魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職!

トリカブト

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嫉妬の章

第24話 真なる姿

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 確かにさっきまでそこにいた彼は忽然と姿を消していた。見間違い、あるいは見落としただけだと信じたかったが、きょろきょろと周りを見渡した所でヘリオは居なかった。もしや九尾に倒されたのか?そう思い、前に向き直ったが、高笑いしている奴以外何もなかった。食べた痕跡も攻撃した痕跡も…

「クッソッ!あの腰抜け逃げやがった!!」

「に、逃げたって決めつけるにはまだ早いんじゃ…」

「お前は知らないようだな?おい、そこのお坊ちゃん!知ってるんだろ、あいつの過去をよぉ」

「過去…?」

「灰崎、俺も信じたくはないよ?だけど、師匠には逃げてしまってもおかしくはないトラウマがあるんだよ」

「トラウマ…?何言ってるんですか!そんなことで逃げ出すんならとっくに逃げてるでしょ?」

「お前も分かってたんだろ?トラウマの内容まではともかく」

「…」

「その反応は図星ってことでいいんだよな?」

 確かに何となくだが分かっていた。所々で隠しきれない恐怖が身体に出ていたから、感情が見える僕でなくても通常時の彼を知っている人ならその異変に気が付くと思う。だが、僕は信じたくはなかった。なんだかんだあの人は助けてくれると思いたかった。ゴブリンの時だって、クラウソラスの追っ手の時だって……ピンチの時は助けてくれる人だって信じたかった!僕はいつからか涙をこぼしていた。思いを頭の中に…心の中に押しとどめられなかったんだろう。これが何という感情なのかは僕には分からなかった。悔しいだの悲しいだの絶望だの…色々と織り交ざった感情なのだろうか?

「灰崎…大丈夫か?」

「うぅ…大丈夫だよ、心配かけてごめん」

「泣きてぇのはこっちも同じだってんだよ!ったく、だからこんな無茶な仕事受けたくなかったんだ!」

「おいおい、強欲帝様からの仕事だって1番張り切ってたのはお前だろぉ?」

「うるせぇ!ここから逃げてもボスに殺される…もうやけだ、あいつをどうにか倒すしか俺たちに明日はない!」

「……そうですね、僕も吹っ切れました!必ず生き残りましょう!!」

「「おう!!」」



 僕たちが背水の陣の覚悟をして、戦い始め、数十分が過ぎた。しかし、攻略の手口が未だに見えてこない。奴が持つ強大な魔法に打ち勝つために基本属性の対極にある属性で相殺させているが、それだけで手一杯だ。しかも、それが何もない場所から出てくる。おそらく幻術を使ってカモフラージュしているのだろう。全属性とはいかないもののエンチャントにより多くの属性を打てるサミエムを中心に何とかしのいでいる今の状態が続けば、時期に体力が削がれ、完全に勝機をなくす。その前に僕が…後方支援しか出来ない僕がなんとかしなきゃ!

「いや…そうか、相殺出来ない属性を打てばいいんじゃないか!」

「何か思いついたのか?!」

「サミエム、君の必殺技でこの戦況を変えよう!」

「あれはかなり疲れるから失敗した不味いぞ?本当に大丈夫なのか?」

「どの道この状況が続けば敗北は免れません!」

「分かったよ!やるよ!!」

「いいですか?まず……」

「えぇ?!それ本当に出来るのかよ!!」

「多分ですが…そうだ、数人くらいでやらなきゃ失敗してしまうかも…」

「なら俺らがやってやるよぉ」

「俺らって俺も入ってんのかよ!」

「これで首が取れれば諜報員の格が上がるぜぇ?」

「はぁ…失敗したらただじゃ置かねぇからな!!」

「はは…肝に銘じておきます」

「早く説明してくれよぉ」

「はい!まず……」

 僕が説明を終えると3人は静かに剣を構えた。そして僕は九尾ではなく、彼らに幻術をかけた。二重幻術…高度な幻術を解くのには時間も労力も関わる。だから、逆に低級の術式を味方にかける。すると、幻術と幻術が混じり合ってぼやけてくるのだ。そして、濃度が高い所…つまり、術者がいる場所だけがはっきりと見えるため実質解いたのと同じような状態になる。例えるなら水溶液の濃度と同じ現象だ。

「…いた!」

「俺も見えたぜぇ?」

「よし、呼吸を合わせろ!行くぞ!!」

 雄叫びを上げながら彼らは一直線へ何もない場所に突進し、それぞれの持つ技を放つ。仮に奴がイージスを持っていたとしてもこれは防げない!そして、奴の血しぶきと共に周囲の景色が一変する。なんと嫉妬帝の屋敷の中にまで押し戻されていたのだ。そして恨めしそうな九尾が……

「なんだ…あれは!」

 怒りをあらわにしている九尾の姿は…狐というよりキメラだった。しっぽだと思っていたものは魔獣の頭で数えると8個…1個は切り落とされている。これが本来の姿だったのだ。美しい狐ではなく、バジリスクをもっと凶悪にしたような…とりあえず形態変化は追い詰めているという証拠だ。あと少し…だと思いたい。
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