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拍手をありがとうございます。大っ嫌いですわ!(2)
しおりを挟む「あぁ、貴方がミュリエル=フォンダン男爵令嬢?」
いまやっと気づいたと言うように、ロイスがミュリエルに目をやる。
「は、はいっ、ミュリエル=フォンダンと申します。どうぞよろしくお願いしますっ」
慌てて淑女の礼をするけれど、ミュリエル、礼をした後に小首を傾げては駄目よ?
とっても可愛らしいんだけどね?
「ふーん……」
ロイスが、私の後ろに手を伸ばし、ミュリエルの頬に手を当てる。
「あ、あのっ、あのっ…………?!」
「可愛らしいね」
「ふぇっ?!」
「こんなに愛らしいご令嬢の危機は見過ごせないね。よし、面白いものを見せてもらったお礼に講堂に目立たず入らせてあげよう」
「ロイス様、本当にそんな事ができますの?」
ロイスの手をミュリエルから払いのけるように身体を割り込ませ、じとっと見上げる。
可愛いミュリエルを、ロイスの毒牙にかけてなるものですか。
ミュリエル、真っ赤になっているけれど、好きになったりはまだしていないわよね?
あぁ、心配。
イベントフラグ以外は接触させないように、気をつけましょう、うん。
「疑うの? まぁ、当然か。この学園は由緒正しいからね。学園の中も講堂も秘密の通路がいくらでもあるんだ」
乙女ゲームにそんな設定出てきたかしら。
お城の内部には、緊急避難用の秘密の通路があるのは当たり前だ。
敵国に攻め入られた時とか、王族のみ知る秘密の通路から要人を脱出させる。
王族以外が知る秘密の通路も当然あって、そちらは城に努める使用人達が緊急時には利用するはず。
そんな通路が学園にもあるというの?
そもそもなぜロイスがそれを知っているのか。
「まぁ、信じなくてもいいよ。その場合は講堂の入り口から堂々と入るしかないよね。入学式の最中に」
ふっと口の端をあげるロイス。
こちらが選べる状態にないのがわかっていて言っているのがありありだ。
でも、背に腹は変えられず、ミュリエルを笑いものになんてさせれないのだからロイスを頼るしかない。
「……案内をお願いしますわ」
屈辱に震えながらお願いすると、ロイスはプッと噴出した。
「ククッ、じゃあ、二人ともこっちへ」
肩を震わすロイスに案内され、本当に秘密の通路を辿って、私とミュリエルは無事、講堂に入れた。
「この位置からなら、さりげなく混ざれる」
講堂の正面入り口と違い、秘密の通路からだと本当に目立たない。
小さな木の扉は正面を向いている新入生からも壇上の先生方からも、天使の像が四角になって目立たない。
「……っと、ちょっと待って」
講堂に入ろうとする私の手を、ロイスが掴んだ。
次の瞬間引き寄せられ、抱きしめられる。
「何をなさいますの?!」
「髪に木の葉がね」
ロイスの長い指先に、一枚の葉が挟まれていた。
「言っていただければ、自分で取りましたわ」
冷静さを心がけながら、私はロイスから離れる。
いきなり引き寄せる事はないでしょう。
顔が赤らんだりはしていないかしら。
あ、やだ。
ミュリエルが真っ赤な顔で見ている。
恥ずかしい!
「入学おめでとう。明日からが楽しみだよ」
肩を震わせて笑いを抑えているロイスを睨みつけ、私とミュリエルはこっそりひっそり講堂の中に入りこんだ。
あーもー、悔しいっ!!!
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