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フラグはどんどん回収しますよ? 良い方だけですけど。(2)
馬車で学園に着くと、既に大勢の新入生で溢れていた。
平民も通うからか、想像よりも多い感じがする。
さて、最初はお姉様を誘導しましょうか。
入学式の会場である講堂に行くルートはいくつかあるんだけど、中庭を抜けるとレーゼンベルク様とエンカウント出来るはず。
あ、ちなみに。
宝石を多くつけている場合は、講堂でぽそりと嫌味を言われるイベントが発生してました。
「お姉様、中庭を見ながら行きましょう。マーガレットがそれはそれは見事だそうですよ」
「時間に遅れないかしら」
「問題ありませんわ」
一応、制服のポケットに入れておいた懐中時計で確認する。
まだまだ式が始まるまで十分余裕。
入学式に間に合わないとミュリエルのイベントがチェックできないから、絶対に遅れるわけには行かない。
「……あら」
お姉様が、足を止める。
ほんのわずかに、眉が潜むのを見逃さなかった。
あー……レーゼンベルク様ですね。
講堂の方から中庭を通って、レーゼンベルク様が歩いてきている。
私達に気づくと、心なしか足早に近付いてきた。
「二人とも……ずいぶん早かったんだね…………」
「レーゼンベルク様。お久しぶりですわね」
「今日から学園に通うと思うと嬉しくて。お姉様も、入学を楽しみにしていらしたの。レーゼンベルク様と同じ学園ですものね」
言外に、お姉様はレーゼンベルク様と同じ学園に通えるのが嬉しかったんですよと匂わせてみる。
だってお姉様、そっけないんですもの。
よくよく見なければ気づけない程度で、普通の人が見たらお姉様は微笑んでいるように見えると思う。
でも、私やレーゼンベルク様のように幼い頃からずっとお姉様を知っていると、微妙な表情の変化に気づいちゃう。
「僕も……二人と同じ学園で……嬉しいよ……。これからは……一緒にいられる時間が増えるね………」
穏やかというよりも、黒いローブをまとっているほうが似合いそうな口調のレーゼンベルク様だけれど、正真正銘美青年だ。
艶やかな金髪と、切れ長の琥珀色の瞳。
そんな彼が、お姉様を優しげに見つめる。
そしてはっとして、お姉様のブローチに気づいた。
「それは……僕が贈った…………」
「去年の誕生日ですわね。わたくしの大好きな色ですから、今日のような記念日にはぴったりでしょう?」
「そう……あまりつけているところを見られなかったから……嬉しいよ…………」
ふわり。
木漏れ日みたいに柔らかい笑顔で、お姉様に微笑む。
瞬間、お姉様の耳が赤く染まった。
お姉様お姉様。
ぐっと、心惹かれましたね?
もともとお姉様は可愛いものや綺麗なものが大好きだ。
レーゼンベルク様は独占欲は強くても、容姿はお姉様のストライクゾーン。
そんな彼に微笑まれたら、最近ちょっと嫌だった気持ちも吹き飛ぶに違いない。
「そういえば、わたくし、ミュリエルと約束がありましたわ。迎えに行って来ますわね」
見つめあう二人の邪魔にならないように、そっとその場を去る私。
二人から離れてチラッと振り返ると、レーゼンベルク様がお姉様に手を差し出して、エスコートしてた。
ごちそうさま♪
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