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暴食の章
第35話 激戦を乗り越えて
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「……ろ…おき…」
誰かがそばで必死に呼びかけている。もう少しだけ眠りたい…怪訝そうに唸り声を少しこぼすと呼びかけている声が大きくなっていく。
「起きろぉ!!」
「はっ…」
「良かったぜ!やっぱ灰崎の運は良かった!」
「…賭けはお前に軍配が上がったようだな、サミエム」
「そ、そうだ!暴食帝は…ゼクスはどうなったんですか?」
「どうなったって…その手に握られているのがそうだろ」
「じゃああれは…あの魂縛化は成功だったという訳ですか」
「成功では収まらないぞ、大成功さ」
「え?」
「あれを見ろ」
「あれは…ゼクスの弓でしょうか?」
「ヨルムンガンドはアーティファクトを自身の中に取り込んだ姿だ、つまり普通ならばもう取り出せることはないのだ…しかし、お前はあの化け物に成り果てた者を人間に戻してやったのさ」
「…」
「なんだ?この件に関して私は心から感謝と敬意を込めて何か最大限出来ることを1つやるとでも約束してもいいのだが、そんな不服そうに俯いてどうしたのだ」
「ライゼンさん…僕はこの惨劇が成功とは口が裂けても…」
「はぁ…我々の目的は完全に遂行されてこちら側の損害と言えばあの飛空艇くらいで死人0、これを成功といわず何という?」
「だって…だって、こんなにも関係のない人々が!」
「おいおい、まさかここの市民のことをいっているのか?あれは致し方ない犠牲」
「そんなことはない!そんなこと…あってたまるか…」
「守るべきものをはき違えるな、前にもいった通り我々は侵略者…被害が多かれ少なかれ一生恨まれ、憎まれ、疎まれる存在だ」
「しかし」
「仮にここの人口の8割以上が助かったとしよう、その後我々に感謝すると思うか?そんなことは決してあるわけがない、何故なら平和を乱した張本人だからだ!分かったか?救うべき味方を見誤るな、その迷いにいつか足元を掬われる!」
「昔の弟弟子みたいにかい?」
「ご、強欲帝様?!」
「諜報員が飛んできたから早めに来たよ、まさか終わっちゃってたなんてねぇ…おめでとう、灰崎くん」
「…」
「不服かい?まぁそうだろうねぇ…生き残ったのは元々から1割未満とのことだ、ウェンデゴの治療も君が寝ている間に済ませた様だし、あれを回収したら帰るとするよ」
不敵に笑いながらガシューは弓を手に取る。随分と満足そうにそれを眺めた後、僕に手を振って瞬間移動で帰っていく。そんな移動が出来るならもっと早く…いや、やめておこう。もっと良い選択があっただとかを考えていても仕方が無い。僕はたった1人の少年を救えた、今はただそれだけを見よう。
「灰崎!サミエム!これからラクスウェルに帰還するぞ、この飛空艇に乗れ!」
「うわ…頼むから今度は落ちないでくれよな」
「流石にそれはないと思うよ?」
「そうは言っても…はぁ、まぁいい!乗るとしようか!」
「さっさと乗り込め!まだまだやるべきことは山積みだぞ!」
「少しは休暇が欲しいところですが…ブラックには悲しいかな慣れてしまっているので気にならないですね」
このボヤキは船のエンジン音によってかき消され、運よくライゼンには届かなかった。後日談的な話だが、いつしか暴食帝は最高の味を探し求めていた。しかし、毎日数百の料理を食べていたのにそれは見つからなかったらしい。最後に食べたあの飴…あれがその味だったらいいと切に願う。眼下に広がる廃墟街の残り火を眺めながら…
【暴食の章 完】
誰かがそばで必死に呼びかけている。もう少しだけ眠りたい…怪訝そうに唸り声を少しこぼすと呼びかけている声が大きくなっていく。
「起きろぉ!!」
「はっ…」
「良かったぜ!やっぱ灰崎の運は良かった!」
「…賭けはお前に軍配が上がったようだな、サミエム」
「そ、そうだ!暴食帝は…ゼクスはどうなったんですか?」
「どうなったって…その手に握られているのがそうだろ」
「じゃああれは…あの魂縛化は成功だったという訳ですか」
「成功では収まらないぞ、大成功さ」
「え?」
「あれを見ろ」
「あれは…ゼクスの弓でしょうか?」
「ヨルムンガンドはアーティファクトを自身の中に取り込んだ姿だ、つまり普通ならばもう取り出せることはないのだ…しかし、お前はあの化け物に成り果てた者を人間に戻してやったのさ」
「…」
「なんだ?この件に関して私は心から感謝と敬意を込めて何か最大限出来ることを1つやるとでも約束してもいいのだが、そんな不服そうに俯いてどうしたのだ」
「ライゼンさん…僕はこの惨劇が成功とは口が裂けても…」
「はぁ…我々の目的は完全に遂行されてこちら側の損害と言えばあの飛空艇くらいで死人0、これを成功といわず何という?」
「だって…だって、こんなにも関係のない人々が!」
「おいおい、まさかここの市民のことをいっているのか?あれは致し方ない犠牲」
「そんなことはない!そんなこと…あってたまるか…」
「守るべきものをはき違えるな、前にもいった通り我々は侵略者…被害が多かれ少なかれ一生恨まれ、憎まれ、疎まれる存在だ」
「しかし」
「仮にここの人口の8割以上が助かったとしよう、その後我々に感謝すると思うか?そんなことは決してあるわけがない、何故なら平和を乱した張本人だからだ!分かったか?救うべき味方を見誤るな、その迷いにいつか足元を掬われる!」
「昔の弟弟子みたいにかい?」
「ご、強欲帝様?!」
「諜報員が飛んできたから早めに来たよ、まさか終わっちゃってたなんてねぇ…おめでとう、灰崎くん」
「…」
「不服かい?まぁそうだろうねぇ…生き残ったのは元々から1割未満とのことだ、ウェンデゴの治療も君が寝ている間に済ませた様だし、あれを回収したら帰るとするよ」
不敵に笑いながらガシューは弓を手に取る。随分と満足そうにそれを眺めた後、僕に手を振って瞬間移動で帰っていく。そんな移動が出来るならもっと早く…いや、やめておこう。もっと良い選択があっただとかを考えていても仕方が無い。僕はたった1人の少年を救えた、今はただそれだけを見よう。
「灰崎!サミエム!これからラクスウェルに帰還するぞ、この飛空艇に乗れ!」
「うわ…頼むから今度は落ちないでくれよな」
「流石にそれはないと思うよ?」
「そうは言っても…はぁ、まぁいい!乗るとしようか!」
「さっさと乗り込め!まだまだやるべきことは山積みだぞ!」
「少しは休暇が欲しいところですが…ブラックには悲しいかな慣れてしまっているので気にならないですね」
このボヤキは船のエンジン音によってかき消され、運よくライゼンには届かなかった。後日談的な話だが、いつしか暴食帝は最高の味を探し求めていた。しかし、毎日数百の料理を食べていたのにそれは見つからなかったらしい。最後に食べたあの飴…あれがその味だったらいいと切に願う。眼下に広がる廃墟街の残り火を眺めながら…
【暴食の章 完】
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