魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職!

トリカブト

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怠惰の章

第7話 隠された元凶

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 猛暑と言って差し支えない状況だったが僕たちは走り続けていた。サミエムが作ってくれたチャンスを逃すわけにはいかない。汗がこれ以上出ないから熱がこもり続けているし、頭もくらくらする…正直なところもう足を止めたい、そんな時だった。周囲の異変に気が付いた。遠くの方で不自然に揺れる茂み…もしや追っ手がもう来たのか?でも、今日の彼がこんなに早くやられるとは考えにくい。それに後方じゃない…前というか横方向から来ている。つまり新手だ!

「皆さん、北西方向から何か来ます!」

「くそ、もう新しい奴が…」

「ボス、俺たちがあいつらを止めるから行ってくれ!」

「…分かりました、ソウルアーマー!」

 僕はただ早く走った。敵も味方も全て置き去るように…これから先に待ち受ける元凶に早くたどり着けるように。幸いなことにMPも魂縛石も大量に残っている。彼らの命運は僕が背負う…なんて言えるほど強くはないけど、やるしかない状況だ…なんでこんなにも窮地に追いやられるんだよぉ!



 どこまでも続くかのような森を走り続けて、僕は遂に到着してしまった。なんでこんなネガティブな表現かと言われれば待ち受けていたものが望んでいたものじゃなかったからだ。つまりたどり着いたのは元凶の場所へではない。森の果て、木々が無くなり平原が広がっているだけの場所…

「嘘だろ…」

 思わず声に出てしまった絶望の声は虚しいほど静かに消えていった。僕は道を間違えたのだろうか。彼らの期待を一身に受けて走り続けていたのは見殺しにしただけだったのか。泣いても仕方がないのに涙がにじみ出る。早く戻らないと…振り返った僕はある違和感に気が付く。ソウルアーマー状態で数分走れば森の出口なんてあっという間だったはずだ。少なくともあの位置からなら絶対に数分で出口に着く。だが、僕は軽く数10分は走った。空間が歪んでいるのか体感時間が狂っているのか…

「そうか…だとするとこっちか!」

 この辺り一帯が全部森だったのなら中心はちょうど外側にある計算になる。森林や山岳…いわゆる自然のものでは中央に魔力が集まると本で書いてあった。山頂が中央にあることが多いのはそのせいだと言わている。そして、もう1つ…

「ここだ!」

 地面を思いきり殴りつける。すると、雑草生い茂る平原が割れていき巨大な穴が出現した。この世界の植物には地中で育つ不思議な植物がある。その一種がグラウンドツリーと呼ばれている木である。観測されているのは現在までに3本で、どれも枯れたものだけであった。発見理由はこの大穴を見れば分かるだろう。枯れたものなら支えていた土は軽い衝撃で崩れてしまうから地震などですぐに謎の土砂崩れが起きる…と解説しながら落ちていく僕であった。



「…痛い」

 雑草がクッションになり、致命傷にはならなかったが痛い。これが鈍痛というやつだろう。しかし、ここに元凶がいるはずなんだが…

「人間…なぜここが分かった?」

「お前は…」

「我々の森を荒らすものは許さぬ…」

「待ってくれ!」

「何を待つ必要がある、お前たちは私の体の一部でもある眷属を殺しまわっただろう」

「それは襲って来るからだろ?!」

「黙れ!我々の森を荒らす輩から隠れるのはもうやめることにしたのだ」

「僕たちはあるものを探しているんだ!」

「話し合う気など…」

「それが終われば出ていく!ここは中立地だ、荒らすような奴はもう来ない!」

「…信じるとでも?」

「信じてくれないだろう…だが、戦わずに済むのならそれに越したことはない」

「…」

「頼みます…信じてください」

「はぁ…分かった、眷属の追撃を止めよう」

「本当か?!」

「ただし…」

「見つけた」

「え?」

「ダブルエンチャント…氷狼乱撃!」

 無数の斬撃が巨木を引き裂いていく。いつからここに来ていたのだろうか…後ろにはサミエムが静かに見つめていた。

「…これがお前たちのやり方なんだな!」

「違う…違うんだ!」

「最後…の力で……呪いを…」

「炎烈斬!」

 最後の悪あがきすら許さぬ彼の一撃によってこの戦いは勝利したのだった。不意打ちという後味の悪い締めくくりによって…
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