魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職!

トリカブト

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怠惰の章

第6話 根は続くよどこまでも

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「ファイアランス!くそっ、まだ根の先は見えないのか?!」

「かなり太くなっています!きっともうすぐ本体に…」

「ボス!危ない!」

 その声が届いた時には振り下ろされた攻撃が顔をかすめていた。思わぬ攻撃に冷や汗をかきつつも、地面の土を掘り返す作業に戻る。根を目印に相手を探すこの作戦において、穴を掘ってそれを確認し続ける作業に1番適していた。長期戦には不向きだし、技が特定の条件でしか輝けない…なんで僕はこんな職業を選んだんだ…今頃になって後悔しているのは穴掘りがしんどいからかもしれない。そんなことを考えていたら、目の前にいたモンスターはただの燃えカスになっている。

「灰崎、ここは敵地なんだ…気を抜いていたら死んでしまうぞ」

「うん…悪かったよ、サミエム」

 彼の言う通りだと感心しつつも違和感は大きくなるばかりだ。僕たちは確かに強くなっている。それはこれまでにとんでもない状況の熾烈な戦いを生き抜いていった数少ないメリットだと思う。しかし、今日の彼の強さは異常だ。さっきだって恐ろしいくらい早い斬撃で僕を助けてくれた。並大抵の判断力ではない。

「…どこかで聞いたことがあるような」

「なにかいったか?」

「いや、何でもないよ」

 不思議そうな顔でサミエムは前方にいた敵を見ずに切り倒す。なんだろうか、とても嫌な予感がするが、今の状況で強い戦闘員がいるという心強さは計り知れないほど大きい。僕は自然と違和感についての疑問を口にするのをためらった。



 息も苦しくなるような真昼の熱帯雨林の中で穴を掘っては進み、掘っては進み…かれこれ数時間経ったか?いや、体感だから本来なら数10分とかかもしれない。ともかくそろそろ手の感覚が無くなってきて、手が土で出来ているように見えてきた。さっきまでは根の太さは変化はわずかだったが確実に太くなっていた。しかし、今は違う。ずっと同じだ。先が見えない中の戦いは僕だけが辛い訳ではなく、みんなも同じだ…ただ1人を除いて。

「灰崎、本当にこっちで合っているのか?」

「…そのはずだよ」

「なぁ…ちょっと待て」

「え?」

「ようやくおでましだ」

 サミエムが前方の木々の合間を睨みつける。既視感があるのはさっき見た妖精の登場と同じだからだろうか。それはさておき穴掘り作業から解放されるのは喜ばしいことだ。重労働の肉体労働は僕には合わないというのが痛いほど身に染みた、主に手に。

「エンチャントファイア…炎烈斬!」

 敵の姿も見ずに無慈悲な一撃が樹皮と共に猛スピードでこちらに来る物体を切り裂く。またもやあの耳に残る絶叫が響き渡った。あぁ、これも違う奴だな。かすかに見えた足元には何もなかった。つまり本体ではなく、眷属の分身だろう。

「…灰崎」

「なんだい?」

「お前は正しかったようだ」

「どういう…」

 その答えはすぐに分かった。確かに分身だったが、数が桁違いに多い。見渡す限り燃やした奴と同じような影が乱立している。少なくとも10体…いやもっとだ。一体一体が弱いとはいえ、この数は驚異的だ。しかし、僕の考えは浅はかだと思い知らされる出来事がすぐ隣で起きた。無双の活躍をしていた諜報員の1人が妖精が軽く殴っただけで吹き飛んだ。油断なんてしていなかった彼をいともたやすく瀕死に追いやったのだ。

「これより先は絶対不可侵領域、人間ごとき我らが屠ってやる」

「やれるものならやってみろ!」

「この数はいくらなんでも危険だ!撤退しよう、サミエム!」

「大丈夫だ、俺がここにいる雑魚を片付ける」

「まさか1人でか?無茶だよ!」

「最悪の場合、時間だけ稼ぐから本体をやってくれ」

「…なるほど、そうすれば君もこの状況も打破出来るって算段か」

「道は俺が作る!タイミングを逃すなよ!」

「あぁ!必ずこの先に辿り着いてみせる!」

「ダブルエンチャント…炎帝の凱旋!」

 渦上の炎の斬撃が敵陣に風穴を開け、僕たちはそれに一糸乱れぬタイミングで絶望的な陣形を突破したのだった。
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