

「OK、ロゼッタストーンメタモルフォーゼ!」

「よし‥‥ならまずは、ファントムメイク、ソード!」

 ドラゴンが攻撃を止めて、回避するような動きを見せる。しかし、すぐに攻撃に移る。とりあえずこれは幻術下にいるということだな!ならば‥‥

「ファントムメイク、ドラゴン!」

「グルルルル」

「威嚇しているのか‥‥?よし、メンタルダウン!」

「グウェェ‥‥」

「よし、これなら!」

ザクッ‥‥

「え?」

 何かに刺されたような鋭い痛みが胸に感じた。何が起こったのか分からず胸を触ると、血に濡れた爪のようなものが出てきている。

「おおっと、灰崎がファントムドラゴンに刺されたぞ!!」

「ファントム‥‥なるほど、幻術を使えるドラゴン‥‥か、ぐはっ!」

 刺された爪が抜かれて、血が口から大量に流れだす。力なく倒れ込むと、ゆっくりと余裕たっぷりに竜が近づいてくる。あの口で食われるのか、痛いだろうなぁ‥‥口を大きく開けて食おうとする奴に恐怖を感じながら、僕は死期を悟った。

「‥‥そんな簡単にあきらめきれないよ、オラぁ!」

 手元にあった杖を奴の目玉に突き立てる。すると、悲鳴をあげてひるんだが、余裕しゃくしゃくだった感情の色がみるみるうちに怒りの色へと変わっていく。刺さった杖を気にせず突進をしてくる奴になら効くはず!

「今だ、ソウルテイク!」

「グルルルル」

「な、効かないのか!だけど‥‥関係ないね、くらえ‥‥ソウルブレイク!」

「グウェェ」

 鈍いうめき声と共に力なく倒れ込むドラゴンを見て、勝利を確信する。息も絶え絶えになりながら貰ったポーションを飲む。ふと周りを見渡すと、地面を揺らせるほどの賞賛が僕に向けられている。あぁ、これで生き残れ‥‥

ドスン!

「嘘だろ?」

「グルルルル!」

「もうMPがない‥‥逃げなくちゃ!」

「エンチャントファイア、炎月切り!」

「グワーッ」

「もしかして、サミエム?」

「助けに来たぜ、灰崎!」

「あぁ‥‥本当に助かったよ、ありがとう!」

「へへ‥‥照れるな」

「友情ごっこしてるそこの2人、失格だ!途中乱入は失格ってパンフレットに書いただろ!」

 その後係員に2人とも会場外に追い出されてこっぴどく怒られた。
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