モブ令嬢ですが、悪役令嬢の妹です。

霜月零

文字の大きさ
7 / 26

フラグはどんどん回収しますよ? 良い方だけですけど。(2)


 馬車で学園に着くと、既に大勢の新入生で溢れていた。
 平民も通うからか、想像よりも多い感じがする。

 さて、最初はお姉様を誘導しましょうか。
 入学式の会場である講堂に行くルートはいくつかあるんだけど、中庭を抜けるとレーゼンベルク様とエンカウント出来るはず。
 あ、ちなみに。
 宝石を多くつけている場合は、講堂でぽそりと嫌味を言われるイベントが発生してました。
 
「お姉様、中庭を見ながら行きましょう。マーガレットがそれはそれは見事だそうですよ」
「時間に遅れないかしら」
「問題ありませんわ」

 一応、制服のポケットに入れておいた懐中時計で確認する。
 まだまだ式が始まるまで十分余裕。
 入学式に間に合わないとミュリエルのイベントがチェックできないから、絶対に遅れるわけには行かない。

「……あら」

 お姉様が、足を止める。
 ほんのわずかに、眉が潜むのを見逃さなかった。
 
 あー……レーゼンベルク様ですね。

 講堂の方から中庭を通って、レーゼンベルク様が歩いてきている。
 私達に気づくと、心なしか足早に近付いてきた。

「二人とも……ずいぶん早かったんだね…………」
「レーゼンベルク様。お久しぶりですわね」
「今日から学園に通うと思うと嬉しくて。お姉様も、入学を楽しみにしていらしたの。レーゼンベルク様と同じ学園ですものね」

 言外に、お姉様はレーゼンベルク様と同じ学園に通えるのが嬉しかったんですよと匂わせてみる。
 だってお姉様、そっけないんですもの。
 よくよく見なければ気づけない程度で、普通の人が見たらお姉様は微笑んでいるように見えると思う。
 でも、私やレーゼンベルク様のように幼い頃からずっとお姉様を知っていると、微妙な表情の変化に気づいちゃう。

「僕も……二人と同じ学園で……嬉しいよ……。これからは……一緒にいられる時間が増えるね………」

 穏やかというよりも、黒いローブをまとっているほうが似合いそうな口調のレーゼンベルク様だけれど、正真正銘美青年だ。
 艶やかな金髪と、切れ長の琥珀色の瞳。
 
 そんな彼が、お姉様を優しげに見つめる。
 そしてはっとして、お姉様のブローチに気づいた。

「それは……僕が贈った…………」
「去年の誕生日ですわね。わたくしの大好きな色ですから、今日のような記念日にはぴったりでしょう?」
「そう……あまりつけているところを見られなかったから……嬉しいよ…………」

 ふわり。
 木漏れ日みたいに柔らかい笑顔で、お姉様に微笑む。
 瞬間、お姉様の耳が赤く染まった。

 お姉様お姉様。
 ぐっと、心惹かれましたね?

 もともとお姉様は可愛いものや綺麗なものが大好きだ。
 レーゼンベルク様は独占欲は強くても、容姿はお姉様のストライクゾーン。
 そんな彼に微笑まれたら、最近ちょっと嫌だった気持ちも吹き飛ぶに違いない。

「そういえば、わたくし、ミュリエルと約束がありましたわ。迎えに行って来ますわね」

 見つめあう二人の邪魔にならないように、そっとその場を去る私。
 二人から離れてチラッと振り返ると、レーゼンベルク様がお姉様に手を差し出して、エスコートしてた。
 ごちそうさま♪
  
感想 12

あなたにおすすめの小説

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜

みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。 悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。 私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私はただのモブ。 この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。 ……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……? ※2025年5月に副題を追加しました。

【改稿版】婚約破棄は私から

どくりんご
恋愛
 ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。  乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!  婚約破棄は私から! ※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。 ◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位 ◆3/20 HOT6位  短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

悪役令嬢は天然

西楓
恋愛
死んだと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢に転生⁉︎転生したがゲームの存在を知らず天然に振る舞う悪役令嬢に対し、ゲームだと知っているヒロインは…

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

モブとか知らないし婚約破棄も知らない

monaca
恋愛
病弱だったわたしは生まれかわりました。 モブ? わかりませんが、この婚約はお受けいたします。

悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました

神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。 5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。 お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。 その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。 でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。 すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……? 悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。 ※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。 ※少し設定が緩いところがあるかもしれません。